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★「失敗は失敗の母、成功は成功の母」(p56)★「まず小金持ちになってしまうことが、お金にツキのある人間になる第一歩」(p110)★「自分で思う「中身」より、「評判」のほうが大切である」(p128)★「まずいときは反省するな。反省は絶好調のときにせよ」(p153)★「1回ついたウソはウソだが、100回ついたウソはホントになる」(p179)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ツキの大原則』 西田文郎――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「成功者になるために一番大切なのはツキと運である」 スポーツ、ビジネス、受験、その他多くの分野にメンタルマネージメントを導入し、 成功者を続出させてきた著者・西田氏は、本書の1ページ目からこう述べています。●「たゆまぬ努力」「誠実さ」、「あきらめない心」…我々が一般に「成功」という 言葉から連想するこれらの要素とは、およそかけ離れているようにも思えます…。 ただ「真面目である」ことと「上手くいく」ことに全く相関関係がないことは 残念ながら明らかのよう。●それどころか真面目な人というのは「ツキや運」などというのを頭から否定し、 自分の力だけに頼ろうとするため、ますます苦境に追い込まれていく傾向にある。 「お金とツキはあるところに集まる」というのは昔から成功者の間では 常識となっているようです。●さて、この「ツキと運」には他にもいくつか【原則】があります。具体的には、 「ツキのある人はツキを大切にしている」「ツキのある人はツイている人と付き合う」 「目標意識がツキのある人生かを決める」など。ビジネス・恋愛・スポーツ・子育て、 全てのステージで共通する【ツキの大原則】を知りたいあなたにお薦めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「まずいときは反省するな。反省は絶好調のときにせよ」(p153)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「われ、日にわが身を三省す」…『論語』の中で曾子が述べている言葉です。 どうやら人というのは昔から「反省」が大好きな生き物のよう。ただしここで 注意しなければならないのがそのタイミング、つまり反省は好調のときにする べきであり、不調なときにはするべきではないというものです。●どういうことか?つまり、「うまくいかない」時というのは、何かしら「うまく いかない」考え方をしているから物事が思い通り運ばないのであって、その誤った フレームワークで考えている限り、いつまでも事態を打開することはできません。 スポーツのスランプというものを考えれば分かりやすいでしょう。●テニスで思うようにサービスが決まらないときに、いくらその理由を考えても無駄。 フォームは?握り方は?タイミングは?…頭で考えれば考えるほど深みにハマって しまいます。結局は無心になって打ち続け、その中でジャストミートするポジション を見つけていくのがスランプ脱出の最短距離だといえるでしょう。●反対に絶好調で「我が身を省みる暇もない」というときこそ、真に反省が必要。 「好事、魔多し」という言葉もあるように、上手くいきそうな時ほど悪い要素に 行く手を阻まれるもの。図に乗って我を見失わないように、「三省」といわず、 1日に「十省」も「百省」もする慎重さが必要になってきます。●上手くいかない時ほど、勇気を振り絞って行動し、 上手くいっているときこそ、頭を冷やして考える…。 やたら「運がいい人」「ツイている人」… 一見お調子ものに見える彼らこそ、 こういった本当の意味での「慎重さ」を徹底している人達なのかもしれません…。□■エッセンス■□・「まずいときは反省するな。反省は絶好調のときにせよ」(p153)▼あなたは「ダメ→反省→もっとダメ」の悪循環に陥っていませんか?□■今日の紹介書籍■□『ツキの大原則』 西田文郎オススメ度★★★★☆→・これまで「ツイてない」人生を送ってきた人 ・いま周りに「ツイてる」人間がいない人 ・これから「ツイてる」人生を送れる予感のない人
2005年03月01日
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★「大衆化するビジネススキルは超効率で学び、 イノベーションによる差別化を思考する」(p50)★「意識して全体を考える人は伸びる。自分が組織の歯車に過ぎないとしても、 歯車であるなら、必ず全体と繋がっているはずである。」(p74)★「良い経営者とは「着眼両極・着手単極」で、 最後に矛盾のマネジメントを克服記できる人である。」(p186)★「自分の欲から入り、悩んで否定し、そして統合し、最後に利他に気がつく という形の進化過程は、誰も避けることのできない通過儀礼」(p222)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『30歳からの成長戦略』 山本真司――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「君らのやり方は間違っている。それも大きく間違っている。」 表層的な情報に左右され、「成長戦略」を見失っている若者に対し、 同じように悩み苦しんできた著者が、声を大にして警告を発します。●その最たるものが「大衆化するビジネススキルでは差別化できない」ということ。 流行のマーケティング本やロジカルシンキング術等に飛びついているばかりでは、 いつまで経っても自身の「差別化」はできません。この激しいビジネス世界を 勝ち抜くためにはどういった「成長戦略」を立てる必要があるのでしょうか??●「アウトプット志向で学習をせよ」、「いいとこ取りの拡散読書をしろ」 「論理と感情を併せ呑んだ<レゾナンス思考>を行え」、などなど… 本書では外資系コンサルティング会社での15年間の修行をもとに、 著者が会得した「成長戦略」が生々しい実体験と共に語られています。●「アップ・オア・アウト(成長しなければクビ)」と言われる激しい コンサルティング業界で、ヴァイスプレジデントにまで上り詰めた著者が説く 戦略論には大変説得力があります。「大衆化」する様なスキル本とは大きく異なり、 いつまでも傍らに置いて<成長の道標>としたい、骨太な1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「良い経営者とは「着眼両極・着手単極」で、 最後に矛盾のマネジメントを克服できる人である。」(p186)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●企業経営者には常に二律背反のテーマが付きまといます。「利益」と「社会貢献」、 「変化」と「安定」、「低コスト」と「高品質」などがその一例でしょう。 著者はこれらの両方に「着眼」しつつも、まずは片方だけに「着手」する、 「着眼両極・着手単極」という新しい発想を提唱しています。●ちなみに名著『ビジョナリー・カンパニー』においては、これらを二律背反の 「OR」の問題として捉えず、両方同時に手をつける「着眼両極・着手【両】極」 =「AND実現」の考え方が支持されています。ただ、ある程度発展した企業なら まだしも、発足したばかりの組織が、この「着手両極」を行うのは非常に危険。●というのも「着手両極」でバランスを取る、というのは裏を取れば「中途半端な経営」 という事にも繋がるから。起業当初というのは、バランスをとった無難な経営よりも、 偏ってはいても、爆発的発展を遂げるための「着手単極」型経営が大切な気がします。●ただし、いつまでも「利益」偏重で顧客や従業員のことを考えなかったり、 「変化」ばかりを追い求め社内制度を整えないようでは、いつか経営は破綻します。 それを回避するためにも、移行期を見定める「着眼両極」の姿勢は大変重要。●個人の場合でも、「金への欲求」と「自己実現」などはまさに同じ構図ですね。 神田昌典氏が「凡人にとっては、お金を稼ぐことに対する懐疑心を持つのは致命的」 と言うのも、無理にこれらを「着眼両極・着手両極」しようとすることの愚を指摘 しているのでしょう。「広い視野で狭き事に」打ち込む勇気を持ちたいものですね。□■エッセンス■□・「良い経営者とは「着眼両極・着手単極」で、 最後に矛盾のマネジメントを克服できる人である。」(p186)▼あなたは「着眼両極・着手両極」の無難なバランス人間になっていませんか?□■今日の紹介書籍■□『30歳からの成長戦略』 山本真司オススメ度★★★★★満点!→・将来が不安な20代 ・他人と「差別化」したい30代 ・「成長戦略」を見直したい40代
2005年02月25日
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書評メルマガの作者様たちとこんな企画を始めました。 人気メルマガ作者厳選!~ビジネス書100冊プレゼント~延べ月間発行部数合計20万部の書評系メルマガが、選ぶあなたのための1冊! メールアドレスと希望書籍だけの記入でめちゃくちゃ応募は簡単♪ ⇒ http://www.enbiji.com/camp.html楽天で有名なミドル英二さん、
2005年02月22日
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★「相談する必要の「ない」ことを相談する」(p50)★「リンカーンは、自分に悪口を言ってくる相手にこそ、 重要な役職を与えてうまく動かした」(p104)★「人間の心理は、ある感情が一方に片寄ると 自律的に元に戻そうとする働きがある」(p126)★「大事な約束に遅れたときには「謝罪」ではなく「感謝」を」(p156)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『パワーロジック』 内藤誼人――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「パワープレイ」、「パワーマインド」に並ぶ「パワー」シリーズの言葉編。 いずれも人間関係においていかに「パワー」を発揮し、優位に立つかという 方法論について書かれていまが、前2作が「しぐさ」や「服装」に着目した のに対し、本書「パワーロジック」は「言葉」の操り方にフォーカスしています。●「交渉の場で優位に立つには、まず「何を議論するか」を議論しろ」 「1回の「大説得」よりも、100回の「小説得」をこころがけろ」 「会話は長くとも「3秒」で区切れ」などなど、非常に具体的・かつ実用的な アドバイスが、上司・部下・顧客といった相手別にまとめられています。●著者の内藤誼人氏は心理学者として有名な方ですが、その著作には定評があります。 というのも、日本にはここまで「体系的」にまとめられたノウハウ本が少ないから。 「あとがき」に書かれているように、本書を一通り読めば、すくなくとも50通りの 「説得技術」を学ぶことができるはずです。(当然使えるかどうかは別としてですが)●精神論や人生論について書かれた本と違い、1回読んで世界が変わる!という類の物 ではありませんが、少なくとも自分の周りの世界を変えるツールは手に入るはず。 「明日にでもすぐ使える究極のハウツーが欲しい」そんなあなたにお薦めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「人間の心理は、ある感情が一方に片寄ると 自律的に元に戻そうとする働きがある」(p126)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●あなたにも経験がないでしょうか? 仕事がうまくいき始めてまさに絶好調な時、 ふいに「いつまでこの調子が持つのか?」などと思ったり、恋が叶って最高に 幸せなのに「いつまでこの幸せが続くのか?」なんて不安に思ったりした経験が。●人間はプラスにしろマイナスにしろ、ある一方に感情の針が大きくふれると、 無意識にそれを戻しバランスを取ろうとするようです。ということはマイナスの 感情が発生している際にも、無理にプラスに押し戻そうとするのではなく、 さらに同質の感情を増幅させることで、自然にバランスさせられると考えられます。●これを提唱したのが精神科医のアルトシューラー博士で、まさに「同質の原理」と 呼ばれます。現在では音楽療法で利用されていますね。例えば、悲しい気分の時に 無理に明るい曲を聞かせても効果がなく(むしろ逆効果)、あえて悲しさをイメージ させるような曲を聞かせる事で必要なカタルシス(精神浄化)が得られるという具合。●さて、これを「パワーロジック」的に活用するとどうなるでしょうか? 「怒っている顧客には、敢えて苦言を呈す」、「調子に乗っているライバルは、 敢えてそのまま調子に乗らせてしまう」など、色々な面で応用できそうですね。 キレている彼女をさらに怒らせる度胸は、少し僕に足りないかもしれませんが…(笑)□■エッセンス■□・「人間の心理は、ある感情が一方に片寄ると 自律的に元に戻そうとする働きがある」(p126)▼あなたは無理に感情を押さえつけようとして、逆効果に陥っていませんか?□■今日の紹介書籍■□『パワーロジック』 内藤誼人オススメ度★★★★☆→・サラリーマン、営業マン ・交渉力、対人関係能力を上げたい方 ・体系的に「how to」を身に付けたい方
2005年02月19日
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★「コンピューターはコードにしたがってだけ「考える」から、 このコード自体の「正しさ」をけっして判定することができない」(p19)★「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19)★「世の中にはより正しい認識やより不完全な認識があるのではない。 そうではなくてより優勢な認識(解釈)と、より劣勢な認識(解釈)があるだけ」(p32)★「<知覚>は<覚>だけでは成立せず、<知>を含んでいる」(p54))━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『現象学入門』 竹田青嗣――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「この目でみた世界と実現する世界は同じものなのか?」 デカルト以来、近代哲学がこれまで抱えてきたこの根本課題に対して 新たな解を投げ出したのがドイツの哲学者フッサールの提唱する「現象学」です。●面白いのがフッサールという人物はもともと数学者として出発しているという点。 「1+1=2」や「4÷2=2」といったふうに、確実で「厳密」な ものを扱う数学に対し、哲学は人間の「感情」や「思考」といった曖昧で、 ある意味捉えどころのないものを対象とします●彼の提唱する「現象学」やその論理が非常にユニークなのも、 1つここに依拠しているのかもしれません。ただし、フッサールの 原著自体は非常に難解な言葉で書かれており、読みこなすのに一苦労。 「入門書」として、まずはこの本を手に取ることをお薦めします。●「夢と現実の境って一体なんだろう?」「宇宙の果ては存在するのか?」 「この世に誰にも疑い得ない“真実(ファクト”ってあるのだろうか?」 そんな哲学的な問いや「考える」こと自体が大好きな方に、読んで欲しい1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これが冒頭で紹介した「この目でみた世界と実現する世界は同じものなのか?」 という根本課題の背景にある思想です。我々の頭脳を1種のコンピューターと して考えましょう。コンピューターはご存知のように「0」「1」といった ある種の「コード」の組み合わせで物事を捉えています。●そしてコンピューターの考えていること(主観)が正しいかどうかを 客観的に判断するには、このコード自体の正しさを証明しなければならない。 その正しさを判別するコードを「メタ・コード」と呼びますが、今度はその 「メタ・コード」自体の正しさを判別する「メタ・メタ・コード」が必要になる…。●こう考えていくと、コンピューターが「コード」という主観によって考えている 限り、それが本当にこの世の「客観」に一致しているかどうかは、究極的には判断 不能ということになります。同じように人間も「主観」で動いている以上、そこで 捉えている世界が「客観」に一致するかどうかは誰にも判断することができません。●この問題に対しデカルトは「神」を持ち出すことで「主観―客観」の一致を証明し、 カントは人間には「客観」を認識することができないと提唱、ニーチェに至っては 「客観」それ自体が存在しないと説いています。●僕自身、この世界というのは「客観」ではなく「主観」の集合体に過ぎないんじゃ ないかと考えています。鬱病・殺人・貧困・戦争…現代に潜む多くの問題も、唯一つ の「客観」を求めることから発生しているものが少なくないのではないでしょうか。 自分の内側に客観は求めても、世界に客観を押し付ける事だけはしたくありませんね。□■エッセンス■□・「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19)▼あなたの考えている「客観」は他の人にとっても「客観」でしょうか?□■今日の紹介書籍■□『現象学入門』 竹田青嗣オススメ度★★★☆☆→・「主観」と「客観」について深く考えたい方 ・近代哲学を体系的に捉え直したい方 ・「考える力」を磨きたい方
2005年02月16日
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★「入り口は無数にあるのだが、出口は用意されていない。 インターネットの海のイソギンチャク、それがアマゾンのサイトだ。」(p50)★「本は好きだが、文書を書くことにまったく縁のなかった人間が、 カスタマーレビューを書くことを通じて、文書を書くこと自体の楽しさ、 それがサイトに掲載される歓びを知ってしまったのである。」(p141)★「二十四時間眠らないサイトは、二十四時間体制で異常事態に備えている」(p153)★「コンピュータ技術者にとって最新のIT環境は、給料よりも大事なのだ」(p170)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『アマゾンの秘密』 松本晃一――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●今やおのずと知れた世界最大のネット書店「Amazon」。徹底した秘密主義で知られる 同社は2000年のオープン直前まで、日本においてその存在を隔し続けました。 アマゾンが何かと話題に昇るのは、これほどまでに革新的なモデルでありながら、 その実態がほとんど把握できていないことに起因しています。●どうしてこれほど巨大なサイトをオープン直前まで隠し通すことが出来たのか? なぜアマゾンにはあれほど上質なカスタマーレビュー(書評)が集まるのか? 外資系ネット企業がいかにして日本においても成功を収めることが出来たのか?●本書はアマゾンジャパンの設立に参画した著者による、生々しい成功秘話。 マーケティングスタッフやシステム屋として奮闘する著者の様子とともに、 新たな企業が勃興する瞬間の、野望と熱気に満ちた雰囲気が伝わってきます。●外資系企業の強みというのは、この様な新しいプロジェクトが立ち上がる際に 優秀な人材がイソギンチャクのように集まり、社内を盛り上げる点にあります。 アマゾン創設者のジェフ・ペゾスを中心とした当時の盛り上がりと、その後に 続くローンチ(立ち上げ発表)までの道のりを描いた、ノンフィクション大作。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「コンピュータ技術者にとって最新のIT環境は、給料よりも大事なのだ」(p170)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ビジネスの世界に最も影響力を持つ思想家の一人、P・ドラッカー氏によれば 現代の競争力要因となるものはただ1つ、「知識労働者」の生産性です。 知識労働者というのは自ら生産手段を保有し、その獲得・発揮のために働く… ここでいうコンピュータ技術者を始め、現代に働くほとんどの人を指しています。●さてここで大事なのは、知識労働者は報酬のみを目当てとするのではなく、 その知識の「獲得・発揮」のために働くということ。ドラッカーはその著書 「プロフェッショナルの条件」の中でこんなことを述べています。●「もはや忠誠心は労働力だけでは得られないことを意味する。 組織は知識労働者に対し、その知識を生かすための最高の 機会を提供することによって、初めて彼らを獲得できる。」●「コンピュータ技術者にとって最新のIT環境は、給料よりも大事」というのも、 まさに彼らがその生産手段(知識)の獲得・発揮のために働いているからです。 さてこの点に関していえばアマゾンの社内戦略は実に効果的。彼らはたとえ全社的に コストを削減している時でさえ、基幹となるIT系の投資は惜しまないといいます。●これというのもまさに「知識労働者」の生産性が唯一にして最大の競争力要因と なることを把握しているからでしょう。どれだけいい給料がもらえたとしても、 この先応用の見込みがなく何十年も遅れているIT環境で働く気は起きませんね。 アマゾンに優秀なSEやエディターが多く集まるのが少し理解できた気がします。□■エッセンス■□・「コンピュータ技術者にとって最新のIT環境は、給料よりも大事なのだ」(p170)▼あなたの会社には知識の「獲得・発揮」の場が十分備わっていますか?□■今日の紹介書籍■□『アマゾンの秘密』 松本晃一オススメ度★★★★☆→・Amazonの舞台裏に迫りたい方 ・ウェブマーケッター、システムエンジニア ・知識労働者をひきつける秘訣を知りたい方
2005年02月10日
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★「人間というのは、人と同じことをしても、ちゃんと個性が出るんです。」(p55)★「人に教えるということは、同じ人に、同じことを 400回いえるかどうかにかかっている」(p101)★「得意なことばかり聞くのではなく、いつも怒られていたことを聞いてあげると、 その人間の良さを見出すことができる。」(p105)★「人間関係をよくしたいと思うならば、相手を変えるより、 自分が変わる以外に術がありません。」(p132)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ツイてる!』 斎藤一人――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「日本一の大金持ち」として知られる著者の斎藤一人さん。「スリムドカン」等の ユニークな商品で知られる「銀座まるかん」の創設者としても有名です。 「ここ読め本本」でも『斎藤一人の世の中はこう変わる!』や『斎藤一人の人生が 全部うまくいく話』といった本をこれまでにも紹介してきました。●とその過程で、僕もいつの間にか斎藤一人さんのファンになっていたよう(笑) この本がどうやら一人さん自身の書く最後の著作になるようで…少し寂しいですね。 毎度の事ながらその優しい語り口調と、素直で真っ直ぐなものの見方・捉え方は、 この日常社会で何かと窮屈な思考に陥りがちな僕らを、優しく癒してくれます。●「日本一のお金持ちというくらいだろうから相当苦労しているのだろう」などと 思いきや、本人は「苦労は買ってでもしろなんて嘘だ」といいます。成功者は 自分が得意な事をして成功したのだから、苦労などしていないのだとか…こんな 発言からも、一人さんがどれだけ「自然体」で人生に臨んでいるかが覗えますね。●他にも「笑いこそ人間が万物の霊長たる由縁だ」、「完璧を求める必要はない」 「結婚は人間関係の修行だ」などなど、人生に対して「積極」的な気持ちに なれるメッセージで溢れています。日本一の「商人道」ならぬ「笑人道」を 歩みたい、そんな全ての人にお薦めできる1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「人に教えるということは、同じ人に、同じことを 400回いえるかどうかにかかっている」(p101)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●起業家として、ビジネスの世界で成功を収めている人にその要因を聞くと、 いつも決まって1つの答えが返ってきます。それは「成功するまでやったから」。 同じように、斎藤一人さんは「人が人を教える」際にも大事なことはただ1つ 「できるようになるまで(400回でも)教える」ことだといいます。●家庭教師のバイトや、部下や後輩を持った経験のある人は分かるかもしれませんが、 僕自身も人が物事を教わって習得する際に必要なのは、その人自身のやる気や資質 の問題よりも、教える側の覚悟や根気の方が大きいのではないかと考えています。●そもそも「やる気があるからできる」ということと、「できるからやる気がある」 ことの間には明確な境界線がありません。学校の勉強だってよく考えてみれば、 「好きだったからできた」のか「できたから好きだったのか」なんて曖昧でしょう。●ここで始めから資質がある人や、やる気のある人は「できる→やる気がでる→できる」 の好サイクルに乗って、上達していくことができます。しかし普通の部下や生徒を 指導する際には、皆が皆この「資質」や「やる気」を持ち合わせているわけではない。 つまりこの「できる→やる気がでる→できる」の上達サイクルに持ち込むまでが 大変なのです。●だからこそ一人さんの言うように「できるまで教え」、この「上達サイクル」に 放り込むことが大切なのでしょう。「深い井戸ほど出る水はキレイ」という言葉を 胸に、指導者としては「水が出るまで井戸を掘る」心構えを大切にしたいものです。□■エッセンス■□・「人に教えるということは、同じ人に、同じことを 400回いえるかどうかにかかっている」(p101)▼あなたは人に教える際に「できるまで教える」覚悟で臨んでいますか?□■今日の紹介書籍■□『ツイてる!』 斎藤一人オススメ度★★★★★満点!→・商人、笑人を目指す方 ・究極のプラス思考を学びたい方 ・ツイてる!人生を歩みたい全ての人
2005年02月07日
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★「破綻しそうになったメガバンクに対して政府が厳しい姿勢で臨むとなると、 破綻した銀行から大量の国債が売却され、国債価格は暴落する。」(p29)★「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)★「国債発行は、将来の国民への税金を意味するので、 現在の貸し出しリスクを将来世代に負担させていることになる。」(p167)★「預金者が預金保護で手厚く保護されている国の方が、 実は銀行危機が頻発している」(p172)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『金融立国試論』 櫻川昌哉――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これほどまでに痛快な金融の本は読んだことがありません。 「われわれ日本人は元本保証ボケである」「だめな銀行は思い切って破綻させた 方がよい」「郵貯は存在自体が無責任である」などなど… 歯切れ良い口調で、日本の金融システムの問題点を暴き出していきます。●日本の金融が弱いというのはよく言われることですが、そもそも日本は 「オーバーバンキング=預金過剰」が発生するほどに潤沢な金融資産を 保有しています。そんな日本が海外から借金までしているアメリカに 金融で負けるなんてあり得ない!これが著者の問題意識の発端となっています。●あり得ないはずのことがおきているのは、日本の金融があり得ない仕組みで 動いているからに他なりません。本書はそれを「オーバーバンキング」、 「不良債権問題」、「デフレ」、「ペイオフ」、「郵貯民営化」といった金融の 主要トピックから掘り下げていきます。●ともすれば経済や金融の本というのは難解な語を並べ立てただけの、 取っ付き難いものになりがちですが、本書は「ボケ」や「バカ」などという 言葉が登場するほど、明快かつストレートな内容に仕上がっています(笑) 金融をかじりたい初心者にも、鋭く掘り下げたい専門家にもお薦めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「デフレ不況」が叫ばれて久しい今日ですが、そもそも「デフレ」という現象 それ自体はプラスでもマイナスでもありません。一般物価が下がることを示し ますが、物価が下がればその分給料も下がるので、実質的な違いはないのです。 では何が問題なのかというと、デフレを通じて所得の再分配が行われること。●銀行からお金を借りていた人は、借りた時よりも現実の物価が下がってしまうので その分たくさんのお金を返済しなければいけません。反対に銀行にお金を預けていた 人は、預けた当初よりも物価が下がっているので、実質的にたくさんのお金を引き 出して使えることになります。●デフレで損をする人もいれば得をする人もいるので、全体で見れば正でも負でも ないのです。ではなぜ何かとデフレが不況の元凶かのように扱われるかというと 損をした人が騒ぐ一方で得をした人は黙っている、またマスコミも儲けた人の話は 面白くないので負の部分ばかりを取り上げ「不況だ!」と騒ぎ立てるからなのです。●マスコミは大衆の関心を惹くことで成り立っている業界だということを忘れては いけません。「起業」や「ベンチャー」についても何かと成功者の美談ばかりが クローズアップされている今日ですが、その背後には悔しくも散っていった無数の 挑戦者たちの姿があるのです。●自分が触れている情報はどういった価値観に影響されているのか? 正反対の視点から見てみたらそこには何が見えるのだろうか? マスコミの伝える「事実」と、自分が信じる「事実」の間に、 「考える」というワンクッションを常に敷いておきたいものです。□■エッセンス■□・「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)▼あなたは一面的なものの見方に囚われていませんか?□■今日の紹介書籍■□『金融立国試論』 櫻川昌哉オススメ度★★★★☆→・金融の仕組みを知りたい方 ・自分の資産をしっかり守りたい方 ・複眼的なものの見方を身に付けたい方
2005年02月04日
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★「女に惚れないような男は、仕事にも惚れない」(p16)★「ビジネスの本質はどんな商売でも、「自分以外を喜ばせる幸せ」にある。」(p53)★「努力が辛いと思う人間は、間違いなく自分のためだけに努力している。」(p54)★「人生の目的があるから、がむしゃらになれるのではなく、 がむしゃらになったから人生の目的や生きがいが見えてくる。」(p98) ★「自分を生かせるのは、自分の好きな仕事ではなく、 がむしゃらになって取り組んだ結果、好きになった仕事である」(p195)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『人生の目的が見つかる魔法の杖』 西田文郎――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●若い読者からの手紙…「夢を実現したくても、夢がない」、「夢や人生の目的が 見つけられないことに悩んでいる」。50~60代中心の経営者セミナーでの声… 「一生懸命働いて財産もできたが、なぜか近頃虚しさを感じる」、「何を目的に 働いてきたのか、最近それがわからなくなった」…。●年も違うえば経済的状況も全く違うこの両者における共通点は「目的」がない ことだといいます。若くして命を絶つ人は絶望したからではなく、その絶望を 乗り越えるだけの「目的」を持てなかったからだ。財産を気づいても家族不和や 会社がボロボロで不幸せそうな人もその原因は同じく「目的」の喪失にある…。●こういった主張はどれも大変説得力があり、「目的」というものが人生に対して 持つ圧倒的なプレゼンスを改めて思い知らされます。著者は『NO1理論』や 『ツキの大原則』といった本で有名な、日本のイメージトレーニングのパイオニア 西田文郎氏です。●「女に惚れろ」「死をイメージしろ」「どん底まで落ちろ」といったアドバイスは どれも奇抜でありながら、非常に本質を突いたものになっています。分量は少ない ものの、内容の充実度はピカイチ。読み終わる頃にはあなたも、人生を幸せに 導く「魔法の杖」を手に入れていることでしょう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「人生の目的があるから、がむしゃらになれるのではなく、 がむしゃらになったから人生の目的や生きがいが見えてくる。」(p98)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●本のタイトルからして多少逆説的ではありますが、著者の言うように「人生の目的」 を追い求め悩んでばかりいる人というのは、なぜかいつまでも「人生の目的」に 辿り着くことができません。そうではなく目の前のことにただ「がむしゃら」に 打ち込んだ結果、「人生の目的」が見えてくるというのが成功者のパターンです。●さて、この「がむしゃらに打ち込む」ために大切なことは何でしょうか? よく言われることに「好きなことを仕事にせよ」というものがあります。 しかしこの本ではそれについても「好きというエネルギーには限界がある」と 警告を発しています。●多くの人が「好き」を仕事にしながら、後に「好きなことは仕事にするべきじゃない」 などと後悔の念を垂れるようになってしまうのも、これを把握していないことに原因 があります。つまり「好き」なことを仕事にするのではなく、苦労を乗り越えて までも「好きになりたい」と思えるようなことを仕事にするべきだということ。●これはビジネスを立ち上げる際にも大変重要なこと。起業して全てが順風爛漫に いくはずがない、などというのは当たり前の事。始めから単純に「好きだから」や 「うまくいきそうだから」、「楽しくやれそうだから」を理由に事業を選んで しまうと、ちょっとの逆風ですぐに挫折をしてしまう。●そうではなく「苦労を乗り越えてまでも達成したいこと何なのか?」「逆風を耐えて までも世に伝えたいことは何なのか?」起業の際にはこれを胸に刻む必要がありそう です。「人生の目的を見つけるために人生の目的を見つける」といったような愚は 犯さぬよう、大きな視野で小さな事をがむしゃらに頑張っていきたいものです。□■エッセンス■□・「人生の目的があるから、がむしゃらになれるのではなく、 がむしゃらになったから人生の目的や生きがいが見えてくる。」(p98)▼あなたは今「がむしゃら」に頑張っていることがありますか?□■今日の紹介書籍■□『人生の目的が見つかる魔法の杖』 西田文郎オススメ度★★★★★満点!!→・「やりたいこと探し症候群」にかかっている方 ・いま打ち込んでいるものが特にないという方 ・高校生、大学生、フリーター
2005年02月01日
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★「ブレイクスルー思考は、過去や現在の分析ではなく、 システム(=物事)の本質(=目的)から考え始めます。」(p43)★「創造とは「パパとママから赤ちゃんが登場すること」である」(p43)★「目的と価値観を分離すると本質が見えてくる」(p72)★「成功に導くのは「アイデア」ではなく「考え方・発想法」である」(p60)★「ベンチャー企業として現在も成長しているのは、 次々と赤ちゃんを生み出し続けている会社ばかりです。」(p225)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『「パパ・ママ」創造理論』 日比野省三――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「全米改善改良最優秀賞」「ブルーリボン賞」「日経インターネットアワード」 「労働大臣賞」「日経優秀製品・サービス賞」「ロジスティクス大賞」…。 表紙の裏にはこの「パパ・ママ創造理論」を利用したアイデアで受賞した 10以上もの表彰が物々しく連ねられています。●著者の日比野省三氏は、日本企画計画学会の会長を務めていますが、 南カリフォルニア大学のG・ナドラー教授と共に「ブレイクスルー思考」を 提唱したことでも世界的に知られる、今世紀注目の「イノベーター」です。 ●本書「パパ・ママ創造理論」もその「ブレイクスルー思考」を基幹としています。 一言で言えば従来の分析的・線形的な「デカルト思考」に異を投げかけた「目的 思考」のススメといえるでしょう。変化の激しい現代においては物事全てを分析して いる時間もなければ、過去の延長に未来がある(線形)という単純さも求められない。●そういった事実を考えれば、個人的には非常に納得のいく思考法だといえます。 しかし、まさかそれがアイデア発想にここまで役立つとは思いも寄りませんでした。 使い古された「デカルト思考」を抜け出し、21世紀の新しいパラダイムを 身に付けたい方、革新的なアイデア発想術を身に付けたい方にお薦めです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――「創造とはパパとママから赤ちゃん(アイデア・商品)が登場すること」(p43)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●この1文はまさに本書「パパ・ママ創造理論」の真髄に当たります。 それでは「パパ」と「ママ」は何でしょうか?優れた商品や画期的なアイデアを 生み出すにあたり、まず大切なのはその創造の「目的=軸」をはっきりさせること だといいます。この「目的」が「パパ・ママ創造理論」でいう「パパ」になります。●ここで「ママ」は何かという議論はさておき、本書に登場する1つの発想例を見て みましょう。大衆娯楽の王様=パチンコの発明物語です。パチンコの元となった アイデアはアメリカで当時流行していたピンボールを縦に立てるというものでした。 しかし実際に立ててみると玉は上から真下に落ちるだけで全然面白くない…。●商品開発に当たりここでの「目的=パパ」は、「玉をバラバラに落とすこと」でした。 開発者の正村竹一さんはこの「パパ」を常に意識して「ママ」探しを始めました。 すなわち「異業種で参考になるモノ」です。正村さんは田んぼを歩いている最中、 竹筒から流れてくる水をバラバラに落としている水車を見てピンときたといいます。●この瞬間「玉をバラバラに位置づける」という「目的=パパ」と、「水車=ママ」が 異種結婚をし、「パチンコ」という赤ちゃんが誕生しました。現在パチンコ台の中に セットされ、僕たちをハラハラさせてくれている風車はこうして生まれたのですね。●ここで大切なことは2つ。1つは発明にあたり「玉をバラバラに位置づける」という 「目的=パパ」がハッキリとしていたこと。もう1つは常にそれを意識して異業種に 「ママ」(ここでは風車)を見つけたということ。単に「いいアイデアないかなぁ」 ではなく、明確な目的意識のもとで「運命の人」を探す旅に出たいものです。□■エッセンス■□・「創造とはパパとママから赤ちゃん(アイデア・商品)が登場すること」(p43)▼あなたが創造したいものの「パパ」を決めて「ママ」探しをしよう。□■今日の紹介書籍■□『「パパ・ママ」創造理論』 日比野省三オススメ度★★★★☆→・経営者、研究者、発明家 ・大ヒット商品を作りたい方 ・21世紀型思考法を身に付けたい方
2005年01月11日
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★「部下に仕事を任せるとは、誰かにあなたのアイデアを実行させることではない。 その人のアイデアが実現するための環境を整えること、 その人のビジョンに沿ったやり方でビジネスをさせることなのだ。」(p31)★「リーダーとして人を率いる立場にある人間には、自分のルーツ、そして 自分の考え方のルーツがどこにあるかを理解することは欠かせない。」(p78)★「キャリアを通じて思い切ってリスクを負う覚悟を決めた上で、 結果が出るのをどれくらい待つのか、具体的な年数を決めておく」(p103)★「ある状況に入ったとき、まず二言三言、よく考え抜かれたフレーズを口にし、それ によって場の主導権を握る。これはリーダーシップに必要な資質のひとつ」(p123)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ハーバードからの贈り物』 デイジー・ウェイドマン――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「恒例の最後の授業にこそハーバードの精神が息づいている」。 各学期の最終授業、ハーバードの教授たちは「いまの自分を支えているもの」 として、自らの体験に根ざしたエピソードを生徒たちに披露するといいます。●本書はそういったハーバード教授陣によるエピソード15編を編集し、1冊の 本にまとめたもの。冬山登山中の事故で急死に一生を得、それを機に使命感に 目覚めた教授や、「ヒポクラテスの誓い」ならぬ「経営者の誓い」を打ち立てた 教授など、だれ1人とってもベストセラーを書けそうな人たちばかり。●「自分らしくあれ」、「完璧を求めるな」、「今という瞬間を生きよ」… 各々の教授が投げかけるメッセージはどれも大変ユニークかつ強烈で、 知識だけではない、ハーバード・ビジネススクール教授陣の懐の深さを 感じさせる内容になっています。●話の切り口や、語り口調はどれも異なっているものの、そのテーマは全て 「真のリーダーたる条件とは」という本質的なもの。いまリーダーとしての 手腕がまさに問われている人にとっても、またこれからリーダーシップを を磨いていきたいという人にとっても、大きな価値を生みえる1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「リーダーとして人を率いる立場にある人間には、自分のルーツ、そして 自分の考え方のルーツがどこにあるかを理解することは欠かせない。」(p78)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●実はこれまで30人の起業家にインタビューをさせて頂いた中で、彼らに共通する資質 というのを3つほど発見することができました。まず1つが「人の話をよく聞く」、 もう1つは「失敗を成功の母とする」、そして最後が「自分のルーツを知っている」。●「人の話をよく聞く」というのはイコール、その人の学習意欲の高さを表しています。 本当に成功している人に限って恐ろしく腰が低いもの。常に学び続けることの 大切さを分かっているのでしょう。反対に自分を誇張しようとする人については、 その実、成果が伴っていないことが多い。だから常にアピールをしなくちゃいけない。●ちなみに僕は、人間というのは自分のことしか話さなくなった瞬間に成長が止まる ものと思っています。よく講演会を始めたり、自伝を出版した瞬間に失速する 社長というのがいますが、これなどがまさにその典型といえるかもしれません。●2つ目の「失敗を成功の母とする」はもともと発明の世界の言葉ですが、 これはビジネスの世界でも同じでしょう。「なぜ成功したのかって、 そりゃ成功するまで続けたからさ」…【諦めない限り失敗はない】という 確固たる信念が、彼らの中には共通して感じられます。●そして最後の「自分のルーツを知っている」。哲学者のキルケゴール曰く「人間は 過去を振り返ることによってしか自分の人生を理解することはできない」。彼らの 信念がぶれることなく、事業や社員を導く推進力となっているのには、自分自身の 「ルーツ=源泉」を把握しているからに他なりません。□■エッセンス■□・「リーダーとして人を率いる立場にある人間には、自分のルーツ、そして 自分の考え方のルーツがどこにあるかを理解することは欠かせない。」(p78)▼あなたが今の仕事をしている「ルーツ=源泉」はどこにありますか?□■今日の紹介書籍■□『ハーバードからの贈り物』 デイジー・ウェイドマンオススメ度★★★★★満点!!→・リーダーシップを磨きたい方 ・仕事で落ち込んだり悩んだりしている方 ・大学生、大学院生、フリーター
2005年01月08日
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★「いつでもだれにでも気に入られるようにしていると、 最後には自分になにも残らなくなる」(p199) ★「病気が与えてくれた「贈り物」のひとつに、 自分の残りの人生がはっきり、くっきり見渡せるということがある。」(p256)★「黙り込むことによって ― つまり妻と家族をこの経験から切り離すことによって ― 僕は彼らをもパーキンソン病の奴隷にしてしまっていたのだ。」(p288)★「神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、 自分に変えられることを変える勇気と、 そしてそのちがいがわかるだけの知恵をお与えください。」(p336)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ラッキーマン』 マイケル・J・フォックス――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●若くして大成功を収めたアメリカのトップスター、マイケル・J・フォックス。 ご存知「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの主人公としても知られ、 過去にはゴールデングローブ賞(4回)、エミー賞(4回)など、数多くの栄誉に 輝いています。そう、30歳にして彼は人生の頂点にありました…。●そんな彼が同じく30歳にして発病した不治の病・パーキンソン病。普通は80歳の 老人がかかるような退行性の神経病です。人生の絶頂期において、その俳優生命も 残り10年と宣告されたマイケルが、どれほどの苦悩を抱え、病と闘ってきたか…。 発病から告知に至るまでの7年という歳月が、まさにその深刻さを物語っています。●本書はそんなマイケル・J・フォックスの回想録になりますが、タイトルがその 深刻さに反して「ラッキーマン」となっているのに一瞬、とまどいを覚えます。 マイケル曰く「この病気にならなかったら、僕はこれほど深くて豊かな気持ちには なれなかった。だから僕は、自分をラッキーマンだと思うのだ」ということ。●読み進むにつれこの、どんな苦境においても自分を「運がいい」と思える精神、 これこそが彼をアメリカのトップスターに導き、今もって人生の成功者に せしめている、最大の秘訣なのではないかということに気がつきます。 人生に悩める全ての人に、輝かしい希望と溢れる勇気を与えてくれる1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、 自分に変えられることを変える勇気と、 そしてそのちがいがわかるだけの知恵をお与えください。」(p336)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●マイケルは一時期、パーキンソン病のプレッシャーから アルコールに依存した生活に陥ってしまったといいます。 「ぼくはアルコールのことをパーキンソン病と闘っていく上での仲間だと思っていた。 (略)しかしいつのまにかアルコールがもう1つの敵 ― 僕が大事にしているもの (妻や息子)すべてを奪い去ろうと脅しているものになっていた」(p256)●ここに来てマイケルは、パーキンソン病は「変えられない」けれど、アルコールに 依存した生活は「変えられる」ことに気づきました。これを機にマイケルの闘病生活 は、「変えられること」にフォーカスした積極的・主体的なものに変わっていきます。●これは名著『7つの習慣』で述べられている「影響の輪」と「関心の輪」にも 繋がります。◎ ←このような丸の重なった図を頭に思い浮かべてください。 このうちの外側が「関心の輪」で内側が「影響の輪」です。●一般に主体的な人間というのは自分が興味ある範囲=「関心の輪」(外側)の中で、 自分の行動によって「変えられる」範囲=「影響の輪」(内側)を最大に持ってくる 傾向にあります。一方で保守的な人間というのは「関心の輪」ばかりが大きく、 実際にその中で自分が「変えられる」範囲=「影響の輪」が限りなく小さい。 ●両者の違いは使う言葉にも顕著に表れます。「影響の輪」にフォーカスしている 前者に「自分が」、「~する」、「~できる」といった主体的な言葉が聞かれる一方、身の回りの、つまらない心配ばかりをしている後者からは「○○が」、「~される」、 「~できない」といった消極的な言葉が頻繁に聞かれます。●マイケルのように「変えられるもの」=「影響の輪」にフォーカスして、 主体的な人生をおくっていきたい…そのために普段自分が使っている 「言葉」に、あらためて注意を向けてみるのもいいかもしれません。□■エッセンス■□・「神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、 自分に変えられることを変える勇気と、 そしてそのちがいがわかるだけの知恵をお与えください。」(p336)▼あなたは「変えられる」ことにフォーカスした主体的な生活を送っていますか?□■今日の紹介書籍■□『ラッキーマン』 マイケル・J・フォックスオススメ度★★★★☆→・「ラッキーマン」になりたい方 ・大きな悩みや病気を抱えている方 ・芸能・医療・教育関係に属する方
2005年01月05日
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★「<気づかい>と<踏みこみ>、この2つがトークの両輪となって 強いコントラスト、高いバランスで機能していること」(p26)★「アゲインストの状態にあってチャーミングなふんばりを 見せることができれば、相手へのアピールは非常に大きい。」(p68)★「ふつうなら躊躇したり気をつかったりしがちな場面で、直球、つまり ストレートな感情表現をビシっと決めるのは、ヘタに変化球を 投げるよりも、意表をつく効果がはるかに大きいのです。」(p132)★「自分本来のキャラ、生まれつきのキャラとは逆の「裏のキャラ」をもつ」(p154)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ウケる技術』 小林昌平/山本周嗣/水野敬也――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「顔よりトークを、整形しよう」…そんな一文で始まる本書「ウケる技術」は、 その名の通り「笑い」のツボを徹底的に研究し、「ウケる」人になることを主眼 としています。「本を読んだくらいで笑いの取れる人間になったら苦労しないよ」と 思うかもしれませんが、本すら読まず、人の話も聞かずになれないことも明らか。●僕は21世紀のビジネススキルとして大切なのは3つあると思っています。 それは「健康(身体的にも精神的にも)」「論理的思考力」そして「ユーモア」です。 よく言う「コミュニケーション力」って凄く曖昧なんですよね。そもそも現代の 社会に生きていて、コミュニケーションができない人間なぞいるはずがありません。●じゃあその中で大切なのは何かっていうと「ユーモア」なんです。初対面でも積極的 に相手の懐に入り込むための武器になり、いざという時には窮地を切り抜けるための 武器にもなる…それが「ユーモア」であり「笑い」なのではないでしょうか。当たり 前ですが、笑っているときに相手に反感を覚える人なんているはずありませんから。●さて、本書の著者達は「ウケる人」の会話を地道に研究していった結果、いくつかの 有限な会話パターンに分類できることを発見したといいます。確かに「さんま」など、 お笑い芸人のボケや突っ込みを見てみると、非常にクリエイティブでありながらも、 その実、もとになっている「技術」は意外に少ないということがわかります。 ●「笑い」がアドリブで発生するのは確かですが、そのアドリブはいくつかの有限な 「技術」の組み合わせによって生まれているんですね。ユーモアという武器を片手に 現代のビジネス戦争を果敢に乗り切りたいあなたに、お薦めしたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「自分本来のキャラ、生まれつきのキャラとは逆の「裏のキャラ」をもつ」(p154)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●自分本来のキャラとは真逆の「裏キャラ」をもつ…これは「ウケる」ための技術 でもありますが、それ以前に、自分に合う人以外の、より幅広い人々と交流を 深めるために必須のテクニックともいえるでしょう。●人は誰しも人と話すときの生まれつきのキャラクター、お決まりのパターンを持って いるといいます。普通はそのキャラと相性のいい友達とだけ付き合い、相性のいい 仕事をし、相性のいい恋愛をする…。ただしこの本で「ユーモア」という武器を身に 付けたい…そんなコミュニケーション欲に飢えたあなたはもっと上を目指しましょう。●極端に言えば自分本来のキャラクターと全く正反対のキャラをマスターすれば、 苦手な人というのはいなくなるし、どんな場面においても「笑い」を喚起できる ようになります。凄く難しいことを言っているようですが、実際はこれ、誰しもが 無意識のうちにやっていることだといいます。●例えば「いじり役か、いじられ役か」「上手に出るか、下手に出るか」 「聞き手に回るか、話し手に回るか」「Sでいくか、Mでいくか」などなど…。 なんとなく自分が「気持ちいい(変な意味じゃありませんよ)」と感じる方が あるでしょう。これを組み合わせたものが「キャラクター」に他なりません。●ボクシングでもある程度上位のランカーになると、自分の得意なファイト・ スタイルとは正反対のスタイルをある程度マスターしているといいます。 (インファイト⇔アウトボクシングなど。)正反対のキャラを意識的に演じるという のは大変かもしれませんが、自分の器を広げるためにも努力したいものです。□■エッセンス■□・「自分本来のキャラ、生まれつきのキャラとは逆の「裏のキャラ」をもつ」(p154)▼あなたは自分の正反対のキャラを「意識」して使っていますか??□■今日の紹介書籍■□『ウケる技術』 小林昌平/山本周嗣/水野敬也オススメ度★★★★☆→・ユーモアのセンスを磨きたい方 ・恋愛やビジネスの「見込み客」を増やしたい方 ・息抜き&頭の体操をしたい方
2004年12月30日
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★「人間が日々便利に使っている言葉ほど、実存意識の態度を 決定するうえに、直接に強烈な感化力を持つものはない。」(p109)★「1語1語が自分のみでなく、すべての人々に いい影響も与えるし、悪い影響も与える。」(p117)★「自己向上は、ただ単に自分の幸福だけのためにするんじゃない。 自他の幸福のためにするんだ、という広い意味を忘れてはいけない。」(p197)★「立派な理想の中に活きている活き方が、 自分では気が付かなくても立派な宗教的な生活をしている」(p302) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『運命を拓く』 中村天風――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「此の書に収められている語は、天風が命がけで把握した哲理である。 一言一句に天風の血潮と汗がにじんでいる。おろそかに読むものではない。」 …まえがき「天風小伝」より。●中村天風という人物は非常に数奇な人生を歩んでいます。25歳で日露戦争の 秘密情報部員として旧満州で生活、当時は腐った芋とぼうふらの沸いた水で 過ごす過酷な日々を送ったとのこと。敵兵に捕まえられ銃殺される瞬間、仲間の 投げた手榴弾で救われるなど、大変な苦労を乗り越え武勲をあげて帰国しました。●しかし帰国後、天風はしきりに咳をするようになり、当時「死病」とも言われた 結核を告知されます。救いを求めてアメリカ、ヨーロッパと彷徨うも病気は治らず、 失望の淵にカイロで偶然出会ったヨガの大哲人・カリアッパ聖者に導かれ、 ヒマラヤの奥地でついに人生の哲理を悟ったといいます。(のち92歳まで長生)●死の病を克服した天風は、日本で銀行頭取や会社重役として活躍するのですが、 あるときこれらの地位を全て捨て去り、なんと辻説法を始めるのです。自らの 凄まじい体験とヨガの悟りとを織り交ぜた理論は「天風哲学」として大成され、 その後多くの人々を啓蒙することとなります。●日本で言えば東郷平八郎や山本五十六、昭和天皇や松下電器創業者の松下幸之助、 京セラ創業者の稲盛和夫やプロ野球の長嶋茂雄など、彼らは皆この「天風哲学」の 薫陶を受けているといいます。本書も非常に深く本質的な内容になっていますが、 少しでも人生の哲理に迫りたいという、真摯な思いを持つ方にお薦めしたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「立派な理想の中に活きている活き方が、 自分では気が付かなくても立派な宗教的な生活をしている」(p302)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●僕は基本的に神や仏といった類の存在は信じていません。悲しい時や困った時に 「ああ神様」、「仏様」…と祈るのは勝手だけど、人生に安直な気休めを求める事 だけはしたくありません。ただ一方で天風のいう「宗教的な生活」は非常に大切 だと感じています。●そもそも人間は理念や信念無しに生きられるほど強い存在ではありません。 近年になって見直されるようになった、個人の「ミッション・ステートメント」 (倫理憲章)や、企業の理念・行動規範といったものはまさにそれをカバーし、 神仏を信じない人にも、ある意味で宗教的な生活を送ることを可能にしています。●大事なのは神仏に都合のよい救いを求めることではなく、天風のいうように、 個々の理想や信念といったものを宗教的にまで追い求めることなのでしょう。 歴史を振り返ってみても、多くの偉業を成し遂げた人物や、発展を極めた企業 というのはみな、宗教的といえるまでの「信念」や「理念」を保有していました。●著者の中村天風然り、その「天風哲学」を信仰した東郷平八郎や松下幸之助も然り。 日本で圧倒的ともいえるシェアを誇る広告会社・電通は、社内に「電通鬼十則」 なるものを持ち、社員に徹底的なまでの遵守を要求しているといいます。他にも 「夢の国」ディズニーが保有する、宗教的なまでの企業文化は大変有名ですね。●「精神に平和と幸福をもたらす秘訣は、自分よりもはるかに高貴で、有意義な信念に 基づいて行動すること」…これはカーネギーの言葉ですが、僕自身がいま切に実感 しているところです。周りの評価に振り回されず、くだらない世間の常識に囚われず、 日々前進するための「信念」というエンジンを、心に積み込んでおきたいものですね。□■エッセンス■□・「立派な理想の中に活きている活き方が、 自分では気が付かなくても立派な宗教的な生活をしている」(p302)▼あなたは自分の「信念」をどこまで形にして追い求めていますか?□■今日の紹介書籍■□『運命を拓く』 中村天風オススメ度★★★★★満点!!→・人生を積極的に歩んでいきたい人 ・病気を克服したい、予防したい人 ・事業家、もしくは起業を志している人
2004年12月27日
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★「一番大きくなる会社は、一番小さく考えられる会社なのです。」(p48) ★「君たちの【時間】と【お金】のやり取りを絶対にしてはいけない」(p93)★「私だからできる」は二流だと考えています。一流とは、できる理由の最大公約数 を抽出して、それを「誰にでもできる」ような法にまとめられること」(p110)★「期待することによって、期待された者が、期待にこたえられるようになる」(p127)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『「ありがとう」の伝説が始まる時』 渡邉美樹――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ビジネスマンとして、経営者として、一児の親として、また一人の人間として、 この「渡邉美樹」という人物は知っておいて損はないでしょう。「和民」「和み亭」、 「ゴハン」など計430の店舗を展開している「飲食業界の雄」です。●各界で「人格者」の呼び名が高い同士ですが、その著作である本書も非常に 道徳性に富んだ仕上がりを見せています。流行の戦略本や自己啓発本にあるように 奇をてらった表現や特別な言葉を使っているわけでもない…それでも本書に書かれた 1文1文は僕らの心を優しく締め上げ「ありがとう」の気持ちを彷彿させるのです。●「夢は達成することに意義があるのではなく、その過程で自分の人格を磨き、 たくさんの「ありがとう」を集めることに意義がある。」僕が大好きな美樹氏の 言葉ですが、まさにここに彼の「人格者」たろうとする原点があるように思えます。●他にも「仕事と思うな、人生と思え」「鈍くさい人間になれ」「地上の星になれ」… など、元気と勇気を与えてくれるメッセージが盛り沢山。本書は美樹氏が和民の社員 に送った手紙やビデオレターを編集したものです。自己の人格を磨き、自分だけの 「ありがとうの伝説」を始めたい…そんなあなたにお薦めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「期待することによって、期待された者が、期待にこたえられるようになる」(p127)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「ピグマリオン効果」というのを聞いたことがあるでしょうか? あるアメリカの小学校で、ランダムで選んだ子供たち数人にある種の「期待」を かけて1年間教育するという実験がされました。その結果「期待」をかけられた 子供たちはそうでなかった子供たちに比べ明らかに成績が上がっていたとのこと。●これより「人は相手から期待されるとそれにこたえる」という現象のことを 「ピグマリオン効果」と呼んでいます。子供時代から「おまえはやればできる子 だから」とか「おまえは絶対大物になる」と繰り返し聞かされて、本当に偉業を 達成したり、大物になってしまった…なんていうのがまさにこの典型でしょう。 ●この「ピグマリオン効果」はもちろんビジネスの現場においても当てはまります。 しかし実際、自分の子供には親馬鹿ともいえるほどの期待をかけられるのに、 自社の社員や部下にひとかけらの「期待」もかけられない人のいかに多いことか。 ボーナスや賃金制度を見直す前に、この「期待」の効果を再確認すべきでしょう。●ただ過度の期待は、時としてプレッシャーにも成り得ることを忘れてはいけません。 特に幼児はあまりに自分とかけ離れた誉め方や期待をされると、そのギャップに 耐え切れず暴行に走ったり、自分を貶めることがあるといいます。「ちょっとだけ背伸 びをさせる期待」…これがピグマリオン効果を発動させる鍵なのかもしれませんね。□■エッセンス■□・「期待することによって、期待された者が、期待にこたえられるようになる」(p127)▼あなたは部下や子供に「ちょっとだけ背伸びをさせる期待」をしていますか?□■今日の紹介書籍■□『「ありがとう」の伝説が始まる時』 渡邉美樹オススメ度★★★★★満点!→・飲食業界に携わる方 ・居食屋「和民」の源泉に触れたい方 ・常に感謝の心を持って毎日を過ごしたい方
2004年12月24日
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★「あなたがしなければならないことは、ナンバーワンのエッセンスを見つけ出し、 顧客にそれと反対のものを提供することである。」(p90)★「業界のナンバーワンがその座を維持する方法は、 新たに登場するカテゴリーにそれぞれ異なるブランド名を使用すること」(p104)★「ポジティブ思考はあまりに過大に評価されてきた。」(p158) ★「あなたの商品への需要を長く維持する方法の1つは、 その需要を完全には満足させないことだ。」(p211)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『マーケティング22の法則』(後半) アル・ライズ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●前回に引き続きマーケティング本の古典的名著「マーケティング22の法則」を ご紹介します。ちなみに本書が出版されたのは10年以上も前の1994年、しかし その後も増刷を重ね、多くのビジネスマン・経営者に愛読されている事実を見れば その「法則」がいかに普遍的で本質を捉えているかというのは明らかでしょう。●前回「ここ読め」で取り上げた「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、 見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである」というのは、この 「22の法則」うちの1つ「集中の法則」といわれるものです。●他にも「長期的に見れば、あらゆる市場は2等の馬の競争になる」という「2極 分化の法則」や、「実態はマスコミに現れる姿とは逆である場合が多い」という 「パブリシティの法則」など、既成概念を根底から覆すような法則が次から次へと 読者に襲い掛かります。●冒頭を読めばわかるように、そもそも本書の目的は「マーケティング作業から 神話と誤った考え方を取り除く」こと。その意味でこの法則は1つ1つが、 僕らの「マーケティング幻想」を打ち崩すための大切なワンピースであると いえるでしょう。●逆説的ですが物事の真理や法則というのは、それが本質的であればあるほど、 また革新的であればあるほど受け入れにくいもの。ガリレオの地動説然り、 種々の宗教もまた然りです。周りがまだ利用していない「今」だからこそ、 実践し、真に差別化を図ることに意義のある本だといえそうです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「ポジティブ思考はあまりに過大に評価されてきた。」(p158)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これは「自分のネガティブな面を認めることで、相手はポジティブな評価をして くれる」という<正直の法則>の章で述べられている1文です。街中でも電車でも、 テレビでもネットでも…至る所に「ポジティブ」広告の溢れかえった現代社会では、 人々は何かを売り込もうという企業に対し必然的に身構えるようになってしまった。●そんな中敢えて自社の「ネガティブ」面に目をむけ、問題点を認める企業は非常に 新鮮であり、また信頼感を呼び起こすといいます。例えば格好悪いことで有名な 70年型フォルクスワーゲンの宣伝文句「いつまでも醜いスタイルのままでいきます」●自ら「格好悪さ」を認めることで、お客の心にも「そんなに醜い車なら相当安全性が 高いのだろう」、「機能面を重視しているに違いない」といった連想を呼び起こし、 大成功を収めたといいます。ほかにもリステリン(洗口液)のキャッチコピー 「1日2回いやなお味を」。自ら味が悪いという事実を認めてしまっています。●そこから「そんなに不味いなら殺菌効果があるに違いない」という連想が広がり、 リステリンは今では洗口液市場においてNo.1の地位を不動のものにしています。 これがもし逆に「そんなに不味くない」「刺激的なおいしさ」といった苦しいコピー で勝負していたらどうなっていたか?結果は火を見るより明らかでしょう。●これは企業だけでなく人間にも当てはまることです。以前紹介した「自己プレゼン術」 の著者・藤原和博氏も「周囲の人の+エネルギーを集めようと思ったら、自分の -部分を出すこと。」と言っています。+を証明するのには色々と証拠や説明が必要 ですが、その説明プロセス自体が嘘くさくなっている事実を見逃していませんか?●時に「証明の必要がない」、「打ち明けるだけでポジティブ評価が得られる」、 そんな<正直の法則>を利用してみるのもいいかもしれません。 (利用に当たっては2つ注意事項があります。詳しくは本書にてご確認を♪)□■エッセンス■□・「ポジティブ思考はあまりに過大に評価されてきた。」(p158)▼+評価を得るために敢えてネガティブ面を晒してみませんか?□■今日の紹介書籍■□『マーケティング22の法則』 アル・ライズオススメ度★★★★★満点!!→・マーケッター、経営者 ・自分を効果的に売り込みたい方 ・「失敗しない」ためのマーケティング法則を知りたい方
2004年12月21日
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★「あなたが新しい分野に新商品を導入しようとする場合には、 総称になりうるような名前を選ばなくてはならない。」(p19) ★「市場に最初に参入するよりも顧客の心の中に最初に入り込むほうがベター」(p32)★「客観的な現実というものは存在しないし、事実というものも存在しない。 ベストの商品などありっこないのだ。」(p38)★「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、 見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである。」(p49)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『マーケティング22の法則』(前半) アル・ライズ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「マーケティングとは商品をめぐる戦いではなく、知覚をめぐる戦いなのである」 本書のエッセンスは繰り返し登場するこの1文に集約することができるでしょう。 大切なのは商品をどう売り出すかではなく、顧客の知覚をどう訴えるか。独りよがり のマーケティングが跋扈する昨今、久しぶりに胸に重く響いた本でした。●大学教授やビジネススクールの講師の中には、この本を「体系立っていない」、 「感覚的すぎる」と言って批判をする方もおられるようです。確かに本書にある 「22の法則」は どれも著者の経験から紡ぎだされたもので、巷のマーケティング 本にある様な「3C」「4P」といった理論が確立されているわけではありません。●しかしマーケティングが必要とされるのは静かで空調のきいている大学の研究室では ありません。商品の厳しい生き残りをかけた「ビジネス」という戦場なのです。 感覚のみに頼るのも考えものですが、机の上で生まれたマーケティング理論だけで 戦っていけるほど現場は甘くないのではないでしょうか。●ちなみに本書は「マーケティング22の法則」となっていますが、この「法則」と いうのは決して「これをやれば成功する」といった類の法則ではありません。 (そもそもそんなものが存在するかは疑問ですが。)そうではなく「これを犯すと 必ず失敗する」という法則、この重要性を知る方には熟読して欲しい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、 見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである。」(p49)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「市場に最初に参入するよりも顧客の心の中に最初に入り込む」…そんな「知覚」 をめぐるマーケティング戦争に勝利するための最も強力な武器がこの「お客の心に ただ1つの言葉を植えつけること」だといいます。確かに身の回りを見ても成功 している会社というのは見事に顧客の心に「ただ1つの言葉」を植えつけています。●和民は「居酒屋」と「ファミリーレストラン」の中間に位置する「居食屋」 というカテゴリーを打ち出し、お客の心に植えつけることに成功しています。 他にも花王のヘルシア緑茶であれば「茶カテキン」、アサヒのWONDAであれば 「朝専用」など、ヒット商品には狂的と言えるまでの「1言」の訴求が感じられます。●実は「1言を植えつける」というのは商品だけでなく、「自分」を売り込むのに 大変効果的。「感動プロデューサー」平野秀典氏や、「実践マーケッター」神田昌典氏、 「週末起業」藤井孝一氏など…いま一世を風靡している人たちというのはなるほど、 実にうまく新しい言葉を植えつけているというのがわかりますね。●ここで1つ注意して欲しいのがその「言葉」を愛するがあまり独占欲に囚われては いけないということ。「言葉」や「概念」はそれを色んな人が使ってくれることに 意義があるのです。まず1つにそれが世の中により広まるということ。そしてもう 1つに、追随者に追われることで「1番でいなければ」というプレッシャーがかかる、 という見えざるメリットがあります。●自分の見つけた言葉や技術を独占したい!というのは人間の自然な欲求でしょう。 しかし時にその背景に「1番に安住したい」という貧困な発想が存在していること はありませんか?僕は、人というのは他人に追われるからこそ「1番」でいられる のではないかと思います。…さて、今日から「本サルタント」も解禁ですね(笑)□■エッセンス■□・「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、 見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである。」(p49)▼あなたが周りの人に植え付けたい「1言」は何ですか?□■今日の紹介書籍■□『マーケティング22の法則』 アル・ライズオススメ度★★★★★満点!!→・マーケッター、経営者 ・自分を効果的に売り込みたい方 ・「失敗しない」ためのマーケティング法則を知りたい方
2004年12月18日
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★「“オリジナリティ”という幻想にとらわれてしまっているために、近代の人々は 先人たちの成果を勉強しないクセがついてしまうのではないか」(p58)★「偏愛している世界があると、それが自分を磨く砥石のようにもなる。」(p101)★「実は、仕事というものは、そのジャンルを 細部まで知り尽くしている人の方が応用力も高い」(p142)★「何かを構築するときには、異質なものを徹底的に否定し排除していくやり方と、 いいものであれば異質なものでもどんどん呑み込んでいってしまうやり方」(p158)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『座右のゲーテ』 齋藤孝――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「人類最高レベルの資質を持った人間」、「精神的人間としての1つの到達点」 …そう著者が語るゲーテという人物、恐らく名前は耳にしたがあると思いますが、 一体どんな人物で何を考えていたのか?その「素顔」は意外に知られていません。●「ファウスト」を始めとし数多くのベストセラーを生み出した作家である一方、 古代からの芸術にも造詣が深かったといいます。また優れた詩人・劇作家である 一方、科学者として解剖学や地質学における研究を重ね、壮年期にはヴァイルマル 公国の宰相としてその政治的手腕をも存分に発揮している…。●1つの分野を極めるだけでも大変なのに、どうしてこうも多くの分野で「超一流」 になることができたのか?それはゲーテが「上達の秘訣」、「学びの本質」を掴んで いたからだといえます。本書はそんなゲーテがその上達論を語っている「ゲーテと の対話」より名文を抜き出し、著者・齋藤孝氏が解説を加える形式となっています。●「小さな対象だけを扱う」「自分だけの師匠をもつ」「他人の評価を気にしない」 …本書の中のメッセージはどれも非常に具体的・かつ本質的で、現実の世界で 「変わるきっかけ」を掴めないでいる方にはまさに座右の書となることでしょう。 学びの達人・ゲーテと、アウトプットの達人・齋藤孝氏に多くのことが学べる1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「実は、仕事というものは、そのジャンルを 細部まで知り尽くしている人の方が応用力も高い」(p142)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●一般にクリエイティブである人ほど、また才能がある人ほど、同じ仕事を繰り返して 人から「凡庸だ」と思われるのが苦痛なもの。もっと色々なものに取り組んで 「あれもできる」「これもできる」と力を誇示したくなる傾向があるといいます。 ただし「浅く広く」手を出したところで、決してゲーテの域には到達しないでしょう。●それは著者の言うように、真の応用力というのは色々なものに手を出すというよりは むしろ「1つのものを掘り下げる」ことで身に付くものだからです。スポーツの例が 顕著でしょう。陸上も、サッカーも、キックボクシングも…とあれこれやるよりも、 例えばサッカー1つでプロになるほど磨き上げた方が「足の速さ」「キック力」「視野の広さ」「反射神経」「体力」「モチベーション管理」…といくらでも応用が効くわけです。●これはもちろん仕事でも同じ。多摩大学の学長である中谷巌氏は著書「プロになる ならこれをやれ」で<コアスキルに1万時間を注ぎ込め>と提唱しています。 どんな仕事であれ1つの仕事やスキルに1万時間も注ぎ込めば必ずその分野で一角 の人物になれる。また、そこには「鉱脈」のようなものが流れているといいます。●その「鉱脈」に辿り着いたもの同士は、分野の違うもの同士でも不思議と共通の認識 を持つといいます。一流のアーティストやスポーツマン、ビジネスマンに何故か同じ 尊厳なオーラを感じるのはこれが故でしょう。ゲーテはまさにここに辿り着き、「上達 の本質」を掴み取ったといえます。●「浅く広く」物事をカバーするのには限界があります。世界一長い河である、ナイル 川だって全長6,650kmで、地球の円周約4,6000kmには遠く及ばないのですから。 だったらまずは目の前の井戸を掘り下げていき、地下の「鉱脈」で繋がればいい。 そこでは世界中の「プロ」たちが、あなたの登場を待っていることでしょう。□■エッセンス■□・「実は、仕事というものは、そのジャンルを 細部まで知り尽くしている人の方が応用力も高い」(p142)▼あなたは「鉱脈」にたどり着くほど今の仕事を十分掘り下げていますか?□■今日の紹介書籍■□『座右のゲーテ』 齋藤孝オススメ度★★★★☆→・「上達」の本質を掴みたい方 ・目の前の壁をなかなか突破できない方 ・ゲーテとの対話を楽しみたい方
2004年12月12日
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★「新しい時代は、思考力によって極めて大きな格差が生まれる時代、 すなわち「思考力格差」の時代なのだ。」(p3)★「日本の試験では方程式に当てはめて、答えが合っているかどうかが試されるが、 アメリカでは方程式そのものをゼロから導き出す力が問われる。」(p36)★「何を知っているかではなく、知らないことを頼まれたときに、 どういう思考回路を取るのか」(p173)★「インターネットを使い始めて5年目になると皆、挙動がとても似てくる」(p191)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『考える技術』 大前研一――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●現在、日本の所得格差がどんどん大きくなっていきていることをご存知しょうか? 何と今やビジネスマンの年収は格差100倍の時代を迎え、持てる者と持たざる者の 二極化が進んでいるといいます。年に億単位を稼ぐスーパービジネスマンが活躍する 一方で、日々食べていくのがやっとの平均的サラリーマンが量産されているのです。●さて、この両者を分ける最大の違いは何か?著者曰く、それがまさに「考える力」。 いわゆる「論理的思考力」と呼ばれるものです。しかし日本人というのはこの「論理 的に考える」というプロセスがどうしても苦手。知識偏重の詰め込み教育や試験勉強 の悲しき弊害でしょうか…そこに「答え」があることが前提になってしまっている。●しかしこれからの時代、ビジネスの世界において「始めから用意された答え」などは 存在しません。だからこそ自らの頭で「考え」、仮説を作り、それを実行&検証する というプロセスが大切になってくるのです。帯に書かれた「論理的思考がなければ ビジネスマンとして生き残れない」という大前氏の言葉が、大変象徴的に映ります。●ただし捉え様によっては、周りが「考えて」ない今だからこそ、無限のチャンスに 溢れているのではないでしょうか。グーグルや楽天のようにわずか数年で時価総額 1兆円を越える企業を生み出すチャンスだってあるのです。荒波襲う現代を「論理的 思考」という武器を手に、果敢に乗り切って行きたいあなたに、お薦めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「日本の試験では方程式に当てはめて、答えが合っているかどうかが試されるが、 アメリカでは方程式そのものをゼロから導き出す力が問われる。」(p36)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●おそらく大前氏のいう「論理的思考力」というのは、前者の「方程式に当てはめて 答えを出す力」というよりも後者の「方程式そのもの」を導き出す力のことを示す のでしょう。著者自身、MIT留学時に前者の思考から抜け出せず「答えは合って いるのに思考プロセスが不明確」ということで不合格にされた経験があるとのこと。●一昔前までであれば、与えられた数式に代入をするだけでもビジネスができました。 少し頭を中学時代に戻し、Y=f(x)という関数を思い浮かべてください。 戦後、日本企業は「アメリカ化」、「多角化」、「低価格化」といった【f】に 様々な製品(x)を入れてビジネスを展開してきました。●Y=【多角化】f(x)の顕著な例がカネボウです。化粧品を軸に、(x)に繊維、 化粧品、薬品、食品、住宅環境の計5つを投入する「ペンタゴン経営」はかつて 一世を風靡しました…が、その結果今どうなっているかは皆さんご存知の通りです。 他にもY=【低価格化】f(x)ではマクドナルドのハンバーガーが典型でしょう。●このように決まった【f】に製品(x)を代入するだけでビジネスができた時代は 明らかに終わりを告げています。今大事なのはどれだけクリエイティブな【f】が 発想できるかということ。ナムコのチームナンジャをご存知でしょうか?「フード テーマパーク化」という新たな【f】を見つけ数々のヒットを生み出しています。●Y「新横浜ラーメン博物館」=【フードテーマパーク化】f(x=ラーメン) を始めとし「池袋餃子スタジアム」「自由が丘スイーツフォレスト」などなど、 そのセンスと創造性には毎度驚かされるばかり。僕たちも日々目を凝らし、 世間をあっと言わせるような方程式や関数そのものをみつけたいものですね。□■エッセンス■□・「日本の試験では方程式に当てはめて、答えが合っているかどうかが試されるが、 アメリカでは方程式そのものをゼロから導き出す力が問われる。」(p36)▼今後ヒットしそうな【f】は何か?方程式を導き出してみよう。□■今日の紹介書籍■□『考える技術』 大前研一オススメ度★★★☆☆→・大前研一の「思考ノウハウ」に触れたい方 ・問題の「本質」を見分けられるようになりたい方 ・「論理的思考の身に付け方」を身に付けたい方
2004年12月09日
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★「決心してから実行案を考えるのでなければ、新しいことはできません」(p47)★「人間的欲求不満には、いろいろ問題はありますが、 その中で最も大事なのは“創造性”を発揮できないという不満です。」(p130)★「発明のアプローチの仕方に、エジソニアンとラングミアンという、 大きな2つの道があるといことを頭に入れておいた方がいい」(p152)★「日本人は想像能力がないとか、少ないというのではなくて、 それを育て上げてモノにする環境がない」(p158)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『石橋を叩けば渡れない。』 西堀栄三郎――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「石橋を叩いて渡る」という有名な慣用句があります。意味はご存知でしょうか? 石橋というのは、そもそも木で作られた橋等に比べ非常に頑丈で、ほとんど折れたり しません。それをなお「叩いて」、安全を確かめてから渡ることから、物事に対して 非常に慎重に取り組むさまを示します。 ●ところが本書のタイトルは「石橋を叩けば渡れない」と、なんとも逆説的(笑) どういうことか?大抵の人は「やるかやらないか」と迷っている場合、どうしても 「やらない」理由探しに終始してしまうのです。わざわざ石橋のもろい部分を探し、 そこを「叩き割って」、「あぁやっぱり渡れないな」と諦めてしまう…。●ご存知でしょうか、世界一硬い鉱物とされるダイヤモンドにさえ弱点があることを。 必ずどこか1箇所に脆い部分があり、そこに向けて杭を打ち込むと粉々に砕け散ると いいます。完璧な橋などというのはこの世のどこにも存在しない、だからこそ大事 なのは著者のいうように「決心してから実行案を考える」ことではないでしょうか。●ただし、全く橋を叩かずにわたるのは単なる無謀です。「石橋を渡る」という決心の下、 「どこが壊れにくいか?」「どのルートが最短か?」とそこで始めて叩いてみるのです。 これは「リスクを少しでも減らす」ことが目的な分、「渡れるか渡れないか?」を主眼 にした調査よりも、遥かに綿密で、有意義になることは間違いありません。●「やるかやらないか」よりも「どうしたらやれるか?」を追求したした結果、 日本人初の南極越冬やヒマラヤ登頂を達成した著者・西堀栄三郎…、 その一言一句に大変な重みと鋭い洞察が感じられる一冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「発明のアプローチの仕方に、エジソニアンとラングミアンという、 大きな2つの道があるといことを頭に入れておいた方がいい」(p152)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●著者にとって「創造性の開発」はライフワークだったといいます。南極越冬や、 ヒマラヤ登頂という未踏の地に足を踏み入れてしまった以上、日々「創造性」を 発揮し続けなければ決して生きていけない…その過酷な環境が、西堀氏自身の 「創造性」を高め、またそれを本にまとめられるほどに体系化させたのでしょう。●その著者が提唱するのが「エジソニン」と「ラングミアン」という2つの発明方法。 創造的活動に取り組む際は常に、自分がどちらで発想しているのかを意識する必要が あるといいます。前者「エジソニアン」式というのは、人々の「不満」をもとに、 アイデアを誘発する方法です。エジソンの電球がまさにそうでした。●一方でラングミアンというのは、まず知識や技術がありき。次にそれを「何かに 使ってやろう」という意図のもと発想する方法です。この方式の顕著な例は 化学薬品でしょう。ペニシリンは1930年、フレミングが「Penicillium notatum」 というアオカビから偶然発見した成分ですが、それを化学薬品として実用化され、 多くの人の命を救うことになったのは1940年、発見の10年後でした。●また僕がこうして皆さんに情報を伝えている「インターネット」も、 実はラングミアン式発明の産物です。そもそもは米国防総省が軍事目的で 開発した、「ARPANET」という情報ネットワークが前身となっていました。●物質的に満たされ、人々の絶対的な「ニーズ」が満たされつつある現代においては、 「エジソニアン」よりも「ラングミアン」式の創造方法の方が効果を発揮する気が します。ITを始めとし現代の「技術」革新には目覚しいものがありますが、これを アイデアに活かせるかどうかは我々次第。著者と同じく、常に「創造性」という テーマを持って毎日に挑みたいものです。□■エッセンス■□・「発明のアプローチの仕方に、エジソニアンとラングミアンという、 大きな2つの道があるといことを頭に入れておいた方がいい」(p152)▼あなたは普段どちらの発想法でアプローチしていますか?□■今日の紹介書籍■□『石橋を叩けば渡れない』 西堀栄三郎オススメ度★★★★☆→・石橋を叩いて渡れない人 ・石橋を叩き割って渡らない人 ・リーダーシップ、創造性を磨きたい人
2004年12月06日
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★「戦うための戦略においては、それが「勝つ」ことを目指すのか、「負けない」 ことを目指すのか、さらに「負けない」から「勝つ」に移行する戦略をとる のかを鋭く峻別しなければならない。」(p41)★「引くこと、退却することは、それ自体プラスでもマイナスでもない。」(p47)★「勝兵はまず勝ちてしかる後に戦いを求め、 敗兵はまず戦いてしかる後に勝ちを求む」(p98)★「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」(p154)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『最強の孫子』 守屋淳――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●諸葛孔明、毛沢東、武田信玄、徳川家康、高杉晋作、東郷平八郎、ナポレオン… さて、彼らに共通するものは何でしょうか?いずれも「名将」、「偉人」と呼ばれる 人々ですが、実は皆、その戦略思想のもとに「孫子」の影響があったといいます。●時を移して現在、果たしてこの「孫子」的な思想は役に立つのでしょうか?いかに 優れた兵法書といえども、所詮は2500年も前に書かれた過去の遺物。ハイテク戦争、 ビジネス戦争の巻き起こる21世紀には活用できないのでは?という疑問が浮かぶ のもある意味で当然といえるでしょう。●しかし実際にいるのです。この「孫子」を利用して大きな成果を上げている兵が。 IT企業の雄、ソフトバンクの孫正義は若い頃から「孫子」を愛読し、プロ野球の 長島秀雄も、ミーティングで「孫子」のフレーズを暗唱していたといいます。 なぜ時代を越え、分野を越え、こうまで「孫子」が読み継がれていくのか?●本書はそれを、過去の名将や現代の偉人の活用例に基づき、分かりやすく解説して くれます。「孫子」全体の戦略思想と、「孫子」に散在する名言とを、別々に取り上げ ているのも非常に読みやすい。「百戦して危うからず」… 混迷の21世紀において 「必勝」ではなく、「不敗」を目指すあなたに、お薦めしたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」(p154)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これは「孫子」の名言の1つでもあり、孫正義氏がリーダーの条件として 掲げているフレーズでもあります。それぞれ「智謀」、「信義」、「仁愛」、 「勇気」、「威厳」を指します。大きく分けて、人間の中で攻撃的な部分の 「智謀」「勇気」と、保守的な部分である「信義」「仁愛」「威厳」に区別されます。●さてこの2種類、正反対の性質を持つだけに1人の人間の中に同居させるのは 大変難しいとのこと。かたや型破りとも言える行動力や柔軟性が、かたや規則や 節度を守り、チームを取りまとめていく規範的態度が要求されるのだから、 無理もないことです。全てを身に付けるには大変な努力がいることでしょう。●これらを1つずつ身に付けていくのも、生きがいのある人生と言えそうですが、 現代のビジネス戦争を乗り切ろうとした場合、それはあまりにスピード感覚がない といわざるを得ません。そこでこれまで成功を収めた企業経営者が何をしたか、 というと、それは「パートナーシップで足りない部分を補い合う」ということ。●戦後の名企業を見ても、そこには大抵「名コンビ」といわれる組み合わせが存在 しました。例えばソニーには、技術畑で人付き合いの苦手な井深大と、外交的な 盛田昭夫。ホンダには職業肌の本田宗一郎と商売人気質の藤沢武夫。世界に目を 転じると、マイクロソフトにはビル・ゲイツと、ポール・アレンという名コンビ。●何かを為そうとした際に、それに足る資質を全て自身で網羅しようという成長欲と、 相手の能力を受け入れないという偏狭なエゴイズム、実はこれは紙一重の差なの かもしれません。何でも回せる無難なカタチの歯車よりも、ある組み合わせで突出 した結果を生み出せる凸凹の歯車、そんな生き方があってもいいのかもしれません。□■エッセンス■□「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」(p154)▼あなたには足りない部分を補ってくれるパートナーがいますか?□■今日の紹介書籍■□『最強の孫子』 守屋淳オススメ度★★★☆☆→・「孫子」入門したい方 ・過去の偉人に戦略の基礎を学びたい方 ・孫子のフレーズに主張の裏づけを得たい方
2004年12月03日
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★「読書を必要ないとする意見の例として、読書をするよりも 体験することが大事という論拠がある。これは、根拠のない論だ。」(p84)★「言い換えにはコツがある。抽象的なものは、具体的なものに少し直し、 具体的な発言に対しては、少し抽象度の高い言い方で言い換える。」(p154)★「本をめぐる話は、ただ相手の日常生活や 趣味の話を聞くだけよりも、情報の中身が濃い。」(p171)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『読書力』(後半) 齋藤考――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●さて、前回に引き続き「読書の意味は何か?」という本質に迫った名著 『読書力』の紹介をしたいと思います。前回は「読書は多くの言葉を知り、 より自分自身や世界を広くすることに意味がある」という話をしました。●今回の「ここ読め!」に移る前に、本書の構成を簡単に説明させて下さい。 この本は「序章」と「ブックリスト」を付随とし、中心は3節で成っています。 「序章」で「読書力とは?」の定義がされた後に、第1節では読書の意義を 「自己形成」の観点から見直しています。●何となく「自己形成」などという言葉が恥ずかしくなってしまったこの時代に、 「自分軸」の大切さと「読書」の有用性を改めて気づかせてくれる1節です。 続く第2節では「読書力の鍛え方」、ここでは「読書」を1種のスポーツとして、 その「能力」を磨くための秘訣が語られます。●そして最後の第3節で、読書が現実でのコミュニケーションにおいても、どれだけ 役に立つかというのが提示され、巻末には「読書力」を鍛えるための100のブック リストが。ここまで「読書」の魅力と、その鍛え方にフォーカスした本がこれまで あったでしょうか…。本サルタントとして、自身を持ってお薦めできる1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「読書を必要ないとする意見の例として、読書をするよりも 体験することが大事という論拠がある。これは、根拠のない論だ。」(p84)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●それどころか「本を読むことが色々な体験をするきっかけになることが多々ある」 そう著者は述べます。確かに旅行記を読んでふらっと旅に出かけたり、コーチング の本を読んでコーチと出会いに行ったり…そんな経験や出会いが僕にもありました。 もし本がなければ、僕の人生は今よりずっと退屈なものになっていたでしょう。●ただ僕は、本というのは経験に先立つ「きっかけ」としてよりも、経験の後における 「確認」の役割の方が大きいと考えています。どういうことかというと、本書でも 述べられているように「体験」というのはそれ自体が重要なのではなく、その「体験 の意味」を掴み、それを次の経験に活かしていくというのが大切だということ。●同じ会社で同じ仕事を同じ期間だけやったとしても、優秀な人間とそうでない人間 というのは自然に分かれてしまいますよね。「体験」だけが重要ならばこの違いは 一体どこで生まれているというのでしょうか?これは偏に「体験の意味」を捉えて そのフィードバックループが築けているかどうかの差なのです。●そのフィードバックループを築く上で大切なのが「暗黙知」を「形式知」に変える ということ。頭の中でぼんやりとしている知識を、文字にされた「言葉」で理解し、 体系化する必要があります。そこで役立つのが「読書」というわけ。よく本を読んで いると「あぁ~、俺もこれが言いたかったんだよ」と妙に納得する瞬間がありますよね。●それがまさに「経験の意味」を理解できた瞬間であり、「暗黙知」を「形式知」に 置き換えられた瞬間です。こう考えると「読書よりも体験が大事」が間違っている というより、むしろ「体験するほど読書が大事」とまで言って良い気がします。 根拠のない論に惑わされることなく、常に自分を磨く読書を続けていきたいものです。□■エッセンス■□「読書を必要ないとする意見の例として、読書をするよりも 体験することが大事という論拠がある。これは、根拠のない論だ。」(p84)▼あなたは読書を通じて「経験の意味」を確認できていますか?□■今日の紹介書籍■□『読書力』 齋藤考オススメ度★★★★★満点!→・本を読むのが嫌いな人 ・「読書の意味」を知りたい人 ・「読書力」のつくブックリスト100が欲しい人
2004年11月29日
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★「高い才能を持った人間が、大変な努力をして勉強をし、 ようやく到達した認識を、二人きりで自分に丁寧に話してくれる」(p15) ★「読書力があるということは、食べるということに なぞらえて言えば、強い歯や顎を持っているとういことにあたる。」(p36)★「いろいろな言葉を知っていることによって、 感情や思考体系が複雑で緻密なものになっていく。」(p66)★「矛盾しあう複雑なものを心の中に共存させること。 読書で培われるのはこの複雑さの共存だ。」(p52)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『読書力』(前半) 齋藤考――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「読書って一体何のためにするの?」案外答えにくいこの質問に、「読書力」という コンセプトで見事答えを提示してくれます。著者は「声に出して読みたい日本語」 や「段取り力」などの数々のベストセラーで知られる齋藤孝氏。冒頭から「読書力は 日本の自力だ」「この国は読書立国だ」といった言葉が歯切れよく突き刺さります。●確かに昔の日本人は大変よく読書をしました。福沢諭吉の「学問のすすめ」は人口 3千万だった明治初期に、なんと340万部も売れたといいます。日本人の当時の勤勉さ と成長力を何より物語っていますね。対して人口1億2千万を越えた今はどうか…? 悲しいかな、あの「バカの壁」でさえやっと300万部突破というのが現状なのです。●著者が「読書立国」日本の存命を危惧する気持ちもわかります。加えて日本には、 西洋の「聖書」や、中国の「論語」のようなバイブルが存在しません。このため 大量の読書がこれまで日本人の倫理教育を担ってきただけに、本を読まなくなった 世代のアイデンティティー確立が非常に危ぶまれています…。●「自己形成のための読書」「スポーツとしての読書」「コミュニケーションの ための読書」、まずはこの3部を軸に書かれた本書を読んで、「読書力」の 基礎を身に付けてみてはいかがでしょう。読み終わる頃にはあなたの中にも 「なぜ本を読むのか?」に対して、明確な答えが生まれていると思いますよ。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「いろいろな言葉を知っていることによって、 感情や思考体系が複雑で緻密なものになっていく。」(p66)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「考える」という行為は全て「言葉」によって為されています。 著者が「読書は思考活動における素地をつくるもの」と述べる背景には、 読書によって多くの言葉を知ることが、より広範かつ複雑な思考を可能にする という事実があるのでしょう。●感情もまた叱り。遊園地のアトラクションに乗って、ただ「楽しい」としか言えない 人よりも、「スリリングだね!」とか「興奮するね!」、「病み付きになるね」など、 感想にバリエーションのある人の方が一緒にいて楽しいですよね。語彙の多い人は それだけたくさんの感情を「実感」し、それを「伝え」ることができるのです。●それに、僕らの住んでいる「世界」ってそもそも、1つの1つの「言葉の集合体」 なんですよ。現実世界もそうだし、夢の中でさえ僕らは「言葉」を使っている…。 そう考えるとやはり語彙の多い人というのは、少ない人に比べ、それだけ広い世界を 経験できるし、またそれを自由に作り変えていく事ができるといえるでしょう。●読書家として有名なハイブロー武蔵氏はこんなことを言っています。「自分の願いを 言葉にし、イメージすることができたならば、必ず実現できるのです。語彙が多い人 は、それだけ自由に自分を作り変えていけます。」世界だけじゃない!自分自身さえも 言葉で自由に作り変えていけるなんて…。●今日は読書の魅力を「たくさんの言葉が知れる」という最も根本的なところから、 書き出してみました。整理すると、語彙が多ければ多いほど人は(1)思考と感情 の幅が広がり(2)より広い世界を経験でき(3)自身を自由に作り変えていける。 「言葉」は、より僕らの人生に味を出す、調味料のようなものかもしれませんね。□■エッセンス■□ 「いろいろな言葉を知っていることによって、 感情や思考体系が複雑で緻密なものになっていく。」(p66)▼あなたの思考や感情は、語彙の少なさに制限されていませんか?□■今日の紹介書籍■□『読書力』 齋藤考オススメ度★★★★★満点!→・本を読むのが嫌いな人 ・「読書の意味」を知りたい人 ・「読書力」のつくブックリスト100が欲しい人
2004年11月26日
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★「今の世の中、感動したい人はたくさんいますが、感動させたい人は極端に少ない」(p19)★「伝わるシナリオのコツは、たくさんのことを話すのではなく、 伝えたいことを絞って、それについてたくさんの切り口で話すのです。」(p55)★「思いがけない問題点(?)、思いがけない解決策(!)、そして確実な証拠(~) のことを「メイクドラマ3点セット」と呼びます。」(p59)★「短所は、まだ表現されていない個性。長所は、よく表現された個性。」(p184)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『感動力』 平野秀典――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「感動頻度」という言葉をご存知ですか?三菱総合研究所が実施したアンケート 報告に乗っていたようですが、「この1ヶ月で1度以上感動しましたか?」という 問いに対して、感情がビビッドなはずの20代の人さえ、50%は「No」と回答して いるようです。あなたはこの1ヶ月でどれだけ「感動」しましたか?●ここで大切なのは「もっと感動したい人」はこの世にたくさんいるのに、 「感動させたい人」がそれに比べ極端に少ないということ。 まさに「感動の超過需要」が発生しているのです。そこで感動を生み出す 「感動プロデューサー」として、彗星のごとく現れたのが本書の著者・平野秀典氏。●平野氏曰く、「感動力は21世紀型の新しいビジネス能力」。権力で人を動かすのでも、 押し売りのセールスをするのでもなく、人の心を「感」じさせて「動」かすのです。 素晴らしい本を読むと人にも読ませたくなりますよね?それと同じように、強烈な 「感動」を受けた人は、その「感動」を誰かに伝えたくなるものなのです。●平野氏はもともと無名のサラリーマンでしたが、その著書が韓国・台湾出版も決まる ベストセラー本となり、年200回もの講演依頼が舞い込むようになったのも、この 「感動力」が源泉でした。本書にちりばめられた「7つのエピソード」をもとに、 あなたも自身の「感動力」を磨いてみてはいかがでしょう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「思いがけない問題点(?)、思いがけない解決策(!)、そして確実な証拠(~) のことを「メイクドラマ3点セット」と呼びます。」(p59)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●セールストークや友人との会話、知人への手紙や、日々のブログ(日記)… 「感動力」は、こういった日常生活の至る所で発揮することができます。 そこに「感動需要」がある限り。このような状況において、人を感動させる ための最も簡単な方法が「ドラマ」を演出すること。●著者が言う「メイクドラマ3点セット」とは、そこで感動的なドラマを演出する のに必要な3つの要素のことです。「思いがけない問題点」で読み手や聞き手の 心に「?」の文字を浮かべます。今回の「ここ読め」の例で言えば、冒頭の文章。 ⇒「感情がビビッドなはずの20代の人さえ、50%は1ヶ月に1度も感動していない」●ここで著者の心に浮かぶ「?」マークが大きければ大きいほど、次の「解決策」で インパクト(!)を受けることになります。今回の場合は「感動力は21世紀型の 新しいビジネス能力」という文章がそれにあたります。そして最後に、ではなぜ それが重要とされるのか? その証拠(~)が提示されるというパターン。●お気づきかもしれませんが、これは一般に良いとされる文章スタイル「起承転結」 からは完全に逸脱しています。(?)から入るこのスタイルは「起」を無視した 「転・承・結」ともいえるかもしれません。しかし現代のようなスピード感溢れる 時代においては、これくらいが調度いいのではないでしょうか。●消費者は商品1つ1つの「起承転結」に付き合っているほどヒマでもないし、 セミナーのお客や、ブログの読者だって、あなたの「起」を長々と聞いているほど 忍耐強くはないのです。これはイチ現代人として、持っておくべき認識でしょう。 常に相手を感動させるような(?)が投げかけられる人物を目指したいものです。□■エッセンス■□「思いがけない問題点(?)、思いがけない解決策(!)、そして確実な証拠(~) のことを「メイクドラマ3点セット」と呼びます。」(p59)▼「承・転・結」のストーリーで誰かを感動させてみよう。□■今日の紹介書籍■□『感動力』 平野秀典オススメ度★★★☆☆→・誰かを感動させたい人 ・自分ももっと感動したい人 ・ブログやメルマガを書いている人
2004年11月23日
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★「顧客の感情をそのまま表現したり、 顧客が「え?」と思うようなキャッチコピーは大変効果があります。」(p30)★「消費者の心理は購入と同時に後悔に向かいます。」 (p185)★「バランスが必要なのではありません。 重要なのは、バランスを気にしながら片方に寄ることです。」(p211)★「テクニックをやりつくしたあとのシンプルがベストなのです。」(p216)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『[マネ]するマーケティング』 岡本吏郎――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「最も効果的な市場戦略とはマネをすることである」。タイトル通り、本書は 「マネ」の効用を説いたマーケティング戦略の本です。「マネするだけなら、 わざわざ本なんて読まなくてもできるよ」そう考える人もいるかもしれません。 しかし世の中には同じ「マネ」でも成功する人と失敗する人がいるのです。●その失敗の最大の要因とは何か…それは「マネ」が単なる「猿マネ」に終わって しまっていること。実は「マネ」には幾つかのルールがあるのです。そのうちの 1つが「オリジナル」を超えなければならないということ。モーツァルトが、 もともと模倣の天才だったという事実はご存知でしょうか?●あの天才と謳われた名作曲家でさえ、スタートは「マネ」からだったのです。 ただしそれが「猿マネ」に終わらなかった証拠に彼の模倣は原作を超えていました。 あまりに似せて演奏してしまったため、本来の作曲者のほうが「盗作したのでは?」 と疑われたほどだったといいます。●この他、たくさんある「マネのルール」は本書にその解説を譲るとしましょう。 著者の岡本史朗氏は、あの実践マーケッターの神田昌典氏のパートナーとして 活躍していたことでも知られる、気鋭のコンサルタント。いかに「マネ」をし、 そのノウハウを自分のモノにしていったのか?その点でも興味深い1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「テクニックをやりつくしたあとのシンプルがベストなのです。」(p216)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●よく「シンプル・イズ・ザ・ベスト」という言葉が使われますが、ここでいう 「シンプル」とは決して、ただの「単純」という意味ではありません。広告表現 でも結局「シンプル」なものほど売れるといいますが、それは始めから「単純」 だったのではなく、様々なテクニックを凝らした後に残った「シンプル」なのです。●時に僕はこの「シンプル」という言葉が「テクニック」を凝らす面倒くささから 逃れるための言い訳として使われるのに憤りを感じることがあります。●例えば就職や転職の面接試験。「対策なんかせず、シンプルに自分を 伝えればいいじゃん」などという前にコミュニケーションや話術の本を読み、 少しでも自分を分かりやすく伝えようという努力をしたのか?●例えばクライアントへのプレゼンテーション。「シンプルに商品の良さを 伝えればいいじゃないか」という前に、顧客にプレゼンを少しでも理解して もらえるように、プレゼンノウハウが書かれた本を1冊でも読んだのか?●ただ「単純」に事実のみが語られるプレゼンテーションと、様々なテクニックが 凝らされた後に、余計な部分が削ぎ落とされ「シンプル」に胸を打つメッセージ のみが残されたプレゼンテーションとでは、道端に生えた雑草と丹念に刈られた 盆栽ほどの差があるといっていいでしょう。●「単なるテクニックやノウハウなんて役に立たない」などと、「シンプル」という 言葉を隠れ蓑にする面倒くさがり屋ではなく、テクニックを超えた究極の「シンプル」 を目指し、全力で目の前の「テクニック」に取り組める愚直人間に、僕はなりたい。 そんなことを思いつつ、今日も書評に色々な趣向を凝らしたもっちーでした。笑※ 実はこれは今流行の「ポジティブ・シンキング」の罠にも繋がってきます。 詳細はメールマガジン「ここ読め本本」編集後記にて。(来月掲載予定)□■エッセンス■□「テクニックをやりつくしたあとのシンプルがベストなのです。」(p216)▼あなたの主張する「シンプル」はただの「単純」で終わっていませんか?□■今日の紹介書籍■□『[マネ]するマーケティング』 岡本吏郎オススメ度★★☆☆☆→・マーケティングの初心者 ・広告表現のネタ帳がほしい方 ・「マネ」するためのルールが知りたい方
2004年11月20日
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【前回の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする」(p55) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これはノーベル医学賞受賞者であるアレクシス・カレル博士の言葉です。 本書ではこの「悩みに対する戦略」が、100を越える実例を踏まえて紹介され ています。詳細の説明は本書に譲るとして、ここではその戦略のうちの1つ 「最悪の事態を受け入れる」について、僕の経験をもとに話してみたいと思います。●大学受験の時の話です。僕の高校は地方の片田舎にあり、学力もさほど優秀とは いえませんでした。多くの学生は自分のレベルに合った大学を選んでいましたが、 そんな中、僕は一人東京の実分不相応ともいえる大学を志望したのです。当初は周り からも馬鹿にされ、教師からも思い直せと言われましたが、僕は諦めませんでした。●その努力あってか受験3ヶ月前の模試で、ついにA判定をもらうことができました。 「このままいけば受かるぞ!」舞い上がって廊下を歩いていた僕は、決してその高校 でやってはいけないことをしてしまった。生徒も教師も、避けて目を合わさないよう にしていた、地元で有名なヤクザの息子に、思いきり肩をぶつけてしまったのです。●当然のごとく目をつけられた僕は、休み時間に空き教室に連れられボコボコにされ ました。それで済むならまだマシでしたが、模試結果が上位で校内の張り紙に名前が 載っていることに気づかれ、「生意気だ」と毎日追い込みをかけられるようになった。 それまで希望で一杯だった僕の胸は、一気に「悩み」に取って代わられました…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 (前回の続き)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする」(p55) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●当然勉強も手につかず、成績もズルズル低下していきました。期待をかけてくれて いる親に妙な心配はかけたくないし、友達には「受かる!」と豪語していた以上、 面目がある。親しい友達には相談しましたが、彼らだってどうすることもできません。 教師は臆してしまってハナから話にならない…。●喧嘩をしたら状況が悪化するのは目に見えてるし、登校拒否をしたら出席日数が足り なくなってしまう。そのヤクザの息子が大学に行くはずなどないから、浪人すると なれば、またこの地元で1年間悩みを抱えることになってしまう…。 まさに八方塞がりで、僕はまるで自分の人生が終わったかのように感じていました。 ●そこで、僕は本書に書いてある通り「最悪の事態を受け入れる」ことにしたのです。 まず客観的に自分の置かれている状況を見て、それをノートに書き出してみました。 ・2ヶ月後に受験を控え、ヤクザの息子に絡まれている。 ・出席日数が足りないので、学校には登校する必要がある。 ・ヤクザの息子はお金を払うか、ケジメをつけろと要求している。●この様に書き出すと、次第に自分のことが客観視できるようになってきました。 こう見ると「何だ、命まで奪われることはなさそうだな。」と改めて気づく。 「最悪でも受験に失敗するか、怪我をさせられるくらいだろう…。」 ここまで受け入れられると大分楽になりました。 ●あとはその「最悪の事態」においても、「最高の結果」を出せるように努力するだけ。 考え抜いた結果、僕は3つの選択肢を挙げました。(1)「浪人して全寮制の塾に入る」 (2)「警察に相談をする」(3)「目の前で自分の指を追ってケジメとする」 冷静に考えるとこんなにも選択肢があったんですね、逆に余裕が浮かぶくらいでした●さて、どの選択肢を選んだかは皆さんのご推測にお任せしますが、結果的に僕は 第一希望の大学に合格し、幸せなキャンパスライフを満喫することになります。 その大学へは何と母校から7年ぶりの合格者でした。あなたも今「悩み」があるなら、 まずそれを書き出し「最悪」を受け入れてみませんか?必ず道は開けるはずですから。□■エッセンス■□「悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする」(p55)▼あなたが今悩んでいることで、最悪のケースは何でしょう?□■今日の紹介書籍■□『道は開ける』 D・カーネギーオススメ度★★★★★満点!→・いま「悩み」を抱えている方 ・誰かの「悩み」を解決してあげたい方 ・「悩み菌」に対するワクチンがほしい方
2004年11月17日
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★「私たちが最悪のことがらを受け入れてしまえば、もはや失うものはなくなる」(p47) ★「悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする」(p55) ★「明確な決断に達すれば、即座に苦悩の5割が消えうせ、 その決断を実行に移すと同時に、残りの4割が蒸発する。」(p79)★「自分の敵をゆるし、忘れてしまう確実な方法は、 自分自身よりも限りなく大きな主義主張に夢中になることだ。」(p193)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『道は開ける』(前半) D・カーネギー ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●本書『道はひらける』は、同じくカーネギーの著作である『人を動かす』と並び、 アメリカでは聖書の次に売れている書籍といわれます。発行直後に54万部を売り上げ、 その後日本をはじめ、フランス、イタリア、ノルウェー、イスラエル、タイ、など 全世界でベストセラー入りを続けている、文字通り「不朽の名著」。●『人を動かす』は人間関係の機微について、本書『道は開ける』は人々が抱える 「悩み」について書かれています。とはいっても人の「悩み」の大半は人間関係から 派生するもの。その意味では原因自体に迫ったのが『人を動かす』で、その解決策や 予防法に焦点をあてたのが本書『道は開ける』と考えるといいでしょう。●さて、今日人々を苦しめる最大の要因となっているものは何だと思いますか? ちなみにアメリカでは僕らがこうしている間にも、35分に1人が自殺をし、 120秒に1人が発狂しているといいます。さらに病院のベッドの半数以上は 肉体に何ら異常ない、心の病にかかった患者で埋まっている…。●そう、答えは「悩み」。これによる死亡者数は何と5大伝染病の合計死亡者数よりも 多いというから驚きです。日本も例外ではありません、年間自殺者数は去年ついに 3万人を越えました。悩みに追い詰められる前に、ぜひ本書を「ワクチン」として 読んでほしいものです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする」(p55)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これはノーベル医学賞受賞者であるアレクシス・カレル博士の言葉です。 本書ではこの「悩みに対する戦略」が、100を越える実例を踏まえて紹介され ています。詳細の説明は本書に譲るとして、ここではその戦略のうちの1つ 「最悪の事態を受け入れる」について、僕の経験をもとに話してみたいと思います。●大学受験の時の話です。僕の高校は地方の片田舎にあり、学力もさほど優秀とは いえませんでした。多くの学生は自分のレベルに合った大学を選んでいましたが、 そんな中、僕は一人東京の実分不相応ともいえる大学を志望したのです。当初は周り からも馬鹿にされ、教師からも思い直せと言われましたが、僕は諦めませんでした。●その努力あってか受験3ヶ月前の模試で、ついにA判定をもらうことができました。 「このままいけば受かるぞ!」舞い上がって廊下を歩いていた僕は、決してその高校 でやってはいけないことをしてしまった。生徒も教師も、避けて目を合わさないよう にしていた、地元で有名なヤクザの息子に、思いきり肩をぶつけてしまったのです。●当然のごとく目をつけられた僕は、休み時間に空き教室に連れられボコボコにされ ました。それで済むならまだマシでしたが、模試結果が上位で校内の張り紙に名前が 載っていることに気づかれ、「生意気だ」と毎日追い込みをかけられるようになった。 それまで希望で一杯だった僕の胸は、一気に「悩み」に取って代わられました… (続く)□■今日の紹介書籍■□『道は開ける』 D・カーネギーオススメ度★★★★★満点!→・いま「悩み」を抱えている方 ・誰かの「悩み」を解決してあげたい方 ・「悩み菌」に対するワクチンがほしい方
2004年11月14日
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★「どれだけ辛いか最初から分かっていたら誰も始めようとは思わないだろう。 だから、最初の1歩に集中するだけでいいんだ。」(p61)★「販売後利益モデルをインストール・ベース利益モデルに 転換する努力をしなければならない」(p216)★「自分が知りたくないと思っていること、知るのを恐れていることは何か」(p220)★「利益とは正確な情報が不足しているおかげでもたらされるもの」(p278)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ザ・プロフィット』 エイドリアン・スライウォツキー――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ビジネスの世界には実に様々な課題が存在します。「マーケティング」「営業」、 「プレゼンテーション」「交渉」、「コーチング」「ロジカル・シンキング」… 書店に並ぶ本のタイトルをみれば、どれだけたくさんのテーマが存在するかは 明らかですね。しかし、ビジネスの源泉=「利益」についてはどうでしょうか?●あなたは机の前に座り、1時間でも「利益とはなにか?」について真剣に考えたこと がありますか?利益とは企業にとってガソリンのようなもの。これを無視して前述の 「交渉」「コーチング」といった課題ばかりに取り組むのは、車を走らせるのにガソ リンを入れずバンパーやライトばかりグレードアップしているのと同じ様なものです●一昔前までは、会社のトップ以外は製品の「品質」向上のみに取り組んでいれば 良かった。1つのビジネスモデルが何十年も通用し、顧客のニーズも細分化されて いない時代においては、それで十分利益をあげることができたのでしょう。しかし 現在は1つのビジネスモデルが通用する期間は5年とも3年とも言われています。●そう、トップだけではなく社員全てが「利益とは?」という問題に取り組まなければ いかに20世紀に繁栄を極めた企業といえど、存続していけない時代になったのです。 そういった意味で、会社の繁栄を祈る全てのビジネスマンに読んで頂きたい1冊です。●本書は物語形式で非常に読みやすい上、1冊を通して23もの利益モデルと20冊以上 の課題図書が提示されます。著者が「1週間に1章のペースで読んでほしい」と言う のも、まんざら誇張ではないよう(笑)主人公になりきったつもりで、頭を使って 読めば、必ずや「利益」について広い知識と深い洞察を得られることでしょう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「販売後利益モデルをインストール・ベース利益モデルに 転換する努力をしなければならない」(p216)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●実はこの「販売後利益モデル」と「インストール・ベース利益モデル」とは 非常に近しい関係にあります。「販売後利益モデル」は、その名の通り製品の 「売買」が交わされた後に発生する利益です。例えば車が販売された後の保険契約や、 PCが販売された後のPCソフトによる利益などが典型的でしょう。●次に「インストール・ベース利益」ですが、これも基本的には「販売後利益モデル」 と同じで製品の販売後に発生します。典型的な例はエアコンとその交換用フィルター、 プリンタと、プリンタ用インクジェットなど。さて、では「販売後利益モデル」との 違いは一体何でしょうか?それはずばり「利益」を得るのが自社か他社か?です。●「販売後利益モデル」で利益を享受しているのは始めの製品を販売した会社では ありません。日産が車を販売したとしても「販売後利益」を享受するのは 保険会社だし、デルがPCを売ってもその後にPCソフトを売って儲けるのは ソフトウェア・メーカーでしょう?●それに対して「インストール・ベース利益」では販売後の利益を得るのも自社。 エプソンのプリンタを買った顧客はその後もエプソン製のインクを買い続ける しかありません。著者が「販売後利益モデルをインストール・ベース利益モデルに 転換しろ」と言うのには、こういった背景があるのです。●実は人間関係においてこの「インストール・ベース利益モデル」を巧みに使いこな しているのがホストです。彼らはまず「自分」というプリンタを買ってもらうことに 注力し、その後は徹底的に甘い言葉を投げかけ相手に自分を「インストール」します。 それにハマったら最後、「インクジェット」を買い続ける羽目になってしまう…。●あまり悪いことに使うのは考え物ですが(笑)、 ビジネスや人間関係において継続的に利益を享受するために、 常に製品や自分の「インストール方法」を意識していたいものですね。□■エッセンス■□「販売後利益モデルをインストール・ベース利益モデルに 転換する努力をしなければならない」(p216▼販売後の需要も自社の製品に組み込むことで、得られる利益はないか?□■今日の紹介書籍■□『ザ・プロフィット』 エイドリアン・スライウォツキーオススメ度★★★★★満点!→・「利益」発生の仕組みを知りたい方 ・新たなビジネスモデルを生み出したい方 ・会社を繁栄させたい全てのビジネスマン
2004年11月11日
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★「世の中で達成困難といわれることほど、イメージできたら有利。 それだけ競争相手が少ない、ということ。」(p100)★「残念なことに多くの人はあとちょっとでそのクリティカル・マスに 達するというのに、その直前であきらめてしまうのです。」(p115)★「スキルを身に付けてから仕事をしようと思うな。 必要なスキルを学べる仕事を受け入れろ!」(p128)★「20代なら、「Aさん、仕事ができるえ」といわれるが、 30代になると「Aさん、仕事しかできないねえ」といわれてしまう。」(p131)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『キャリア・コンピタンシー』 小杉俊哉――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●成果主義、能力主義が叫ばれて久しい昨今ですが、 そもそも「能力」とは一体どんなものを指すのでしょうか? 本書はその「能力」について2つの定義をしています。 その1つが「資格」や「スキル」といったものに代表される「保有能力」。●しかしこの「スキル」の重要性は今日においてあまりに薄くなってきています。 サン・マイクロシステムズのCEO、スコット・マクナリーは社員に対して、 「同じ仕事を2年以上続けるな」と明言しています。その理由は単純に、変化の 激しい今日において「スキル」はすぐ陳腐化してしまうから、だといいます。●「資格」についても「弁護士」「会計士」「税理士」など「士」のつく職業は、 昔のようにその資格、つまり「保有能力」のみを買われる事はなくなりました。 現代は【資格+α】で、その人に頼むことでしか得られない「付加価値」的な ものがなければ、いかに保有能力が高けれども失業は免れません。●さてそれではもう1つの「能力」の定義は何でしょうか? それはずばり「成果や価値を生む力」です。本書では企業において 高い成果をあげていると認められる30人の方にインタビューをし、彼らに根付く「思考特性」や「行動特性」といったものを浮き彫りしています。●自律的にキャリアを開発し、満足したビジネスライフを送っている 彼らに共通する資質「キャリア・コンピタンシー」とは?? 小手先の転職ノウハウや、企業内での立ち回り方ではなく、 キャリアに対する考え方や、生き方そのものを学びたい方にお薦めの1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「残念なことに多くの人はあとちょっとでそのクリティカル・マスに 達するというのに、その直前であきらめてしまうのです。」(p115)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「クリティカル・マス」とは「臨界点」のことです。 仕事をはじめ、勉強、料理、スポーツなどあらゆる物事というのは、 自分が「成果」というものを感じられるまでにある一定の「努力」を必要とします。 (「仕事量」であったり、「作った品数」であったり、「練習量」であったり。)●その「努力」が「臨界点」を超えるまでというのは、なかなか上達も感じ辛いし、 成果も目に見えて出ないので非常に辛いもの。勉強の例を挙げてみましょう。 英語のリスニングを学習したことがある人は分かるかと思いますが、 あれは成果が感じられるまで非常に時間がかかります。●多くの人はその途中で「あぁ自分には才能がないんだ」といって継続を断ち切って しまう。しかしそこで諦めず「もうちょっと」頑張ってみると、ある日突然、ふっと 耳に入る英語が理解できるようになる。それが「臨界点」を越えた証拠です。●これは勉強に限ったことではなく、スポーツにしろ仕事にしろ、あらゆることに 当てはまります。あなたがいま、「なかなか成果がでない」辛い状況にいるなら、 それはきっと「クリティカル・マス」を目前にしていると考えてください。 逆境は成功を目前にした者に訪れる、飛躍のための試練です。●「潮がきれいにひくのは、すぐ潮が押し寄せてくるためである。」 これはエルバード・ハバードの言葉ですが、蓋し名言だと思いませんか。 坂が吐きそうなほど辛いのは、その先に壮大な景色が待っているからでしょう。 1歩1歩、着実に登りつめ、成功という名の果実を捥ぎ取りたいものです。□■エッセンス■□「残念なことに多くの人はあとちょっとでそのクリティカル・マスに 達するというのに、その直前であきらめてしまうのです。」(p115)▼あなたはこれまでに「クリティカル・マス」を超えた経験がありますか?□■今日の紹介書籍■□『キャリア・コンピタンシー』 小杉俊哉オススメ度★★★★☆→・自分の「キャリアプラン」が立っていない人 ・自律のための「コンピタンシー」を身に付けたい人 ・仕事に「ワクワク」と「ドキドキ」を取り戻したい人
2004年11月08日
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★「人間の頭の中では、整理されスキッとしたものは読み過ごすという回路がある」(p93) ★「周囲の人の+エネルギーを集めようと思ったら、自分の-部分を出すこと。」(p94)★「数々の勘違いやら失敗から紡がれて出てきた 個人のつぶやきであるからこそ、聞けるのではないですか?」(p164)★「最近“語るべき失敗”をしていないなあと思う人は、 “語るに足る失敗”をするところから、まず始めましょう。」(p164)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『自分「プレゼン」術』 藤原和博――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「プレゼンテーションは、弱い人間が、自分を武装する手段だ。」 本書を読んでいると、著者・藤原氏の「プレゼン」というものに対する真摯な思いが、 ひしひしと伝わってきます。彼自身、金も権力もない1人の弱い人間だったからこそ ここで述べているような『自分「プレゼン」術』を身に付けてこられたのでしょう。●本書はいわゆる電通や博報堂に代表される「華やか」なプレゼン技術を述べたもの ではありません。自己紹介の方法に始まり、名刺や企画書の作り方、Eメールの コツなど…むしろ本書で解説されている「自己プレゼン術」は一見すると「地味」 に写るかもわかりません。●しかしビジネスの現場において印象に残るのは、どちらかというと前者のような 華やかなプレゼンテーションよりも、後者のような地味な「自己プレゼン」なの ではないでしょうか。奇抜な発想や趣向で彩られたプレゼンよりも、裏に手書きで メッセージが書かれた温かい名刺の方が、いつまでも心に残るのではないでしょうか。●昔のように「男は沈黙を金」とし「女は3歩下がって控える」を美徳とする時代は 終わりを告げました。個々の価値観が多様化していく今日、このような「自己プレ ゼン」で差別化を図らなければ個性は埋没してしまうでしょう。どう自分を表現し 社会と関わっていくか…そんな問題意識をもつ全ての方にお薦めしたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「周囲の人の+エネルギーを集めようと思ったら、自分の-部分を出すこと。」(p94)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●著者曰く「マイナスイオンの法則」。自身が講演をした経験などをもとに、 「自分のプラス面や自慢話を機関銃のごとく語るより、過去の失敗や挫折経験 をもとに“つぶやく”方が、周囲の人はプラスエネルギーを注いでくれる。」 これは少なからず、読者の皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。●例えば面接において、過去の華々しい経歴や成功体験を滔々と語る人よりも、 自分のコンプレックスや失敗経験を素直に受け止め、それを学びとして伝えることの 出来る人のほうが、なぜかウケがよかったりしませんか。●合コンなどでも、自分の凄さや恋愛経験の豊富さをつらつらと語る人よりも、 自分の欠点や過去の失恋話をサラッと話せる人のほうが何故か魅力的に見えませんか。●現代人はありきたりのサクセスストーリーや自慢話には完全に飽きてしまっています。 面接官が1日何十人という人の自慢話に付き合わされているか?合コンの相手が、 これまで何十通りという恋愛話を聞かされてきたか?相手の立場を考慮できれば、 「機関銃のごとくプラスイオンを放射する」ことの愚は避けられるはずです。●老子曰く「江海の能く百谷の王たる所以の者は、 其の善く之に下るを以ての故に 能く百谷の王たり」(海が川より偉大なのは、川より低い所に身を置くからだ) 元来は諸侯の心構えを説いた詩ですが、僕ら1人1人にも当てはまる気がします。 周囲の+エネルギーが絶えず流れ込む…そんな低き姿勢を忘れずにいたいものです。□■エッセンス■□「周囲の人の+エネルギーを集めようと思ったら、自分の-部分を出すこと。」(p94)▼あなたは「マイナスイオンの法則」を実践できていますか?□■今日の紹介書籍■□『自分「プレゼン」術』 藤原和博オススメ度★★★☆☆→・印象深い人間になりたい方 ・第一印象を改善したい方 ・「マイナスイオンの法則」を身に付けたい方
2004年11月05日
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★「成長拡大」と「安定」を同時に戦略課題とし、 実行して、はじめて事業の永い繁栄発展が起こるのだ。」(p4)★「何のために事業をやっているかという根源の哲学や深い思想や強い信念と、 さらに、これらを上手に処置できる高い技術との両面が必要なのだ。」(p92)★「社長業のリーダーとしての根源にある要素は、 素朴なことで表現すれば、生活力の魅力が第一である。」(p156)★「成長拡大は、いつでも、絶えず旗を立て、 第2創業、第3創業を目指していなければ実現できない。」(p197)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『社長業のすすめ方』 牟田学 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「この人ほど“社長業とは何か”を知り尽くしている人は少ない。」 そんな紹介がされている著者・牟田学氏は、明治大学在学中より事業を興し、 卒業後も数々の「社長業」を歴任。現在は12を越える社長塾を開きつつ、 自分で創業した5社の社長・会長と数社の役員を兼務する「社長業の権化」です。●とはいえ、そもそも「社長業」とは何でしょうか。利益をあげること? 社員を取りまとめること?交渉を成立させること?挙げればキリがありませんが、 その中で最も大切なのが「意図して事業の方向性を定めること」だといいます。●コンサルティングの手法が流行るとともに「戦略」などという言葉が跋扈している 現在ですが、それも結局はこの「意図して事業の方向性を定めること」に尽きます。 言葉にすればこんな単純な「社長業」を満足にこなせていない社長が、果たして どれだけいるか。事業は愚か、自分の将来さえ定められない人が多いのが現状です。●本書はまさに、そんな社長を対象として書かれた「経営のバイブル」。 「事業の“成長拡大”と“安定”を同時実現せよ」「社長は資本主義の 権化に徹せよ」など、歯切れのいいメッセージが我々の胸に突き刺さります。 「社長業のすすめ方」に戸惑う全ての経営者に、熟読してほしい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「成長拡大」と「安定」を同時に戦略課題とし、 実行して、はじめて事業の永い繁栄発展が起こるのだ。」(p4)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「成長拡大」と「安定」を同時に実現することなんてできるのか? これは十分に可能です。むしろビジネスにおいては「成長拡大」し、 前進を続けること以外に「安定」を求めるのは不可能に近い。●たとえば、あなたが太平洋の真ん中に浮いているとしましょう。 波の流れの中で、ある一定の場所に止まっている事がどれだけ大変か? 安定を求めるとすれば、波に流されっ放しにされるか、 もしくはある島を目指して「前進」を続ける他はないのです。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「成長拡大は、いつでも、絶えず旗を立て、 第2創業、第3創業を目指していなければ実現できない。」(p197)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●現代という激しい波の中において「流されっぱなし」に安定を望むなら、間違いなく 会社という船は暗礁に乗り上げることでしょう。一方で成長拡大し、前進を続ける ことに安定を求めるなら、絶えず「第二の島」「第三の島」を目指して船の操業を 続けていかねばなりません。ここでいう「第2創業」「第3創業」も同じこと。●ただし最後の島までたどり着ける船はごく僅か。我々は往々にして、小さな成功に 満足し、「途中の島」に安住してしまいがちです。多くの経営者が野心と情熱に燃え 起業しながらも、志半ばにして事業を大きく出来ないのはここに原因があるとの事。 常に立志の念を忘れず、新たな航海に乗り出す勇気を忘れずにいたいものですね。□■エッセンス■□「成長拡大は、いつでも、絶えず旗を立て、 第2創業、第3創業を目指していなければ実現できない。」(p197)▼あなたはいま「途中の島」で満足していませんか?□■今日の紹介書籍■□『社長業のすすめ方』 牟田学オススメ度★★★☆☆→・起業家、経営者 ・会社役員、経営幹部 ・「社長業の何たるか」を知りたい方
2004年11月02日
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★「自らが描いたゴールに向かって、1つのキャリアを1歩1歩積み上げていく というパターンは、もはや不可能になっている」(p8)★「スキルは蓄積するというより、生涯学習により、更新し続けるものだ。」(p53)★「キャリア選択の<ナンバーワンキャリア>と<オンリーワンキャリア>」(p69)★「人材育成は<育てる時代>から、<育つ場を与える時代>へと 大きく変わらなければならない。」(p82)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『キャリアショック』 高橋俊介 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「ドッグイヤー」という言葉をご存知でしょうか。人間の1年が、 犬にとっての6~7年に相当することから、IT業界の変化の速さを示した言葉です。 この「ドッグイヤー」がキャリアの世界においても起こりつつあります。●相次ぐ外資の参入、金融機関の破綻、大企業の不祥事、事業のアウトソーシング化… 目まぐるしく変化する現代社会においては、1歩1歩「積み上げ」たキャリアは 一瞬にして0になる可能性がある…。著者はこの現象を「キャリアショック」と呼び、 本書でそれに対応する方法を説いています。●著者自身は、大学で航空工学を専攻した後に旧国鉄に入社。後にアメリカ留学した 際にマッキンゼーに出会い転職。日本の典型的なピラミッド組織と、それと対極に あるアメリカの柔軟な組織を見た経験をもとに、「組織論」の専門家となった…。●こう書くと非常に計画的にキャリアを積んでいるように思われますが、決してそう ではないといいます。国鉄に入社したのは航空工学を活かせる所が他になかったから。 マッキンゼーに入社したのはたまたま留学先の学校の掲示板で「外国人可」の募集 を見たからで、始めは名前すら知らなかったといいます。●プランド・ハップンスタンス・セオリーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。 「キャリアは偶然の出来事で8割決まる」という意味であり、著者自身この例外では なかったということでしょう。ただし、偶然を必然に変えるには様々な心構えが必要 になってきます。ぜひ本書からキャリアショックを乗り切る術を学んでください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「キャリア選択の<ナンバーワンキャリア>と<オンリーワンキャリア>」(p69)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●キャリアを選択するにあたって、僕たちは2つの要素から考える必要があります。 1つはその仕事が自分の動機にどれだけマッチしているか、どれだけ「やりたい」 と思える仕事なのか。もう1つは、実際にどれだけのスキルと能力があるのか。●この「動機」と「スキル・能力」のマッチしている分野こそが「ナンバー ワンキャリア」だといいます。実践マーケッターとして有名な神田昌典氏は、 起業するにあたっては自分の「やりたい」と「できる」を一致させる必要がある、 と述べていますが、キャリア選択においてもこれはNO1になるために重要なこと。●ただし本書の著者・高橋氏は「若いうちからこのナンバーワンキャリアを選択 するのは必ずしも得策ではない」と述べています。若い頃というのは、スキルや 能力がまだ未開発の部分が多いため、早い段階で見えている「できる」のみに注目 すると、逆に柔軟性を欠き、キャリアの幅を狭めることになりかねないとの事。●ではどうすればいいのか?それは「能力・スキル」はなくても「動機」がある、 つまり今は「できない」でも、それを強烈に「やりたい」と思える様な仕事を 次々にやっていくことです。●人は皆「キャリア」という畑を持っており、その中には色々な種が埋まっています。 早期から出た1つの芽だけに注目するのではなく、まずはたくさんの種に水をやり、 育んであげたいものです。きっと将来、その畑には色とりどりの花が咲き、 それは自分だけの「オンリーワンキリア」に繋がっていくことでしょう。□■エッセンス■□「キャリア選択の<ナンバーワンキャリア>と<オンリーワンキャリア>」(p69)▼あなたは仕事に対する「動機」を無視していませんか?□■今日の紹介書籍■□『キャリアショック』 高橋俊介オススメ度★★★★☆→・就職・転職を考えている方 ・自分のキャリアに不安を抱いている方 ・自分だけの「オンリーワンキャリア」を見つけたい方
2004年10月29日
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★「戦略論の知識があることと、勝てる戦略を構築できることの 間には大きな隔たりがある。」(p26)★「マーケティングの究極の目的は<人の嫌な気持ちを知ること>」(p110)★「アウトライヤーのなかにこそ、イノベーションの鍵があることが多い。」(p134)★「自分が思考している最中に「今はイメージで考えている」と意識したり、 意図的に右脳と左脳を上手に行ったり来たりできることが大切」(p80)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『戦略「脳」を鍛える』 御立尚資――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「孫子の兵法」や「クラウゼヴィッツの戦争論」を読んだ軍事参謀同士が戦ったら どうなるでしょうか?同じ戦略論を学んでいるのだから、勝敗がつくことはない? 彼らは、いつまでも終わらぬ戦いを繰り広げるのでしょうか??●そんなことはありませんね。囲碁や将棋において「定石」を学んだ者同士が 戦っても必ず決着が付くのと同様、戦略論を学んだもの同士にも勝ち負けはつきます。 その勝敗を分けるものは何か? それがずばり<戦略「脳」>…定石を超え、優れた 戦略を打ち出すこの「脳力」のことを、本書では「インサイト」と呼んでいます。●本書はこの「インサイト」の構成要素を6つの要素に分解し、それぞれ実例を交え 分かりやすく紹介しています。気をつけなければならないのは、決して「定石」を 無視していいわけではない、ということ。定石を踏まえない「インサイト」は、 往々にして1人よがりに陥るか、定石の範囲を出ない陳腐なものになりがちです。●ただし本書に備えられたトレーニングでは、その「定石」とそれを超えた 「インサイト」をバランスよく鍛えさせてくれるので、心配ないでしょう。 これから経営を学んでみたいという初心者にも、単なる学問を超えた実践的な 応用力を身に付けたいというプロフェッショナルにも、お薦めできる1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「アウトライヤーのなかにこそ、イノベーションの鍵があることが多い。」(p134)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「特異な例の中にこそ、現状を打破し大きな飛躍を遂げる鍵があることが多い」。 歴史を振り返ってみても、停滞した時代を切り開いてきたのはいつも「常識」や 「平均」を大きく外れた、「異端児」と呼ばれる者の存在でした。今で言うなら 小泉首相やソフトバンクの孫正義氏など、まさにその性格が強いといえるでしょう。●これはビジネス、戦略論の世界においても同じことが当てはまります。 例えば本書に出ているゴキブリ用殺虫剤の例が顕著でしょう。ある殺虫剤メーカーが 週にゴキブリスプレーを1缶も使うという特異な顧客を調査したところ、彼らは ゴキブリが死亡した後も、動きが完全に止まるまで使い続けていたことといいます。●その顧客にとって問題なのは「ゴキブリが生きてるかどうか」よりも「ゴキブリが 動いているかどうか」だったのです。アウトライヤーに注目した結果、この殺虫剤 メーカーは「麻痺剤入りのスプレー」で業界にイノベーションを起こすことに成功 したといいます。「特異例だ」と無視していた多くの企業は涙を呑んだことでしょう。●さてこの「アウトライヤーに注目する」という方法は人間関係においても使えます。 自分が何となく「小さく纏まってしまってるな」とか、毎日が「マンネリ化してる」 などと感じるときは「異端児」と呼ばれる人にコンタクトを取ってみましょう。 必ずや「セルフ・イノベーション」のヒントがそこにあることを約束しますよ。□■エッセンス■□「アウトライヤーのなかにこそ、イノベーションの鍵があることが多い。」(p134)▼あなたの周りの「特異例」、「異端児」に注目してみよう。□■今日の紹介書籍■□『戦略「脳」を鍛える』 御立尚資オススメ度★★★★★満点!→・経営者・コンサルタント ・左脳と右脳の使い分けを学びたい方 ・定石を超えた「インサイト」を手に入れたい方
2004年10月26日
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★「過去の実績で未来は決まらない、未来が過去の評価を変える」(p44) ★「営業マンには、誰とでも話せる人というよりは、人の話をじっくり聞ける、臆病なだけに相手の気持ちが読めてしまうという人のほうが向いていたりする」(p70)★「株式市場など、私の感覚では公営ギャンブルと何ら変わりがない。」(p142)★「<ラットレース>、結構ではないか。それが人生というものだ。」(p159)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『採用の超プロが教える 仕事の選び方 人生の選び方』 安田 佳生――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「1年後に死ぬとしても、あなたはその仕事を選びますか?」 ベストセラーとなった前作『採用の超プロが教える できる人 できない人』で、 企業の人材採用にメスをいれた気鋭の人材コンサル・安田佳生氏による続編。 今回は採用者側ではなく、仕事を選ぶ側に主な焦点が当てられています。●死に直面した人がもっとも多く口にするセリフは「やりたい事をやっとけばよかった」 だといいます。著者はそこで「悔いとは<できなかった>という結果ではなく、<やらなかった>というプロセスに対して抱く感情だ。」という言葉を投げかけ、 後悔しない「仕事」、さらには「人生」の選び方までをも語っています。●タイトルだけを見ると、主な読者ターゲットは大学生や転職者なのだろうかと想像 されますが、本書は以外にも経営者やサラリーマンの方にも広く読まれています。 「子供の頃は典型的ないじめられっ子だった」という著者が説く「能力の高め方」や 「経営者の条件」はどれも、我々読者に大変な「勇気」を与えてくれるのでしょう。●今まさに社会人としてのキャリアをスタートさせようという就職活動生や、人生の 転機を迎えた転職者の方たちには、軽薄な面接マニュアルや奇をてらった就活本など を読む前に、このような「人生の本質」に迫った本を読んでほしいと心から思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「営業マンには、誰とでも話せる人というよりは、人の話をじっくり聞ける、臆病 なだけに相手の気持ちが読めてしまうという人のほうが向いていたりする」(p70)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●よく「人見知りをせず誰にでも話せるから営業に向いている」という勘違いを している人がいます。実際に営業の世界で活躍された事がある人や、そういう人に 会ったことがある方はお分かりかと思いますが、「売れる営業マン」は明らかに 「売れなそう」な場合が多いのです。●以前紹介した『世界No2セールスウーマンの売れる営業に変わる本の著者、 和田裕美さんに始めてお会いしたときも、当初想像していたようなフランクで 高圧的な「デキる営業マン」像とは正反対の、繊細さと腰の低さに驚きました。 実際に昔は人が苦手で、初対面の人とはまともに食事もできなかったといいます。●なぜそれでも売れるのか?それは「人に話をする」のではなく、「人の話を聞く」、 そしてそこから相手の気持ちを読み取る繊細さこそが営業力に結びつくからです。 「営業」をはじめとしてこの手の「○○だから△△が向いている」という勘違いは 非常に多い。その中でも、本書にある「好き」に関するものが最も深刻です。●例えば「文章が好きだから新聞記者に」「旅行が好きだから旅行代理店に」「テレビ が好きだからマスコミに」など…。それなら「リンゴが好きならリンゴ農家になる のか?」と言いたい。僕もメルマガを1年近く続けていますが、それは決して 「文章が好きだから」という理由からではありません。●そうではなく「文章を通じて自分の思いを伝えたい」「1人でも多くの人に素敵な 本と出会って欲しい」という思いがあるから続いているわけです。旅行代理店の 例ならば「旅を提供して人の思い出を作りたい」、マスコミだったら「テレビを 通じてお茶の間に温かい空間を演出したい」などという思いが根底に必ずあるはず。●仕事を選ぶ際には、こういった自分の奥底にある「思い」にどれだけ気づいて あげられるかが大切なのではないかと思います。ひたすら文を書き、旅をして、 テレビをみて満足するのではなく、その向こう側にある「社会との繋がり」を いつも意識していたいものですね。□■エッセンス■□「営業マンには、誰とでも話せる人というよりは、人の話をじっくり聞ける、臆病なだけに相手の気持ちが読めてしまうという人のほうが向いていたりする」(p70)▼あなたの仕事の向こう側にある「社会との繋がり」は何ですか?□■今日の紹介書籍■□『採用の超プロが教える 仕事の選び方 人生の選び方』 安田佳生オススメ度★★★★☆→・経営者、人事担当者 ・就職、転職を考えている人 ・死ぬ時に「やりたい事をやっとけばよかった」などと言いたくない人
2004年10月20日
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★「人をうまく動かせる上司や成績の良いセールスマンは、 相手の望む幸せな未来を瞬時に見極める。」(p23)★「ドイツ人の母親は、子供が持ち出してくる無理難題に対して、すべてのその難題を 受け止めつつ、質問攻めをして子どもを説得するというしつけ方をする。」(p65)★「すぐに具体例や比喩、たとえ話などが思い浮かぶ人ほど、 すぐれた業績をあげているような気がする。」(p92)★「<聞く>技術を身に付ければ、自然と人間関係はスムーズにいくのである。」(p132)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『イヤな相手を手のひらで転がす心理作戦』 内藤誼人――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「イヤな相手」。ビジネスにしても、プライベートにしても、「こいつだけは…」 と苦手意識を持ってしまう…あなたの周りにもそんな相手がいませんか? そういった相手に直面したとき、人間が取る行動は3通りに分かれます。●1つは「あいつはキライだ」と言ってなるべく接せず、陰で悪口をいうタイプ。 もう1つは内心「キライ」と思いながらも渋々付き合って、ストレスを貯めるタイプ。 そして最後に「キライ」な相手を言いくるめ、手のひらで動かしてしまうタイプ。●あなただったらどれを選ぶでしょう?食べ物と一緒で、人間も「キライ」と 言って避けているだけでは決して食わず嫌いは治りません。かといって 無理やり食べても、ストレスが貯まるばかり…。だったらいっそのこと、 食べやすいように相手を料理してしまえばいいではありませんか?●とはいっても、実際に包丁を懐に忍ばせて…という話ではありませんよ。笑 本書には「イメージ話術」「アンダードッグ効果」「たとえ話」といった 「イヤな相手を手のひらで転がす」ための心理術が満載。いざという時、 相手を調理してしまうための道具として、そっと胸のうちに忍ばせておきましょう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「ドイツ人の母親は、子供が持ち出してくる無理難題に対して、すべてその難題を 受け止めつつ、質問攻めをして子どもを説得するというしつけ方をする。」(p65)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●たとえば子供が「飛行機が欲しい!」と言い出したとします。日本人の親によく あるように「何バカなこと言ってるの!」とのっけから突っぱねるのではなく、 ドイツ人の母親はそこで、無理難題を要求した子供を質問攻めにするといいます。●「飛行機はどこで買うの?」「どうやって運転するの?」「家のどこに置いておくの?」 子供はこういった質問に答えようとイメージを膨らませていくうちに、自らのその 不可能性を悟る…これはイメージ話術の一つで、心理学の世界では「自己説得」と 呼ばれるものです。●ある研究報告によれば、他人から説得されるよりも「自己説得」が発生した場合の ほうが、はるかに説得効果も高く、また長続きもするといいます。以前紹介した 『君主論』の中で、マキャベリは「なにかを説得するのは簡単だが、説得のままの 状態に民衆をつなぎとめておくのがむずかしい。」と述べていました。●これは君主が、上から無理やり「説得」しようとした結果に過ぎません。 そうではなく、ドイツ人の母親がごとき質問攻めを用いて相手を「納得」させる事。 それこそが、良い関係性の中で「イヤな相手を手のひら転がす」秘訣の1つ なのかもしれません。(笑)□■エッセンス■□「ドイツ人の母親は、子供が持ち出してくる無理難題に対して、すべてその難題を 受け止めつつ、質問攻めをして子どもを説得するというしつけ方をする。」(p65)▼あなたの苦手なあの相手を「自己説得」させてみよう。□■今日の紹介書籍■□『イヤな相手を手のひらで転がす心理作戦』 内藤誼人オススメ度★★★☆☆→・気難しい客を「Yes」と言わせたいセールスマン ・相手を「その気」にさせる話術を身に付けたい方 ・円満な人間関係を構築したい方
2004年10月17日
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★「人生に必要なことはすべて旅が教えてくれた」(p45)★「ある人間の移動距離の総和と、情報量の総和とは合致している。」(船井幸雄)★「プロ7割に、3割の目安で素人をブレンドすることにした。」(p132) ★「自分にとって苦手な人間ほど身近にいるほうがベターである。」(p134)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『思う、動く、叶う!』 澤田秀雄――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ヤフーBBで知られるソフトバンクの孫正義氏、人材派遣大手であるパソナの 南部靖之氏と並んで「ベンチャー3銃士」に数えられる、旅行代理店H.I.Sの 澤田秀雄氏。学生時代に50カ国以上を旅した経験を元に旅行会社を設立し、 格安航空券を中心としたビジネスで旅行業界に一大旋風を巻き起こしました。●その後も95年には株式上場を果たし、航空会社「スカイマークエアラインズ」を 立ち上げたり、証券業界に参入したりと、なんともエネルギッシュな企業活動を繰り 広げている話題の起業家です。一体その情熱とパワーはどこから溢れてくるのか?●「20年近くビジネスマンとして歩いてきた今、ビジネスの世界でも私は旅をして いる気がする。」そう口にする澤田氏にとってはビジネス、しいては人生さえも 大好きな「旅」の一環なのかもしれません。だからこそエネルギーが沸いてくるので しょう。ただその中でも夢や目的の成就のために心がけていることはあるようです。●その根幹となるものが、本書のタイトルにもなっている「思う、動く、叶う」。 まずは心から達成したいという思いを持ち、その後は「人事をつくして運命を つかみとる」という気概で臨むこと…なんとも歯切れのいい言葉が読者の胸に突き 刺さります。人生という旅において、新たなる門出を踏み出したい方にお奨めの1冊。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「人生に必要なことはすべて旅が教えてくれた」(p45)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●コミュニケーション能力、計画力、行動力、度胸、注意力、柔軟性、広い視野 …旅で得られるものというのは数え上げればキリがありません。ただ本書には その魅力とベネフィットを見事に表している、こんな一文があります。●「旅は必ず帰るためにある。だが究極の旅の楽しさとは、一時期でもその土地の 人間になることではないか。そうすると、人間には色々な生き方があることがわかる。」 この「生き方との出会い」が、旅を通して学べる最大にして最高のものでしょう。●色々な生き方を知るのはある意味で怖いことです。それは時として、これまで自分が 一生懸命積み上げてきたものを、一瞬で「無価値」だと悟ることにも繋がるから。 ただ僕は、そのように色々な価値観と出会うことでより広範なものを吸収できるよう になるし、またそれこそが「自分の生き方」との出会いに繋がるのではと思います。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「ある人間の移動距離の総和と、情報量の総和とは合致している。」(船井幸雄)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これは船井総研創設者である船井幸雄氏の言葉です。もしこの通りだとしたら、 <旅をたくさんしている人ほど、膨大な情報量を保有している>という ことになりますね。これは一見正しいのですが、実は非常に勘違いされやすい。●たくさんの旅を経験した人が多くの情報を持つというのは、旅先で色々な情報を 入手しているからではありません。そんな情報など、所詮時代が変わればすぐに使え なくなる代物でしょう。そうではなく、色々な場所で異なった価値観に触れたことが 様々な角度からの情報を、柔軟に吸収できる土壌を育て上げているのです。●だから正確には「ある人間の移動距離の総和と、情報の収集能力は正比例している」 といえるのかもしれません。机の上に座ってパソコンで情報収集に走る前に、 自らの足で多くの土地を回り、色々な情報を吸収できる土壌を肥やしたいものです。□■エッセンス■□「人生に必要なことはすべて旅が教えてくれた」(p45)▼あなたは最近、自分の価値観を打ち砕くような「生き方」に出会いましたか?□■今日の紹介書籍■□『思う、動く、叶う!』 澤田秀雄 オススメ度★★★☆☆→・エネルギーがほしい方 ・願いを「叶え」たい方 ・人生の大きな岐路にある方
2004年10月14日
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★「おカネもテクニックも知識も人脈も、本気にはかないません。」(p14) ★「お客様は商品の原価やコストにおカネを払おうとは思いません。 自分が思い描ける夢の大きさにおカネを払ってくれるのです。」(p31)★「商品の機能ではなく、お客様のベネフィットを書き込む」(p139)★「成功よりも失敗談のほうが楽しい読み物になります」(p187)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『売れるしくみはこうつくれ』 岡崎太郎――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「ゼロから月商1億円を達成した男」。著者の岡崎氏は24歳のときに通販業界 へと飛び込み、知識もテクニックないゼロの状態から2年で月間売り上げ1億円 を達成しています。「いちごみるくダイエット」など、その開発・販売に携わった ヒット商品はなんと30を越えるといいます。●本書は、そんな通販業界のカリスマが明かした超実践的・ノウハウ集です。通販界の ノウハウをここまでさらけ出した書籍は他に類を見ません。「新規売り上げの50%を 広告費に」「商品原価は30%以内で」「チラシは1000人見て1人反応があればよい」 など、これから起業を考えている人にとっては目からウロコの情報が満載です。●「通販なんて、所詮ダイエット商品や健康食品などを弱みに付け込んで売りつける 詐欺まがいの悪徳商売だろう」そんな偏見を抱く方がおられるかもしれません。 もちろん一部でそういった業者がいることは否めませんが、もし著者がそのような 邪な企みを持っていたとして、果たしてここまでのヒットを生み出せたでしょうか。●本書には繰り返し「想い」というキーワードが登場します。商品に対して、従業員に 対して、そして顧客に対して…深い情熱と愛情を持って望んでいたことが切々と 伝わってきます。そして今、その「想い」は本を読んでいる僕らに向けられている…。 岡崎氏の根底に流れる、ヒットメーカーのDNAをぜひとも学び取ってください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「商品の機能ではなく、お客様のベネフィットを書き込む」(p139)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●たとえば僕たちが車を購入しようとした時、エンジンがどうとか、サスペンションが がどうのとか…こういった機能も大切なことは大切です。けれどこの機能だけをみて 購入を決める人ってほとんどいませんよね。もっと大切なのは、その車に乗って どんなベネフィットが得られるのか、どんな大きな夢が描けるのか…ということ。●フェラーリを買う人はそのスピードや機能もさることながら、それに乗ることで 開かれる華やかな世界を想像して購入を決めているのです。そういった意味でまさに 「商品の価値というのは、その商品が提供できる夢の大きさで決まる」といえます。●このように考えてみると、商品を宣伝をしたり営業する側としては「商品の機能を 延々と説明する」ことほど愚かなことはありません。それでは相手の興味すら無視 して「俺はこんな凄いんだ!だから結婚してくれ!」と叫んでいる悲しき求婚者と 変わりありません。●そうではなく、その商品を買ったとき、またその相手と結婚したとき、 そこにどんな便利な生活があり、どんな華やかな結婚生活が待っているのか… それが連想できて始めて、人も商品も結ばれることができるのではないかと思います。 常に相手の「1歩先」を読んで、話のできる想像力を身に付けたいものですね。□■エッセンス■□「商品の機能ではなく、お客様のベネフィットを書き込む」(p139)▼あなた、もしくはあなたの商品を得るとどんなベネフィットがありますか?□■今日の紹介書籍■□『売れるしくみはこうつくれ』 岡崎太郎 オススメ度★★★☆☆→・通信販売や広告関連に携わっている方 ・商売の基本的な「しくみ」を整えたい方 ・自分の「想い」を商品に乗せて伝えていきたい方
2004年10月11日
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★「全ての企業が『顧客満足』という土俵で勝負している。」(p33)★「顧客と接する機会があれば、それはすべて、価値を創造するチャンス」(p53)★「フィードバックには3種類あります。 プラス評価とマイナス評価と、そして評価なしです。」(p108)★「報いられるのは経済的収入で、認められるのは心理的収入」(p114)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ディズニー7つの法則』 トム・コネラン――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●世界中で人々を魅了して止まない「マジック・キングダム」ディズニー。 本書はそのディズニー・ワールドがいかに「顧客満足世界一」を成し遂げ、 今も人々に魔法をかけ続けているのか…その舞台裏に迫ります。●全米から集まった5人の男女が、ディズニーの歩きながらその成功の秘訣を 探り出すという趣向に、読んでいるほうもワクワクしてきます。 そしてそこには「顧客が比べるすべての企業を競争相手と考える」「細部にまで徹底 してこだわる」といった驚くべき7つの不文律が隠されていました。●それらの不文律を維持しているのは紛れもなく、現場で働く人々…ディズニーでは 彼らのことを「キャスト」(出演者)と呼びます。面白いエピソードをひとつ紹介 しましょう。あるキャストがお客から「3時のパレードは何時から始まりますか?」 と尋ねられました。あなた、もしくは自社の社員なら何と答えるでしょうか。●普通なら何を馬鹿な…と呆れてしまうところを、そのキャストはにっこり笑って こう答えました「はい、予定通り3時に始まります。ですから30分くらい前に 行けば良い場所を取れますよ。」何のことはない会話かもしれませんが、ここに、 「期待通りではなく期待以上」という顧客満足の極意があります。●キャストたちは平均して1日60回、このようにお客と接する機会があると いいますが、彼らはその全てを「魔法をかける瞬間」に変えようとしています。 下手な顧客満足セミナーなどに出るよりも、ディズニーに足を運んで、 1日中キャストについて回った方が、何倍も勉強になるかもしれませんよ(笑)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「報いられるのは経済的収入で、認められるのは心理的収入」(p114)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「ディズニー7つの法則」の中に「報い、認め、讃える」というものがあります。 マネージャーは「ゲストサービス・熱狂カード」というものを常に持ち歩き、 感動的なサービスを提供しているキャストを見つけると、それを渡すとか。●他にもキャストが他のキャストをノミネートする「ディズニー・スピリット賞」など ディズニーにはお互いを「認め、讃えあう」ためのシステムが整えられています。 「他人に認められたい」「自分の重要感を満たしたい」これらは全ての人間が持つ 根本的な欲求です。しかし現実に、これを無視している組織のいかに多いことか…。●労働に対して給料や昇進、といった形で「報い」るのは、もちろん大切なことです。 ろくにお金ももらえず、食事もままならないような状態で「熱狂カード」など もらっても、自身の熱狂はさめていくばかりでしょう。「報いる」という 経済的収入は、例えるならば前進を続けるためのガソリンのようなものです。●一方で「認め、報いる」という心理的収入は、そのガソリンに火をつけて燃え上がら せるためのエンジンのようなもの。どれだけ豊富にガソリンを用意したところで、 それを動力に変えられないのならば前進はありえません。お互いに切磋琢磨し、 加速していけるようなエンジンを、自分たちの組織にも植えつけたいものですね。□■エッセンス■□「報いられるのは経済的収入で、認められるのは心理的収入」(p114)▼「認め、讃え」合える仕組みを作り、効率的にガソリンを燃やそう。□■今日の紹介書籍■□『ディズニー7つの法則』 トム・コネリン オススメ度★★★★☆→・ディズニー好きな人 ・自社の顧客満足を高めたい方 ・サービスとは何か?という原点に帰りたい方
2004年10月08日
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★「私たちが執着しているものは、ものとものとの差なのです。そして、ものともの との差、違いから生み出される私たち自身に執着しているのです。」(p58) ★「私たちは肩書に会い、地位に会い、要するに「違い」と会っているのです。」(p99)★「仲間の幸せをわがことのように喜べるなら、私たちの幸せは無限である。」(p110)★「ストレスを引き起こす状況そのものがストレスになるわけではない。」(p151)★「本当の勝利、それはただひとつ、戦いの誘惑に打ち勝つことからのみ生まれます。」(p230) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――『覚醒のネットワーク』 上田紀行――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●この豊かな日本に暮らしていて「何かがおかしい」と感じたことがありませんか? 食料は豊富にあり体も健康なはずなのに、どこか満たされない…。 携帯にはたくさんのメモリが入っていても、どこか孤独感を感じる…。 そんな思いに対する答えが、ひょっとしたらこの本の中にあるかもしれません。●こういった無力感や孤独感という物は、実は世界の深層にある「ネットワーク」から 断絶されることで生じるといいます。holy(聖なる)やheal(癒す)、health(健康) といった単語は、実はWhole(全体)という単語から全て派生しているといいます。 ネットワークにおける一体感を取り戻すことが、何よりの処方箋となりそうですね。●大病を経験した人や、臨死体験をした人、愛する人を失った人や、事業に失敗した人 …こういった人と話したことがある人は分かるかと思いますが、人生の一大危機や 絶望を乗り越えてきた人というのは、どこか違った顔つきとオーラを持っています。 そんな彼らや、多くの宗教家に通じているものが「気づき」すなわち「覚醒」との事。●本書のタイトル「覚醒のネットワーク」というのはすなわち、 その「覚醒」によって結ばれる全体意識を示します。 著者の上田紀行氏は東大卒の文化人類学者。「癒し」を多面的に研究し続けてきた 著者がその成果を、自らの体験を通して伝える究極のスピリチュアル・ブックです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――「私たちが執着しているものは、ものとものとの差なのです。そして、ものともの との差、違いから生み出される私たち自身に執着しているのです。」(p58)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●僕たちは、「ものの価値」を判断しているのではなく、実際は「ものとものとの差」 しか判断できていません。「いい時計」と「悪い時計」。「いい会社」と「悪い会社」。 そして僕らのアイデンティティーはまさにそこからの「差」に立脚している。 学生時代に叩き込まれた偏「差」値的な考え方から、全く抜け出せていないのです。●そしてこの「差」にしか価値を見出せない思考は、人生の幸不幸をも退屈にします。 なぜならそこには「自分が幸せになるには、相対的に自分より不幸せな人が いなければならない」という<幸福量一定の法則>が働くからだといいます。 人の幸せを何となく喜べない時、まずこの法則にハマってないか気をつけましょう。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――「本当の勝利、それはただひとつ、戦いの誘惑に打ち勝つことからのみ生まれます」(p230)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●かのベンジャミン・フランクリンはこんな言葉を残しています。 「議論したり反駁したりしているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。 しかし、それはむなしい勝利だ―相手の好意は絶対に勝ち得られないのだから。」 一番の強敵は、戦いの誘惑をしてくる「自分自身」ということでしょうか。 ●ただし僕は、議論が完全に無駄だとは思っていません。2人いてお互いいつも同じ 意見だとしたら、1人は必要ないということになります。肝心なのはそれが建設的な 議論かどうかという事でしょう。「知恵」が得たいのか、単に「好意」が得たいのか? むなしい勝利に終わらないためにも、戦いの成果物は明確にしておきたいものです。□■エッセンス■□「本当の勝利、それはただひとつ、戦いの誘惑に打ち勝つことからのみ生まれます」(p230)▼目の前の戦いを勝ち抜くことで、手に入れたいものは何ですか?□■今日の紹介書籍■□『覚醒のネットワーク』 上田紀行 オススメ度★★★★☆→・何か「満たされてない」と感じている方 ・心の底からの癒しを求めている方 ・覚醒のネットワーク入りをしたい方
2004年10月05日
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★「作者自身が恥ずかしくて書きたくない真実こそが、読者を感動させる」(p63)★「まんべんなく、みんなあることは、全く無いのと同じです。」(p44) ★「他人の本を引用しないで本を書く方は、99%いません。」(p102)★「本の40%は驚くなかれ、わずか200店の大型書店で売られている」(p217)★「2番目以降の人は、1番の人と全く反対のことをやれば成功できます。」(p232)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『普通の人が本を書いて怖いくらい儲かる秘術』 わらし仙人――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「本を書けば、人生に奇跡が起こります!」怪しげな著者の、怪しげな一文で本書は 始まります。しかし実例を見ても、本を書くことで人生の変わった人というのは 非常に多い。実践マーケッターの神田昌典さんも、「ユダヤ人大富豪の教え」の本田健 さんも、「週末起業」の藤井孝一さんも皆、本を出すまでは全くの素人でした。●それが一度本を出すと「先生」、「講師」などと呼ばれ講演やインタビューの依頼が 殺到。日本人には「活字信仰」というものがあるのです。教科書教育の悲しき結末 でしょうか、本で文章になったものを読むとどこか「権威」を感じて信用してしまう。 有名になりたいのだったら、これを利用しない手はありません。●本書が説くのは「普通の人」でも本を書いて儲かる秘術。企画に始まり、文章作成、 表紙の作り方、書店への売り込み、果ては口コミの発生の仕方まで、ベストセラーを 生み出すために必要なテクニックがほぼすべて網羅されています。この通りに 実行すれば、「普通の人」でも間違いなく書店に本を並べることができるでしょう。●ただ、この通りに実践できた時点ですでに「普通の人」ではなくなっている気が します(笑)結局どれだけ役に立つノウハウがあっても、使わなければただの雑学。 Amazonで批判を繰り広げる前にまずはやってみたらどうでしょう? 「ノウハウ」を本気で「ドゥーハウ」に変えたい方にお奨めしたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「2番目以降の人は、1番の人と全く反対のことをやれば成功できます。」(p232)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●1位の人というのは、すなわちその道の「権威」です。基本的にその人が 書いたり、喋ったりすることは何だって力を持ってしまう…、でも彼らにだって できないことがあります。それは正反対のことを同時に「いい」ということ。●「中国株投資をしなさい!」と言ったり「今は中国株投資をするな!」と言ったり…。 「起業するべきだ!」と言ったり「大企業へ行きなさい」と言ったり…。 コロコロと意見の変わるような人だったら、すぐに1位の座から転落するでしょう。●ならばそこで、2位以下の人は1位の人とは反対のことを言ったらいい。 同じことを手を変え品を変え言ってみたところで顧客は「あぁまたか」となって しまいます。…が、正反対のことを言われたらどうでしょか?●基本的に人間というのは、自分の信じていることと正反対のことを言われると、 耳を傾けずにはいられません。株を買おうとしている時に「まだ株は買うな!」 といわれたり、起業しようと思った時に「起業家の実態」などを見せられると 嫌でも気になってしまうもの。ここに2位以降の人にとってのチャンスがあります。●この世の事象は、基本的に全て二律背反で成り立っているといいます。そして 皆が「いい」とか「わるい」とか言っているのはあくまでそのうちの1つの側面に 過ぎない。全てはサイクルとして繰り返していきます。株がいい例ですね。●「起業」についても、今はやたらと持てはやされていますが、何十年か後には また大企業信仰のようなものが戻ってくるかもしれません。神田昌典さんにしろ、 本田健さんにしろ、時代の寵児とされている人達というのは、その「サイクル」を 読みいち早く行動に移していった人達なのです。両の目でしっかりと時代を見据え、 日々先見性を養っていきたいものですね。□■エッセンス■□「2番目以降の人は、1番の人と全く反対のことをやれば成功できます。」(p232)▼そろそろ正反対の事が盛り上がってきそうな分野はどこか?□■今日の紹介書籍■□『普通の人が本を書いて怖いくらい儲かる秘術』 わらし仙人オススメ度★★★☆☆⇒・本を書いて有名になりたい方 ・メルマガを書いている方 ・具体的な出版ノウハウが知りたい方
2004年10月02日
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★「ビジネスの現場では1つの具体的結論が100の評論に優る」(p33) ★「いちばんよく見えて気になるのが競合の動きであり、いちばん不安や不満を持つ のが自社の業績だろう。そしていちばん遠く見落としがちなのが市場の動きだ。」(p50)★「ビジネスで重要なのは<わかること>を<できること>に移行させること」(p113)★「情報収集の基本は、欲しい情報が大事な情報、価値のある情報であり、 かつ世の中に存在しない情報は自分で作る、というスタンスで臨むべきだ。」(p176)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』 齋藤嘉則――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ポジメン、ロジシン、パラテン…何のことかわかりますか?呪文じゃありませんよ。 これは「ポジティブ・メンタリティー」「ロジカル・シンキング」「パラダイム転換」 のことで、著者はマッキンゼー時代にこの3つを行動規範にしていたといいます。●中でも本書『問題解決プロフェッショナル』は「ロジカル・シンキング」に焦点を 当てて書かれた本です。「論理的思考」などと聞くとそれだけで、型にはまった堅苦し そうなイメージを浮かべる方もいますが、本書はその類のものとは一線を隔します。●そもそも既存の枠組みがいたるところで崩壊する「パラダイム・カタストロフィー」 の時代にあっては、ひとつの枠組みを押し通すほど愚かなことはありません。 かといって矢継ぎ早にパラダイムが興亡する中で、いちいち新しい枠組みを学んだり、 それに合わせたりしていたら、たまったもんじゃない…。●だったら自分でその枠組みを作ってしまえばいいじゃないか。そこで本書は 「MECE」や「ロジックツリー」といった武器を手に、自らその「枠組み」を提案 する方法を教えます。学んでみると「ロジカルシンキング」というのは、意識して いないだけで、実際は誰もが頭のなかでやっていることだとわかります。●しかしそれを「型」として意識しているのと、していないのでは大きな違いが あります。テニスや野球のフォームと同じですね。はじめは少し窮屈に感じる かもしれませんが、慣れた頃には必ずや大きな成長を遂げていることでしょう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「情報収集の基本は、欲しい情報が大事な情報、価値のある情報であり、 かつ世の中に存在しない情報は自分で作る、というスタンスで臨むべきだ。」(p176)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●昔、ある会社に新規事業を提案したことがありました。そのときにメンターから 教わったのが本書にもある「仮説思考」の大切さ。今の時代、情報なんて集めよう と思えばいくらでも集まります。でも「仮説」がなければ情報は無意味に等しい。●僕が提案したのはサプリメントの販売でした。事業企画なんて始めての僕は、 ひたすらデータ収集に明け暮れ「サプリメントの市場規模は1兆円」、「一番人気の サプリはビタミンC」などと、情報を集めるだけで満足してしまっていた…。●今思えば、その様に「仮説」なしに集めただけの情報には、ほとんど意味がなかった と思います。そんなものはインターネットに繋げばすぐ分かる事だし、そもそも変化 の激しい現代において、それが明日も正しい情報とは限りません。●大事なのは「仮説」を持ち、そこから必要な情報を集めること。抜粋文にもあるように、 もしそこで見つからなければ「自分で作る」くらいの姿勢が必要だと思います。 たとえば「ネットでのアガリスク(老化防止サプリ)販売が有望」という仮説を立てる。●そこから「サプリ市場は1兆円。オンラインショッピング利用者が30%として3千億円。 現在アガリスク購入者は全体の7%だが、団塊の世代が定年し健康に気を使い始めると、 将来購入者は全体の10%近くになるだろう。見込まれる市場規模は300億円相当である」 あとはこれを裏付ける情報を探すだけ。これはもはや立派な「仮説思考」といえますね。●情報は収集することにではなく、活用することに意味があります。 どれだけ素晴らしい料財を集めてきたところで、調理されなければ意味がない。 時がたつとともに鮮度は衰え、しまいには食べる事すらできなくなるでしょう。 「仮説」というレシピの元に、正しい情報の使い方を心がけていきたいものです。□■エッセンス■□「情報収集の基本は、欲しい情報が大事な情報、価値のある情報であり、かつ世の中に存在しない情報は自分で作る、というスタンスで臨むべきだ」(p176)▼あなたは単なる「情報収集マニア」で終わっていませんか?□■今日の紹介書籍■□『問題解決プロフェッショナル「思考と技術』 齋藤嘉則オススメ度★★★★☆⇒・論理的思考を身につけたい方 ・新規事業を考えている方 ・情報の「取り扱い説明書」を手に入れたい方
2004年09月28日
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★「起業家ばかりでなく、時代を作ってきた人々は、みな起業家精神を持っていた」(p14)★「安定を変化する他に求めるのは、そもそも根本的な誤り」(p36)★「1つの失敗は1つのノウハウの発見になる」(p45)★「自分にとって違和感があるものほど、自分を成長させる」(p67)★「悩んだ時間分しか、人は成長しません。」(p142)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『起業家精神』 福島正伸――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●戦国時代、明治維新、戦後荒廃期…振り返ると時代の変革期にはいつも、 常識を打ち破り、強烈なビジョンとポリシーで道を切り開いていった者の姿が ありました。彼らの武器はただ1つ、己の心に秘めた「起業家精神」のみ。●本書はその「起業家精神」の構造を解き明かした、「心の解剖書」です。 中でも起業家にとって最も大切なのが「可能性を信じ続けること」と 「障害を成長に変えること」。●戦国の世を切り拓いた織田信長は尾張の弱小大名であった時に「天下布武」を掲げ ました。信長はその可能性は疑うことはなかったでしょう。「できるかできないか」 ではなく「どうすればできるか」をひたすら追求した結果が歴史に残っているのです。●野山の獄に繋がれた吉田松陰は、囚人と専門知識を出し合う事で、獄中という障害 さえも、成長の場に変えてしまいました。後に解放された松陰は松下村塾を開き、 日本の文明開化にあたって大きな一翼を担うことになります。●この2人が時代の変革期にあって「起業家精神」を発揮し続けたことは間違い ありません。そしてもう1つ確かなのは、我々が生きるこの21世紀も大きな 変化の波にさらされているということ。自分なりの信念とビジョンを片手に この荒波を乗り切っていきたい、という全ての方に読んでもらいたい1冊です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★ 「安定を変化する他に求めるのは、そもそも根本的な誤り」(p36)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「家庭を持って幸せに暮らしたい。」「マイホームを買って安らげる場所が欲しい。」 こういった安定を求めるのは人間の根本的な欲求です。本書もそれ自体を否定する ことはしません。しかし大切なのはその安定を「外に求めるか」「中に求めるか」。●安定を自分の外に求めてしまった場合は悲劇です。会社に安定を求めた結果、定年を 迎えた多くの方がどうなっているか??そもそも、現在は個人の労働年数の方が 企業の存続年数よりも長くなってしまっています。自分よりも早く消えるものに、 どうして安定を求められるのでしょうか?●変わり続ける世の中に安定を求め続けるというのは、すなわち流され続けること でしかありません。「マネジメントの父」として知られるP・ドラッカーも「変化を マネジメントする最善の方法は自ら変化をつくりだすことである」と述べています。●自分が変化の中心となると、自然と自分の「中」は安定してくるものです。 オーケストラの指揮者のような全体的視点と、台風の目のように穏やかな心で、 「変わらぬ変化」を生み出していきたいものです。□■エッセンス■□「安定を変化する他に求めるのは、そもそも根本的な誤り」(p36)▼あなたは安定を「外」ではなく、自分の「中」にみつけていますか?□■今日の紹介書籍■□『起業家精神』 福島正伸オススメ度★★★☆☆→・アントレプレナー ・仕事にやる気を失っている方 ・不可能を可能にしたい方
2004年09月25日
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★「P/PCバランスは効果性の中心的な概念」(p70)★「人生の最後の姿を描き、それを念頭において今日という一日を始める」(p127)★「99人の心を掴む鍵を握っているのは、1人の人に対する接し方だ。」(p286)★「間違いを犯すことは一つの問題であるが、それを認めないのはもっと大きな問題」(p289)★「二人の人が同じ意見を持っているとすれば、そのうちの一人は余分である。」(p417)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『7つの習慣』 スティーブン・R・コヴィー―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「社会的には成功したが、気づけば恋人は去り、家族は他人同然に・・・」「毎日毎日仕事に忙殺され、自分を見失ってしまっている。」「結婚生活が味気なくなってしまった」「子供がどうしても言うことを聞いてくれない」●こういった問題はどれも非常に根が深く、いわゆる「テクニック」に頼った応急処置 では解決ができません。そこで本当に必要なのは、問題の見方そのものを変える事、 すなわち自己のパラダイム(思考の枠組み)を根底から転換することなのです。●バーナード・ジョーは「分別がある者は自分を世界に合わせようとし、 分別がない者は世界を自分に合わせようする」という言葉を残しています。 ただし、闇雲に合わせるだけではいけません。自分を合わせる対象はあくまで 「原則」中心でなければいけません。その原則を説明したのが本書「7つの習慣」。●ビジネス書として全席世界の歴史上最高の売り上げを誇り、著者のコヴィー博士は 世界で最も影響力のあるビジネスの思想家と評されています。とはいっても、本書 の内容はビジネスにおいてのみならず、個人においても、家庭においても大変有用な ものとなっています。帯に刻まれた通りの「永遠の人間学」をここに学んでください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「P/PCバランスは効果性の中心的な概念」(p70)―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●前半でも述べたように、本書「7つの習慣」は、我々のパラダイムを原則中心に 置き換えることによって、日常生活やビジネスにおいても「効果性」を発揮する ことに主眼を置いています。そしてその中心的な概念がこの「P/PCバランス」。●Pは「Performance」すなわち「目標達成」を示し、PCは「Performance Capability」 つまり「目標達成能力」を示します。イソップ物語の『ガチョウと黄金の卵』を 思い出せば、この「P/PCバランス」という概念が簡単に理解できるかと思います。●「あるところに黄金の卵を産むガチョウがいました。飼い主は毎朝卵を回収し、 それを売ってお金を儲けていましたが、ある日待ちきれずにガチョウを殺し、 お腹の中の卵を全部取り出そうとしました。しかし中に卵は見つからず、 飼い主は富をもたらしてくれるガチョウさえも永遠に失ってしまいました。」●この場合は「黄金の卵」がPであり、「ガチョウ」がPCだったのです。飼い主が Pにばかり夢中になり、PCに一切気を使わなかった結果がこれ。もっとPCに気を 配り、ガチョウを大切にしていればPの「黄金の卵」は失われることはなかった…。●実はこれはビジネスでも恋愛でも…全てにおいて当てはまります。「売り上げ」という Pに夢中になるばかりに、「従業員」や「顧客」といったPCを等閑にしていないか? 恋人に要求(P)ばかりをして、愛情(PC)を注ぐのを忘れていないか?(…痛い 笑) このバランスを意識するだけでも、毎日の質は格段に向上することでしょう。□■エッセンス■□「P/PCバランスは効果性の中心的な概念」(p70)▼目標達成ばかりに気を取られて、達成能力に対する配慮が欠けてませんか?□■今日の紹介書籍■□『7つの習慣』 スティーブン・R・コヴィーオススメ度★★★★★満点!→・ビジネスにおいて成功したい方 ・人間関係で悩んでいる方 ・親、教師、管理者を始めとする教育関係者
2004年09月22日
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★「一人の知恵というものは、所詮は衆知に及ばないのである。」(p89)★「指導者は世論を越えて、より高い知恵を生み出さなくてはいけない。」(p119)★「指導者は才能なきことを憂うる必要はないが、 熱意なきことをおそれなくてはならない。」(p173)★「指導者は自分よりすぐれた才能を使うことが大事である。」(p182)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『指導者の条件』 松下幸之助――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●これだけ人口過多な日本においても、人材の不足に喘ぐ企業や団体が少なくない ように思われます。ただし外部に人材を求める前に、組織メンバーの力が完全に 発揮されているかどうか、考えてみる必要があるのではないでしょうか。●メンバー1人1人がどれだけ優秀であっても、良き指導者に恵まれなければ 組織は混乱し、やがて衰退していきます。反対にメンバー1人1人がどれだけ 平凡であっても、指導者が個々の力を発揮させ、方向性を定める事ができれば 組織は驚くほど発展していく…ではそういった「指導者」に求められる資質とは?●「論語」の孔子、「三国志」の劉備、哲学者のソクラテスに政治家のリンカーン、 戦国大名の織田信長から明治維新の西郷隆盛まで、古今東西に渡る優れた指導者の 言行を集め、「指導者の条件」を解き明かそうとしたのが本書です。「経営の神様」 といわれた著者・松下幸之助の見解まで加えられた、何とも贅沢な1冊。●「あるがままにみとめる」、「謙虚である」、「使命感を持つ」といった指導者に とって心に刻むべき心得が見開きで1つ、合計102ヶ条掲載されています。 困ったとき、悩んだとき、優しく進路を照らし出してくれる「指針の書」。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「一人の知恵というものは、所詮は衆知に及ばないのである。」(p89)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●指導者は常に人の意見に耳を傾けなければならない、といいます。 過去に成功体験があり、血気盛んになった指導者ほど周りの声が聞こえなくなる ものです。そういった指導者ほど、ともすれば独断に陥り過ちを犯してしまいがち。●指導者に求められるのは、「自身の知恵を押し通す力」ではなく、「他人の知恵を まとめ上げる力」。極端に言えば、自分に知恵を絞れなくても他人の知恵を絞れれば いいわけです。その意味で「衆知」を聞くというのは、とても大切なこと。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「指導者は世論を越えて、より高い知恵を生み出さなくてはいけない。」(p119)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●ただしその後で、一見矛盾しているかにも見える、上記の1節が出てきます。 「自分に知恵がなくっても、衆知が利用できればいいっていったじゃないか」 そう思われるかもしれません。確かに衆知や世論といったものは妥当なことが多い。 しかしそれだけに過去の常識やそれまでの社会通念に縛られていることも多いのです。●指導者には時として、こういった常識を超えて発想を生み出す能力、 世論を超えた新たな知恵をひねり出す力というのが必要とされるのですね。 結局「世論だけ聞いていればいい」とか、「自分の知恵だけ使ってればいい」 という「ORの世界」ではやっていけないのです。●そうではなく、普段は「衆知」を利用しながらも、時には「世論を超えた知恵」 を活用して自己を押し通すという「ANDの世界」。真に卓越した指導者になるには、 この世界の住人になる必要がありそうです。□■エッセンス■□「一人の知恵というものは、所詮は衆知に及ばないのである。」(p89)「指導者は世論を越えて、より高い知恵を生み出さなくてはいけない。」(p119)▼世論に流されない勇気と、自分ひとりの知恵に溺れぬ謙虚さ。□■今日の紹介書籍■□『指導者の条件』 松下幸之助オススメ度★★★★☆→・経営者、政治家、教師 ・子供や兄弟、部下をもっている方 ・自分の「人生の指導者」になりたい方
2004年09月19日
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★「知名度が上がればおのずと情報や人材が集まってきて、 ある時、突然に悩みまでが一気に解決し始める。」(p79)★「<買い物>とは買ったら終わりではなく、 買ったときが出会いであり、そこからが始まりなのだ。」(p104)★「商品を買ってくれる顧客を探す前に、その商品に興味を 持つであろう人々をあらかじめプールしておく。」(p140)★「新市場を探すよりも、絞り込んだキーワードに集まるクチコミュニティを創出し、 そのキーワードを柱に補完する事業を展開した方が絶対に成功しやすい」(p152) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――――――――――――――――――――――――――――――――――――『クチコミュニティ・マーケティング』 日野佳恵子――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「主婦を制するものは世帯を制す。」ご存知でしょうか、購買決定の8割は女性が 握っていることを。一人暮らしの場合を除き、食糧や生活品、果ては旦那や息子 の下着までも主婦の方が買っているというケースはざらではありません。●そしてご存知でしょうか、彼女たちの実に80%以上が宣伝広告よりも「クチコミ」 を信じると言っていることを。にも関わらず、マーケターの8割は男性が占めており、 企業の宣伝費の8割以上が広告に費やされているのが現状です。とはいってもクチコミ で会社を伸ばせられるわけないじゃん…そう思われる方は多いでしょう。●確かに、いつ起こるかわからないクチコミを信じて商品を提供し続けるだけでは、 永久に人気はでないかもしれない…しかしクチコミは生み出すことが出来るのです。 それも「コミュニティ」という特殊な「場」で発生させることで、 継続的にお客さんの集まる仕組みをつくることができるのです。●その手法を説いたのが本書「クチコミュニティ・マーケティング」。 著者の日野佳恵子さんは、実際にクチコミを利用してHERSTORYという会社で 会員数10万人を超える巨大コミュニティを作り上げ、創業以来14年間連続増収を 記録しています。マスコミ登場回数も年間57本を超える、今を時めく女性起業家。●本書は第一章で「クチコミュニティ・マーケティング」の概念が説明されたのち、 第二章で実際にHERSTORYがこの手法を用いて成長してきた証が、 続く第三章でそれを一般の会社にも導入するための指南が書かれています。 新世代のビジネス・モデルを確立したい方にゼヒ、読んでいただきたい1冊です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「<買い物>とは買ったら終わりではなく、 買ったときが出会いであり、そこからが始まりなのだ。」(p104)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●本書は、単なるクチコミの本でもなければマーケティングの本でもない。 上の抜粋文からも分かるように、ここで述べられているのは新たなる 販売スタイルの提案に他なりません。それこそが「クチコミュニティ」を 利用したビジネスモデルなのです。●具体的にみてみましょう。あらゆる情報とモノの溢れた日本において、 いま人々の消費行動というのは大きな変化を見せています。いわゆる「ヒット商品」 が生まれにくく、商品のライフサイクルは短命化の一途を辿っています。●そんな中、<買い物>をしたらそれで終わり…商品が出来るたびに新たな顧客を探す ような販売スタイルでやっていくのは大変、といよりむしろ不可能に近い。そこで 本書が提案しているのは「予め、商品に興味を持ちそうな人々をプールしておく」と いう手法。そこでクチコミが広まるような仕組みを作れば、勝手に売れていきます。●たとえば、釣り具店であれば、釣り具を売ると同時に、釣りマニアの集まる コミュニティを作り、情報交換の場を設けたり、釣り大会を開催したりする。 まさにその店で<買い物>をした瞬間が出会いであり、全ての<始まり>に なる…そんな素敵な関係をお客さんとの間にも作っていきたいものですね。□■エッセンス■□「<買い物>とは買ったら終わりではなく、 買ったときが出会いであり、そこからが始まりなのだ。(p130)▼顧客が交流でき、クチコミの広まるような「仕組み」を作ろう。□■今日の紹介書籍■□『クチコミュニティ・マーケティング』 日野佳恵子オススメ度★★★★★満点!→・男性ビジネスマン ・「営業のいらないビジネス」をしたい方 ・次世代の「購買スタイル」を見つめたい方
2004年09月16日
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★「人は<自分の話を聞いてもらうのが好き>であり、 <自分の話を聞いてくれる人が好き>である」(p77) ★「<自分がどうありたいか>よりも<相手がどうありたいか>」(p86)★「どんなに優れた商品やサービスを扱っていたとしても、あなたに 人間としての魅力がなければ、人に訴えることはできない。」(p130)★「人間としての総合力が評価される職業が営業だともいえる」(p130)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『世界No2セールスウーマンの売れる営業に変わる本』 和田裕美――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●タイトルから「また新しい営業ノウハウ本か」などと想像しないで下さい。 本書は上辺だけのテクニックや方法論を述べた書籍とは一線を隔し、「営業とは?」 「人を動かすとは?」という本質に迫っています。そこにはかつての「売り込み」や 「数うちゃ当たる」戦法などとは正反対の「相手を尊重する」大切さが語られています。●著者の和田裕美氏はブリタニカの英語教材販売で世界No2の売上を達成。 29歳で年収3800万を遂げたというから驚きです。現在は有限会社「ペリエ」 を立ち上げ、セミナーやコンサルタント活動と忙しい毎日を送っているようです。●こう書くと「もともと営業の才能があったんだろ?」などと思いがちですが、 和田氏も元は普通のOL。なんと営業が嫌いどころか、人前でご飯を食べることも できないほど、人との関わりが苦手だったといいます。「営業に向かない人はいない」 そんな彼女が放つからこその、濃厚で重鎮なメッセージがここにあります。●冒頭で述べた「営業とは」「人を動かすとは」といった思想のほか、本書には 「こんなダメ営業マンがこうやってトップ営業マンになった」という事例や、 営業にまつわる悩みに対するカウンセリング集などが豊富に収められています。 困ったとき、挫折したとき、まず手にとって読んでみたい「営業の処方箋」。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「人間としての総合力が評価される職業が営業だともいえる」(p130)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●どんなに素晴らしい商品やサービスであっても、それを売る人に人間的な魅力、 すなわち「人間力」がなければモノは売れません。戦後の少品種・大量生産の時代は 置いておけば売れたかもしれない。しかしあらゆるモノ・サービスの溢れた現代に おいて、差別化要因となるのはそれを売る人の魅力=「人間力」に他ならないのです。●そういった意味で「営業」は人間としての総合力が問われる、究極の職種かも しれません。ではその「人間力」とはどういったものなのか?本書にはいくつか その中身が挙げられていますが、最大のものはやはり「聞く力」、「相手に寄り添って ニーズを引き出せる力」だと思います。●相手に有無をいわさず、こちらの売りたいものを押し付けるような営業スタイルは 上で述べたような時代背景の下では、もはや完全に時代遅れと言わざるを得ません。 恋愛にしても一方的に自分の魅力ばかりを伝え、相手に関心を払わないような人と 付き合う気にはなりませんよね。人間は皆、自分のことをわかってほしい生き物です。●相手のニーズをしっかり把握し、「うんうん、わかるよ」と言ってあげたたうえで、 「じゃあこれんなていいんじゃない?」と提案できる能力こそ営業力に他なりません。 押し付け型だと、拒否されたときに自分が全否定された気になるけど、 後者ならば断られるのは提案のみで、自分自身ではありません。●自分の「人間力」さえ認めてもらえたならば、次は商品をかえてまたアタック できるわけです。この「人間力」を認めてくれたお客は、もはや商品顧客ではなく、 「自分」というブランドの顧客なので、一生付き合っていくことができます。 21世紀においてはこういったタイプの営業が主流になっていくことでしょう。□■エッセンス■□「人間としての総合力が評価される職業が営業だともいえる」(p130)▼「人間力」を認めてくれ、ブランドとして付き合ってくれる人が何人いますか?□■今日の紹介書籍■□『世界No2セールスウーマンの売れる営業に変わる本』 和田裕美オススメ度★★★★☆ →・自身を失っているセールスパーソン ・初めて営業職に就いたビジネスマン ・原点に帰って「人間力」を見つめなおしたい方
2004年09月13日
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★「年齢は皆平等に足し算だが、人生は掛け算で成長できるんだ。」(p21)★「頭で考える前に、まず行動しなければ何も変わらない。」(p40) ★「楽観的に構造し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。」(p43) ★「本当は何事も分かるからやるのではなく、やるから分かるのだ。」(p62)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『夢見ることから始めよう』 近藤太香巳――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●「君は今、将来かなえたい夢を持っているか。」あなたは冒頭の言葉に思わず ドキッとさせられただろうか。それとも様々な書籍やセミナーで、散々「夢」 の重要性について聞かされていて、「あぁまたか…」と思われただろうか?●いずれにしろ「自分は夢がないからダメなんだ」などと悲観しないで欲しい。 本書は夢の大切さを説いてはいるが、悪戯に危機感を煽るような事はしていない。 むしろそのタイトルとは矛盾するが「夢なんてなくても、目の前のことを一生懸命 やりさえすればいい」という優しいメッセージが本書の全体に染み込んでいる。●著者は今でこそ社員5000人を超える上場企業の社長として活躍しているが、 自身も決して大きな理想や夢のもとに事業をスタートさせたわけではない。19の時、 わずか50万の資金をもとに起業した当初の夢は「車を買う事」だったという。 小さな目標でも、全力で取り組むことで新たに見えてくる景色があるのだ。●また高校中退やITバブルを経て成長を続ける著者には、周りの情熱を喚起できる という稀有な能力がある。本書はそんな「パッション・ナビゲーター」近藤氏が、 社員に送っていた手紙を編集したもの。飾らぬ言葉と変わらぬ情熱で彩られた本書は 1歩を踏み出せずに戸惑う多くの若者にとって、夜明けの光明となることだろう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★「本当は何事も分かるからやるのではなく、やるから分かるのだ。」(p62)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●近藤氏曰く「逆からの本質」。よく考えてみると、これはまさにその通りだ。 「分かってからやる」のは普通だし、それで出来るのは当たり前だろう。 そうではなく、まず「やってみる」勇気と、そこから「学」べる素直さが必要。●恋愛にしても、相手が好きと分かっていて告白するのではつまらない。 告白して、相手も自分の事が好きかどうか分かる瞬間が最高に興奮するのである。 そこでフラれたとしても、自分のどこがいけなかったのかを学び取れる素直さが あるかどうかである。自分で自分をフラない限り、人生にフラれることはない。●他にも「逆からの本質」はまだまだ見つかる。 たとえば学校の勉強…「好きだからデキる」のではなく「デキるから好き」。 会社の営業…「売れるから楽しい」のではなく「楽しんでいるから売れる」。●本書のテーマとなっている「夢」も同じ事ではないだろうか。 「夢があるから本気で頑張る」のではなく、「本気で頑張るから夢に繋がる」。 無心で目の前にことにチャレンジしていける情熱を常に持ち続けたいものである。□■エッセンス■□「本当は何事も分かるからやるのではなく、やるから分かるのだ。」(p62)▼今悩んでいることについて、原因と結果を逆さまに考えてみよう。□■今日の紹介書籍■□『夢みることから始めよう』近藤太香巳オススメ度★★★★★満点!→・20代の学生、新社会人 ・悩みを抱えたビジネスマン ・今の自分に「イライラ」している方
2004年09月10日
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★「私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるものは、自分で気をつけていない限り、 必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。」(p63)★「財布の中に絶えず流れ込み、いつも中身をふくらませてくれる 金の流れこそが財産なのです。」(p68)★「気が変わるときは、正しい方向へ変わるよりも まずい方向へ変わることのほうが多い。」(p104)★「幸運というものはチャンスのあとに来ることが多いのであって、 その反対は、めったにない」(p108)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日のレビュー】 ~名著の紹介~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●はるか3千年の昔「世界最古の文明」が栄えたともいわれる、古代都市バビロン。 この都市を囲む城壁はなんと、高さ約50メートル(現代の12階建てビル相当)、 全長14~16kmもあったといわれ、エジプトのピラミッドと並び「世界の7不思議」 の1つに数えられていました。●驚くべきはそれだけではありません。技術のみならず、古代バビロニア人は「お金」 に関しても類まれな才能を持っていました。そもそも、はじめて「お金」の概念を 作り出し、取引に利用し始めたのもこのバビロニア人だと言われています。●本書はそこで生み出された「富の基本原則」を9つの寓話にして現代に語り継ぎます。 多くの人が抱える「こんなに働いているのに、なぜお金が貯まらないの?」という 疑問を皮切りに、富の「築き方」「守り方」「使い方」と3つの知恵が諭されます。●冒頭の「若者の言葉は時として流星のように輝く一方、老人の知恵は動かぬ 星々のようなもので、その輝きは変わらない」という言葉が大変印象的です。 3千年の時を経ても輝きを失わない「富の黄金法則」をぜひ学び取ってください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★「私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるものは、自分で気をつけていない限り、 必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。」(p63)―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――●富を築くために何をしたらいいのか?本書で説かれているのは大変シンプルで、 「稼いだお金の一部を自分のものとしてとっておく」…と、これだけ。 本書では最低でも収入の10分の1を貯蓄に回すことを勧めています。 『金持ち父さん、貧乏父さん』的にいえば「自分への支払いを先にしろ」という事。●「それじゃ生活できない!」と悲痛の叫びが上がるかもしれません。 しかし<ここ読め!>の抜粋文にも書かれているように、「必要経費」というのは、 実は「必要だと思っている経費」に過ぎないのです。●1日の食費が10分の9になった所で飢え死にするでしょうか。 携帯の通話時間が1割減っただけで友達がいなくなるでしょうか。 シャワー水量が1割減ったところで、体が臭くなるでしょうか…。●多くの人が言い訳にする「必要経費」というのは、所詮「必要浪費」に過ぎない のではないでしょうか。これを減らすことで蓄えたお金は、さらなるお金を生み出す ために「働いて」もらわなければなりません。すなわち「投資」です。バビロンの 知恵は、この「投資」からもたらされるお金の流れこそが「真の財産」だといいます。●この「お金の使い道」と、そのあとに続く「お金の守り方」については、 本書の中盤で詳しく語られていますので、ご参考に。富と繁栄を極めるため、 まずは今夜の、食後のプリンを抜くことから始めましょうかね…。□■エッセンス■□「私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるものは、自分で気をつけていない限り、 必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。」(p63)▼あなたは、収入の一部を貯蓄に回し「お金がお金を生み出す流れ」を作っていますか?□■今日の紹介書籍■□『バビロンの大富豪』ジョージ・S・クレイソンオススメ度★★★☆☆→・お金持ちになりたい人 ・社会人になる前、もしくはなったばかりの人 ・働くことに喜びを見出したい人
2004年09月07日
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★「基本理念を維持しながら、進歩を促す」(p135) ★「ビジョナリー・カンパニーは基本理念を厳しく管理すると同時に、 業務上、幅広い自主性を認めて、個々人の創意工夫を奨励している。」(p232)★「成功から学ぶこともできるが、それには大変な努力が必要だ。 失敗からなら、はるかに容易に学べる。」(p274) ★「自己満足の病と闘うには、不安感を生み出すなんらかの仕組みが必要だ」(p319)【突っ込んどく?】 ●前回に引き続き、「時代を超えて永続する企業の条件」を解き明かした名著 『ビジョナリー・カンパニー』をご紹介します。前回は「素晴らしいアイデア」を 生み出すよりも「素晴らしいアイデアを生み出す仕組み」が大切、という話でした。●この主張の背景にあるのが、本書の根本思想である「時を告げるのではなく、 時計を作る」という概念です。これはつまり「仕組み」を作れということ。 太陽や星を見て正確な日時を告げられるというのは、素晴らしい才能。 お客や市場を見ただけで画期的なアイデアを生み出せるのも、素晴らしい才能です。●ただし、その「時を告げる人」が、自分がこの世を去った後にも永遠に時を 刻み付ける「時計」を作ったとすれば、もっと素晴らしくありませんか。 「アイデアマン」が、自分がいなくとも画期的なアイデアを生み出せる「会社」を 作ったならば、それは「ビジョナリー・カンパニー」といえるのではないでしょか。●考えてみると、我々が豊かな暮らしをしているのも皆、先人の作った「仕組み」、 すなわち時計のおかげなのです。水泳の達人ではなく、船を作った人のおかげで 我々は海を越えることができるし、ご飯炊きの名人ではなく、炊飯器を作った人の おかげで毎日おいしい白米が食べられるわけです。●「カリスマ的指導者であろう」「常に自分がアイデアマンであろう」 とする人達は、「自分もいつかは死ぬ」という重要な真実を見逃しています。 その後に誰も海を越えられず、まずい飯しか食べられないのでは意味がありません。 時代を超えて反映するために、まずこの「仕組み」を整えていきたいものですね。【突っ込んどく?】●「基本理念を維持しながら、進歩を促す」(p135) ビジョナリー・カンパニーとして成功するための秘訣を1つだけ答えろ、 といわれれば、間違いなくこの短いセンテンスを選ぶでしょう。●今でこそ「経営理念」や「ミッション」という形で、組織の存在意義を明示する事は 当たり前になっていますが、昔はそうではありませんでした。本書から「基本理念」 の大切さを学び、作成に取り掛かった企業も多いのではないでしょうか。●「基本理念」というのは、人間の場合でいうなら「信条」のようなものです。 「どんな苦境に立たされても、これだけは変わらない!」という生き方の指針です。 企業だけでなく、我々個人も、これを明記することにどれだけの意義があるか…。 道に迷った時や挫折した時…それは北極星の如く光り輝いて、私達を導いてくれます。●ただし、企業においても個人においても「基本理念を維持しながら、進歩を促す」 の「進歩」の部分を忘れてはいけません。頑なに現状を維持しろという訳ではない のです。本書にも書かれているように「組織にとっての聖域は、その基礎となる 経営理念だけ」でいいのです。●むしろ激しい時代の流れの中においては、「変わらないために変わり続ける」事が 大切になってきます。「ウルトラマン」は常に子供達のヒーロであり続けるために、 初代ウルトラマンから現在のウルトラマンコスモスに至るまで12代も誕生しています。 核となる「悪い宇宙人を倒して3分で帰る」という部分は変わっていませんが…笑□■本日の「ここ読め!」■□「基本理念を維持しながら、進歩を促す」(p135)・あなたは「変わらないために、変わり続ける」努力をしていますか?□■本日掘った書籍■□『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラスオススメ度★★★★★満点!→・経営者、経営幹部 ・投資家、就職活動生 ・「企業」に関わる全ての人
2004年09月04日
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★「<素晴らしいアイデア>を持って、会社を始めるのは <悪いアイデア>かもしれない。」(p11)★「ビジョナリー・カンパニーにとって、ビジョンを持った カリスマ的指導者はまったく必要ない。」(p11)★「利益は会社経営の正しい目的ではない。すべての正しい目的を 可能にするものである・・・デービット・パッカード(HP共同創設者)」(p93)★「人々はある考え方を公言するようになると、それまではそうした考えを持って いなくても、その考え方に従って行動する傾向が際立って強くなる。」(p116)【サラっとく?】●「ビジョナリー・カンパニー」とは「時代を超えて永続する先見的(ビジョナリー) な企業」を指しています。本書で取り上げられているのは、IBM、ウォルマート、 ヒューレット・パッカード、ディズニー、ソニー、など、我々の暮らしに消えること のない足跡を残している企業ばかり。●なんと、その平均設立年は1897年。時の試練を越えて繁栄を続けている、 超優良企業といえます。そういった「ビジョナリー・カンパニー」と、 そうでない企業との違いは一体どこにあるのでしょうか。著者は過去の膨大な データから、真に卓越した企業の条件を解き明かしていきます。●実際の調査の課程で「素晴らしい会社には素晴らしいアイデアが必要」、 「会社をまとめるにはビジョンを持ったカリスマ的指導者が必要」 「成功している企業は利益の追求を最大の目的にする」 こういった広く信じ込まれている常識が次々と覆されていきます。●先入観や常識を捨て去って、新たなフレームワークを打ち立てるというのは とても大変な作業です。本書はその革新的な理論を打ち立てるまでに6年の歳月が 費やされています。「企業」と関わる全ての人にとって、一読の価値ある書物です。 【突っ込んどく?】●「素晴らしいアイデアを持って、会社を始めるのは悪いアイデアかもしれない」(p11) 会社を始めるに当たっては「何か画期的なアイデアがないと…」と思われる方が 多いのではないでしょうか。僕もこの本を読むまではそう思っていました。●ソニーが設立された当初、製品のアイデアとして和菓子、ミニ・ゴルフ、計算尺… といったものまで挙がっていたのをご存知でしょうか。実際には電気座布団を作って 現金収入を得ていたというから驚きです。始めからテープレコーダーや、 ウォークマンといった画期的なアイデアがあったわけではないのですね。●アメリカ企業の例としてヒューレット・パッカード(HP)をみてみましょう。 創設者の2人はまず会社を作ることを決め、その後に何をつくるかを考えた、 と公言しています。ソニーの例の漏れず、当初は便器の自動推薦装置から 減量のためのショック装置まで幅広く、ユニークな製品を扱っていたようです。●「素晴らしいアイデア」を待っていたら、今のソニーとHPはなかったでしょう。 そもそも、一つのアイデアに頼ること自体が「ビジョナリー・カンパニー」として 相応しくありません。現代のように人の価値観もニーズも多様化した時代においては どんな画期的なアイデアであれ、単体で企業を永続させることはできないからです。●そうではなく、「アイデアを幾つも生み出すというアイデア」、 つまり「素晴らしいアイデア」を発生させる仕組みを整える事が大切なのです。 具体的にはどうすればいいのでしょう?それを次回お話したいと思います。□■本日の「ここ読め!」■□「素晴らしいアイデアを持って、会社を始めるのは悪いアイデアかもしれない」(p11)・あなたの会社では、アイデアを継続的に生み出す「仕組み」を整えていますか?□■本日掘った書籍■□『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラスオススメ度★★★★★満点!→・経営者、経営幹部 ・投資家、就職活動生 ・「企業」に関わる全ての人
2004年09月01日
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