サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.12.26
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カテゴリ: カーネーション
 もう一度素に戻って糸子のナレを聞いていると、何も「神」のような難しい相手を想定しなくても、人はしばしばそうした仕方で「誰か」に向ってコトバを発しているのではないかという気がしますね。この場合の「誰か」とは、例えば「いつでもどこでも必ず、確かに聞いてくれているはずの相手」というようなもののことです。
 それは父母とか友人といった実体的な相手では必ずしもなくて、自身がどうしてもコトバを発したい時に聴き手となるべき相手ということです。動物のような唸り声を上げる時ならいざ知らず、コトバとは本来そうした「他者」を想定しないと発し得ないものなのかもしれません。「沈思黙考」という言い方がありますが、たとえ一人の時でも人は内に「聴く者」を想定してコトバを発しているのでしょう(動物の咆哮は間違っても「内なる我」には向っていない)。

 話は思い切り外れますが、ネコに鏡を見せるとしばらくは鏡に映った像に(それが動きを止めないので)、さかんにちょっかいを出しますが、取り付くシマがないとなると次第に関心をなくす。これに対して人間の乳児は簡単には鏡の前から離れないどころか、たび重ねるつどむしろ関心は強まっていくように見える。これはたぶん人間の乳児だけは鏡に映った像が「自分」であることに気付いたからだろう。J・ラカンはこれを「鏡像段階」と呼んだそうですが、「我を知る」とはまさしくこうして自分の像を外界に見る=他者の発見、という仕方で最初は意識されるのです。
 この「自分の姿を知る」とは「自意識」の発生に他ならず、逆に言えば動物には自意識は発生し得ない(たぶん)、つまり彼らにおいては自他の関係が未分化(「自己」という認識がない)のままなのです。とはいえなぜそれがそうなのか、そもそも果たして本当に人間だけが「自意識」を持ち得ているのか、ゴリラなどの霊長類を見ているとたちまち不分明になって来るような気もする。

 例えばネコと飼い主といっしょに鏡の前に立たせたら、ネコは鏡に映った飼い主をそれと認識するだろうか?という疑問が湧いて来ますね。これもたぶんネコは次第に関心をなくして、飼い主とともに「自己」が映っているという認識には到らないだろう。しかしゴリラやチンパンジーならどうなのか?鏡に映っているのが飼い主であると同定したなら、その傍に映っているのが何者なのか、彼らはひょっとして薄々気付いているのかもしれない。しかしネコがその前段階で停止したように、彼らの認識もここらへんでたぶんストップするでしょう。たんに頭が追いつかないということじゃなくて、うかつに「我を知る」世界に踏み込むことの危険を、人間以外の動物の遺伝子は、あらかじめビルトインされているのかもしれない。「我を知る」とは外界と自己の分裂に他ならず、同時的に精神病の発生も予感させるからです。ゴリラやチンパンジーの精神病はあまり聞かない(ヒステリーやノイローゼはあるみたいけど)。
 しかしまあこれらは面白そうだけど、ここの話からは離れるいっぽうなので、これくらいにしておきましょう(それにしても誰か、こうした酔狂な実験をやる人はいませんかね?)。

 私が言いたかったのは、要はコトバの発生というのは、この「自意識=他者の目覚め」と関係があるだろうということなのです。咆哮や嘆息に自意識は不用ですが、コトバは「意味」を保持しているため他者にも自己にも作用する。この場合のコトバの「意味作用」とは、分裂した外界と自己を何が何でも接着するために、たぶん編み出されたものだろうというのが、ここでのはなはだ雑駁な推論なのです。
 話がどんどん飛躍しますが、例えば「不立文字」を目指す禅の修行者というのは、言わばコトバ発生以前の在り方を想定しているのではないか。「我を去る」とは、まさしくコトバによって我と外界を分ける以前の状態に、我が身を置くという事に他ならず、言い換えれば仮想的に我が身を動物の状態(自他未分化の状態)に置くということなのかもしれないのです。
 ちょっと難しくなってしまいましたね。







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Last updated  2012.12.26 11:49:13
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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