現在の信用収縮を考える
サブプライムローンの焦げ付きに始まる、現在の信用収縮問題は、来るものが来つつあることを感じさせます。株式のみでなく、リスク商品の一切が、軒並みそれも世界規模で売られています。商品、為替、債権(国債を除く)が揃って下げています。
これは何を意味するか。現在の国際資本市場の隆盛は、第2次石油危機後に発生した中南米や東南アジア等の債務危機に際して、90年代に債務の証券化の手法を確立したことによって、実現されたものでした。不動産のリートもその一つですが、購入物件を賃貸収入を配当に当てる条件で、債権として販売するものです。ローン債権もまた証券化されます。こうして現在は様々な形の証券化ビジネスが誕生し、様々な証券化投資が行なわれるようになりました。その矢先のサブプライムローン問題の顕在化でした。
証券化ビジネスの隆盛の結果、銀行は貸し付け金を小口の債権にして売りだします。するとそこで、貸しつけ金は回収できた事になりますから、再度回収した資金を貸しつけることが可能になります。つまりローンの証券化は、信用創造能力を何倍、何10倍にも膨らましたのです。それが潤沢な資金を世界に回すエンジンの役割を果たして、好調な世界経済を支えてきました。今、その好調な循環が、音を立ててきしみ、逆回転を始めてしまったのです。
証券化されたサブプライムローンを、ハイリターンに惹かれて購入していたファンドが、ローンの焦げ付きの急増情報に依る所有債権の基準価格の急落で損失を出したのが、今回のクレジット・クランチの始まりでした。低所得者向け住宅ローンの10%程度の焦げ付きなら、たいしたことにはならないというのが、当初の市場の判断でした。しかし、そう簡単には収まりませんでした。小口化し証券化した債権を、誰がどれだけ所有しているか分からないからです。この理解が進んだ段階で、投資家のリスク許容度は、当然ながら急激に縮小します。そのため、各種ヘッジファンドは、投資家の解約請求の急増に備えて、手持ちのポジションを大幅に減らさざるをえません。この連鎖が世界規模で起きたのが、リスク商品の連鎖安を招いた最近の状況です。
欧米の中央銀行の動きが速いのは、この現実をいち早く認識したからにほかなりません。しかし、公定歩合を下げ、市場に資金を潤沢に提供しても、それはファンドや金融機関の突然死を避ける(拓銀や山一の再来を防ぐ)ことは出来ても、財務状況の悪化による倒産(長銀や日債銀の再来)を防ぐことには繋がりません。したがって現在の市場の状況は、最悪期を脱したのではなく、問題の先送りにとりあえず成功したということに過ぎないのです。
米国中心に有り余っていた過剰資金は急激に縮小しつつあるのが現在の姿です。証券化ビジネスの魔力は消えました。新たな名案を市場が探し出すまで、混乱は避けられない。その意味でこれからの舵取りは難しい。今私はこんなことを考えています。
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