2005年12月02日
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カテゴリ: OPERA
New Production
Umberto Giordano : Andrea Chénier
OPERA HOUSE


Original by : Jules Barbier / Paul Dimoff
Libretto by : Luigi Illica

Conductor : Miguel Gomez-Martinez
Production, Scenery Design and Lighting : Philippe Arlaud
Costume Design : Andrea Uhmann
Choreographer : Ueda Haruka
Stage Manager : Saito Miho

Chorus Master : Misawa Hirofumi

Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra

Andrea Chénier : Carl Tanner
Maddalena di Coigny : Georgina Lukács
Carlo Gérard : Sergei Leiferkus
   (** Carlos Alvalez cancelled)
Roucher : Aoto Satoru
Un Incredibile : Ono Mitsuhiko
La Contessa di Coigny : Dekita Michiko
Bersi : Sakamoto Akemi
Madelon : Takemoto Setsuko
Mathieu : Okubo Makoto

L' Abate : Kamoshita Minoru
Fouquier Tinville : Kobayashi Yoshiki
Dumas : Omori Kazuhide
Il Maestro di Casa/Schmidt : Osawa Ken

アンドレア・シェニエ
【全4幕】<イタリア語上演>
2005年12月2日(金) 東京・渋谷 新国立劇場

作曲 : ウンベルト・ジョルダーノ

台本 : ルイージ・イッリカ

指揮 : ミゲル・ゴメス=マルティネス
演出・美術・照明 : フィリップ・アルロー
衣裳 : アンドレア・ウーマン
振 付 : 上田 遙
舞台監督 : 斉藤 美穂
合唱指揮 : 三澤 洋史
合唱 : 新国立劇場合唱団
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団
主催 : 文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場

キャスト
アンドレア・シェニエ : カール・タナー
マッダレーナ : ゲオルギーナ・ルカーチ
ジェラール : セルゲイ・レイフェルクス※
   ※カルロス・アルヴァレス降板
ルーシェ : 青戸 知
密 偵 : 大野 光彦
コワニー伯爵夫人 : 出来田 三智子
ベルシ : 坂本 朱
マデロン : 竹本 節子
マテュー : 大久保 眞
フレヴィル : 石崎 秀和
修道院長 : 加茂下 稔
フーキエ・タンヴィル : 小林 由樹
デュマ : 大森 一英
家令/シュミット : 大澤 建

 ディーマのオネーギンと、サイモンのロドリーゴが頭の中をぐるぐる回っているというのに、きょうは新国立劇場の「アンドレア・シェニエ」に行ってきました。
 来年のボローニャ歌劇場来日公演の予習のつもりでしたが、噂のアルローの舞台ということで見たかったというのもあります。
 美術と演出は突出してすばらしい! 照明なんて凝り過ぎて、当たってね~。セットがほんとにすごくて、回る回る! もう芸術的にもすごいし、彼の主張したいことががんがん伝わってくる美術。ちょっと衝撃を受けてしまいました。ヨーロッパにはすごい演出家がいるもんですね。
 中身はどうかというと、うん、とにかく私的にはキャストで見にいったわけではないので、あれでしたけど。歌は主役3人とも合格です。
 カルロス・アルヴァレス降板での代役だったセルゲイ・レイフェルクスはすばらしかったです。声が。ただなにぶんお歳なので。ジェラールというキャラでもないし。でも拍手は一番、ブラボーも一番もらっていました。
 ジェラールという役は役得の役です。言ってみれば、スカルピアを善良にしたらこんな感じ? 理想に燃える革命の士でもあり、理想と現実のギャップに悩み、恋に悩み…これをサイモン・キーンリーサイドが演じていたら…と思わずにいられません。
 オペラにはタイトル・ロールであっても、主役じゃない、ということがよくありますが、今回も完全にジェラールが主役ぽかったです。それはジョヴァンニも、オネーギンもそういう場合があるんですが…。
 マッダレーナは言うことなし。美人だし、声もすばらしかったです。風邪だなんて信じられませんでした。
 シェニエのカール・タナーは、よかったけど、カレーラスのを聴いちゃったんで… 体型まぐろだし。声は高音も良く出て、リリコ・スピント、つーんですか? 及第点です。
 ワタクシ的には、カレーラスとサイモンが歌っていると勝手に妄想しようとしましたけど無理でした。カレーラスはやはり不世出の天才だわね。
 オケはすばらしかったです! 特に3幕の、ジェラールがマッダレーナを押し倒したところのチェロのソロにしびれました。チェロに反応しちゃうのよね。私。合唱もよかったです。

※ここから内容を書くのでネタバレご注意。

第1幕 1789年 コワニー伯爵家の城館

舞台の前方に白い壁がある。その壁にはコワニー家の壮麗な城館が映し出されている。(写真)
ベンジャミンを真っ白にスプレーで塗ったような観葉植物を運ぶ使用人たち。使用人たちは皆真っ白な貴族の召使の服装で、頭には真っ白な鬘。
登場したジェラール(セルゲイ・レイフェルクス)は本を読んでいる。本で革命思想を学んだジェラールは、代々貴族の使用人であったことを苦々しく思っている。
前述の壁には斜めに亀裂が走っている。この「斜め」がこの舞台全てを象徴している。この「斜め」とはギロチンの刃の斜めなのである。
すべての矛盾。血。残虐。血に飢えた民衆。それがこの「斜め」の線に象徴されている。その斜めに開いたわずかな隙間から使用人たちが中に出入りする。使用人たちは壁に沿って斜めに倒れながら入っていく。

コワニー家の令嬢、マッダレーナは付き人のベルシにコルセットを呪っている。伯爵夫人が現れる。

やがてその壁が左右に分かれる。セットも小道具もすべて「斜め」に傾いている。
そこでは晩餐の宴が催される。踊る使用人達。
余興の歌。客人としてやってきたシェニエ、紹介されようとした瞬間、伯爵夫人の関心はパリからやってきた僧院長に移る。パリの不穏な様子を話す僧院長。彼は俗物。
一方マッダレーナは娘達と賭けをして、シェニエをからかう。シェニエはプライドを傷つけられ怒って歌うがしまいには今の貴族社会を糾弾する。人々は眉を顰めるが、マッダレーナだけは許しを請い、退場する。

貴族達は、皆真っ白な服。これがみんな似合わないんだが、まるでファニーで紙人形みたいで存在感がなくて薄っぺらい。

乱入してくる黒い服の庶民達。飢えた民衆。彼らを先導したジェラールは首になる。ジェラールの父は膝をついて主人の許しを請う。

ジェラールを追い出した伯爵夫人は、
「さあ、楽しくガボットを踊りましょう!」
音楽はガボットだが、点滅する光の中で、民衆や使用人が貴族達を襲い、殺す。皆殺し。
ここで第1幕了。客は意外な幕切れにあっけで、拍手もまばら。

幕間
このつなぎがすごい。白い壁に映し出されるギロチン。CGのギロチンがごごごと動き出す。そしてギロチンががちゃんがちゃんと動きながら、1台から何十台も増殖していく。すごい迫力で、小太鼓の連打にのせて映し出される。このへんでもう、ぞぞーーーーっとしてしまう。

第2幕 1794年 ロベスピエールの恐怖政治下のパリ

革命後の民衆の服は白。そしてフランス国旗の青と赤、白のカラーを身につけている。カラフル。
そして娼婦と密偵、道徳的に堕落したものは黒と白の縦じまの服。
娼婦に身を落したベルシ。彼女は没落した貴族、マッダレーナのためにシェニエを探している。一方、密偵はジェラールに雇われ、マッダレーナを探している。
いまや革命家としてパリの市民の熱狂的な支持を得ているジェラールがやってくる。ロベスピエールや有名人達が登場する。
一方シェニエは友人のルーシェから通行証を渡され、パリを離れるよう説得される。シェニエは危険分子として、革命政府に狙われているのだ。彼は理由があってパリを離れられないという。その理由はある女性からの手紙が気になっているからだ。
ここでセットがぐるぐるぐるぐるぐる回る。
斜めの壁で仕切られた回り舞台で、「レ・ミゼラブル」のようだが、すごく複雑。まるで迷路で、舞台の出演者も迷うような迷路? お互いを監視したりスパイしたりするような場面の心情にすごく合っている。疑心暗鬼。
ベルシはシェニエにその女性との逢瀬を手引きする。それを見ていた密偵はベルシを殺す。
シェニエは女と会う。最初誰だかわからないが、自分が歌った歌を歌ったのでマッダレーナだと気がつく。
ここの2人の歌は感動的で、大拍手。
ジェラールがやってくる。シェニエは小刀を抜く。ジェラールは長い剣。シェニエはジェラールを刺す。ジェラールは
「早く逃げろ。」とシェニエに告げる。ジェラールは民衆に、刺された相手はわからない、と答える。このへんの間がうまいなあ。
犯人は「ジロンド党だ!」と勘違いする民衆。皆で殺しあう。革命軍が群集に銃を向ける。倒れる人々。また1幕と同じ、殺戮で第2幕が終わった。


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最終更新日  2005年12月04日 22時27分09秒


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