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カテゴリ: カテゴリ未分類
「この作品は向田邦子氏の放送台本を中野玲子氏が小説化したものです。」

この断り書きから始まる小説は、年の離れた男のもとに後妻で来た女性を軸に、家庭の崩壊と再生を描いた物語なのだそうです。1978年にTBSでドラマ化されています。浅丘ルリ子主演、夫が三國連太郎、その息子の若き麻酔科の医師が三浦友和。ご記憶の方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。私は知りませんでした。もう20年以上前ですものー。

中身は、確かに向田邦子の家族ドラマではあるのです。
会話も、豊かです。情景描写も見事です。
力作、といってもよいかもしれません。
でも、向田邦子自身の書いた小説にはなり得ない。
あくまでも、「向田ドラマを第三者が小説にしようと試みたもの」になってしまいます。
私は、そう感じました。

どうしてなのでしょう。

でも、映像が既にある。それをもとに書いた結果なのでしょうか、描写し過ぎているのです。



「いらっしゃいませ」
杉男も泉もドアを見る。だれもいない。

「いざとなると、あの人かばうのね・・・」
杉男はなにも言わず、ブーメランを取り上げてドアの方へ歩き出した。



ぱっと開いたページから写したものです。脚本中のセリフは文中に99%用いているとのこと。向田ドラマの魅力を余すところなく伝えたい、その気持ちが余って、会話の前後がト書き状態になっている部分、多々あります。

それと反対に、気持ちの移ろいが伝わってこない部分もあります。
映像で観ていれば感じる表情の移り変わり、画面の端に映っているもの、脇役の動き、効果音、それらから慮れるものをすべて削ぎ落として文字にすると、唐突に思える会話になってしまう部分もあります。

それは、小説にした人の技量の問題ではないでしょう。むしろ、よくぞここまで小説にしたと思えるぐらいです。TBSで放送された向田作品を中野玲子の名でノベライズした諸田玲子さんは、その後、小説家としてご活躍。この本の最後で、向田邦子の妹、和子さんとの対談が載っています。テレビドラマを小説に仕立てるご苦労を語っておられ、むしろこちらのほうが興味深い。


風景描写と心理描写のバランスが、普通の小説よりも崩れてしまうのでしょうね。
あるいは、私が仕事柄、必要以上にそう思っているだけなのかもしれませんし。

ただ、この会話の唐突感は、『バカの壁』の本を読んだときの唐突感と一緒です。(12/17の日記「『バカの壁』は、おもしろかったですか?」で触れました)

目に見えない、口から言葉が出てくる、その手前の気持ちの動きを丁寧に文字にする、それに欠けます。氾濫しつつある「対談本」「聞き書き本」は、つい発せられた言葉だけを取り上げて、そういう大切なことが欠けがちになってはいないでしょうか。

そして、ト書きと同じだなと書いたところで、話し言葉の文字化では「脚本」もその一つだということにも気付きました。(今ごろ?)


このあたりからも、話し言葉と書き言葉の一つの切り口が見つかっていくかもしれません。
話題は、尽きませんねー。








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Last updated  2004年03月22日 14時52分03秒
コメント(8) | コメントを書く


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Re:向田邦子『家族熱』(03/21)  
まさ吉!  さん
まさ吉でーす。
麻NEKOさん、こんにちはー!
脚本って読みにくいですよ、ホントウに。
見えないセリフがたくさんあるような気がしますね。

昨年、1度だけシナリオコンテストに投稿したんですが、
自分で書いても読みにくいことしきり。
そのコンテストはもちろんあっけなく撃沈……。
題材はテープ起こしの通信教育を受講する3人の女たちのどろどろ関係です。
(2004年03月22日 11時56分00秒)

Re:向田邦子『家族熱』(03/21)  
アキアカネ  さん
このドラマの演出は久世光彦氏かな。
久世氏のエッセイで、向田ドラマのタイトルの中で一番好きなのが「家族熱」とあったように思います。いろいろ候補があってやっと向田さんが考え出したとか。向田さん自身は「冬の運動会」というタイトルが気に入っていらしたようです。 (2004年03月22日 18時13分36秒)

Re[1]:まさ吉!さんへ  
麻neko  さん
>麻NEKOさん、こんにちはー!

こんにちはー! お彼岸行事、お疲れ様でした。

>脚本って読みにくいですよ、ホントウに。
>見えないセリフがたくさんあるような気がしますね。

でしょう?いつか脚本についても取り上げたいんだけど、書きながら思いついたから、後日。

>昨年、1度だけシナリオコンテストに投稿したんですが、自分で書いても読みにくいことしきり。
>題材はテープ起こしの通信教育を受講する3人の女たちのどろどろ関係です。

ううっ、こわっ。どろどろ関係。実体験?
(いや、お返事は無理にしないで)
それにしても、いろんな応募をされているんですね。
応募の締切まであと10日余りでしたっけ。順調にはかどっているといいけど、3月は何かと忙しいからご無理なさらずに。いい作品が書けるといいですね。では!

(2004年03月23日 01時06分00秒)

Re[1]:アキアカネさんへ  
麻neko  さん
>このドラマの演出は久世光彦氏かな。
>久世氏のエッセイで、向田ドラマのタイトルの中で一番好きなのが「家族熱」とあったように思います。

まだチェックしてないのですが、そうかもしれませんね。久世氏のエッセイ、アカネさん、取り上げたことがありましたっけ? ぜひ読んでみたいなと思いつつ未読で。(結構多いんです、そういうの、クスン)

タイトルは内容とぴったりです。
原作を読んでからキャスティングを知り、思いのほか濃い方たちにびっくりしました。ぴったりだったのは三浦友和かな。
アカネさんもぜひ。ご感想をうかがいたいです。あ、「だめだこりゃ」もお願いいたします。では! (2004年03月23日 01時10分50秒)

Re:向田邦子『家族熱』(03/21)  
オウショウグン さん

Re[1]:オウショウグンさんへ  
麻neko  さん
>こんにちは
>わたしは 中国人です
>はじめまして よろしくお願いします。
>いい友達になりたいです。

>ぜひ 連絡をしてください
-----
こんにちは、初めまして、麻nekoと申します。
書き込み、ありがとうございました。

中国の方がどうしてこのような日記に興味を持ってくださったのか少々不思議であります。

どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
(2004年03月26日 18時12分31秒)

Re:向田邦子『家族熱』(03/21)  
書き込みありがとうございます。
ノベライズ、やっぱり違和感ありますよね。
わたしも、ドラマの評判につられて、草なぎ剛主演『僕の生きる道』のノベライゼーションを読みました。
日記にも書きましたが、中途半端なト書きにイライラしてしまって。
ああいうストーリーわかりやすい「王道ドラマ」、キライじゃないので、むしろ脚本で読んだ方がよかったかなと。
ノベライズって、結局、ドラマを見た人が手っ取り早くその気分に浸れる「記憶再現ツール」であって、
それ以上にはなり得ないのかな、とも思ってしまいました。
(2004年04月12日 18時15分23秒)

Re[1]:かま玉うどんさんへ  
麻neko  さん
>書き込みありがとうございます。

こちらこそ、ありがとうございます。

>ノベライズ、やっぱり違和感ありますよね。
>結局、ドラマを見た人が手っ取り早くその気分に浸れる「記憶再現ツール」であって、それ以上にはなり得ないのかな、とも思ってしまいました。

なるほど、です。見た人にとっての快感であればよいわけですか。映像によって想像力を奪い、映像に頼って描写に走る。読者が楽しめる小説とは言えませんね。
これからお伺いして、早速過去日記読ませていただきます。では!
(2004年04月13日 01時09分38秒)

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