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2005年06月07日
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カテゴリ: クラシック音楽
 マーラー演奏史に新たな地平を切り開く名盤が誕生した。

 この曲は表題の「悲劇的」が示すとおり、最終楽章が劇的に暗い。通常の交響曲セオリーだと、人生に歓び悩み苦しんだ主人公が、最終楽章で苦しみを克服して勝利に向かう(運命型)のだが、この曲ではなんと最後の最後に主人公がハンマーで叩かれて倒れてしまい、そのまま終わってしまうのだ。
 この曲は表題とは全く無関係に、マーラーの私生活上では非常に幸福な時期に書かれたといわれており、この曲は苦難と幸福のはざまを行き来する人間の本質は悲劇的であるというマーラー独自の厭世的哲学が色濃く反映された作品。
 私は今までどちらかというとこの曲が苦手だった。バーンスタイン、バルビローリ、カラヤン,テンシュテット達の演奏を聞いていると最終楽章の悲劇に向かって真っ逆さまに落ちていくような気がして、気が滅入ってしまったのだ。
 だからこの6番の新譜を購入したのはかなり久しぶり。そんなに期待しないで聞いてみると、これが嬉しい誤算。このアバドの新盤は実にすばらしい。
 結論から言うとちっとも「悲劇的」に聞こえない。それどころか、マーラーのオーケストレーションの素晴らしさがひしひしと、そして美しく伝わってくる録音になっている。
 実は諸説あってこの「悲劇的」というタイトルはマーラーがつけたものではない、とも言われているのに、このタイトルが一人歩きして聴く者に暗い先入観を植えつけている。これは非常に残念なことなのだ。
 アバドの指揮は細部まで非常に明晰であり、マーラーの交響曲が実は室内楽的精密さの集大成なのだということを教えてくれる。テンポは基本的に速く、メリハリが効いているが、アンダンテ(アダージョ)楽章のゆったりとした美しさには思わず息を呑むほどだ。

 ようするに、今までの並び方だとアレグロ~スケルツォ~アンダンテ~アレグロなので急・急・緩・急という配置であったが、今回のだと急・緩・急・急となって、第二楽章をゆったりと聴き、続いて三・四楽章の連携を楽しむことが出来るのだ。以前の配置だと三楽章でいきなりテンポが落ちるので、音楽の流れが寸断されるような印象だったが、これで合点がいった。
 最終楽章はBPOの名人芸が炸裂する。明と暗、光と闇が交錯する様が劇的に、しかしあくまでも美しく再現される。この交響曲のタイトルが持つ悲劇性を遥かに凌駕する、純音楽的な美しさを十分に堪能させてくれる素晴らしい名演だと思う。


こちらです。録音も超優秀!!
2005-06-04 21:05:15
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
C.アバド指揮:ベルリン・フィル
DG 00289 477 5573(輸入盤)
   UCCG-1250 (国内盤)


こちらはまさに「悲劇的」演奏の最右翼!
クラウス・テンシュテット/EMIクラシック決定盤2CD マーラー:交響曲第6番 イ短調 「悲劇的...
クラウス・テンシュテット/EMIクラシック決定盤2CD マーラー:交響曲第6番 イ短調 「悲劇的...





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最終更新日  2005年06月08日 01時05分55秒
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