ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2007.11.28
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カテゴリ: 日本経済
バブルを考える(60)

公的資金の投入

不良債権の引当を厳格に実施した場合に、大手行の実質自己資本はどのくらいになるか、当時の銀行局が試算した結果が、後に明らかになっています。
「もし、あの時点で強制引当を実施していたら、大変な数の銀行が債務超過か国内基準(自己資本比率4%以上)以下になっていただろう」という、証言もなされています。

試算の結果は次のようなものでした。
自己資本比率8%超(国際基準超)東京三菱、三菱信託、東洋信託、
                興銀、日本信託、
    6~8% 住友、三和、第一勧業、東海、あさひ、
         三井信託、住友信託

    2~4% さくら、中央信託
    0~2% 大和
    0%以下 安田信託、日本債権信用
秋に破綻する長銀の自己資本が4~6%と試算されているなど、実情の把握が十分ではない面も見られますが、ハードランディング路線をとるには、遅きに失していたことは、十分読み取れます。必要な時期に必要な措置をとってこなかったツケは、非常に大きかったのです。

こうした状況にあるからこそ、余計に「危ない」と話題になった銀行も、「申請すれば本当に危なかったのだと思われる」と躊躇したのです。申請方式の限界でした。佐々波委員会は、2回の審議で審査基準を発表しました。発表後の3月5日に、各行は一斉にほぼ1千億円と横並びの公的資金の投入を要請しました。

この時、あえて突出するリスクを選んだ銀行が2行ありました。日本債権信用銀行が2900億円、長銀が2000億円を申請したのです。

日債銀は、97年春に経営危機に陥り、大蔵省と日銀による奉加帳増資によって、辛うじて破綻を免れた銀行でした。この増資の中に日銀の出資もあったことで、ようやく資金繰りが安定して間もないところだったのです。「外科病棟の集中治療室にいるのだから、大丈夫だろう」これが市場の評価でした。

長銀は、スイス銀行との提携交渉を続けていた関係で、スイス銀行を主幹事に欧州市場で、2000億円規模の資本調達を進める計画を立てていたのですが、それを公的資金に切替えてきたのです。自己資本の毀損状況を隠しに隠してきた長銀は、財務の適確な把握なしに資本調達主幹事を引きうけられないとするスイス銀行と、破談となりそうな状況を隠していたのです。

佐々波委員会はと大蔵省は、長銀の真意を訝りながらも、日債銀ほどには、長銀の申請を問題視はしませんでした。日債銀について、審議委員の多くから、債務超過の疑いがあり、公的資金は出せないのではないかという疑点が出され、議論は紛糾しました。しかし、日銀と大蔵省が「債務超過」ではない。公的資金が毀損する不安はないと太鼓判を押し、委員の異論を押しきることで、日債銀への公的資金投入も決まったのです。

こうして、長銀には1766億円が、日債銀には大きく減額されたものの600億円が投入されたのでした。

しかし、大手各行横並びの1000億円程度の注入で大丈夫なのかという、本質論の議論は何もなされていませんでした。





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最終更新日  2007.11.29 00:21:53
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