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2005/01/31
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カテゴリ: おべんきょう
「Health Economics」のリーディング課題をせっせと読んでいる。

そのうちの1つにあったのが、「Physician fees and procedure intensity: the case of cesarean delivery」(医師への支払料金と処置の頻度の関係について:帝王切開を例にとって)、Journal of Health Economics, Dec. 1999


日記にも書いたのだが、昨日の飲茶会の場で帝王切開について盛り上がった縁なのだろうか(笑)。


この論文では、アメリカの医療現場において、医師の収入に与えるインパクトの違いが彼らの選択する処置方法に影響を与えるという事実を分娩時の帝王切開を例にとり説明したものである。
(帝王切開とは、自然分娩が期待し得ない時に行う、母体の腹壁および子宮壁を切開して胎児を取り出す手術のこと)

結論を読み、「お金のために不必要な帝王切開が行われているのか??」という驚きをまず感じる。


調査は私的保険が主流を成すアメリカにおける公的保険、Medicaid(メディケイド)の患者を対象に行われている。

Medicaidは低所得者を対象とした公的保険制度であり、この10年で400%の伸びを示している。

一般の私的健康保険会社と同じように、「この処置についてはこの値段払います」という契約を病院の間で結んでいる。(公的保険のため契約というより決まりといった方が適切かもしれない)





しかし、Medicaidによる医療費の還付(reimbursement)を一般の保険会社と比べると、州による違いこそあれ、帝王切開の方が顕著に高い還付を受けることができるというのである。

医師(病院)にとっては通常分娩よりも帝王切開をする方が「儲かる」わけだ。

このことは帝王切開を行うことへのインセンティブを意味し、経済的な見地から考えると、費用が一定で収入が多い方を選ぶのが当然であろう。

そして、実際になされた統計的なリサーチの結果がこの命題をサポートしていた。

帝王切開が行われる主な理由として以下の3つのケースが挙げられる。


1. 逆子の場合


2. 母体の危険(先天性・後天性を含む)


3. 胎児の危険


以上の3つのケースにおいて帝王切開は臨床的に最も安全な方法と言うことができる。

通常分娩と帝王切開における保険会社(この場合はMedicaid)からの医療還付金の違いがこの因果関係に統計的に有意な変化をもたらすというのである。


論文の結論としては、「Medicaidにおける医療還付金の差を縮めれば帝王切開の件数は明らかに減少するだろう」と言うに留まり、その変化が妊婦や胎児に本当に有益なことなのかについてまでは触れていなかった。





ここまで書いてみて、アメリカで行われたこの研究、日本でも応用可能ではないかと考えた。

つまり、国による保険の点数(=医師・病院の収入)の設定がいかに処置の頻度に影響を与えるかという調査である。

経済的インセンティブが処置方法決定の一因になるとすれば、「この処置はいくら」という国が決めた価格が医師の意思決定に影響を及ぼし得るということではないか。

そう考えると単に経済だけではなく、政治が絡む話に広がっていく。



患者として不必要な処置はもちろんやめてもらいたいし、医師(病院)も「医の倫理」は持っていると願いたい。











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Last updated  2005/01/31 05:38:05 PM
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