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アニソン大全 --「鉄腕アトム」から「鬼滅の刃」まで (単行本) [ 澄川 龍一 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/5/6時点) 楽天で購入 いつアニソンシンガーが生まれ、声優が歌うようになったのか。1960年代から2020年代の60年以上にわたるアニソンの歴史をまとめ、進化の過程を紹介する。 本書は、1963年の『鉄腕アトム』から現代の『鬼滅の刃』に至るまで、約60年間にわたるアニメソング(アニソン)の変遷を、音楽ライターの著者が体系的にまとめた一冊です。単に有名な曲を羅列するのではなく、アニソンがいかにして一つの音楽ジャンルとして自立していったのか、その「進化の過程」を時系列で追っています。黎明期の童謡に近いスタイルから、ロボットアニメ時代の熱いサウンド、そして現代の洗練されたJ-POPとの融合まで。時代背景と共にアニソンの立ち位置がどう変わってきたのかが、論理的に解き明かされます。作品(アニメ)と楽曲がいかに密接に関わり、相乗効果を生んできたのか。その「作品愛」の歴史こそが、アニソンの独自性を形作っていることに気づかされます。単なる懐古録ではなく、アニソンというジャンルの変遷を音楽史・文化史として記録した一冊です。【満足度】 ★★★★
May 6, 2026
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うたかたの娘 [ 綿原 芹 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/5/5時点) 楽天で購入 道に佇む不気味な人物をきっかけにしてナンパに成功した「僕」。相手の女性と雑談をするうちに故郷の話になる。そこは若狭のとある港町で、奇妙な人魚伝説があるのだ。そのまま「僕」は高校時代を思い出し、並外れた美しさで目立っていた水嶋という女子生徒のことを語る。彼女はある日、秘密を「僕」に明かした。「私、人魚かもしれん」幼い頃に〈何か〉の血を飲んだことで、大病が治り、さらには顔の造りが美しく変化したのだと……。 目の前にいるのは本物の魔だ。恐ろしいのは、そう思っているのに抗いがたい魅力を感じていることだ。道に佇む不気味な人物をきっかけにしてナンパに成功した「僕」。相手の女性と雑談をするうちに故郷の話になる。そこは若狭のとある港町で、奇妙な人魚伝説があるのだ。そのまま「僕」は高校時代を思い出し、並外れた美しさで目立っていた水嶋という女子生徒のことを語る。彼女はある日、秘密を「僕」に明かした。「私、人魚かもしれん」幼い頃に何かの血を飲んだことで、大病が治り、さらには顔の造りが美しく変化したのだと…。圧倒的な美しさ。それは人生の救いか、破滅を呼ぶ呪いか。第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞大賞受賞作。 本書は、若狭の港町を舞台に、人魚伝説と少女の秘密が交錯する幻想的なサスペンス。若狭地方の人魚伝説を下敷きにしながら、現在のナンパという日常的な場面から、過去の神秘的な体験へと自然に移行する構成が巧みで、美しさを手に入れる代償と、故郷の伝承に縛られた人々の業を描いています。「美」というものの危うさを問う一冊でもあり、ホラー要素のある読み応えのある作品です。【満足度】 ★★★★
May 5, 2026
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うまれたての星 [ 大島 真寿美 ]価格:2,750円(税込、送料無料) (2026/5/4時点) 楽天で購入 1969年、人類が月面着陸した年。出版社に就職した牧子は、漫画雑誌の編集部に配属され…。女の子が女の子のために物語を描き始めた“あの頃”を、あますところなく描き出す。『小説すばる』掲載を加筆・修正。 昭和のあの頃、百万人の少女たちを夢中にさせた漫画雑誌があった! 1969年、人類が月面着陸をした年に出版社に就職した辰巳牧子は、経理補助として「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部で働き始める。親分肌の川名編集長が率いる「週デ」は、漫画班・活版班・グラフ班に分かれて編集部員一同、日々忙しく動き回り、「別デ」を率いる小柳編集長は、才能あふれる若い漫画家たちを見出し、次々にデビューさせていた。いつかは男性編集者に並んで漫画を担当したいと願う西口克子や香月美紀、少女漫画という縁のない世界に放り込まれ戸惑う綿貫誠治、暇さえあれば雀荘で麻雀ばかりしている武部俊彦……。女性漫画家たちがその若き才能を爆発させ、全国の少女たちが夢中になって読んだ“100万部時代”。編集部で働くひとりひとりの希望と挫折、喜びと苦しみに光をあて、時代の熱を描き出す大河長編! 本書は、1969年、月面着陸という“時代の大きな出来事”を背景に、少女漫画雑誌の編集部で働く人たちの現場と人生を描いた、仕事小説である群像劇。主人公・牧子が配属される「週刊デイジー/別冊デイジー」編集部は、華やかな人気の裏側で、締切・競争・評価・理不尽といった現実が渦巻く場所。そのなかで、編集者、漫画家、周辺のスタッフそれぞれが抱える希望と挫折が丁寧に掘り下げられていきます。高度経済成長期の熱気の中、新卒で出版社に入った主人公・牧子の目を通して、当時の出版業界と少女漫画の世界が鮮やかに蘇り、編集者、漫画家、デザイナー…など、雑誌づくりに携わる一人ひとりが抱える夢と葛藤が丁寧に描かれ、華やかに見える世界の裏にある地道な努力や、時代の制約の中でもがく姿がリアルに伝わってきます。少女漫画という文化がどのように生まれ、育てられてきたのか。その原点を知ることで、現代のマンガ文化の豊かさをより深く感じられる作品です。【満足度】 ★★★★☆
May 4, 2026
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暗黒の彼方 [ 堂場 瞬一 ]価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/5/2時点) 楽天で購入 三十年、喉に刺さった棘。それを我慢したまま死なせない。新鋭の新聞記者・古山孝弘は、かつてコンビで千葉・埼玉連続女児殺害事件の真実を暴いた先輩記者・松島慶太に呼び出された。松島はがんを患い、定年退職後、自宅で療養中。松島は余命宣告を受けている、と告白し、古山にあるメモを託した。メモには暗号のような文章が書かれていて…。薫陶を受けた先輩が「心残りだ」と告げるその暗号を解き、隠された謎を暴くため、古山の取材が始まる。 本書は、ベテラン記者の「最後の願い」を託された若手記者が、30年前の未解決事件の真相に迫る社会派ミステリ。余命を告げられた伝説的な先輩記者・松島が託した“暗号めいたメモ”を手がかりに、新鋭記者・古山が過去の事件の奥へ踏み込んでいく構図で、新聞記者小説としてのリアリティと謎解きの推進力が両立しています。凶悪事件そのものの凄惨さを描くこと以上に、「報じられなかった真実が、その後に関わった人々の人生をどう変えたか」という点に重きを置いており、被害者遺族、加害者家族、そしてそれを見つめてきた記者たち。それぞれの30年間の苦悩が交錯する幕切れは、深い余韻を残します。ミステリとしての面白さと、社会派小説としての深みを兼ね備えた読み応えのある作品です。【満足度】 ★★★★
May 2, 2026
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ロッコク・キッチン [ 川内 有緒 ]価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/5/1時点) 楽天で購入 Bunkamuraドゥマゴ賞受賞! 福島第一原発事故から14年、ロッコク沿いの日常を綴る再生と希望のノンフィクションエッセイ。 みんな、なに食べて、どう生きてるんだろ?福島第一原発事故から14年、国道六号線を旅して綴った温かくておいしい記憶。再生と希望に出会うノンフィクションエッセイ。2025年度(第35回)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。 本書は、福島第一原発事故から14年という時間の中で、国道6号線(通称“ロッコク”)沿いを旅し、そこで出会った人々の食卓や営みを記録したノンフィクション・エッセイ。「復興」や「被災地」を大きな言葉で語るのではなく、食べ物の匂い、台所の手触り、誰かと食べる時間といった具体から、再生の実感に近づいていきます。「食べる」「生きる」を見つめ続けることで、読者の中にじわりと再生の感触を残す、温度のあるノンフィクションエッセイです。【満足度】 ★★★★
May 1, 2026
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旅行屋さん 日本初の旅行会社・日本旅行と南新助 [ 河治 和香 ]価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/4/30時点) 楽天で購入 日本における団体旅行の始まりは、汽車で行くお伊勢参りだった!旅のお世話に生涯を賭けた、日本初の旅行会社「日本旅行」創業者・南新助の奮闘と激動の生涯を描く、旅行屋さん小説。 旅の思い出は、奪われることのない宝。時は明治、鉄道開通に揺れる滋賀県草津の村長・南信太郎は駅の開業に尽くし、立売り弁当販売を始める。その志を継いだ息子の新助は地元や鉄道への恩返しの気持ちから伊勢神宮、善光寺への団体参拝を実現させる。それは図らずも日本における団体旅行のはじまりであった。やがて、旅の世話を商売にすることを思い立ち…日本初の旅行会社〈日本旅行〉創業者・南新助の奮闘と激動の生涯を描く、旅行屋さん一代記! 本書は、日本初の旅行会社「日本旅行」の創業者・南新助の生涯を描いた歴史小説。明治の鉄道開通から始まる「旅行業」誕生の物語を、親子二代にわたるドラマとして描いています。物語の舞台は、鉄道という新しい文明に沸く明治時代の滋賀県・草津。主人公の新助は、もともと駅で弁当を売る「立売り」からキャリアをスタートさせます。地元の発展と鉄道への恩返しという純粋な気持ちから、お伊勢参りや善光寺参りの団体ツアーを企画したことが、後の「旅行代理店」の起点となり、鉄道の開通が社会を変えていく明治に、南新助が「旅を成立させる仕組み」を作り、日本初の旅行会社へつなげていく過程を、人物の志と実務の両面から描かれる物語です。【満足度】 ★★★★
April 30, 2026
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本を読めなくなった人たち コスパとテキストメディアをめぐる現在形 (中公新書ラクレ) [ 稲田豊史 ]価格:1,210円(税込、送料無料) (2026/4/29時点) 楽天で購入 『映画を早送りで観る人たち』待望の続編。「本を読めなくなった人たち」は何を思っているのか。徹底取材が明らかにする読書の未来。 コンテンツ消費における〈コスパ〉〈タイパ〉という欲望は、読書においてはどのように作用しているのか。「本を読めなくなった人たち」はいま何を考え、どんな本音を抱いているのか。本書では、若い世代を中心に「本を読めなくなった人たち」を徹底取材。誰もが〈コスパ〉〈タイパ〉を無視できない現代社会の実情をリポートしながら、テキストメディアと読書の未来を考える。『映画を早送りで観る人たち』著者による待望の最新作! 本書は、『映画を早送りで観る人たち』で現代のコンテンツ消費の変容を鋭く描いた続編的一冊。今度は「読書離れ」の実態に迫り、なぜ人々が本を読めなくなったのかを徹底取材から解き明かし、コスパとタイパを重視する価値観が、いまの読書やテキスト消費をどう変えているのかを、取材ベースで描いた一冊。これからのテキストと読書のあり方を更新するための土台になる内容で、これからのテキストメディアはどうあるべきかも考えさせられて参考になる内容でした。【満足度】 ★★★★
April 29, 2026
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本日ノ亡者 娑婆ノ縁尽キテ [ 津田美幸 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2026/4/28時点) 楽天で購入 六十年に一度の御本尊御開帳を控える唯願寺。限界集落における住職の日常と如意輪観音をめぐる駆け引きから、現代日本の宗教観、死生観を鮮やかに照らす、現役僧侶による衝撃作!なぜ老僧は「秘仏」の公開を拒むのか?第十一回林芙美子文学賞受賞作「アナグマ」を同時収録。 本書は、限界集落の寺を舞台に、御本尊の御開帳(秘仏公開)をめぐる対立と駆け引きを通して、現代人の宗教観・死生観のリアルを突きつける作品。著者が本職の僧侶であるため、寺院運営の切実な実態や、檀家との複雑な人間関係、さらには限界集落が抱える過疎化といった「世俗的」な問題が、圧倒的なリアリティをもって描かれており、秘仏の御開帳をめぐる対立は、単なる寺の内輪揉めではなく、信仰と生活、伝統と生存、弔いと共同体がせめぎ合う現代日本の縮図として描かれ、日本人の信仰心の希薄さと根深さの両面を突きつけられる作品です。【満足度】 ★★★★
April 28, 2026
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日本のインフラ危機 (講談社現代新書) [ 岩城 一郎 ]価格:1,056円(税込、送料無料) (2026/4/27時点) 楽天で購入 なぜ次々に事故が起きるのか?お金も人も足りない中で打つ手はあるか?全員当事者の「問題の構造」をデータと事例から解き明かす。 見て見ぬフリはもうできない!この国は崩れ去るのか?「最悪の未来」を回避するには?国・自治体・企業・個人に何ができるのか?豊富なデータと事例から明かす。 本書は、高度成長期に一気に整備した道路・橋・トンネル・上下水道などが一斉に老朽化する一方で、人口減少と財政制約で「直せない・守れない」局面が迫っている現実を、データと事例で突きつける問題提起の一冊。「危ないらしい」ではなく、老朽化の量、更新費用、自治体の負担構造などを数字で示し、問題の大きさを可視化しており、「全部を同じ水準で維持するのは難しい」という前提に立ち、優先順位付け、集約・統廃合、官民連携、予防保全(壊れる前に直す)など、現実的な打ち手を整理しています。普段当たり前に使っている道路、橋、水道が、実は「見て見ぬフリ」ではすまない危機的状況にあることを実感できる内容で、一人ひとりがこの問題を「自分ごと」として捉える第一歩となってほしいものです。【満足度】 ★★★★☆
April 27, 2026
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なぜ日本文学は英米で人気があるのか (ハヤカワ新書) [ 鴻巣 友季子 ]価格:1,254円(税込、送料無料) (2026/4/25時点) 楽天で購入 王谷晶『ババヤガの夜』や柚木麻子『BUTTER』を筆頭に、日本文学がいま英語圏の読者を魅了しているのはなぜか。女性作家の躍進、翻訳ワークショップの活況、若い世代からの支持……世界文学の潮流と重ね合わせることで、その理由がクリアに見えてくる! 柚木麻子『BUTTER』、雨穴『変な絵』、王谷晶『ババヤガの夜』などが英国の文学賞やベストセラーリストを席巻した2025年。翻訳家・文芸評論家として国内外の文学シーンを長年観測する著者が人気の理由を読み解く。英米の書評に見られる意外な形容、日英翻訳家たちの創意工夫とネットワーク、排外主義的な政治状況に反発する若い世代からの支持…。フェミニズムからミステリ、猫と喫茶店が定番のヒーリングフィクションまで、村上春樹以後の「世界文学としての日本文学」を描く決定版。 本書は、翻訳家としても名高い著者が、いま世界(特に英米圏)で巻き起こっている「日本文学ブーム」の裏側を、プロの視点から鮮やかに分析した一冊。村田沙耶香、川上未映子、小山田浩子といった女性作家たちが、いかに英語圏で熱狂的に受け入れられているかを掘り下げています。ジェンダー、身体性、食、労働といった普遍的なテーマを、鋭く独特な感性で切り取る彼女たちの筆致が、世界的なフェミニズムの潮流や社会意識の高まりと合致した背景がクリアに解説されており、界文学という巨大な地図の中で、日本文学がどのような位置を占め、どのような役割を期待されているのかを客観的に論じています。【満足度】 ★★★★
April 25, 2026
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何かがおかしい日本語 [ 高島 雅文 ]価格:1,430円(税込、送料無料) (2026/4/24時点) 楽天で購入 「一足飛び」は「いっそくとび」or「ひとあしとび」? 「思わずこぼれる」のは「笑顔」or「笑み」? 大人でも間違えやすい日本語の使い方を集めて、2択のクイズ形式で解説する。 「よろしかったでしょうか」「ご乗車できませんのでご注意ください」「目から火が出る」……。世の中にはそんな「何かがおかしい日本語」が溢れています。知らず知らずに間違った日本語を使っていても、大人になるとなかなか指摘してもらえないもの。ですが、あとから気づいて恥ずかしい思いをしてしまった、という事態は避けたいところです。そこで本書では、大人でも間違えやすい日本語を取り上げ、クイズ形式で正しい使い方を紹介します。繰り返し読み解くことで、表現力が豊かになること間違いなしです。 本書は、私たちが日常的に何気なく使っている日本語の中に潜む「違和感」や「間違い」を、クイズ形式で楽しく、かつ鋭く指摘する一冊。日常でよく見聞きする“なんとなく変な日本語”や、大人でも迷う言い回しを2択クイズで確認しながら、語の意味・用法・ニュアンスの違いを短く解説していく実用書で、日本語の奥深さを再発見できます。【満足度】 ★★★★
April 24, 2026
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世界一やさしい日本酒の味覚図鑑 [ 神奈川健一 ]価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/4/23時点) 楽天で購入 さまざまな日本酒を取り上げ、その味を、味覚アイコン・肴アイコンとともに、大衆に寄り添った言葉で表現。酒蔵の特徴やお酒のスペック、4つの基本味覚と香りの強弱を数値化した味覚チャートなども掲載する。 いまや世界に誇れる“ザ晩酌酒”日本酒の味覚がわかれば、食卓に並べるべき肴がおのずと見えてくる―。本書は、高級酒からカップ&パック酒、飲み方(冷酒・常温・熱燗)プラス「合う肴」まで、約1000銘柄の日本酒を嗜んだ酒ブロガーが「79本(モダン)×3(香り・味・ペアリング)」と「51本(クラシック)×3(冷酒・常温・熱燗)」の味覚を、「味覚アイコン」と「肴アイコン」を駆使しながら大衆に寄り添う言葉で表現した、これまでにない世界一やさしい日本酒図鑑です。 本書は、1000銘柄以上を呑み歩いた人気酒ブロガーの著者が、日本酒の複雑な味わいを「世界一やさしく」言語化した、実践的なガイドブック。日本酒130本の味覚を独自のアイコンと分かりやすい言葉で解説した実用書で、モダン酒79本とクラシック酒51本を、香り・味・ペアリングや温度帯別に徹底分析し、合う肴まで提案します。高級酒だけでなく、カップ酒やパック酒まで取り上げている点が実用的。日常の晩酌に役立つ情報が満載で、「この酒にはこの肴」という具体的な提案があり、食卓での実践にすぐ活かせる内容は、日本酒と料理の組み合わせを選ぶ楽しみを教えてくれます。「日本酒は種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」という人にとって、これ以上ないほど親切な羅針盤となっていて、日本酒を「難しいもの」から「身近な楽しみ」に変えてくれる一冊です。【満足度】 ★★★★
April 23, 2026
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豊臣家の包丁人 [ 木下 昌輝 ]価格:2,200円(税込、送料無料) (2026/4/22時点) 楽天で購入 屑として捨てられていた雉の内臓を使った汁、戦の前に即席のかまどで焼いた下魚の蒲鉾、秀吉と秀長の故郷の味…。豊臣家の天下統一の陰には、凄腕の料理人がいた! 戦国時代の料理に光をあてた天下取り物語。 本書は、織田信長の草履取りから天下人へと駆け上がった豊臣秀吉の立身出世を、「食」という斬新な切り口から描いた歴史エンターテインメント小説。秀吉の躍進を陰で支えた凄腕の料理人を主人公に、戦場での食事や主君をもてなす膳の数々を通して、知られざる天下取りの物語となっています。当時の調理法や食材の扱いが緻密に考証されており、読み進めるうちに香ばしい匂いや出汁の旨みが伝わってくるような「美味しい」読書体験が味わえ、単なる料理小説ではなく、秀吉や秀長との関係性、料理人としての誇りや葛藤が丁寧に描かれています。天下人を支えたのは武力だけではなかったという視点が新鮮で、戦国時代の「食」を通して、歴史の別の側面を楽しめる一冊です。【満足度】 ★★★★
April 22, 2026
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生命とは何か 溶けていく「個体」の境界線 (講談社現代新書) [ 中屋敷 均 ]価格:1,100円(税込、送料無料) (2026/4/21時点) 楽天で購入 「わたし」の中に無数の生命が潜んでいる。あなたの中の「他者」とは何か? 異なる生命体の共存と融合が形作る「生命」。最新研究でわかった「驚きの生命観」。 本書は、植物病理学を専門とする著者が、近年のゲノム科学や微生物学の知見をもとに、「個体」「自己」「生命」といった概念の境界が、最新の生命科学によっていかに曖昧になりつつあるかを描き出す一冊。従来の「個体=独立した生命単位」という常識を覆し、生命を関係性のネットワークとして捉え直す視点を提供し、哲学的な「自己とは何か」という問いに、分子生物学の最前線から切り込む稀有な一冊です。【満足度】 ★★★★
April 21, 2026
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シリアの家族 [ 小松 由佳 ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/4/20時点) 楽天で購入 第23回開高健ノンフィクション賞受賞作。「世界最大の人道危機」シリア内戦。いくつもの歴史的瞬間をくぐり抜けてきた。シリア難民の妻、二児の母、そして写真家として。安寧の地を探し求める「普通の人々」を描く。 本書は、フォトジャーナリストである著者が、シリア人男性と結婚し、内戦を逃れる家族とともに歩んだ日々を綴るノンフィクション。「世界最大の人道危機」と呼ばれるシリア内戦を、当事者の視点から描き出し、歴史的な大事件に翻弄される家族の姿を、最も近い距離から、深い愛情と鋭い観察眼で描き出している点が最大の特徴です。突然奪われた故郷、離れ離れになった親族。平和な日常が崩壊していく過程が、生々しいエピソードと共に綴られ、困難な状況下でも、子どもを慈しみ、冗談を言い合い、必死に生きようとする家族の絆を単なる「犠牲者」としてではなく、血の通った人間として活写しています。「シリア内戦」という巨大な悲劇を、最小の単位である「家族」から照射することで、世界の歪みと人間の美しさを同時に描き出したノンフィクションです。【満足度】 ★★★★☆
April 20, 2026
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カップ焼きそばの謎 (ハヤカワ新書) [ 塩崎 省吾 ]価格:1,320円(税込、送料無料) (2026/4/18時点) 楽天で購入 高度経済成長の終焉とともに埼玉県のとある中堅メーカーの起死回生の一手として誕生したカップ焼きそばは、その後、半世紀にわたり日本人の食文化を形作っていき…。もうひとつの「国民食」の歴史に迫る。 カップ麺市場で醤油ラーメン以上の人気を誇るカップ焼きそば。食べ比べるとそれぞれに特徴的な味だが、そこには各社の熱意と創意、熾烈なシェア争いの軌跡が刻まれていた!高度経済成長の終焉とともに埼玉県のとある中堅メーカーの起死回生の一手として誕生したカップ焼きそばは、その後半世紀にわたり日本人の食文化を形作っていく。U.F.O.、ペヤング、ごつ盛り…もうひとつの「国民食」の歴史に迫る無二の書。『ソース焼きそばの謎』『あんかけ焼きそばの謎』と続いた三部作、ここに完結! 本書は、『ソース焼きそばの謎』『あんかけ焼きそばの謎』に続く焼きそば三部作の完結編。カップ焼きそば約50年の歴史を掘り下げたノンフィクションで、身近すぎて意識しない「カップ焼きそば」が、どう生まれ、なぜここまで定着し、各社が何を競ってきたのかを、商品開発史・企業史として解き明かしてくれます。食べ比べで感じる“味の違い”を、技術・マーケティング・時代背景まで掘り下げて説明してくれて、日本人がなぜこれほどまでに「焼いていない焼きそば」を愛するようになったのかを深掘りした、知的興奮を誘う、身近な「国民食」の知られざる物語を堪能できる一冊です。【満足度】 ★★★★
April 18, 2026
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棺桶まで歩こう (幻冬舎新書) [ 萬田緑平 ]価格:1,034円(税込、送料無料) (2026/4/17時点) 楽天で購入 2000人以上を看取った「在宅」緩和ケア医が、「歩けるうちは、人は死なない」という考えのもと、満足できる人生の終え方を提唱。命の最後に何が本当に必要かを、現場から問い直す。 長生きしたくないという高齢者が増えている。不健康寿命が延び、ムダな延命治療によるつらく苦しい最期は恐ろしいと感じるからだ。著者は2000人以上を看取った元外科医の緩和ケア医。「歩けるうちは死にません」「抗がん剤をやめた方が長く生きられる」「病院で体力の限界まで生かされるから苦しい」「認知症は長生きしたい人にとって勝ち組の証」「ひとり暮らしは、むしろ楽に死ねる」など「延命より満足を、治療より尊厳を」という選択を提唱。医療との向き合い方を変えることで、家で人生を終えるという幸せが味わえるようになる! 本書は、2000人以上の最期を看取ってきた現役の緩和ケア医が、現場で見てきた「延命の落とし穴」と「満足して死ぬための現実的な選択」を、かなり率直な言葉で語り、「長く生きること」だけが目標になり、かえって苦しんでいる今の医療のあり方に対し、「どうすれば最期まで自分らしく、満足して死ねるか」を説いています。延命治療の是非を感情論で煽るのではなく、「苦しまない最期」「納得できる最期」を現実的にどう作るかを考えさせられる一冊です。【満足度】 ★★★★
April 17, 2026
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近鉄バファローズ豪快伝説 球団消滅から20年、今明かされる、真実価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/4/16時点) 楽天で購入 豪快エピソードはスタジアムの外にあった!? 近鉄バファローズの愉快な仲間達が奇想天外なプロ野球生活を語りつくす! プロ野球の球界再編で近鉄バファローズが消滅してから丸20年が経過した。にもかかわらず、野球のオールドファンは“近鉄愛”を持ち続け、メディアではたびたび「近鉄」がテーマになっている。故・西本幸雄監督が作り上げた軍隊式の厳しい練習もさることながら、いわく二日酔いで打ち続けた、いわく優勝旅行は貧乏旅行、いわく登板直前まで漫画を読んでいた……と、昭和らしい伝説は枚挙に暇がない。節目の年に「近鉄バファローズの伝説」を一挙にまとめ、栄光の裏で起きていた豪快かつ愉快な一面をフィーチャー。近鉄の野球史を次世代に残す意義のある一冊である。 本書は、2004年の球団合併による消滅から20年。今なおプロ野球ファンの心に強く残り続ける「近鉄バファローズ」という球団の真髄を、当事者たちの証言で振り返るエピソード集。当時は語れなかった裏話や、時効を迎えた秘話の数々など、選手たちの破天荒な日常が、笑いあり驚きありのエピソードとして紹介されています。コンプライアンスが重視される現代のスポーツ界では失われつつある、破天荒で人間味あふれる「猛牛軍団」の姿。ページをめくるたびに、藤井寺球場や大阪ドームに響いた歓声が聞こえてくるような、エネルギーに満ちた一冊です。【満足度】 ★★★★
April 16, 2026
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火山列島日本の食 稀有な風土がもたらす食のにぎわい [ 井上栄 ]価格:2,200円(税込、送料無料) (2026/4/15時点) 楽天で購入 肥沃な火山島であるジャワ島の水田の豊かさに驚いた著者は、似た気候であるはずのタイで赤茶けたハゲ山の風景に愕然とする。ジャワ島で毎年稲作を続けられる理由は何なのか―。自国にもどり緑あふれる景色をみた著者は、日本がジャワ島と同じく「水と火山の島」であることに気づきある仮説を立てる―火山列島日本では、火山噴出物が植物の生長に欠かせない肥料分を恒常的に補給してきたのではないか?火山の恵みで豊かな水田稲作が可能になった越中国(富山県)礪波平野、火山灰の恩恵を受けた武蔵野台地の畑作、米食で不足するタンパク質を補った大豆や魚介の栄養、米からつくられる日本酒の製造工程など、日本食文化の基本が満載。火山の風土が育んだ日本の食文化と日本人の精神文化に迫る。 本書は、なぜ日本はこれほど豊かな食文化を持つのかについて、「火山」という視点から解き明かすユニークな一冊。医学博士である著者が、海外での経験をきっかけに日本の風土と食の関係を科学的に考察しています。私たちは通常、火山と聞くと噴火や震災といった「災い」を連想しますが、著者は、東南アジアの島々での観察を通じて、全く逆の視点を持ち、タイの痩せた土地と、火山島であるジャワ島の肥沃な水田。その対比から、「火山噴出物が大地に恒常的にミネラル(肥料分)を補給しているのではないか」という仮説を立て、この「火山の恵み」こそが、日本が緑豊かな農業国である理由だとする視点は、非常に新鮮でした。越中国(富山・礪波平野)の水田稲作、武蔵野台地の畑作など、地域の事例を挙げながら、火山灰・水・地形が食の基盤をどう形づくったかを追い、米中心の食が抱える栄養上の弱点を、大豆や魚介がどう補ってきたか、そして米が日本酒という発酵文化につながる工程にも触れ、「火山の風土」が、日本人の体を作り、さらにはその繊細な精神性までも形作ってきたプロセスが丁寧に描かれています。日本の食卓を見る目が変わる、知的好奇心を刺激する一冊です。【満足度】 ★★★★☆
April 15, 2026
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小麦畑できみが歌えば [ 関 かおる ]価格:2,035円(税込、送料無料) (2026/4/14時点) 楽天で購入 小麦農家でのびのび育った唯吹は、地元のオペラプロジェクトのオーディションを受けると、特別な歌声で審査員を魅了する。技術不足で不合格になるが、サマープログラムへの推薦をもらって…。 優勝者はアンバー・オペラハウスの研修生に選ばれる。憧れの親友を追いかけて、歌と向きあう18歳の夏。小麦農家でのびのび育った唯吹は、地元のオペラプロジェクトのオーディションを受けると、特別な歌声で審査員を魅了する。技術不足で不合格になるが、サマープログラムへの推薦をもらって…。 本書は、北海道の広大な小麦畑を舞台に、無名の少女が「オペラ」という未知の世界へ飛び込み、自分の可能性を切り拓いていく姿を描いた、熱く清々しい音楽青春小説です。自分の可能性を信じきれない少女が、厳格なオペラの世界で「自分だけの声」を見つけ出すプロセスは、読み応えがあり、読み終えた後、心の中に黄金色の小麦畑と、高く突き抜ける歌声が広がっているような感覚になる、輝かしい傑作です。【満足度】 ★★★★
April 14, 2026
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グロリアソサエテ [ 朝井 まかて ]価格:2,310円(税込、送料無料) (2026/4/13時点) 楽天で購入 関東大震災から逃れて京都で評論家・柳宗悦の家に奉公する少女、サチ。ある日、河井寛次郎と濱田庄司という二人の陶芸家が柳家に来訪する。以前、柳は河井の作品を酷評したという。緊張するサチだったが……。 百年前の京都、歴史を変えた奇跡の出会い。大正十三年、宗教哲学者の柳宗悦が住む京都の家で女中奉公をはじめた少女サチ。ある日、河井寛次郎という陶芸家が柳家に来訪する。英国帰りの陶芸家・濱田庄司も同席し、男たちはすぐに意気投合した。彼らは共に小道具市を巡り、「下手物」―日用の品に自由な美を見出し、それらを「民藝」と名付けた。薄汚れた古布や、埃にまみれた陶磁器に感嘆し、その美を世に提唱する三人の姿に驚かされるサチ。佳き品々に満ちた柳家での暮らしと、美を愛する人々との出会いを経て、彼女自身もやがて「民藝」に魅せられていく。 本書は、大正13年の京都を舞台に、「民藝運動」の誕生を女中の少女サチの視点から描いた歴史小説。柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司という実在の人物たちが、日用品の中に美を見出し「民藝」と名付けるまでの軌跡を、瑞々しい筆致で綴っています。物語は、宗教哲学者の柳宗悦の家で女中として働き始めた少女・サチの視点で進み、そこで彼女が目撃する、柳、陶芸家の河井寛次郎、英国帰りの濱田庄司という、後に工芸の歴史を塗り替える男たちの運命的な出会いと、彼らが熱を帯びて語り合い、新しい価値観を生み出していく様子が、サチという外部の目を通して生き生きと描かれます。大正という時代の京都の暮らしぶり、柳家での日常が丁寧に描写されており、百年前の空気を感じられ、サチ自身が「民藝」に魅せられていく過程が、一人の少女の成長物語としても読み応えある作品でした。【満足度】 ★★★★
April 13, 2026
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馬のこころ 人の相棒になれた理由 (岩波科学ライブラリー 339) [ 瀧本 彩加 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2026/4/11時点) 楽天で購入 顔や音声で多彩な感情を表現し、相手の些細な表情や声色の変化も見逃さない馬。馬どうしはもとより、人とも絆を築けるのはなぜか。馬のコミュニケーション能力に焦点を当て、その新たな魅力を紹介する。 馬どうしはもとより、人とも絆を築けるのは、豊かに備わったコミュニケーション能力があるからではないか。顔や音声で多彩な感情を表現し、相手の些細な表情や声色の変化も見逃さない。空気を読み、仲間を思いやることもあれば、嫉妬もする。このかけがえのない相棒とよりよく共生する未来のために、動物心理学にできることは何だろう。 本書は、古くから人間の最良のパートナーとして歩んできた「馬」の知性や感情を、動物心理学の視点から解き明かした一冊で、馬がなぜこれほどまでに人間と心を通わせることができるのか、その驚くべき能力を科学的に探求しています。専門的な内容でありながら、一般読者にも分かりやすく書かれている点が特徴で、馬が好きな人はもちろん、動物の知性やコミュニケーションに関心がある人にとって興味深い内容となっています。【満足度】 ★★★★
April 11, 2026
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いちばんうつくしい王冠 (一般書 524) [ 荻堂 顕 ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/4/10時点) 楽天で購入 吉川英治文学新人賞受賞後第一作。最注目の新鋭が描く、人間の心の深淵に迫る青春エンタメ大作。 なぜあたし達は集められたのか。真実に気が付いた瞬間、読む前の自分ではいられない。夏休みの初日、目が覚めたあたしは、見知らぬ体育館にいた。周りには7人の少年少女と、着ぐるみを着た謎の人物が発した言葉。「キミたちにはこれから、一本の劇を演じてもらいます」。集められた理由は何なのか。辿り着いた真実が心揺さぶる、切なくも力強い成長物語。戸惑い、疑い、衝撃、そして…。 本書は、閉鎖空間に集められた少年少女たちが「演劇」を通して自分たちの真実と向き合う、ミステリー要素の強い青春群像劇。夏休みの初日、見知らぬ体育館で目覚めた8人の戸惑う少年少女の前に現れたのは、着ぐるみを着た謎の人物で、提示された条件はただ一つ、「これから一本の劇を演じてもらうこと」。なぜこのメンバーなのか、何のために演じるのか。目的が一切明かされないまま、彼らは「いちばんうつくしい王冠」という劇の稽古を強制されます。物語が進むにつれ、寄せ集めに見えた8人の間に、ある「共通の接点」が浮かび上がってきます。配役を通して互いの素性が暴かれ、隠していた傷跡や過去が露呈していく過程は、サスペンスとしての緊張感に満ちていて、「なぜあたし達は集められたのか」という問いの答えが、悪意ではなく、より深い真実へと繋がっていく構成が秀逸です。単なるミステリーではなく、登場人物たちが戸惑いや疑念を経て成長していく姿が丁寧に描かれ、再生への願いを丁寧に掬い上げた、著者の新境地とも言える一冊です。【満足度】 ★★★★
April 10, 2026
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ウロボロスの環 [ 小池 真理子 ]価格:2,750円(税込、送料無料) (2026/4/9時点) 楽天で購入 前の夫を若くして亡くし、必死で幼い娘を育ててきた彩和。俊輔との再婚は、人生の安泰が約束された幸福な瞬間だった。だが夫には秘密が…。廻り続ける「生」への不安を克明に描いた長編小説。『小説すばる』連載を単行本化。 私たちはなぜ、こうなってしまったのか。1989年5月、彩和と俊輔の結婚を祝う会が開かれた。前の夫を若くして亡くし、必死で幼い娘を育ててきた彩和にとって、それは人生の安泰が約束された幸福な瞬間だった。後に、俊輔の思わぬ一面を知ることになろうとは夢にも思わず…。廻り続ける「生」への不安を克明に描ききった、原稿1100枚に及ぶ傑作大長編。 本書は、一人の女性の半生を通して、人間の逃れられない「業」や「運命の輪」を圧倒的な筆致で描いた作品。再婚、子ども、亡き前夫の記憶など、人生の要素が絡み合い、簡単にリセットできない現実が描かれ、幸福から始まりながら次第に変質していく夫婦関係と、主人公の心の揺れが丁寧に描かれています。タイトルが示す通り、“廻り続ける生への不安”を真正面から描き切った作品です。【満足度】 ★★★★
April 9, 2026
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山の仕事ガイドブック 大自然と向き合う30人の現場案内 [ 松見 真宏 ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/4/8時点) 楽天で購入 山に関わる30人の仕事を紹介。山小屋での暮らしや収入、勤務体系、山を下りる頻度など、なかなか知ることのできない山の仕事のリアルが赤裸々に綴られた。進路や生き方に悩む人の選択肢を広げ、そっと背中を押す一冊。 歩荷や登山ガイドなど王道の山仕事から、山岳氷河研究者や山岳映像作家などマイナーな山仕事まで、山に関わる30人の30の仕事を紹介。就職のきっかけや仕事内容はもちろん、子育てとの両立や生活の苦労も赤裸々に綴られた。山との接点は人それぞれ。進路に悩む学生や大人に向けて、光がさすような明るさがある一冊。 本書は、山に関わる30人の30の仕事を紹介するガイドブック。王道からマイナーまで、多様な「山の仕事」のリアルな姿を伝えます。仕事内容や就職のきっかけだけでなく、収入・生活・家庭(子育て)との両立、苦労や現実面まで含めて描き、「山で働く」を具体的に想像できる一冊で、単なる「職業紹介」に留まらず、その人がなぜその道を選んだのか、どうやって生計を立てているのかという、一歩踏み込んだ人生の歩き方が描かれています。夢も現実も赤裸々に語る、進路に悩むすべての人に贈る「山の仕事」の現場案内の一冊です。【満足度】 ★★★★
April 8, 2026
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文豪の憂鬱な癖(へき) [ 朝霧カフカ ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/4/7時点) 楽天で購入 死にたがりで意気地なしの太宰治、ためらいなく借金しまくる川端康成、ドMな足フェチ谷崎潤一郎、恋愛対象は生涯ずっと20代だった島崎藤村…。教科書に名前が載るほどの文豪たちの、さまざまな「癖」を紹介する。 天才って、めんどくさい。圧倒的な才能が放つマイナスの放射線。破滅願望、借金癖、薬物中毒、メンヘラ、少女趣味、不倫癖、酒乱、超甘党、重度の潔癖症、超短気―読むとクセになる、35人の“こじらせ”エピソード。 本書は、教科書に載っているような「偉大な文豪」たちのイメージを180度覆す、文豪たちの「人間臭すぎるダメな一面」にスポットを当てた面白エッセイ集。文豪・作家35人の「天才ゆえの面倒くささ」や、私生活の“こじらせ”を切り口にしたエピソードを始め、破滅願望、借金癖、薬物中毒、メンタル不調、少女趣味、不倫、酒乱、極端な甘党、潔癖、短気など、作品のイメージとは違う負の癖・偏りを、読み物としてテンポよく楽しませてくれます。【満足度】 ★★★★
April 7, 2026
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ボスポラス 死者たちの海峡 [ 川瀬 美保 ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/4/6時点) 楽天で購入 トルコで自殺した日本人音楽家の不可解な遺書。警察は捜査を進めるが、特殊な人間関係が浮かび上がり…。第15回(2025)アガサ・クリスティー賞大賞受賞。 憂愁の都市―イスタンブール。自殺した日本人音楽家ヒデミの遺書は、ある人物たちを「犯罪者」として告発していた。パムクを愛読する左遷明けのオヌール警部補、彼の部下で漫画好きのジャン巡査部長、そして本庁国際犯罪課のエリート刑事・セルピルの三人は、その謎めいた告発の裏取り捜査を進める。やがて、在トルコ日本人コミュニティの特殊な人間関係が浮かび上がり、さらには相次いで発生していた女性転落死事件との恐るべき繋がりが見えはじめ…。イスタンブール警察の長い長い一日を、緻密なプロットと規格外の筆力で描ききった、第15回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。 第15回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞した本作は、トルコ・イスタンブールを舞台に、自殺した日本人音楽家が遺した謎の告発をトルコ人刑事たちが追う本格ミステリ。物語の舞台は「憂愁の都市」イスタンブール。観光都市の華やかさではなく、湿度のある街の空気や社会の陰影を背景に、歴史や文化がミステリの深みを生み出しています。遺書による告発から始まり、在トルコ日本人コミュニティの人間関係、さらに女性転落死事件へと繋がる構成と伏線の回収が丁寧で、個性的で人間味あふれる三人の捜査官、日本人とトルコ人、それぞれの視点から異文化が描かれ、国際的な広がりを持つ臨場感溢れるミステリとして、実に読み応えがあり、アガサ・クリスティー賞の名にふさわしい、謎解きの醍醐味と人間ドラマを兼ね備えた、一気読み必至の傑作です。【満足度】 ★★★★☆
April 6, 2026
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分裂蜂起 (抵抗都市) [ 佐々木 譲 ]価格:2,640円(税込、送料無料) (2026/4/4時点) 楽天で購入 日露戦争終結から十二年たった大正六年。敗戦した日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。十一月、ロシアで過激派が蜂起し、臨時政府から政権を奪取したとの情報が入る。一方、警視庁の新堂は水死体の引き揚げ現場に遭遇し、牛込署の中西と事件の捜査を始めた。ロシアで勃発した革命の影響が、日本にも着実に忍び寄っていたとは知らずに…。警察小説の旗手・佐々木譲が描く、大きな歴史のうねりの中で特務巡査としての任務を全うする一人の男の物語、ついに完結。 物語は、大正6年を舞台に、日露戦争に敗れ、主権の一部をロシアに握られた日本は、ロシア軍の駐屯を許す屈辱的な状況にある中、本国ロシアで「十月革命」が勃発。ボリシェヴィキ(過激派)が政権を奪取したことで、駐留ロシア軍内部にも革命派と反革命派の対立が持ち込まれます。警視庁の新堂は、ある水死体事件の捜査をきっかけに、日本国内で渦巻く「革命の火種」と、国を揺るがす国際的な謀略に巻き込まれていくことになる…ストーリー。「もし日露戦争に負けていたら?」という大胆な設定ながら、当時の世相や国際情勢が極めて精緻に描かれ、敗戦の閉塞感に沈む東京の描写や、ロシアの動乱が日本の治安に直結する緊張感は、リアリティがあります。最初はバラバラに見えた「水死体の謎」という警察小説的なミステリーが、次第に「世界を揺るがす革命」という大きな歴史の歯車と噛み合っていく構成が秀逸で、ロシア革命という世界史の分岐点が、日本にどのような運命をもたらすのか。圧倒的なリアリティで描かれる「もう一つの大正時代」を、ぜひ体感してください。【満足度】 ★★★★
April 4, 2026
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伯爵と三つの棺 (講談社文庫) [ 潮谷 験 ]価格:880円(税込、送料無料) (2026/4/3時点) 楽天で購入 フランス革命期のヨーロッパ小国で、元・吟遊詩人が射殺された。容疑者は三つ子の兄弟。DNA鑑定も指紋鑑定もない時代、探偵は犯人を特定できるのか? フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?時代の濁流が兄弟の運命を翻弄する。 本書は、革命期のヨーロッパ小国で嵐で孤立した湖畔に建つ洋館を舞台に、クローズド・サークル(閉鎖空間)という王道の本格ミステリー設定を使いながら、予測不可能な多重解決と、読者を驚かせる大胆な叙述トリックが盛り込まれたミステリ。古典的な舞台で最新のミステリーの技法を駆使し、読者に何度も驚きと快感を与える、新本格ミステリーの傑作と言え、兄弟の運命と革命の濁流が絡み、タイトル「三つの棺」が示す多重の謎が次々暴かれる展開は面白かったです。【満足度】 ★★★★
April 3, 2026
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檜垣澤家の炎上 (新潮文庫) [ 永嶋 恵美 ]価格:1,210円(税込、送料無料) (2026/4/2時点) 楽天で購入 横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは……。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。 本書は、SNSの炎上という現代的なテーマを扱いながら、その裏に隠された家族の闇と、個人の心理的な苦悩を深く掘り下げた、社会派ミステリ。有名な教育者であり、円満な理想の家族として知られていた檜垣澤家に、ある日、家族に関する衝撃的な秘密がネットに流出し、これが大炎上を引き起こし、完璧に見えた家族の崩壊が始まります。家族の一人ひとりの視点(父、母、娘、息子)が代わる代わる語られる「多視点」で進み、それぞれが抱える「嘘」や「苦悩」が徐々に明らかになっていきます。完璧に見えた檜垣澤家が、実はそれぞれが秘密を抱え、外向きの「理想」を演じていただけだったことが、家族それぞれの視点で語られることで浮き彫りになり、家族がお互いを信頼できずに疑心暗鬼になっていく過程や、炎上によって追い詰められる個人の心の叫びが、非常に深く描かれ、家族の秘密をネットに流出させた「裏切り者」は誰なのかというミステリ要素が、物語の緊張感を高めています。ネット社会の暴力的な側面と、家族という閉じた空間の脆さを描いた、現代の闇を映し出すような一冊で、読み応えがありました。【満足度】 ★★★★
April 2, 2026
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どら蔵 [ 朝井 まかて ]価格:2,475円(税込、送料無料) (2026/4/1時点) 楽天で購入 天保の世。大坂にいられなくなった道具商の放蕩息子は、江戸の骨董商の世界へ。お宝を巡って騙し騙され、情に流され…。彼は本物の目利きになれるのか。 天保の世。大坂の道具商の放蕩息子・「どら蔵」こと寅蔵は、なまじ目利き自慢であるのが運の尽き、奉公先に大損害を与えてしまい、大坂にいられなくなりました。旅に出て辿り着きたるは、知恵と欲が渦巻く江戸の骨董商の世界。手練れたちに揉まれながらも大奮闘!できればよいのですが。そううまくは運ばないのが世の常、人の常。お宝を巡って時に騙され、時に勝負をかけ、時々情に流され…。さて、どらちゃんは「真物」の目利きになれるのか?負けるな、どら蔵!「競り」はいつの世も、最高の知的格闘技!綿密な情景&人物描写を尽くした人間喜劇! 本書は、幕末から明治という激動の時代を背景に、実在した希代の興行師・十一代目・結城孫三郎の波乱万丈な生涯を描いた歴史小説。「江戸の華」と称された糸操り人形芝居の伝統を守りながら、新しい時代に立ち向かった男の「芸」と「意地」の物語が描かれます。特に人間模様の活写が魅力で、主人公・どら蔵の楽天的で自己肯定感の強い性格や、個性豊かな仲間・ライバルたちとのやりとりが物語にユーモアと味わいを加え、大坂のゆったりとした船場言葉と江戸弁のやりとりが臨場感を生み、笑いと人情が同居した語り口が楽しめます。騙し騙される商いの駆け引きを楽しみたい人におすすめの一冊です。【満足度】 ★★★★
April 1, 2026
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地上の楽園 (単行本) [ 月村了衛 ]価格:2,530円(税込、送料無料) (2026/3/31時点) 楽天で購入 昭和最大の闇「北朝鮮帰国運動」。貧困ゆえに政治家達に騙され北へ送られた勇太らの血と涙は報われるのか? 慟哭必至の社会派巨篇。 1959年大阪…。在日朝鮮人への蔑みと暴力がはびこる街で、復興を遂げ平等を実現し「地上の楽園」と称される北朝鮮への「帰国運動」が過熱していた。高校生の孔仁学は、ヤクザの抗争に巻きこまれ窮地に立つ親友・玄勇太に「帰国」を勧める。北朝鮮行きを決めた勇太だったが、帰国船内の食事の貧弱さや寝床の汚さに、「楽園」への違和感を覚え始め…。個性異なる二人の青春を活写し、今なお続く差別の源流と、流転の果ての希望を濃密に描く。慟哭必至のエンタメ大作。 本書は、1959年に始まった「北朝鮮帰還事業」という戦後史の大きな闇に切り込んだ、衝撃的な社会派エンターテインメント巨編。1959年の大阪を舞台に、在日朝鮮人への蔑視と暴力が日常的にはびこる社会の中で、復興を遂げ「平等な理想郷=地上の楽園」と喧伝される北朝鮮への「帰国運動」が過熱していく中、高校生の孔仁学は、ヤクザの抗争に巻き込まれて追い詰められた親友・玄勇太に「帰国」を勧めるが、北朝鮮行きを決めた勇太は、帰国船の貧しい食事や不衛生な寝床に触れ、“楽園”像とのズレに違和感を抱き始める……。差別の現実とプロパガンダの甘さの間で揺れる若者たちを描き、流転の果ての希望までを追う、重厚な作品で、「楽園」という名の幻想に向かった者、残された者、二人の青年の運命を通して、日本社会の差別の源流と、それでも消えない希望を描く、慟哭必至の物語でした。【満足度】 ★★★★☆
March 31, 2026
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思考実験大全 [ 岡本裕一朗 ]価格:2,178円(税込、送料無料) (2026/3/30時点) 楽天で購入 世界のバグを見つけてしまったかもしれない。プラトンからマルクス・ガブリエルまで、哲学者たちの「奇妙な問い」に、あなたの頭はきっとざわつく。読むたびに、現実がほつれていく…。 本書は、古今東西の知的な「もしも」を100問以上詰め込んだ一冊です。従来の哲学入門書と違い、単純な説明ではなく、仮想シナリオ(思考実験)を通して読者自身に問いかける形式を採っており、有名な「トロッコ問題」や「テーセウスの船」といった古典から、「シンギュラリティ」や「ラプラスの悪魔」など未来を見据えた問いまで、多彩なテーマが章ごとに網羅されています。読み進めるうちに、「自分の頭で考えることの危うさと楽しさ」を同時に味わえる一冊で、知的冒険を楽しめました。【満足度】 ★★★★
March 30, 2026
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「真」犯人 (単行本文芸フィクション) [ 石持 浅海 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/28時点) 楽天で購入 アーティストを支援する山あいの芸術村に、九人の芸術家の卵と一人の居候、そして四人のスタッフが暮らしていた。ニックネームで呼び合うこの村で、ある日、スタッフのわたしは、発明家エジソンさんの死体を発見。殺したのは恋人で歌人の小町さんのようだが、彼女を犯人にしたくない村長さんは、わたしに、CGアーティストの写楽さんを「真」犯人にするよう指示する。無茶苦茶な要求に戸惑うわたしだったが、いつしか冤罪作りに夢中になって…。 本書は、最初から犯人が分かっている状態で、「犯人が、いかにして別の人物を『真犯人』に仕立て上げるか」という、逆転の発想に焦点が当てられた独創的でスリリングな倒叙ミステリ。芸術家を支援する山あいの芸術村を舞台に、9人の芸術家の卵と1人の居候、さらに4人のスタッフが暮らしている中、ある日、発明家の“エジソンさん”の死体が発見され、彼の恋人で歌人の小町さんが犯人と疑われるものの、村長は彼女を犯人にしたくないと考え、そこでスタッフに命じられたのは、無理やり別の人物のCGアーティストの写楽さんを“真犯人”に仕立て上げることになるが、物語は次第に思わぬ展開へと進んでいきます。石持作品の真骨頂である、静かながらも熱いロジックのぶつかり合いが展開され、複数のエピソードで構成されていますが、それぞれが「罪のなすりつけ方」にバリエーションを持たせています。ミステリを楽しみたい方にはオススメの一冊です。【満足度】 ★★★★
March 28, 2026
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少女には向かない完全犯罪 [ 方丈 貴恵 ]価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/3/27時点) 楽天で購入 ビルから墜落し死につつあった黒羽烏由宇。臨死体験のさなか、あと7日で消滅する幽霊となった彼は、両親を殺された少女・音葉に出会い…。何もできない2人が逃げ、考え、罠にかける! 頭脳戦の楽しみに満ちた爽快な復讐譚。 なにもできない二人が逃げ、考え、罠にかける!頭脳戦の楽しみに満ちた爽快な復讐譚!黒羽烏由宇は、ビルから墜落し死につつあった。臨死体験のさなか、あと七日で消滅する幽霊となった彼は、両親を殺された少女・音葉に出会う。彼女は、出会い頭に彼に斧を叩き込んで、言う。「確かに、幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると思わない?」天井に足跡の残る殺人、閉じ込められた第一発見者、犯人はこの町にいる。 本書は、幽霊が見える音葉と、霊体となった黒羽が手を組み、音葉の両親の事件の真相と、黒羽を突き落とした犯人を追う復讐劇を描いたミステリ。「幽霊×子供」という異色のバディ設定が新鮮で、動けない幽霊が頭脳を、少女が行動力を提供し、それぞれの「らしさ」を活かした頭脳戦が繰り広げられます。特殊設定でありながら、安易な解決に逃げず、ロジックと推理が濃密に展開され、緻密な伏線回収、ロジカルな推理、多重解決は本格ミステリとして楽しめました。【満足度】 ★★★★
March 27, 2026
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サロメの断頭台 [ 夕木 春央 ]価格:2,310円(税込、送料無料) (2026/3/26時点) 楽天で購入 油絵画家の井口の絵を見て、オランダの富豪ロデウィックは、「そっくりな作品をアメリカで見た」と気が付いた。未発表の絵を、誰がどうして剽窃したのか? 盗作犯を探すうちに、井口の周りで連続殺人が発生して…。 盗作犯を探し出せ。油絵画家の井口は、元泥棒の蓮野を通訳として連れて、祖父と縁のあったオランダの富豪、ロデウィック氏の元を訪ねた。美術品の収集家でもあるロデウィック氏は翌日、井口のアトリエで彼の絵を見て、「そっくりな作品をアメリカで見た」と気が付いた。未発表の絵を、誰がどうして剽窃したのか?盗作犯を探すうちに、井口の周りで戯曲『サロメ』に擬えたと思われる連続殺人が発生して…。 本書は、大正時代の芸術界を舞台に、盗作から始まる見立て殺人の連鎖が炸裂する本格ミステリ。サロメの物語をモチーフとした連続殺人事件が発生し、盗作や贋作といった芸術家の抱える闇と、猟奇的な事件が複雑に絡み合い、謎が謎を呼ぶ展開となります。序盤のささいな描写(絵画の瑕疵や時代背景)がすべて繋がり、謎が一気に解ける伏線回収が見事で、芸術家たちの心理描写や時代考証も秀逸です。単なる謎解きに留まらず、作中で語られる「美」や「芸術」に対する言及が物語の核心に関わってきて、罪と罰、そして人間の情熱と苦悩について深く考えさせられるミステリです。【満足度】 ★★★★
March 26, 2026
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摂氏千度、五万気圧 [ 関元 聡 ]価格:2,530円(税込、送料無料) (2026/3/25時点) 楽天で購入 深刻な高温化で人類がほぼ死に絶えて数百年……異星人が設置した密閉ドームで少数の生存者たちと暮らすエリー、高温の外界に適応した女系民族〈結晶の民〉の娘アサヒ、一族を失い人類の殲滅を決意するユズリ……過酷な環境を生き抜く者たちの罪と復讐の物語! 第13回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。地球温暖化が深刻化した近未来、宇宙から飛来した正体不明の〈救済者〉は、世界各地に「コクーン」と呼ばれる密閉ドームを残して去った。そこに避難したごく一部の人類以外は、高温と飢えと病で死滅する―数百年後、コクーンの半数と連絡が途絶え、原因究明のためバンクーバー・コクーン調査隊が出発した。隊員の技術者エリーは住民が全滅したハノイ・コクーンを調査し、地球の高温環境に適応進化した女系民族〈結晶の民〉によるテロを疑うが…過酷な環境で生き残りを賭ける者たちの罪と復讐を描く、灼熱の黙示録。 本書は、第13回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した、圧倒的なスケールと叙情性を兼ね備えたポスト・アポカリプスSF。地球温暖化が極限まで進んだ近未来、宇宙から来た正体不明の「救済者」が、人類の一部だけを生かす密閉ドーム「コクーン」を世界各地に残して去る。外の世界は高温・飢え・病で崩壊し、人類文明はほぼ死滅。それから数百年後、連絡が途絶えたコクーンが続出し、原因究明のためバンクーバー・コクーン調査隊が派遣され、技術者エリーが全滅したハノイ・コクーンを調べるうちに、過酷な環境に適応進化した女系民族「結晶の民」の関与「テロ」を疑う…という、灼熱の終末世界×調査ミステリ×復讐劇の要素を併せ持つSFです。単なるSFアドベンチャーではなく、生き残りを賭けた者たちの業を描く重厚なドラマで、圧倒的な熱量と冷徹な科学的視点が同居する、SFファン必読の一冊です。【満足度】 ★★★★☆
March 25, 2026
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怪物 江川卓伝 [ 松永 多佳倫 ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/3/24時点) 楽天で購入 令和に蘇る怪物・江川卓の真実。怪物と呼ばれた男・江川卓。その圧倒的ピッチングは人々を魅了し、関わった者たちの人生までも変えていった。光と影に彩られた軌跡をたどる。江川卓の野球人生は、彼自身だけでなく、共に戦った仲間、対峙したライバルたちの人生をも揺さぶった。100人を超す証言者から伝説の投手が残した衝撃の全貌に迫る! 本書は、日本野球界において「怪物」と呼ばれた投手、江川卓の半生を、膨大な取材と関係者の証言から描き出した本格的なノンフィクション。高校・大学時代、プロ野球でともに戦った選手や監督、ライバルたちの声を通して、江川のプレースタイルや人間性、時代背景が立体的に浮かび上がり、プロ入りをめぐる「空白の一日」など、当時大きな話題になった事件の背景も詳細に描かれていて、単なるスポーツ伝記を超えた歴史的ドラマとしての面白さがあります。巨人のエースとしての活躍と、早すぎる引退についても深く掘り下げており、読み応えのある一冊でした。【満足度】 ★★★★
March 24, 2026
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科学的かつ現実的で、崇高かつロマンティックな 火星移住計画 [ ロバート・ズブリン ]価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/3/23時点) 楽天で購入 ミチオ・カク、イーロン・マスク絶賛!世界が虎視眈々と狙う「火星開発」の新たな可能性を問う話題作。 イーロン・マスクに影響を与えた火星移住の第一人者が描く、人類の新たなフロンティア。もはやSFではない。火星移住は「いつか」ではなく「いつ」の問題だ。イーロン・マスクのスペースX、ジェフ・ベゾスのブルーオリジン、リチャード・ブランソンのヴァージン・ギャラクティックという「民間」とNASAが連携するアメリカ。CNSA(中国国家航天局)が国家プロジェクトとして新たな覇権を狙う中国。宇宙開発に各国がしのぎを削る中、惑星間旅行は誰もが手の届く現実となろうとしている。ズブリン博士は、NASAや宇宙起業家たちから最も信頼される宇宙工学の権威であり、火星協会の創設者でもある。四半世紀前から火星有人探査の青写真を示し、多くの宇宙開発者たちにインスピレーションを与えてきた。そして技術的な準備が整った今、火星植民地化の具体的なビジョンが明かされる。 本書は、火星への有人飛行と移住を、夢物語ではなく現実的な計画として提示した内容で、技術的な実現可能性から、人類が火星を目指すべき哲学的理由まで、幅広く論じています。「どうやって酸素を作るか」「放射線からどう身を守るか」「食料はどうするか」といった課題に対し、すべて計算と実験に基づいた科学的根拠が提示されており、単に火星に降り立つだけでなく、数百年かけて火星に海を作り、空気を変え、植物を育て、「第二の地球」に変えていく壮大なプロセスが語られます。火星移住を「SF」ではなく「具体的なロードマップ」として描き出しており、科学者の情熱が詰まった一冊です。【満足度】 ★★★★
March 23, 2026
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SUPERサイエンス 驚異の都市工学 家康の創った「江戸」 [ 齋藤勝裕 ]価格:2,453円(税込、送料無料) (2026/3/21時点) 楽天で購入 世界最大の未来都市「江戸」の真相解明!湿地が広がる辺境の地、江戸を家康はどのようにして一大都市へと変貌させたのかを都市工学の観点から解き明かします。玉川上水のインフラ整備や五街道流通システムなど現代にも通じる都市開発ついて解説します。 徳川家康が、湿地が広がる辺境の地・江戸をいかにして一大都市へと変貌させたのか? 本書は、その壮大な都市開発を「都市工学」の視点から紐解きます。水路・治水・防災といったインフラ整備から、五街道に代表される交通網、そして市場経済の構築まで、家康の緻密な戦略眼と驚異的なプロジェクトの全貌を明らかにします。現代にも通じる持続可能な都市の原型を築いた、家康の知られざる偉業に迫る一冊です。 本書は、徳川家康がいかにして辺境の湿地帯だった江戸を、当時世界最大級の100万都市へと作り替えたのかを、「科学・工学」の視点から解き明かした一冊。歴史学的なアプローチだけでなく、土木、化学、エネルギー効率といった理系の視点で江戸を分析しているのが最大の特徴で、現代の私たちが直面している都市問題(防災、環境、廃棄物)に対するヒントが、400年前の江戸に詰まっていることを教えてくれます。歴史が苦手な理系の方でも、図解や科学的根拠をベースにしているので非常に読みやすく、知的好奇心が刺激される一冊です。【満足度】 ★★★★
March 21, 2026
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国産の魚はどこへ消えたか? (講談社+α新書) [ 川本 大吾 ]価格:1,210円(税込、送料無料) (2026/3/20時点) 楽天で購入 かつての魚大国から、凋落著しい日本漁業。近年の不漁、獲れても食卓まで届かない実態など、厳しい現状と、復活への道筋を探る。 1980年代末まで世界一の漁業大国として、和の食文化を支えてきた日本の漁業。だが近年は漁獲量もベスト10圏外に落ち凋落著しい。なぜいまのような状況になっているのか。気候変動・乱獲などによる不漁、せっかくたくさん獲っても一般消費者の食卓まで届かない流通の問題、サーモン、サバをはじめ、海外からの輸入増大、後継者不足。日本の漁業の現在を長年の取材から明らかにしながら、これからの道を探る。 本書は、日本の食卓から「国産の魚」が減り続けているという現状を深く掘り下げ、その背後にある漁業、流通、そして食文化の構造的な問題点を明らかにしたルポルタージュ。「魚が獲れなくなった」という単純な資源の問題だけでなく、漁師の高齢化・後継者不足、流通システムの複雑さ、消費者の魚離れ、そしてグローバルな市場競争など、複合的な要因が「国産の魚」を消していると指摘し、漁業の現場から、市場、流通業者、加工業者、そして飲食店の経営者に至るまで、サプライチェーン全体を取材し、立体的に問題を浮き彫りにしています。【満足度】 ★★★★
March 20, 2026
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考察する若者たち (PHP新書) [ 三宅 香帆 ]価格:1,100円(税込、送料無料) (2026/3/19時点) 楽天で購入 映画や漫画の解釈を解説する「考察記事・考察動画」がなぜ流行するのか? 「正解を当てにいく」風潮から令和日本の深層を読み解く。 なぜ映画を観たあとすぐに考察動画を見たくなるのか?映画やドラマ、漫画の解釈を解説する考察記事・動画が流行している。昭和・平成の時代はエンタメ作品が「批評」されたが、令和のいまは解釈の“正解”を当てにいく「考察」が人気だ。その変化の背景には、若者を中心に、ただ作品を楽しむだけではなく、考察して“答え”を得ることで「報われたい」という思考がある。30万部超『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者が令和日本の深層を読み解く! 本書は、現代の若者が、映画やドラマ、漫画といった物語作品に対して見せる「考察」という独特な鑑賞態度をテーマに、その背景にある現代社会の構造や情報環境を分析した一冊。なぜ若者が考察に熱中するのか、その心理的・文化的背景を掘り下げていて、考察を通じて、若者たちが「作品を所有する喜び」や、「社会とのつながり」を得ている、と分析しています。現代の物語と消費文化の現状を鋭く切り取りながら、若者の行動様式とその背景にある社会の構造を読み解く、非常に示唆に富んだ文化評論として中々興味深かったです。【満足度】 ★★★★
March 19, 2026
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コレクターズパレード 100人の収集生活 [ 落合 加依子、佐藤 友理 ]価格:2,200円(税込、送料無料) (2026/3/18時点) 楽天で購入 ひとり暮らし100人の生活を綴ったエッセイ集『ワンルームワンダーランド』に続く待望のシリーズ第2弾! 本書は、特定の分野の熱狂的なコレクターだけではなく、ごく普通の人々が「つい集めてしまうもの」や「捨てられずに溜まっていくもの」に焦点を当てた、視覚的にも楽しい一冊。2歳の男の子から主婦、会社員、アーティスト、専門家など、年齢も職業もバラバラな100人の収集生活を収録しており、マッチ箱、ミニカー、シロクマグッズ、黒文字(和菓子に添える爪楊枝)、ご当地日本酒ワンカップ……といった日常のささやかな断片まで多岐にわたります。単に収集物だけを見せるのではなく、それが置かれた部屋の写真と、なぜ集めているのかを語る短いエッセイが添えられており、人々の個性的な「好き」の多様性を讃え、日常の中のささやかな「ときめき」に光を当てる、温かく楽しいビジュアルエッセイです。【満足度】 ★★★☆
March 18, 2026
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イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する (河出新書 河出新書) [ イラン・パペ ]価格:1,100円(税込、送料無料) (2026/3/17時点) 楽天で購入 現代パレスチナ史の世界的泰斗が、シオニズム運動の胎動から2023年ガザ虐殺まで、その歴史をコンパクトに描く決定版! 本当のことを書きすぎてイスラエルにいられなくなった、ユダヤ系イスラエル人歴史家による世界一わかりやすい入門書。 本書は、イスラエル・パレスチナ紛争を「宗教対立」や「古代から続く憎しみ」ではなく、近代史における植民地主義と国家建設の問題として捉え直すことを目的とした入門書です。著者のイラン・パペは、イスラエル出身の歴史学者でありながら、イスラエル政府の公式歴史観を批判する「ニュー・ヒストリアン」の代表的存在で、その立場から、本書は一貫してパレスチナ側の視点を重視しています。この問題を対等な二者間の「紛争」と呼ぶことに異を唱え、「入植者植民地主義」であると指摘し、「ゼロから理解する」というタイトルの通り、複雑な経緯を整理しつつ、問題の本質が「人権」と「正義」にあることを突きつけ、感情論ではなく、構造と歴史で答えようとする一冊です。【満足度】 ★★★★
March 17, 2026
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インフラ崩壊 老朽化する日本を救う「省インフラ」 (日経プレミアシリーズ) [ 根本祐二 ]価格:1,210円(税込、送料無料) (2026/3/16時点) 楽天で購入 インフラ老朽化問題が深刻化し、全国で事故が多発。これから何が起きるのか。どのような対策を打てばいいのか。具体策を解説する。 道路、橋、上下水道、市役所、学校などインフラの老朽化が全国で深刻化しており、事故が多発している。なぜこのような事態になったのか、これから何が起きるのか。そして、どのような対策を打てばいいのか。解決の決め手となる「省インフラ」の具体策を解説する。 本書は、老朽化が深刻化している日本のインフラが直面する危機と、その解決策として著者が提唱する「省インフラ」という新しい考え方を提示した、警鐘と提言の一冊。高度経済成長期に整備された道路、橋、上下水道、トンネルなどの公共インフラが、一斉に寿命を迎えつつある中、適切な対策を取らなければ、インフラの機能不全や重大事故が多発し、人命や経済活動に深刻な影響が出る「インフラ崩壊」の危機が迫っていると訴え、単なる老朽化だけでなく、人口減少による利用者の減少と、維持管理を担う技術者や作業員の不足が、問題を一層深刻にしていると指摘しています。著者は、すべてを維持しようとするのではなく、「不要なインフラは廃止・縮小し、本当に必要なものだけに資源を集中させる」という、「省インフラ」の概念を提唱し、利用者が極端に減った道路や水道管などは、廃止や簡易化を検討し、その分のコストや人材を、都市部の基幹インフラなど、維持が急務な場所に振り向け、少ない資源でインフラの寿命を延ばすスマートインフラ技術の導入を提案していますが、この提案内容は個人的にも大賛成で、日本のインフラ危機の実態を明らかにし、持続可能な未来のために『省インフラ』という大胆な戦略転換を迫る一冊といえます。【満足度】 ★★★★☆
March 16, 2026
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あなたはなぜ雑談が苦手なのか (新潮新書) [ 桜林 直子 ]価格:990円(税込、送料無料) (2026/3/14時点) 楽天で購入 雑談を通して考えや思いを相手に伝えることで、「自分がどうしたいか」がわかってくる。マンツーマン雑談サービスを行っている著者が、「よい雑談」のエッセンスをやさしく伝える。Webマガジン『考える人』連載に加筆修正。 「自分の話がうまくできない」「いつも聞き役ばかり」「もっと仕事以外の話がしたい」…そんな悩みに、これまで三千回以上のマンツーマン雑談を行ってきた著者がこたえます。よい雑談の条件やそのメリット、話が苦手な人の共通点とは?雑談を通して考えや思いを相手に伝えることで、「自分がどうしたいか」がわかってくる。「不信メガネ」「プール理論」など独自の思考法を駆使して、そのエッセンスをやさしく伝える雑談入門。 本書は、雑談に対する苦手意識を持つ人のための、具体的なヒントと心理的なサポートを提供する一冊。従来の「雑談テクニック集」とは異なり、まず「雑談が苦手」と感じる人の心理的な構造や理由を掘り下げ、苦手意識を持つ人が陥りやすい思考パターン(自己否定、完璧主義など)を言語化しています。心理的な側面から雑談の苦手意識を解消し、具体的な技術でその練習をサポートしてくれる、心強い一冊と言えます。【満足度】 ★★★★
March 14, 2026
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失われた貌 [ 櫻田 智也 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/13時点) 楽天で購入 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。事件報道後、警察署に小学生が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は10年前に失踪し、失踪宣告を受けていた…。 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対策が不十分だという投書がなされた直後の出来事だった。事件報道後、生活安全課に一人の小学生が訪ねて来て、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に行方不明になり、失踪宣告を受けていた。彼は、身元不明の死体が発見されると、同じ確認をしに警察を訪れているという。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。 著者初の長編ミステリでもある本書は、顔を潰され、手首を切断された身元不明の死体から始まる事件が、複数のサブ事件(声かけ事案、脅迫、失踪など)と絡み合い、過去と現在を繋ぐ複雑な謎を解き明かすミステリ。捜査が進む中で、この事件と10年前に失踪した父親を探す小学生の訴え、そして無関係に見えた他の事件や過去の出来事が、一本の線で結びついていくのが大きな読みどころで、家族の悲劇、善悪の葛藤、希望の喪失が見事に描かれ、一見地味な進行の中に、非常に精密な仕掛けと人間ドラマが織り込まれた、読後に唸る本格ミステリです。【満足度】 ★★★★
March 13, 2026
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エピクロスの処方箋 [ 夏川草介 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/12時点) 楽天で購入 「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。患者は82歳の老人。それは、かつて哲郎が激怒させた大学院の絶対権力者、飛良泉寅彦教授の父親だった…。「医療では、人は救えないんだよ」治せない病は山のようにあるが、癒せない哀しみはない。思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく…。 本書は、前作『スピノザの診察室』の続編で、町医者・雄町哲郎(マチ先生)が、地域医療の現場で患者やその家族と向き合う姿を描いた作品です。医療小説でありながら、「幸福とは何か」「人と人とのつながりの大切さ」といった人生哲学を深く考えさせられる作品で、医療の現場で日々「生と死」に向き合う主人公が、エピクロスの思想に触れることで、少しずつ自分自身と向き合い直してゆく過程が丁寧に描かれています。単なる医療ドラマではなく、医療の限界と向き合いながらも、患者とその家族の心に寄り添い、真の幸福とは何かを問いかける、深く心温まる感動作でもありました。【満足度】 ★★★★
March 12, 2026
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ライアーハウスの殺人 [ 織守 きょうや ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/11時点) 楽天で購入 彩莉は莫大な遺産で孤島にギミックつきの館を建設し、かつて自分の書いた小説を馬鹿にした相手を殺害しようと企てる。ターゲットのミステリ愛好者たちが館に集められ、金にものを言わせたクローズドサークルが完成するが…。 孤島に聳え立つ来鴉館で嘘つきたちの饗宴が始まる。お嬢様・彩莉は転がり込んできた莫大な遺産で孤島にギミックつきの館を建設し、かつて自分の書いた小説を馬鹿にした相手を殺害しようと企てる。「おまえらがバカにした私の考えたトリックで死ね」嵐の気配が近づく中、ターゲットのミステリ愛好者たち(ショーゴ、詩音)、医療関係者(みくに)、刑事(矢頭)、霊能者(真波)、嘘で雇われたメイド(アリカ)が館に集められ、金にものを言わせた自前のクローズドサークルが完成。有能メイド・葵の鬼のダメ出しの末、綿密に練られた復讐劇は、成功間違いなしと思われた。しかし、一夜明けると、彩莉が殺した覚えのない死体が転がっていた…。二度読み必至。空前絶後の超本格ミステリ!! 本書は、雪に閉ざされた山荘という古典的なミステリの舞台設定を用いながら、現代的なテーマである「嘘」「虚偽記憶」、そして「物語」の力を深く追求した、変格ミステリ。外部との連絡が閉ざされた「ライアーハウス(嘘つきの家)」と呼ばれる山荘を舞台に、嵐や雪によって外部と隔離されるクローズド・サークル(閉鎖空間)という、ミステリ王道のプロットを採用しています。緊張感と、本格ミステリらしい知的な謎解きが提供されており、一つひとつの会話や行動が伏線として機能し、読み進めるほど“嘘と真実の境界”が曖昧になっていく感覚に包まれ、強烈な余韻を残すミステリでした。【満足度】 ★★★★
March 11, 2026
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43歳頂点論(新潮新書)【電子書籍】[ 角幡唯介 ]価格:1,034円 (2026/3/10時点) 楽天で購入 植村直己ら名だたる冒険家やクライマーがなぜか同じ年齢で命を落とした。背後にあるのは、歳とともに落ちる体力と上がっていく経験値とのギャップ…。極地探検家ならではの比類なき人生論。『小説新潮』連載を加筆し新書化。 植村直己、長谷川恒男、星野道夫…名だたる冒険家やクライマーが、なぜか同じ年齢で命を落とす。背後にあるのは、歳とともに落ちる体力と上がっていく経験値とのギャップ、すなわち「魔の領域」だ。二十代の頃、「体力の衰えは経験でカバーできる」と語る先達を「心中ひそかにバカにしていた」著者が、五十代を前に「その言葉は衰退の言い訳ではなく真理」だと思い至るまで、極地探検家ならではの圧倒的人間論! 本書は、著者自身の極地探検の経験と、年齢に対する深い考察を結びつけた、独特な人間論・年齢論です。探検家という独自の視点から「年齢」と「人生の盛衰」を深く考察し、ピークを過ぎた後の人生に新たな光を当てる、示唆に富んだ人間論でもあり、20代の体力、30代の判断力、40代の経験…と、それぞれの強みをどう生かし、どう折り合いをつけるのか。「若さのピーク=人生のピーク」という発想を否定し、年齢を重ねていくことの強さも示しています。「衰えた」と思うところにこそ、視野や深みが宿るという視点が新鮮で、北極圏での行動、極寒での判断、孤独な移動…極限の状況で人間がどう反応するのかという具体的な体験が、単なる年齢論に説得力を与えています。【満足度】 ★★★★☆
March 10, 2026
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