ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.01.30
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カテゴリ: 外国史
ハイチに贈る (16)

スペイン王権は、1542年に中南米植民地に関する新法を制定します。この法には、スペイン人と先住民との関係を正そうとする、ラス・カサスを中心とした先住民擁護派の主張を認めて、インディオの奴隷化を禁止した条文が含まれるなど、評価できる部分も含まれていました。

そして問題のエンコミエンダは、今後相続の対象から外し、1代限りのものとすると定めたのです(第35条)。しかしこの条文は、過激すぎました。もし条文がその通りに施行されていたら、植民地社会の中核である都市市民団から、その唯一の経済基盤を奪ってしまうことになるからです。それは、植民地社会の中核を破壊し、植民地社会を根底から崩してしまうことになるからです。

王権の先兵である副王たちは、さすがに現地の事情に通じていました。各地の副王は、新法を携えて植民地にやってきた査察官達を待たせて、市会に陳情団を編成させて本国へ派遣し、35条の修正を嘆願させたのです。勿論自らの意見書も提出しました。

こうして、第35条は日の目を見ることなく新法から削除されました。しかし、それはエンコミエンダをそのまま存続することではありませんでした。都市の市民団構成員に、エンコミエンダとして与えられていた村落は、一つ一つ西欧式の村落共同体に改組され、夫々にスペイン国王が派遣する役人コレヒドールが配置されることになったのです。

コレヒドールとは、「悪を矯める者」と言った意味を持つ語で、夫々の町や村の自治的な活動に対する国王のお目付け役の役割を果たす役人でした。彼らは市会の会合で議長を務めると共に、市の管轄領域での司法をも担当したのです。

さらに王権は、1549年にエンコミエンダから賦役を提供させることを禁じました。今後はエンコミエンダ保有者も、先住民の労働力を使うには、コレヒドールに願い出て、その割当を受けなければならないことになったのです。

さらに王権は、エンコミエンダ保持者が持つ貢納の裁量権をも取り上げました。以後の貢納は、コレヒドールが行なう公式の人口調査の数値に本付いて貢納額を定め、徴収もまた官吏が行い、エンコミエンダ保有者に分配することになったのです。

市民団構成員の経済基盤は確保されますが、エンコミエンダはもはや所領ではありません。所領であるなら、領主(所有者)と少なくとも村長らとの間に、人間的な紐帯があり、時には膝詰め談判で相談をまとめることが出来なければなりません。


                             続く







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最終更新日  2010.01.30 13:05:08
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