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2023年06月02日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
江戸前の笑いを愛好する人間は、なぜ大阪(特に吉本新喜劇)の
笑いを嫌悪するか。それは「面白いこと」と「バカなこと」の
区別がついていないように見えるから。これに尽きるのよ。

そりゃ吉本新喜劇も、台本があってキチンとお稽古をした上で
舞台に上がっているのは百も承知ではあるが、どうしても肌が
合うことはない。東京人にはね。

しかし大阪の芸人さんで、上岡龍太郎師匠以上にスマートで
知的で洗練された人を、私は他に知らない。
大好きだった「いとし・こいし」両先生以上だったところも

この師匠は、東京の人にも絶大な支持があったように思う。


その上岡龍太郎さんが、5月19日に肺ガンと間質性肺炎のため
大阪市内の病院で亡くなられていたという。享年81。

2000年にスパッ!と芸能界を引退されたため、20代以下の人は
「誰それ?」なんて言うのもいるかもしれない。
しかしながら、大阪の方々にとっては1960年代から、私のような

ないほどの活躍をされた方だった。




政治思想的には共産党贔屓の左寄りで、全く相容れないこと
だらけだったが、 この方の喋りは…凡庸な言い方で我ながら
嫌だが「天才」の二字に尽きる、そんな印象だった。

なんというか、「え~」とか「あの~」とかの言葉の接ぎ穂は、
ともすれば耳障りになるが、この師匠はその接ぎ穂が殆どなく、
たまにあったとしても、それすら…志ん生師匠ではないけれど
「芸」に昇華させていた、それほどの話芸だったと思う。

私の世代は「漫画トリオ」にリアルタイムで間に合っておらず、
それこそ後に再結成みたいなVTR(それも「思い出の名人芸~」
みたいな番組内で)しか見たことがなかった。

だったことを後に知って、かなり驚いた覚えもあるほど。第一
芸名も「横山パンチ」だったわけだし。
今の若い人が「谷啓ってクレージーキャッツの人だったの?」と
驚くみたいなもんだ(苦笑)。

自己紹介のときの「私が上岡龍太郎です」というフレーズも、

思っていたが、今になって思うと、それだけ自分自身に自信が
あるように見せて自信がない…でも明確な自信も確実にある、
そんな”揺らいだ心境”を思わせる挨拶だったように思える。




私の中での上岡龍太郎というと、日曜日の昼にフジテレビで
やっていた「上岡龍太郎にはダマされないぞ」という番組と、
「11PM」の後番組だった「EⅩテレビ」の大阪版。
あとはTBSでやっていた「上岡龍太郎vs50人」みたいな
大人数の(アンケート調査?)番組。

日曜のフジでは、ここで有賀さつきアナの訃報を取り上げた
ときも書いたが「旧中山道」を「いちにちじゅうやまみち」と
読んだアナウンサーがいました…ということを説明する際に
「旧中山道」を有賀アナが「きゅうちゅうさんどう」と読み、
上岡の師匠が「このドアホ!」とか言って、えらく怒ったのを
覚えている(笑)。

「EⅩテレビ」大阪発では、談志師匠や山城新伍さんなどと
過激なトークをしたり…ってのが面白かった。
中でも最高だったのは…私もビデオで持っているし、今でも
YouTubeにも上がっている、我らがバタヤン・田端義夫を
ゲストに招き、談志・山城・上岡の3人が完全に一ファンの
顔になって、あれこれリクエストをした回!これは傑作。

特に冒頭の番組趣旨説明のときの、上岡の師匠の見事さは
忘れられない。あれほど見事に田端義夫を愛していることと
同時に、番組内容の趣旨を的確に、カッコいいフレーズを
交えつつ伝える、あの巧さは真似できるものではない。
しかも上岡の師匠のリクエストが「だまってましょうネ」と
きたもんだ(笑)!3人とも嬉しそうだったなぁ…。

後に談志家元に「あのバタヤンの『EⅩテレビ』見てました」と
話したら「ああ懐かしいな…お前、あれ見てたか!…偉ぇ!」と
物凄く褒めてくれたっけ。

「vs50人」の番組は、霊能者と大喧嘩していたのは覚えている。
確かお母さまを早く亡くされたときに、霊媒師だかに騙されて、
それ以降オカルトだとか霊だとかを一切信じなくなり…という
話は聞いていた。私も、その手の話は一切信じない性質なので
「もっと言ってやれ!」とか思いながら見ていたような(笑)。

あと「元ヤクザ50人」という(苦笑)、今じゃ考えられない
ような回があったのも覚えている。
上岡の師匠が50人のうちの1人に、過去の犯罪歴を聞いたらば
「殺人で服役してました」と軽く答え、それを聞いて絶句して
いたのを思い出す。あの天才でも、対応できなかったのね…。




とにかく、いくらタレント業を引退していたとはいえ、この方が
亡くなられた損失は、空いてしまった穴はとてつもなく大きい。

でも、これだけテレビが衰え、コンプライアンスがんじがらめで
どうしようもなくなることを見越しての引退だったのではないか。
そう思えるほどの見事な引き際だったと、今にして思う。

だって、誰も「年を取った上岡龍太郎師匠」を知らないんだもの。
誰しもの脳裏には、いくら白髪交じりとはいえ、若々しく毒舌で
スマートで歯切れのいい上岡龍太郎しかないんだもの。

そら「年を取ったら、どうなったか」を見たかった部分もある。
でも、それは上岡龍太郎の美学に反することだったのだろう。
これで正解だったのだ。寂しいけど。

上岡龍太郎さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。





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最終更新日  2023年06月03日 14時52分41秒
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