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ご無沙汰しておりま~す! 昨日の夜は、東京も、雪がバラバラ降ってましたよ~。(アハハ~、 音はしませんでしたけれど・・・) 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 豆腐屋さんの「とーふー」ラッパが 遠くで鳴っている。照明が入ると、 ここはいつぞやの古本屋の店先。ど うやら店じまいになったらしい。 上手より店長が現われる。 店長 あれ?この店、つぶれちゃったのかな ? ちょっと考えてから、店先にあるば ばっちい椅子に腰掛けてみる。 店長 (つぶやく様に)彼女は枕をかかえな がら、うつ伏せに寝転がって、クロスワー ドパズルを解いている。僕はぼんやりしな がら、彼女にタカシの事を話していた。が、 彼女の生返事がぴたりと止まった。何時の 間にか寝入ってしまったらしい。 青年が赤い本を読みながら下手より 現われる。まったく前方を気にして いない。店をそのまま通り過ぎよう とする。 店長 (うつつな感じで青年に近付きながら )枕に顎を落として眼をつむっている。さ らりとした髪が花柄の枕の上を這っている。 青年 (本から急に眼を上げて)僕は鉛筆の お尻でその髪をくるくるといじくった。( と、店長の髪を鉛筆でいじくる) 店長 (不意打ちをくらって正気に戻り)わ っ!! なんだ……。 青年 (本をとじながら)すると彼女はふと 眼を開けてパズルを見詰めていた。が、そ のうち僕の方を面倒臭げに見て、「あした また早いから寝ようか。」と、無造作に明 りを消した。暗闇の中で柱時計は三度鐘を 打った。 店長 いやっ!! 本当は柱時計は鐘なんか打た なかったんだ。第一、柱時計なんて、なか ったんだよ。 青年 (正気に戻って)あなたはーー。 店長 いつぞやはどうも。 青年 あの時は、輪をどうもありがとうござ いました。 店長 いいえ。(本に気づき)その本、どう なすったんです? 青年 ええ。ぐぁらん堂さんで買って来たん ですがーー。 店長 (例の本だとわかり)ぐぁらん堂で売 ってましたか? 青年 ええ。本棚から選び取りました。それ よりあなた、柱時計の事ーー。 店長 ああーー、柱時計の事?! 青年 この本、あなたがお書きになった本な んでしょう? 店長 ええーー、まあ。 青年 でも、僕にはあまり関係がない本の様 です。 店長 そうでしょう。わたし自身の為に書い た本なんですからーー。 青年 それで、古本屋に来たわけなんですが ーー、これ、見せじまいでしょうかね?! 店長 ええ、どうでしょうかね?! 店長はちょっと戸を引いてみる、と、 開いた。 店長 あれ!! あいちゃったーー。 青年 はい。 店長 (店の中をのぞいて)ごめん下さい!! 青年 ごめん下さ~い!! 店長 やっぱりるすかな? 青年 おやじさ~ん!! 店長 無理みたいだよーー。 と、花道から、古本屋のおやじが豆 腐をなべに入れて走ってくる。でも、 豆腐の角がかけない様に気を配りな がらーー。 青年 この本、引き取ってもらえませんか? おやじ この本はーー。わなわな。(わざと らしい) 店長 僕が買います。 おやじ いや、わしが買おう。 店長 でも、もう店じまいじゃありませんか。 おやじ わしが欲しいんじゃよ。 店長 本当云えば、私も欲しい!! おやじ 何故?! 店長 私が書いたからです。 おやじ なに!! お前さんが書いた……。じゃ が、書いたあんたよりも、わしに必要なん じゃよ。 店長 でもーー。 おやじ いや、わしが必要なんじゃよ。わし も生き過ぎたのかも知れん。過去も持てば 持つ程、死ねなくなって行く。どうしてじ ゃろうーー。若い頃は死ぬ事なんかちっと も恐ろしくなかった。いつか死んでやろう と思っとったよ。でも、過去を持つたびに、 過去がわしを引き止めてしまう。過去が重 過ぎて、天に上って行けないんじゃろうか ?! 店長 地獄にも落ちる事もできないんでしょ うか?(云ってしまってから困る) おやじ わしもそれが云いたい。地獄のザル に過去が大き過ぎて、引っかかってしまう のじゃろかーー。 青年 過ぎる事はよくありませんねーー。お じいさん、あなたにこの本が必要ならば、 差し上げましょう。 おやじ 本当かい?ーー考えてみると、わし はもう長くなかろう。 店長 何を云ってんですか!! おやじ わしが晴れてあの世に行った時、そ の本をあんたにあげよう。 店長 えっ?! 青年 話は決まりましたね。この本、あなた に差し上げますよ。(おやじに本を手渡す ) おやじ わしがあんたさんからこの本をもら う。わしはあんたさんにーー。(ちょっと 考える)これをあげよう。(豆腐のナベを 差し出す) 青年 とうふ?! おやじ 金がないもんでな……。 青年 はあーー。これで僕は、夕飯を食べる んですねーー。 おやじ そして、この本を(店の中に入り、 空っぽの本棚へ入れる)この中にいれる。 ーーと。 店長 それを、おじいさんにもしもの事があ ったら、(店の中に入り、本を取ろうとす る)わたしが……。 ホテル・カリフォルニアが流れ、女 の手が、店長の手をつかむ。 店長 (唖然とする)……。君ーー。 音楽と共に、章子が本棚から現れる。 店長 わたしが居るから、君がいるのか?! 章子 そう。あなたが必要としているからで す。 おやじ 知らんうちに、わしの本棚に住んで もらっては困るな……。 章子 かたい事云うな!! 青年 それじゃあ皆さん、さようならーー。 豆腐のナベを持って花道を行こうと する。 章子 青年!! おやじ その豆腐、湯どうふにするとうまい ぞ。まあ、新しいから、冷や奴でもいいが ……。 章子 青年!! 青年、立ち止まって振り向くーー。 章子 角をくずさない様に……。 おやじ (ガクッとなる)……。 章子 あんたが今から先、どんな一生を送っ て行くかわからない。その豆腐を、どんな 風に調理して夕飯にするかすらも分かっち ゃいない。わたしがもし、あんたにこれ以 上関わる事ができたなら、きっと何かが変 わって行くでしょう。でも、これ以上は関 わる事はできません。わたしはあなたと同 じです。必要とする人には関われるけれど、 それ以外の人には関われない、文章の中の 人間なのです。関わりたいのに、関われな い。 青年 章子さんーー。 章子 青年!! あんたは本当は関われるんだよ。 わたしの様に、関われない者とは違うんだ よ。 青年 僕ーー。 章子 (煙草に火をつける)青年!! 人間にも、 それ以外のものにもなれなかった青年!! 関 わって行く、求めて行く事を捨てたあんた ーー。それでもいい。関わって行けとは云 わないよ。でもひとつ!! 青年 ひとつ?! 章子 只ひとつ!! 青年 はい。 章子 進んで行きなさい。 青年 進むーー。 章子 留まる事も、引き戻る事もできないん だよ。進むしかないじゃないか!! 青年 ……。 章子 進みたくなくなったら、豆腐の角に頭 をぶつけて死になさい。 青年 (豆腐を見詰めて)でもーー。 章子 豆腐の角がつぶれたら、また進んで行 けるよ。 青年 はいーー。 章子 さあ、向こうを向きなさい!! そのまま 進むのよ!! 青年は後ろを向くーー。 章子 進んで行きなさい!! 只進むのが辛いな ら、煙の輪をはきながら!! 青年は豆腐に気を使いながら、足早 に去って行く。 店長 行っちまったーー。 おやじ うん。 章子 そう。せめて、煙をはきながらーー。 店長と古本屋のおやじは章子の方を 見る。 章子 (正面を向いたまま)あなたがいるか ら、わたしが居るんです。 煙の輪をつくりながら、章子は天に 上って行く。ホテル・カリフォルニ アがくどく流れる。 章子 (ハミングしながら)ルルル……、ラ ララ……、ルルル……、パパパッパッパッ、 ホテル・カリフォルニア……。ルルル……、 ルルル……。 章子は完全に姿を消す。 店長 (章子を見送って)あれ、まっ、ちゃ ん、でべその宙返り。 おやじ 何かね、それーー? 店長 嫌だな。おじいさんが云ったんですよ。 おやじ ほう。でも、どうでもいい事じゃな。 幕 ***** ***** と、いう事で・・・やっと、幕を迎えました~。 ・・・とっぴんぱらりの、ぷ~。 読んで下さった律儀な方・・・ありがとうございました~。 手が、疲れた~。
2011年02月15日
ご無沙汰していま~す! 一応、バレンタインデーも近いと言うことで・・・ ささっ、召し上がれ~。 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 青年 でも、僕には結局できなかった。先生 方が計画的に生徒達をつくって行く事がー ー。きっとそれは正しいことなのでしょう。 そうでなくっちゃ、そうして僕もつくられ たのですから……。でも、それだけの責任 を担い切れなかったんです。ひとりの人間 をつくり出す事が、僕には到底我慢し切れ ない程重荷になってしまったんです。許し て下さい。要は、それだけ人間に関わりか ける事ができなかったんです。 デモシカ そう、君には、それだけの実力が なかったんだね。 青年 ええーー。 店長 (青年に)君は今、動物にも、人間に も、自分から求めはしなのかい? 青年 なるべくーー。 店長 それが君の生き方だと云うのなら、仕 方はないけれどーー。 青年 生き方?そんな大層なもんじゃありま せん。 店長 わかる様な気もするが、結局、わたし にも、何もわかっちゃいないんだ。 章子 店長ーー。 店長 でも、わかろうとする事が尊いんだと 思う。 章子 恋愛だって、そうでしょう?! 店長 んっ?! 章子 結局は何もわかっちゃいないでしょう ? 店長 どうだろう。きっとそうだと思うけど ……。 章子 例えば、男と女がいっしょに暮らして いる。ふたりは夫婦ではない。 玉夫 同棲時代!! 店長 ……。 章子 男の名前をマモルと云い、女の名前を ショウコと云ったーー。 店長 マモルとショウコ?! 章子 若いふたりが暮らしていれば、自然と 子供ができるわ。 店長 (宙を見詰めて)……。 玉夫 子供ってのは、自然発生するのかい? 野呂 アホダレ!! ぶりっ子するな!! 玉夫 だって俺、知んねえもん。 野呂 うじだって自然発生しないだぞ!! ショ ウジョウバエの実験しなかったか?(デモ シカに)ねえ?! デモシカ (咳払いなぞして)君らには、困 ったもんだよ。 章子 正直云って、子供ができてマモルは困 った。 デモシカ 私の方が困っとるよ。 店長 それーー。 章子 そして。 店長 ふたりは別れた。 章子 そう。ふたりは別れたわ。 野呂 なんで知ってるんです?店長ーー。 店長 ……。 章子 マモルはきっと思ったでしょう。子供 の責任を持つのは面倒だし、事実、無理な 経済力だった。ショウコの方から責任を迫 られたらどうしよう。 玉夫 そりゃ、そんなガキ困っちゃうぜ。 章子 そして、マモルにはふたりが迎えた結 末は意外だった。 店長 ……。 章子 女が何も告げずに去って行くのを意外 と思った事でしょう。 店長 それーー。 章子 ええ。 店長 なぜ?! 章子 マモルは消えて行くショウコの気持ち がわからなかった。きっと、どこかで子供 を始末して、再び新しい、違った人生を歩 むと思った事でしょう。でも、本当は違う のよ。ショウコは自分の責任で子供をつく る行為をしたのだから、自分の責任で子供 を産んだに違いないわ。 店長 でもーー。 章子 あの本ーー、今から二十年前に書かれ たあの文章には、ショウコの本当の気持ち は書かれていないんです。マモルさんーー。 店長 ……。 章子 あなたでしょ? 店長 あの本、やっぱりーー。 章子 そうなんです。あの本は、あなたが二 十年前に書いた小説。 店長 (仰天して)何故、そんなものがここ にあるんだ?! そんなもんが、どうして本に なってるんだ。わたしは、わたしの為に、 只それだけの為に小説を書いたんじゃない かーー。もう原稿すらどこに行ったかわか りゃしない。その小説が何故ここにあるん だ!! 章子 わたしがここに居るからでしょう。 店長 小説の中の君が、何故ここに居るんだ !! 章子 あなたが居るからでしょう。 店長 そんな馬鹿なっ!! 章子 さようならーー。 電車の音が聞こえる。どこぞの駅の 改札だろうか……。 ショウコとマモルはしばし見詰め合 うが、ショウコは足早に改札を抜け る。 店長 (視線だけ後を追う)ーー。 章子 (立ち止まったまま)ショウコは止ま らずに歩いて行くわ。 店長 そう。小説の中のショウコは振り向か ずに行ってしまう。でも、女の背中は何ひ とつ語れやしない!! 章子 (振り返らずそのまま)だから、わた しは言葉にします。店長、ショウコは振り 返らなかった。でも、その時、マモルがど んな顔でそこに立っていたか、改札を抜け るショウコをどんな姿で見送ったのか、手 に取る様に分かっていたんです。そして、 今も忘れやしない。 店長 君っ!! 章子は下手へ去って行く。 電車がホームに入ったらしいーー。 ゆっくりと暗転。 ***** ***** 今日はここまで・・・とっぴんっぱらりの、ぷ~。 今晩の東京は、雪が降るらしいです~。 ひょっとして、積もるかなぁ~? でも、きっとすぐに、ビショビショしちゃいそうな、気が しま~す。
2011年02月10日
ご無沙汰しておりま~す! ちょっとまえに、お気に入りのtakatobaabaさんから、トイレの環境 ポスター(的なもの~?)について、描いてみない~?と、お誘いを 頂いて・・・アハハ~、描いてみました。 何だか、中学生っぽい感じですが。(お恥ずかしい・・・へへへ。) baabaさ~ん・・・もしも、使ってもいいかなぁ~、なんて、思ったら、 プリントアウトして、使って下さ~い。 因に、ぬりえバージョンも、ご利用下さい! 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 青年 新聞に載る程の良い事も悪い事もやっ ちゃいません。 デモシカ やったやった云っても、結局、君 ら若者は何もやっちゃいないじゃないか。 青年 やってない事自体、重荷なのです。 店長 君ーー。 青年 そう、考え過ぎはわかってます。そん な事、誰れだって同じ思いです。でも、自 分が可愛いから、早く楽な気持ちにさせて やりたいから、こうしてあやまっているの でしょう。 デモシカ 青年にありがちな、精神的な乱れ ですな・・・あやまりたければ、あやまれ ばいいでしょう。 青年 ああっ!! 僕はなんてダメな人間なんだ っ!! 自分の事しか考えない、自分が可愛く て仕方が無い、自分を助ける為なら、何で もしかねない僕自身が、たまらなく嫌なん だ!! 過去が重荷になれば、きっとそれを忘 れてしまう。忘れちゃいけない事でも、き っと忘れてしまう。苦しむ自分を、一刻も 早く助けてやりたくて仕方ないんだ!! 事実、 僕はあやまって、あやまる事で許してもら おうとしている。お叱りの言葉を待ってい るんだ。僕はもう嫌だーー。 章子 青年ーー。 青年 僕はーー。 店長 君ーー。 デモシカ 私は君を叱る事も、なぐさめる事 もしてやれんよ。 店長 それは、あなたの云う、反省の為です か? デモシカ (ちょっと考えて)そうかな?ど うだろうかーー。 玉夫 忙しい身の上だからねえ……。 野呂 人非人!! やっぱりあんたはデモシカ教 師だ!! デモシカ なに?! 野呂 どうして叱ってやらないんだよ!! 玉夫 ♪ しか~られて~ しか~られ~て~ あの子は街までお使いに~ デモシカ だから分からんのだよ!! 私には。 野呂 分からないですますんですか? デモシカ もういい。私はこの店から、一刻 も早く離れたいよ。 デモシカ先生は花道を去ろうとする。 青年 デモシカ先生!! デモシカ (立ち止まり)何か? 青年 僕も教師になろうと思った学生のひと りでした。 デモシカ (振り返り)ほう。 青年 でも、なれませんでした。 デモシカ そうかね。 青年 でも、決して単なる興味半分でやった 事ではありません。かと云って、履歴書に 書くと幾らか格好が良いからと云うわけで もありません。 デモシカ 当たり前だよ。そんな……。 青年 僕、教育実習にも行かせて頂きました。 デモシカ そうかね。 青年 僕は結局、試験も受けてないんです。 デモシカ そう云う学生が多いんだよ。成程 ね。近頃は、免許だけとっておこうって人 が多いんだよ。安易に教育実習に来られる と困るんだよね。君だって知ってるだろ? 学校側だって、実習生を受け入れる義務は ひとつも無いんだよ。好意で受け入れてく れてるんだよ。それにもまして、本職でも ない君等、実習生が教えている生徒達には、 練習に使える時間なんて無いんだよ。彼ら には大切な時間であり、取り返しのつかな い時間なんだよ。本番なんだよ。 玉夫 まな板本番!! 店長 ばかもん!! 玉夫をロープに飛ばして、戻って来 たところを、アックスボンバーを食 らわす。 青年 よく分かってます。 玉夫 ♪ 本は~なん度でも、読みかえせて も 人の人生は、繰り返せない 一冊の本の、歳月の重さ 君に借りたまま、返せない愛 返せない愛がある~ 玉夫はふらふらバタンと倒れる。 デモシカ その、よく分かってる君が、どう してやめて仕舞うんだい?それを無責任と 云わずして、何を無責任と云おう!! 青年 はい。僕は無責任です。でも、精一杯 やったつもりです。僕には教える事なんて できない。でも、共に生きて行きたかった。 いっしょに人間になっていきたかった……。 只、それだけだったんです。でも、きっと、 動機が不純だったのでしょう。 デモシカ 何故かね? 青年 別に、教師でなくてもよかったんです。 でも、きっと人間らしいものだと思ったか らです。人間に自分から関わって行きたい、 能動的に生きてみたい、より人間らしく生 きられるんじゃないかって・・・ デモシカ それはそうさ。人間は教育される ことによって人間に成り得るのだから。 章子 それじゃ、あんたが教師をあきらめた ってことはーー。 青年 僕は、人間らしく生きる事をあきらめ たのです。 店長 野呂 玉夫 ええっ?! デモシカ 青年 無理だったんです。 店長 人間らしくったって、どんな生き方だ って、大方は人間らしいものじゃないか? 青年 そうですね。例えば、戦争を起こす事 だって、下着どろぼうをする事だって、人 間らしい事と云えるかも知れませんしね。 野呂 下着ドロの件では、僕もれっきとした 人間と云えますね。 玉夫 (寝転んだまま)野呂さん!! 野呂 ん?! 玉夫(起き上がって)そんな事が問題なん すか? 野呂 いや、別に……。 青年 僕は、小さい頃から人間を好まなかっ た。好まないと云うよりも、人間には興味 を持っていなかったんです。どちらかと云 えば、人間以外の動物や植物を好んだんで す。人間と目が合う事を好まない僕は、よ く動物と見詰め合った。彼らは裏切らない。 好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌い だ。僕は安心して彼らと付き合えた。動物 と話せる自信があった。でも、それは単な る僕側の意見でしかなかった。僕はやはり エゴイストだった。自分の欲望の為のペッ トとして動物を飼ってきたし、何匹も殺し てきた。勿論、殺す気で殺したわけじゃな い。それこそ、本気で愛していたつもりだ った。愛するなんて言葉、使いたくないけ ど、本当に大切だったーー。そんな風に思 ってるある日、友人が精神病になってしま った。 章子 友達がーー。 青年 精神病になって行く友人に、どうして 僕は気が付かなかったんだろう。 章子 鈍感だからか?! 青年 結局はそうでしょう。僕は友人を助け てあげられなかった。ひょっとすると、僕 も彼をそうしてしまった要因のひとつだっ たのかも知れない。僕の中で彼は、そんな に大切な存在ではなかったのです。僕は増 す増す人間から遠ざかった。けれども、動 物も僕を受け入れてはくれなかった。動物 達にとっても、僕はやっかい者だったし、 加害者に成り得る者だった。そして思った んです。 店長 何を? 青年 自分から求めちゃならない。只、彼ら が僕を必要とする時だけ、僕は最善を尽く して働きかけようと。 店長 自分から求めちゃいけないかな?! 野呂 時と場合によっては……。 玉夫 なんと消極的な事よ。 青年 そして僕の残された道はーー。 章子 泥沼だった? 青年 いいえ、アススァルトです。 章子 本当に?! 青年 僕は思ったんです。人間らしく生きて みよう、とーー。動物になれなかった僕で す。人間になってなれるものなら、人間と して生きてみようと。そして選んだのが、 教師の道だったんです。 デモシカ 教師がアスファルトかねーー。 玉夫 雰囲気じゃねえか……。 ***** ***** くたびれたので、今日はここまで・・・とっぴんぱらりのぷ~。 今日は、とっても暖かで・・・ベランダは、過ごしやすいです~。 お洗濯から、湯気が立ってま~す。 アハハ~、でも、うちの場合、家の中は妙に、寒いんですが・・・
2011年02月03日
ご無沙汰していま~す! ちょっと、びっくりしちゃったのですが・・・ 今年、アナログ放送が終わっちゃうでしょ~。 そこで、旦那が、不動産屋さんに、その件について、尋ねたところ、 なんと!・・・驚いちゃいました。(まぁ、アンテナ等、大家さん が、手続きをするらしいのですが・・・) 何に、驚いたかと言えば・・・ フジテレビが、映らなくなるらしいです~! ええ~!なんで?アナログ放送で映っていたものが、デジタル放送 で、映らないの~?! 不動産屋さんも、「私も、変だとは思うのですが・・・」と。 建物の関係で、そんなことも起こるらしいです。 解消するには、どこかに、共同アンテナを立てるしかないそうです。 そこで、ひとこと言いたい! アナログ放送が届かないところに、電波が届くんじゃ、なかったん かい?! アナログ放送終了時には、もう、フジテレビは見ませんから・・・ 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんのこと ***** ***** 青年 (なんとなくひとり言の様に)忘れち ゃいけない事ってーー。 店長 忘れられない事ーー。 玉夫 忘れないかな? 野呂 忘れちゃいけない!! 男客 そう。忘れちゃいかんのは宿題っ!! 章子 なっ、なっ、なっ、なっ、何たること をお云いか?!このデモシカ教師め!! デモシカ (ドキッとし)いかにも私はデモ シカと申す、教職に殉ずる者であるが、決 してデモシカ教師ではな~い!! 野呂 あれまっ、ちゃん、でべその宙返り!! デモシカ なにか文句でもあるのかね? 野呂 めっそうもねえ、お代官様!! 只、おら ~、デモシカさんがデモシカ教師でないな んてんで、びっくりこいただよ~。そんで もって、あれまっちゃん、でべその宙返り っ、てな事になっちまっただよ。このおた んこなすっ!! よっ、色男っ!! このっ!! 憎い 憎い。(と、デモシカ先生をつつく) デモシカ 何をするのかね。常識家の私を、 いったいどうしようと云うのかね。私はも ういやだっ!! 店長 デモシカ先生、そんなに興奮なさらず に……。 デモシカ 何を云う!! 私はデモシカではない っ!! いや、私はデモシカと云う名前だが、 決して、俗に呼ばれるデモシカ教師ではな いのだ。 店長 可成り取り乱してらっしゃる。落ちつ いて下さいよ。 デモシカ (一呼吸おいて)いや、申し分け ない。私ともあろう者がーー。 店長 いえ、こちらの者がとんだ事を申しま してーー。 デモシカ (思い出して)そーだよ!! 君ん所 の店員はなにかね、客をこんな扱いにする のかね?! 店長 本当に申し分けありません。 デモシカ 私はもう怒ったよ。怒ってしまっ たんだから仕方が無い。 店長 野呂 (それぞれに反省している態度を取る) 玉夫 章子 (それを見て)デモシカセンセッ!! デモシカ んっ?! 章子 何をお望みですの? デモシカ 何が?! 章子 あれらに何を望んでんだよっ!! (デモ シカにくってかかる) デモシカ 別に何も望んどらんよ。(ちょっ と考え)しいて云えばーー。 章子 敷いて寝転ぶ煎餅布団!! デモシカ (咳払いなんぞして)しいて云え ば、反省だろうか?! 矢張り、自分のやった 事には責任を持ってくれんと困るからな。 玉夫 (面倒臭くて)どう責任取ればいいん スか? デモシカ それは自分で考えるものだろ?そ れが反省と云うものじゃないか? 店長 申し分けありません。 野呂 玉夫 すみません。 章子 あんなにあやまってんのにさ。 デモシカ こんな、取るに足らない事ならば、 あやまって済んでしまうかも知れない。け れども、世の中そう甘いものじゃない。あ やまって済むなら警察はいらない、と云わ れる様に、あやまった位じゃ済まない事も 多々ある。償える事は償えば済むかも知れ ない。でも、そうできない事もある。償う 事ができないものだったら?きっと、私達 は一生反省を続けながら生きて行かなけれ ばならないのでしょう。御清聴ありがとう ございました。 デモシカ先生はおじぎをして、その 場を去ろうとする。 玉夫 先公は理屈っぽくっていやだぜ。 野呂 職業と云うよりも、あの位の年齢のや つが一番やだね。 デモシカ先生、立ち止まる。 野呂 理論や理屈ほど、いいかげんものはな いさ。理論や理屈は利用されやすいじゃな いか。戦争を起こす事がまちがっている理 屈は正しいのに、いつの間にか、戦争が正 しい理屈に入れ代わったりしている。理論 や理屈は理論や理屈によって、いくらでも 変えられるし、利用されてしまう。それよ りも、もっと大切なものがあるんじゃない かな?! デモシカ先生、野呂のそばまで来て いる。いやに難しい顔をして……。 デモシカ 何を云っとるのかね? 野呂 いえ、別に……。 デモシカ 自分の事を棚に上げて……。 野呂 それはあなたも同じでしょ? 店長 云うな! 一同 (えっ?! と云う感じ)……。 店長 もういい。同じなら云うな。 章子 どうして?店長、どうして云っちゃい けないんですか? 店長 いけないわけじゃないけど……。 章子 なら、なぜ? 店長 話し合っても、分かり合えるわけない からだよ。 章子 店長……。 デモシカ 私も忙しい身だから、もう行くよ。 店長 本当に申し分けありませんでした。 野呂 玉夫 すみません。 青年 すみませんでした。 章子 なんであんたがあやまるのよ? デモシカ (振り返り)君があやまる理由が みつからんが……。 青年 僕もいろんな人に迷惑ばかりかけて来 たから……。 デモシカ 私には関係ないが……。 青年 自分がやって来た事が重荷になって仕 方無いんです。 デモシカ 君が何をやって来たと云うのかね ? ***** ***** 今日はここまで・・・とっぴんぱらりの、ぷ~。
2011年01月28日
ご無沙汰していま~す! 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 青年 まるで、天に召される人の頭上の輪み たいです。 店長 でも、そんなにきれいな輪じゃないさ。 青年 きっと、僕には相応しい輪ですよ。 店長 いやあ、君が死んだら、もっときれい な輪がのぼるよ。だって君、とっても素直 そうないい子じゃない。 青年 でも、そう云われて喜べる程、素直な 僕じゃないんです。「君は保母さんに向い てるよ。」と云われて、悔し泣きした女の 子を知っていますが、その気持ちがよくわ かる……。 店長 突然だけど君、落ち込んでるの?! 青年 (大げさに)ドキッ!!わかります?! 店長 はははは……。だいじょうぶ、君は落 ち込んじゃいないさ。 青年 そうです。僕は落ち込んじゃいない。 只、もう嫌になったんです。全てが嫌にな ったんです。これ以上先へ進む事ができな くなったんです。その場に留まる事も嫌な んです。過去に戻るのもゴメンです。もう、 全てが嫌になった。もう嫌なんです。何も かも、世の中も、自分も、もう嫌だ!!もー いだ!!いやだよー!!嫌だ!! 店長 (歩み寄り)君っ!! 青年 (ふっと眼を上げて)すみません。僕、 取り乱したりして……。どうもすみません。 (なんだか取り繕って)カルシュウムが足 りないのかなあ?!めざしでも食べよ……。 間 背年 あなたには関係ないんです。僕が馬鹿 なだけなんです。ーー僕は、もう、どうし ようもないーー。 店長 君、わたしは何もしらないけど、あん まり考え過ぎない方がいいよ。若い頃にあ りがちな事だけど……。何ごとも過ぎない 方がいい。なんでも過ぎると良くないよ。 青年 ……。 店長 勉強だって、遊びだって、スポーツだ って、仕事だって、婚期だって、過ぎると よくないものさ。冗談だって過ぎると腹が 立つし、愛情だって、過ぎると悲劇のもと さ。午前二時を過ぎればおばけも出るし、 使い過ぎれば老化も早い。 青年 何がですか? 店長 いや、下半身の話。個人差あるかな?! 青年 足だって、脳みそだって、使う方がボ ケないし、糠味噌は混ぜた方が長持ちしま す。 店長 でも、適度にした方がいいのさ。特に 考え過ぎは自殺のもとだよ。 章子 (レジから)只ね、喉元過ぎれば熱さ だって忘れちまう。 青年 (章子の方に向き直り)「過ぎる」の 意味合いが少し違う様な……。 章子 でもね、忘れちまわなけりゃ、溜り過 ぎちまうよ。溜りすぎるとパンクしちゃう よ。 店長 溜り過ぎるとパンクしてしまうんだね。 食べたら出す。食べたら出す。食べたら出 す。食べたら出す。食べたらーー。 章子 店長っ!! 店長 いや、そのーー。 青年 忘れてしまって、いいのでしょうか? 章子 忘れちゃいけない事でも、何時かは忘 れちまうものだよ。 青年 忘れちゃいけない事は、やっぱり忘れ ちゃいけないんじゃありませんか? 章子 だからさーー。 何時の間にかレジに男の客が立って いる。 男客 これ下さい。 章子 (気付かず)忘れちまうと云うか、ボ ケていっちまうと云うか、自分の中で勝手 な解釈をしてしまうと云うか……。なる様 になって行くもんだよ。 男客 あのっ!! 章子 本当に忘れちゃいけない事は、心のど こかに覚えているものさ。 男客 これっ!! 青年 本当に忘れちゃならない事って、例え ばーー。 男客 ちょっと!! 店長 (客に気付いて章子に)君っ!! 章子 うるさいっ!! 店長 お客様だよ。(客に)いらっしゃいま せ。 章子 あ~ら、いらっしゃい。随分とごぶさ たじゃないのよん。どーなすったの?そり ゃ、会社がひければ真っ直ぐに戻らなくっ ちゃならない奥方が角をはやして待ってら っしゃる事はよーく存じてますわ。でも、 たまにはこちらにも顔を見せて頂かなくっ ちゃ……。それがあなたの義務でなくって ? 男客 何だね?!君は……。 章子 あらっ、怒ったの?!そんなつもりじゃ なかったのよ。あなたがちっとも寄って下 さらないから……。あたし……。ヨヨと泣 き崩れる。ヨヨヨヨヨヨーー。 店長 ばかもんっ!!何やってる!! 男客 (わなわな)なにかね?!ぐぁらん堂で は、こんな店員を置いとるのかね? 店長 申し申し分けありません。(章子に) こら っ、お前もあやまれ。冗談が過ぎるん だよ。 男客 冗談で済ます気かね?!冗談じゃないっ!! 章子 冗談じゃない、本当だって、本人も云 ってるじゃないのよねえ……。(青年に助 けを求める) 青年 (困って)はあーー。 店長 (章子をつつき)ほら……。 章子 (そっぽ向いて)ゴメン。 男客 何だね!!あの態度は~~!!(店長に ) 店長 どうもすみません。よーく云って聞か せますので……。どうぞお気を悪くしない で……。 男客 悪くしないでったってねえ、君。もう 二度とこの店には来ないからね。(プンプ ンと花道へ去ろうとする) 店長 あのっ、今、包みますけれど……。 花道を野呂と玉夫が荷車を漕ぎなが ら現れる。片足を台の上に乗せ、も う一方の足で地面を蹴るのである。 野呂 ウーウーウーウーッ!! 玉夫 ピーポー、ピーポー、ピーポー、ピー ポーッ!! 野呂 前の人、前の人、ゆっくりと横に止ま って下さい。 玉夫 どーけどけどけどけ~っ!! 男客はあわててレジの方へ逃げかえ る。 章子 お帰り。 男客 も~たまらん。 野呂と玉夫は思い思いのポーズです べり込む。 野呂 決まった。 玉夫 みんなの視線が熱いですね。(汗など ぬぐう) 野呂 (皆を見回し)いや、冷たいんだよ。 こそこそとふたり、荷台を横の方に 片してきょうつけをする。 ***** ***** 今日はここまで・・・とっぴんぱらりのぷ~。 去年の暮れに、風邪をひいたのですが・・・風邪自体は、とっくに 直ったのですが、いや~、咳だけ残って。 いつまでも・・・嫌ですねぇ~。 市販の咳止めを飲んでも、う~ん、効いているのかなぁ~? 出る時は出るし~。 そんなこんなで、お医者さんに行く機会があって、咳止めについて、 尋ねたところ・・・あら~、今年は、そんな方が、多いそうな。 咳が長~く、抜けないそうです。成程・・・そうでしたか。 そこで・・・即効性の漢方薬を頂いて、帰りました~。 効くかなぁ~? 皆さんも、お風邪には、気を付けて下さいねぇ~!
2011年01月22日
ご無沙汰していま~す! いえ、ね・・・戯曲の先を読んでみたら、喫煙所が必要だったの ですよ~。 取りあえず、こんな感じで・・・ 戯曲 ぐゎらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 章子 (ぺらぺらとページをめくり、あるぺ ージを読む)彼女は枕をかかえながらうつ 伏せに寝転ろがり、クロスワード・パズル を解いている。僕はぼんやりとしながら、 彼女にタカシの事を話していた。が、彼女 の生返事がぴたりと止まった。いつの間に か寝入ってしまったらしい。 店長 (何となく聞いている)ーー。 章子 (すうっと店長の顔を見詰めながら) 枕に顎を落として眼をつむっている。さら りとした髪が花柄の枕の上を這っている。 僕は鉛筆のおしりで、その髪をくるくると いじくった。 店長 その本ーー。 章子 (意味ありげに店長を見詰めて)これ、 文学書ですか? 店長 いやーー。 章子 じゃあ、なんです? 店長 返品!! 章子 どうしてですか? 店長 (自分でもわからないが)どうしても だ!!(奪って)返品しなけりゃーー。 章子 マモルさんーー。 店長 マモルーー? 奥の方から荷車にダンボールを積ん で、野呂とアルバイトらしい青年が 出てくる。きっと玉夫君だろう。 野呂 店長、ちょっと、行って来ます。 店長 うん。頼むよ。 野呂 はい。 玉夫 ふぁ~い。 ふたりはガラガラと花道を行こうと する。と、花道の反対側から、ひと りの青年が現われる。「すきやき」 のごとく上を向いて歩いている。そ してかつ、煙草の煙をはいている。 花道の中間辺で荷車と青年はぶつか り、青年はすってんころりんとなる。 野呂 あれー!!だいじょうぶですか? 青年 はあーー。(パタパタとはたきながら) 野呂 前がよく見えないもんだから、すみま せんね。 青年 いえ、ぼくも悪かったんです。どうも すいません。 野呂 どこも痛くありませんか?あなた、ふ っ飛びましたもんね。 青年 大丈夫です。どこもーー。 野呂 そりゃよかった。 青年 はあ、どうも。 玉夫 野呂さ~ん。早くして下さいよ。 野呂 ああ、すまん。(青年に)それじゃ、 失礼します。 青年 どうもーー。 青年は再び、上を向いて煙をはき、 歩いて来る。ずーと歩いて来て、ず ーと店長と章子の辺を通り過ぎて、 もっとずーと先へ進もうとしている。 店長、あわてて彼をとめる。 店長 君っ!!煙草吸いながら、困るよ。 青年 あっ、すいません。こんなところまで 来ちゃった……。 店長 あそこの喫煙所で吸いたまえよ。 青年 はい。どうもご親切にーー。 青年はちょいと離れた喫煙所でプカ プカふかしている。 店長 (なにげなく青年を見ている)……。 章子 (店長が何時の間にか忘れている赤い 本をこっそりと取る)……。 店長 (気付かず青年を観察している)……。 青年 (見られている事に気付き、照れて、 反対方向を向いて作業を続ける)……。 店長 (見ちゃいけないと思いつつ、よけい に見たくて仕方無い)……。 青年 (見られている事を非常に感じて振り 返る)……。 店長 (微笑んで会釈をする)……。 青年 (ペコンと頭を下げる)……。 店長 (青年の方に歩きながら)君、さっき から何やってるの? 青年 えっ?! 店長 いえ、ね、さっきから上向いてさーー。 青年 僕ーー。(もじもじしている) 店長 いえね。(煙草に火をつけ一服する) 別にいいんだけどーー。 章子 (赤い本を持って、本棚をウロウロし ている) 青年 (思いついて)あなた!! 章子 (赤い本を本棚に入れようとしたが、 びっくりして引き抜いてしまう)……。 青年 ひょっとして、できますか? 店長 えっ? 青年 できるでしょ? 章子はその隙に赤い本を本棚に差し 込み、何食わぬ顔でレジに戻る。 店長 (しばし考えてみるがわからず)何が ? 青年 輪!!です。 店長 ええ!!友達の「輪」ですか? 青年 いいえ。 店長 じゃ、なんの輪? 青年 煙草の輪。 店長 なんだ……。 青年 なんだ? 店長 いいや。できない事もないんだけどね ……。 青年 やって下さい。 店長 ええ?! 青年 お願いします。 店長 そんなーー、弱ったなあ。 青年 弱んないで、やって下さい。「なんだ」 と云ったあなたじゃありませんか。お願い します。 店長 えっーー。エへへへへ……。まいった なあ、いやいや……。(青年の真剣な姿を 見て)うん。じゃあ、やるよ。 青年 はい。 店長は大きな輪をひとつ作る。 青年 (輪を見て)わっ!!輪だっ!!輪だっ!! 店長 (青年の喜び様を見て)じゃあ、今度 はぽんぽん蒸気だ。 店長はほっぺたを指でつつきながら、 小さい輪をぽっ、ぽっ、ぽっ、ぽっ、 ぽっ、……と出す。 青年 わっ、わっ、わっ、わっ、わっ、すご い!!あなた、輪ですよ!!(章子にまで)わー っ、そこのあなた、ご覧になりましたか? 輪ですよ。わーすごい。(店長に)どうも ありがとうございました。 店長 いやあ、そんなーー。 青年 見ず知らずのあなたに、こんな事させ てしまって……。 店長 いや、そんなに感激されると困っちゃ うなあ。でも、やった当人としても嬉しい よ。あっ、君、さっきから輪をつくろうと していたんだね。 青年 ええ。まあーー。 店長 じきに出来る様にになるさ。 青年 ええーー。(ちょっと暗くなる) 店長 でも、どうして? 青年 ええーー。(だんだん暗くなる) 店長 いえね。別に云いたくないなら、云う 必要はないんだから……。 青年 ええーー。(ひどく暗くなる) 店長 気にしないでくれたまえ。 青年 ええーー。(もう、ほとんど真っ暗に なる) 店長 (困って、もう一度大きな輪をつくる )……。 青年 (輪を見つめながら)輪は、上へのぼ って行きますね。 店長 うん。 青年 まるでーー。 店長 丸だね。四角じゃないさ。 ***** ***** 写すのの疲れます~。と、言うことで、今日はここまで! 平成のタイガーマスクとかけまして、 飛び疲れた渡り鳥とかけます そのこころは・・・デンセンが嬉しいでしょう(おそまつ!) 全国の伊達直人さん・・・ありがとうございます。
2011年01月15日
ご無沙汰していま~す。 松もとれた~(?)と、言うことで・・・ 戯曲 ぐゎらん堂書店の店長さんのこと ***** ***** 野呂 もしも、ヒロ子ちゃんと変な噂でも立 ったら……。だから、あーっ、ヒロ子ちゃ んと、困ったなあ……。だってさ、僕達、 エレベーターを譲り合っただけなんだもの ……。困るなあ……。僕はいいんです。で も、ヒロ子ちゃんが傷ついたらどうしよう ーー。そんな、僕達、手も握った事ないん です。あーっ!!どうしよう。そんな!!あんま りです。困ります!! 店長 (あきれて)バカッ!! 野呂 えっ?バカ~ン!!バカと云う本人がバ カ。バカと云われた当人がカバ。 店長 結局のところ、次のエレベーターに乗 れた、と云うわけだ。 野呂 まあ、早い話が。 店長 早くないけど……。 野呂 はい。本当に遅れて申し分けありませ ん。 店長 いや、違うよ。だからさ、話が長いん だよ。 野呂 だって、その過程が長いんだもの。 店長 だから、別に遅れた事に小言を云おう ってんじゃないよ。言い分け聞いても仕方 ないでしょ。 野呂 言い分けだなんて、そんなつもりじゃ ……。(半べそ) 店長 (困って)いた、只ね、レジに誰れも 居なかったもんだから……。 野呂 (元気に)それは物騒ですね。 店長 そうなんだよ。でも、お前はゲンキン だね。 野呂 こないだも十万程、現金で盗られたば かりじゃありませんかっ!! 店長 それはそうだけど、君と話してると、 こんがらがるね。 野呂 あれ?!でも……。 店長 でも? 野呂 朝、店長が仕事の振り分けしませんで したか? 店長 あれ、まっ、ちゃんでべその宙返り!! 野呂 何です?それ。 店長 云わない?!あれまっ、ちゃんでべその 宙返りって。 野呂 冗談云ってる場合じゃありませんよ。 店長 それもそうだなーー。 野呂 確か、ササキさんとコバヤシさんは、 小学館の雑誌の付録整理ですし……。 店長 俺はこれを持って来て。 野呂 玉夫君は裏で返品整理ですし……。 店長 君はゴミ。 野呂 今日は五人でしたっけ?! 店長 レジは? 野呂 ええーー。 店長 じゃあ、レジは?(やや強く) 野呂 レジですかーー。 店長 レジは誰?(強く) 女声 わたしです。 野呂 そうです。あの方です。 店長 えっ?! 店長と野呂が同時に振り返ると、何 時の間にか女がレジの中に立ってい る。レコード店から、ホテル・カリ フォルニアが流れている様だーー。 女 わたしです。店長ーー。 店長 君? 女 はい。 店長 そうだっけ……。 女 はい。 店長 あなた、「ぐゎらん堂書店」の従業員 でしたっけ? 女 ええ、そうです。 店長 名前は? 女 章子。 店長 名字は? 章子 店長さん、パーマをおかけになったん ですね。 店長 ええ、まあ。でも、ここ何年ずっとか けてますが……。 章子 あの頃はかけてらっしゃらなかった。 店長 そうでしたっけーー?(分かっていな い) 章子 (ダンボール箱に気づき)あっ、それ、 開けるんですね。 店長 ああっ。 章子は手際よくダンボールを開け、 分類を始める。 野呂 店長、返品の方が多い様なんで、僕、 行って来ます。 店長 ああっ。そうだね。玉夫君だけじゃ心 配だし……。 野呂は奥の方に消える。 章子 店長、このほんは何の部類に入るんで すか? 店長 (不意に章子と眼が合い、あわてて) あっ、ああ、それーー。ビジネス書だよ。 章子 へー、会社に入ってまで、グラフなん て勉強するんですか。 店長 会社員だって大変だよね。 章子 ふーん。 店長 (分類を手伝いながら)文庫はこう、 背をときどき逆にしてやらなくっちゃ、運 ぶ時に倒れちゃうよ。どの本も高く積む時 は同じだけどね。 章子 はあ、こうですか? 店長 うん。 章子 成程ね。(黄色い紙の本を手に取って )これは?なんか、変な本。随分と紙が悪 いみたい。すごく軽いんです。あれ?あれ れ?(ぺらぺらとする) 店長 どれ?(のぞき)あれ?これは駄目だ よ。こんなのーー。 章子 あーら。これ、マンガだけど、猥褻漫 画みたい。(はしゃいで)ワイマンだわ!! わいは男や!!ワイマンーーなんちゃって~。 店長 (本を奪って)これあh、返品!! 章子 なんで?!送られてきたのに? 店長 こんな本、置けないでしょ? 章子 そうーーですね。(不服そうに) ふたりごそごそと作業を続けるが、 店長はダンボール箱の中で何か見つ けてーー。 店長 これなんか面白そうじゃない? 章子 どれ?! 店長 これ。 章子 (コミック版の本を受け取り)女体、 穴場探し地図? 店長 はははは……。まあ、いいやーー。( 取り返そうとする) 章子 (さっとよけて真面目に)これ、何に 分類するんですか?地図の類でしょうか?! 店長 (奪って)娯楽!! 章子 ぶつぶつ。(と、ぶつぶつ云う) 章子がふっと眼を落とすと、ダンボ ール箱の中に一冊の本が残っている。 章子は赤い表紙の本を取り出す。 ***** ***** キリがいいので、今日はここまで・・・ とっぴんぱらりのぷぅ~! 今日は、そこそこ、外は暖かだったのですが・・・ 昨日は、この冬、初めて、洗濯物が、凍りました~! 何度か、洗濯機を回すのですが・・・先に干していた バスタオルが、板になっていました~。 亀太郎さんもトトさんも、おこたで温々生活を、やっ ていま~す!
2011年01月08日
ご無沙汰していま~す。 今年も、残りわずかになりました、ねぇ~。 戯曲 ぐぁらん堂書店の店長さんのこと ***** ***** 中年男 (無人のレジに気づき)あれ?誰れ もいないじゃないか。(きょろきょろ捜し )誰れか~。誰れか居ないか~。 中央花道から、何も載せない荷車を 押して男店員が走って来る。時々荷 車の上に飛び乗るがすぐに止まって しまう。 男店員 (荷車といっしょにすべり込む様に 中年男の前で止まり)はーい。店長、只今 戻りました。 店長 野呂君。 野呂 はい。 店長 随分と時間がかかったね。 野呂 そーなんです。大変遅くなって申し分 けありません。いえね、エレベーターでゴ ミを捨てに行ったんです。なんたって屋上 でしょう……。 店長 何時だって屋上じゃない。 野呂 それが、今日に限ってーー。 店長 屋上じゃなかったの? 野呂 いえ、捨て場は屋上なんですが、一階 のカバン屋のゴミが多くて多くて、エレベ ーターに乗る事ができなかったんです。 店長 話が回りくどいねえ。 野呂 はあ。そうですか。それで、ワンチャ ンス逃がしてしまったんで、「次には必ず 乗ろう!!」と意気込んだんですが、待って るうちに、同じ階の画材屋さんのヒロ子ち ゃんがゴミの荷車押してやって来たんです。 それでつい、「先に乗って下さい。」って、 云ってしまったんです。 店長 それでまた一台待ったの? 野呂 いえね、「先に乗って下さい。」って、 僕が云えば、ヒロ子ちゃんは、「いいえ、 そんなーー。」と、もじもじするの。僕も 自分から云い出した事だから、「いいんで す。どうか先にーー。」彼女も「いえ、順 番ですから。」「いいえ、レディー・ファ ーストですよ。」「いえ、あなたから。」 「いえ、あなたの方から。」「いえ。」「 いえ。」「いえ。」「いえ。」「いえ。」 ーー。 店長 それで?! 野呂 えっ?!そうそう。ふたりでそうしてま すとね、あのやぼてん野郎のスポーツ用品 店のおやじ!!何時の間にやって来たのか知ら ないけど、「どっちでもいいから早く乗っ て下さいよ。」なんて水を差すもんだから、 ヒロ子ちゃんも、「それじゃ、どうもすみ ません。」って、乗ってっちゃったんです。 店長 それじゃあ、三度目の正直で、次のに は乗れたんだろ? 野呂 それが、僕もそのつもりだったんです。 そうしたら、例のハゲおやじ!! 店長 ミカドスポーツの? 野呂 そーです。例のヤカン入道です。 店長 確かに逆螢だけど……、そんなに力入 れなくたって……。 野呂 いえ!!僕より足が短いくせして!! 店長 身長が違うからだろ……。比率は同じ 位じゃない? 野呂 わーっ!!店長ひどいっ!! 店長 いやっ。だから、日本人だからーー。 野呂 日本人の代表の様なあのコンペイトー がーー。 店長 何?!それーー。 野呂 だから、あのコンペイトーおやじです よ。 店長 なんでコンペイトーおやじなの?あの おやじの頭、ガラ玉みたいだったっけ? 野呂 ガラモンは関係ありませんよ。(店長 の様子をうかがいながら)コンペイトーは甘 い、甘いはお砂糖、お砂糖は白い、白いは兎、 兎は跳ねる、ーー。 店長 (調子づいて)跳ねるは蛙、ーー。 野呂 (小躍りしながら)蛙は緑。 店長 緑はきゅうり、きゅうりは長い!! 野呂 長いはトンネル。 店長 トンネルは暗い、暗いはーー?あれ? 野呂 暗いは闇夜。 店長 そうだ、そうだ、闇夜は恐い。 野呂 恐いはおばけ!! 店長 おばけは消える!! 野呂 消えるは電気!!佳境にさしかかりまし た。 店長 電気は光る!! 野呂・店長 光るは!! ふたりピタリと静止して上手の奥の 方に居るらしい人におじぎをする。 店長 お早うございまーす。 野呂 お早うございます。 店長 雨降りだってのに、けっこう人が動き ますねえ。はははは……。はあ、今日は晴 れですって?あっ、本当だ。今日はいい天 気だから、人出が多いんですねえ。えっ?! お客がパッタリだって?あれ、本当。でも、 景気よくいきましょう!!ミカドスポーツ、 バンザーイ!! 野呂 バンザーイ!! 店長 ぐぁらん堂書店、バンザーイ!! 野呂 バンザーイ!! 店長 あー、びっくりした。 野呂 まさか来るとは思わないもん。 店長 では改めて。 野呂・店長 (せいのっ)光はおやじのハ ゲ頭!!ミカドスポーツのおやじのハゲ頭!! 野呂 あの、コンペイトーおやじが、「ツバ キ屋さんの女の子にはやさしくっても、お いちゃんには冷たいんだね。こんなに待た せといて!!」って、嫌味っぽーく云うから、 「いえ、そんな事はありません。別に女の 子だけにやさしいわけじゃありませんよ。 ぜひ、おいちゃんにも乗って頂きたいでー す。」って、云ったんです。 店長 あんなタヌキ腹に譲ったって仕方無い じゃないか? 野呂 そうなんですけど……。いや、そんな ーー。僕は本当に……。別に女の子だけに やさしくしているわけじゃ……。だってさ、 同じ階だったんだもん。僕は只、ヒロ子ち ゃんが大変そうだったから……。 店長 別に何も云ってないじゃない。 野呂 只、あのビア樽が変な風に勘繰らなけ ればいいんですが……。 店長 何が? ***** ***** と、言う事で・・・今年はここまで。 意味もないところで、切れているのですが・・・とっぴん ぱらりのぷ~。 昨日、お買い物の帰りに、ふっ、と、見ると・・・前の小 さな横断歩道を、おじいさんが、赤なのに、渡っていたの ですよ~。 「おじいちゃんだけ~!」なんて、ちっちゃい子の声~。 反対側を見れば、信号待ちしているベビーカーを押してい る、若いお父さんとお母さん、おばあちゃんと、幼稚園く らいの男の子。 アハハ~、おじいちゃん・・・いつものつもりで、渡っち ゃったのねぇ~! 皆さん、笑っているから、つい・・・通り際に、おじいち ゃんに、「いけませんねぇ~。」なんて、声をかけちゃい ましたよ~。(お説教じゃ、ないんですよ~。何だか、ほ のぼのしている風なので・・・つい、ねっ。) そんな事している自分に・・・あれ~! これって、しっかり、おばちゃんじゃ~ん!って・・・ アハハ、もともと、おばちゃんなのですが・・・本物に、 踏み込んでますよ、ねぇ~。 皆さん、よいお年を、お迎えくださ~い。
2010年12月27日
ご無沙汰しておりま~す! ちょっと、早いんですが・・・ブッシュ・ド・ノエル を、どうぞ。 今年は、ツリーも出しませんでした~。 ちょいと、面倒で・・・(無精者!) 戯曲 ぐゎらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 中年男 お知り合いになってから? 女 ええ、ちょうど二十年位前でしょうか… …。 中年男 じゃあ、当時、その方は二十代だっ たんですね。それじゃ今はもう、わたしと 同じ位になられてるわけだ。それじゃ、間 違うのも無理ありませんね。 女 そうですね。 中年男 (ちょっと変に思って)あれ!?だ ってあなた、まだ二十才位じゃありません か。だって、変じゃありませんか?生まれ てすぐお会いになったわけでもあるまいし ……。 女 ええ。わたし、二十一才でした。あの頃 ーー。 中年男 だって、おかしいですよ。だって、 二十才位のあなたが、二十年前に、二十一 才だったなんて。どう考えたって……。そ うでしょう?まるであなた、歳を取らない 様じゃありませんか。フィクションの世界 ですよ、それじゃ!! 女 それじゃ、わたしはこれで……。(頭を ぴょこんと下げて下手へ去ろうとする) 中年男 (女の後ろ姿に何か気付き)待って。 女 (振り向かず進む)……。 中年男 待って下さい。なんか、思い出した ような。 女の姿は完全に消える。 中年男 まって、わたし、以前あなたとお会 いしたようなーー。 間 中年男 ーーそんなことないよ。そんなはず はないじゃないか……。わたしはあのヒト と会った覚えはないじゃないか。なにを云 っているんだ、わたしは……。ははははは ……。只、以前にもこんな場面に出くわし た事があるような気がする。 暗転 暗転のまま曲が流れる。スーパーの 開店時にありげな曲である。 序奏 ♪ 硝子の窓が光ってる 窓の外が動いてる さあ、ちょっと希望に胸ふくら ませて 白いカーテンを開けてみよう きっと今日が、出発の日 ♪ 伴奏 アナウンスが入る。「おはようござ います。開店五分前となりました。 今日も一日、感謝の気持ちを忘れず に、親切、丁寧に、お客様に対応し ましょう。もう一度、開店前にやり 残した事はないか確かめましょう。 それでは、明るく笑顔でお客様を迎 えましょう。開店です。」 アナウンスの中程で徐々に照明が入 る。ここはどこだろう?きっと、ス ーパーに組み込まれた書店であろう。 その名も、ぐぁらん堂書店ーー。 物騒な事に、中央のレジにはひとり も店員が居ない。 上手より中年男がダンボールを積ん だ荷車を押して現れる。 ***** ***** 場所が変わっちゃったので、今日は、ここまで・・・ あはは~、書店の舞台装置を、描いてなかったので、あしからず。
2010年12月18日
ご無沙汰していま~す。 今日、やっと・・・夕方に、亀太郎さんを、室内に、入れてやりました。 あっち行ったり、こっち行ったり・・・廊下は、歩かないで~!(ガタン、 ガタンと、うるさいです~。) トトさんは、歳のせいか、余り、大騒ぎもなく、共存できそうです。 まぁ・・・おこたも出てますから・・・ いえ、ね・・・前回、話を打ち込んでいたら、電信柱・・・出てきて ましたので、改めて、装置も載せました~。 そう言えば、当時・・・古い電信柱に、傘のついた電球の街灯を、ぜ ひぜひ、使いたかったのを、思い出しました~。 深い意味は、ないんですけれど・・・ 戯曲 ぐゎらん堂書店の店長さんの事 ***** ***** 間 おやじ 夢じゃよ。 中年男 夢!?おやまのちゃんが、でべそで すってけてんのタコ踊り!! おやじ 何を云っとる。おや、まっちゃんで べその宙返り、の話ではない。 中年男 はあ……。でも、眼をあいたまま夢 を見るんですか!? おやじ あの本を読んでから、ちょくちょく あんな夢を見るのじゃよ。 中年男 特技ですか?すごいなあ。わたしな んか、自慢じゃないけど、このとこ夢らし い夢なんかーー。 おやじ (遮る様に)どうして読んじまった んじゃろ……。 中年男 夢を読む!?本を読んだんですか? それで幻想を見たんですね? おやじ えっ?! 中年男 白昼夢と云うのもあります。 おやじ わからん……。 中年男 どんな本なんです?あなたの読んだ 本は……。 おやじ どんなってーー、わしの夢の様な本 じゃよ。 中年男 成程ーー。でも、わたしがあなたの 夢の内容を知るわけないでしょうが!! おやじ それもそうじゃな……。 中年男 でも、多少ヒントが残されています。 (いささかはしゃいで)他人の首にエンペ ツを突き刺す様な夢でしょう。エンペツは ナイフの変化したものかも知れませんね。 なかなか過激な内容の様な……。サスペン スタッチのものでしょうかね。それともー ー。 おやじ やめよう。 中年男 やめーー、えっ!?だからさ……。や めちゃうんですかーー。 おやじ わしの過去をほじくる様な真似はよ そうや……。わしは辛いよ……。 古本屋のおやじは真っ暗な店の中へ 消える。 中年男 (店内に向かって)だって、えっ!? だって、本の内容じゃありませんか。おじ いさーん!! 中年男も店の中に入ろうとする。が、 本棚の古本がガラガラ、バサリンコ と崩れる。崩れながら、イーグルス のホテルカリフォルニアーー思い出 深い曲ーーが流れる。本棚からは歌 をハミングしながら女が現われる。 女 こんばんは。 中年男 (きょろきょろして)わたし? 女 お久しぶりですね。 ♪ お久しぶり~ね~えん。 あなたに会うなんて ♪ 中年男 はあ……。 女 お元気でしたか? 中年男 あの、失礼ですけれど、暗くてよく ……。 女 わたしです。(中年男に近づき)マモル さんーー。 中年男 えっ。なんだ、わたし、マモルと云 う名前ではありません。 女 マモルさんじゃありませんか? 中年男 はあ。残念ですが、人違いの様です。 女 そうですか。 中年男 わたし、本棚にお住まいを持つ女の方 に知り合いはないんです。 女 あら、あなたが大きな声で叫ぶから、棚 崩れが起きてしまったのです。 中年男 崖崩れの様に? 女 どちらかと云えば、なだれの様に……。 中年男 (面食らって)はあーー。 女 よだれに気を付けて下さい。 中年男 ああっ。(ぬぐって)わたし、マモ ルさんて方に、そんなに似てるんですか? 女 ええ。そりゃもう、そっくりです。 中年男 そうですか。世の中にはそっくりさ んが五人居ると云いますが、本当に居るも のですね。 女 でも、よっく拝見すると、年齢がちょっ と違う様です。 中年男 もっとお若い方でしょう? 女 (うなづきつつ)でも、あなたちょうど、 二十年後のマモルさんの様な……。 中年男 ははは……。えらく違いましたね。 女 ーーあれから随分と経ちましたから……。 ***** ***** もう・・・夜は眠いです~。 今日はここまで・・・とっぴんぱらりのぷ~。
2010年12月10日
ご無沙汰していま~す! 昨日はもの凄い雨と、その後の暑さに、びっくりでした~。 夕方からの強風も・・・嫌でした~。 さて・・・早速ですが、戯曲のご紹介です~。 これも、若い時分に書いたものなので・・・お恥ずかしや。 絵もつけるの大変なので、舞台装置が変わる時のみ、載せて みますねぇ~。 それで・・・ちょっと、不満なのは・・・文章載せるのに、 横書きなんですよ、ねぇ~。 何となく、やっぱ、縦書きじゃ~ん!なんて、思うのですが、 まっ・・・贅沢は言えません。 では・・・はじまり、はじまり~。 戯曲 ぐゎらん堂書店の店長さんの事 登場人物 古本屋のおやじ 店長 野呂 章子 玉夫 デモシカ先生 ***** ***** 豆腐屋さんの『トーフー』ラッパが 遠くで鳴っている。ゆっくりと日は 暮れて、電信柱の電球にも灯が点る 頃ーー。 見るからにばばっちい古本屋の店先 に、これまたばばっちいおやじが、 まことばばっちい椅子に腰掛けてい る。ババッちくてもジジイである。 残念ながらここは『ぐゎらん堂』で はない。 古本屋のおやじ (正面を見詰めながら朗読 調に)彼女は枕をかかえながらうつ伏せに 寝転ろがって、クロスワードパズルを解い ている。僕はぼんやりしながら彼女にタカ シの事を話していた。が、彼女の生返事が ぴたりと止まった。何時の間にか寝入って しまったらしい。 上手より中年男が現われる。おやじ をちょっと気にするが、そのまま通 り過ぎ様とする。 おやじ (中年男に近づきながら)枕に顎を 落として目をつむっている。さらりとした 髪が花柄の枕の上を這っている。僕は鉛筆 のお尻でその髪をくるくるといじくった。 (と、本当に中年男の髪を鉛筆でいじくる) 中年男 あっ!!こらっ!! おやじ (完全に自分の世界で)すると彼女 は、ふっと眼を開けてパズルを見詰めてい た。が、そのうち僕の方を面倒臭げに見て、 「あしたまた早いから寝ようか。」と、無 造作に明りを消した。暗闇の中で柱時計は 三度鐘を打った。 中年男はしげしげとおやじを眺める。 おやじはストップモーションだが、 すうっと頭だけ中年男の方へ向ける。 するとふたりの視線がぴたりと合い、 びっくり「わっ!!」と、正気に戻 る。 おやじ わーっ!!びっくりした。 中年男 こっちの方がびっくりしましたよ。 おやじ そうかのう。わしの方がひどく驚ろ いた様に見受けられるがのう。 中年男 何云ってんですか……。第一、この “ 驚き ” の根本的な原因はあなたなんです よ!! おやじ なに!? 中年男 あなた、わたしの襟足をその鉛筆で 突いたじゃありませんか。 おやじ (右手の鉛筆に気付き)おやまっ!! そんな事、しましたか!? 中年男 したなんてもんじゃありませんよ、 全く。ぶつぶつおっしゃりながら……。必 殺シリーズじゃあるまいし、他人(ひと) の首にエンペツ突き刺すのはやめて下さい。 おやじ いや、そんな……。突き刺すなんて 滅相もない。お代官様~~っ!! 中年男 じゃ、なんです。尖った方だったら どうするんです!?わたしにだって、死ん だら悲しむ、妻や子供が居るんですよ。あ なたの様に、老い先短い身の上じゃあない んですから……。あと半分も人間続けて行 かにゃならんのですよ。それとも、何です か?!あなたがわたしの分、引き受けて人 間やって行きますか?妻や子供を当然養っ てくれるんでしょうね。あなたにそれだけ の力量がありますか?えっ!?どうなんで す!! おやじ そんなに怒鳴らんでもいいではない か……。これには深ーいわけがあるのです。 シクッ、シクシクシク……。 中年男 やめて下さい。ネジ式の様な真似は っ!! おやじ はい。(やめて、正面にきょうつけ をする) 中年男 (一寸待つが待ちきれずに)それで ? おやじ は? 中年男 だから理由は? おやじ おやまっ!!ちゃん、でべその中返 り。 中年男 何ですか、それ……。 おやじ おやま、っちゃん、でべその中返り。 理由をとわれるか? 中年男 もういいです。(スタスタと行こう とする。 おやじ (中年男の裾を引く) 中年男(引かれて止まる)……。 ***** ***** 今日はここまで・・・とっぴんぱらりのぷー♪
2010年12月04日
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