ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2009.05.18
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カテゴリ: 民衆の歴史
イギリスの庶民生活(7)  パブと飲酒…18

パブにおける飲酒を巡る問題は、1870年~80年頃を境に次第に落ち着いてゆきます。それは、労働者階級の生活の状況の改善と、安価なレジャーの多様化がようやく進みだしたからです。

最も労働者階級の生活の改善は、この頃に急速に進んだ植民地支配の進展を背景に、労働者階級の反乱を予防する目的で、植民地利潤の1部を労働者階級の生活改善に充当するという、社会改良政策が陽の目を見たからでした。それは植民地民衆の犠牲によって、国内の労働階級に救いの手を伸べるという、実に狡猾な方法だったのです。

そこには、世界の被支配階級が見事に分断され、統一戦線を組めない事態が生み出されたのでした。この帰結が、第一次、第二次という2つの世界大戦に繋がっていったのです。ここではこの問題への言及は、ここまでとしておきます。

労働者階級に広まった安価なレジャーには、ミュージック・ホールにおける大衆音楽の楽しみ、大衆演劇の普及、サッカーなどのスポーツ、動物園や植物園の普及と日曜日の開園でした。またプロスポーツの観戦なども登場します。

そしてまた鉄道網の充実と、割引運賃の普及による鉄道利用の増大が、大衆のレジャー機会を拡大したのです。ミュージック・ホールはパブでの歌や踊りが分化、独立して誕生したものでしたが、自ら歌って、踊って見物する場として、定着して行きました。大衆演劇もまた家族ぐるみで楽しめるものでしたし、ボール1個で集団で楽しめるサッカーは、スラムの子ども達にも大人気でしたし、大人もまた楽しめるものでした。

動物園で見ることの出来る、エキゾチックな動物の話は、人々の好奇心を強く刺激し、まだ見たことのない人は、想像をたくましくしながら、対面の日を楽しみにしていたのです。

海岸へ出かけるレミングのたとえ話は、レジャーの誕生の項に記しましたが、この時代には、夏の海岸ばかりではなく、様々な形での鉄道旅行が普及するようになっていました。地方から動物園や植物園を訪れる人も多く、美術館や博物館への関心も、高まりを見せていたのです。

こうした楽しみの多様化から、パブにおける飲酒も、次第に節度あるものに変わっていきました。勿論、パブはなくなったわけではなく、社会に溶け込んだ存在として、時代のニーズに合わせて、少しづつ形を変えながら、今日までその姿をとどめているのですが。



結局、生活環境の改善が、労働者階級におけるパブと飲酒の問題を解決する鍵となったのでした。
                               完
本日をもって、イギリスの庶民生活のシリーズをひとまず閉じることにします。ご愛読有難うございました。





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最終更新日  2009.05.18 12:06:29
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