温故知新

2004.06.08
XML
手術の日が決まった。
10月の下旬。
その日までに体重10キロにならなければ延期である。

以前の私ならば、ここで10キロにしようと半狂乱になったところだろう。思い余って、せっかく経口で食べられるようになったのに、その苦労も忘れて、夜中に鼻からチューブをいれて栄養剤を流しこむぐらいしたかもしれない。
それぐらいこの手術に向けて必死になっていた。

娘のためではない。
自分のためだ。

これが終われば、次は5歳前後。
同じ障害を持つ方々からの話を聞いても、この手術が終わると一段落つく、と言う。


よく、先輩方から、この手術が終わると子供への愛が増した、と聞いていたからだ。
そして、面白いように口をそろえて、「写真を撮っておくといいよ」とアドバイスをしてくれた。
確かに、生まれたばかりの頃は、その異形になかなかシャッターを押す指がおりず、一回目の手術が終わっても矯正具が外れず、傷は残り、これまたなかなか写真を撮る気になれないのが共通なのだろう。

この手術さえ終われば、娘に対する気持ちが変わるのかもしれない。
私はこの手術に、こんな想いを勝手に乗せていたのだ。

娘が10キロにならなかった、ということは、今が手術のタイミングじゃない、ということ。
もし、どうしても手術がしたければ、そのように病院側と交渉すればよいのだし、それが受け入れられなければ、病院を替われば良いのだ。
そんな簡単なことにさえ頭が回らず、ただただひたすらに体重を増やさなければ、と、必死になっていたあの頃の私は、蜘蛛の糸しか見えない、愚か者だったのだろう。

ただ、私が何度生まれ変わって同じ状況になったとしても、やっぱりその都度、半狂乱の愚か者になっていた、とは思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004.06.22 22:08:02
コメント(0) | コメントを書く
[障害児と生きる日常] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

pms

pms

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

Comments

ウルフがおー @ Re:私の背中(11/27) 子供が多いのですが、一番下の子に「脱腸…
音楽愛好家@ Re:もう一つの七夕の歌(07/02) かな~り昔(今から30年前)もうひとつの七…
ぁゅみ084 @ Re:私の背中(11/27) はじめまして さきほどはじめました 障…
はなまる@ Re:私の背中(11/27) 大学院合格おめでとうございます。私も発…
kepiko@ Re:私の背中(11/27) pmsさんが、自分らしく自分を大切に生きて…
あきら@ Re:私の背中 信じていると、突然変異がいつか起きるん…
月夜夢. @ Re:大学院進学のための居宅(10/21) あまりにご無沙汰なのでもうお忘れになっ…
あきら@ Re:大学院進学のための居宅 なにか新しい出会いがあるはずだから、信…
えりこ@ Re:大学院進学のための居宅(10/21) 久しぶりにお邪魔しました。 大学院合格…
たかっち。 @ Re:大学院進学のための居宅(10/21) うまくいえないんだけど、もし障碍児じゃ…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: