ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.03.29
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カテゴリ: 外国史
ハイチに贈る(70)

ここで、独立から19世紀半ばまでのハイチの政治変動の大まかな流れを見て起きましょう。

初代元首となったのは、トゥサン後に総司令官の地位を継承したジャン・ジャック・デサリーヌでした。1903年に独立100年を記念して作られた現在の国歌、「ラ・デサリエンヌ」はハイチ建国の父デサリーヌの名に由来しています。

デサリーヌは初代総督となり、その後間もなく執心総督となり、さらに1804年10月8日には、ジャック1世と称して皇帝位に就きました。翌1895年5月に最初の憲法を制定したのも、デサリーヌでした。

デサリーヌは皇帝として即位したのに、1806年12月27日制定の新憲法は共和制を宣言しています。なぜそうなったかというと、デサリーヌが1806年10月17日に死去したからです。それも反対派のテロによって、暗殺されたからです。

デサリーヌの死後、ハイチは南北に分断され、2人の人物が1人は北部、1人は南部を統治したのです。1806年12月~1820年10月までの14年間、北部を統治したのはアンリ・クリストフ。1807年3月~1818年3月までの11年間、南部を統治したのはアレクサンドル・ペティオンでした。

2人はいずれも、当初は大統領と称していましたが、北部のクリストフは、1811年にアンリ1世を名乗るようになり、以後の9年間は王制を敷いています。1方のペティオンは、1816年に新憲法を制定して、自ら終身大統領に就任しています。

この分割体制は1820年まで続きました。なぜこうなったのか。(68)に記したように、クリストフもペティオンも共に、デサリーヌと共に誓約に加わった将軍であり、共にハイチ独立のために戦った盟友です。違いは2人の出自にありました。クリストフは黒人奴隷の出身であり、ペティオンは黒人の母とフランス人宝石商の父の間に生まれたムラートだったのです。

この2人の出自の違いが、南北の地域的経済的な違いに重なります。北部はフランス人の入植が比較的早くから始まった地域でした。ここは海岸線の平野部が比較的広く、大勢の黒人奴隷を使役したサトウキビプランテーションが発達した地域でした。それに対して南部は、海岸近くまで山地が進出していて平野部が少なく、広い農地を必要とするサトウキビプランテーションを展開できない地域だったのです。そのためこの地は、より小規模な農地でも展開しうるコーヒーやインディゴのプランテーション地帯となったのです。



こうして元黒人奴隷中心の北部と、ムラート中心の南部という構図は、次第に政治的な対立も孕むようになったのです。この対立の構図は、トゥサンに続いてカリスマ性を帯びた指導者として期待されたデサリーヌが、南部のムラートの青年によって暗殺されたことから、増幅されていったのです。

独立戦争の過程で、解消されたかに見えた黒人奴隷出身者とムラートの反目は、デサリーヌ暗殺を機に、再び顕在化することになったのです。
                              続く





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最終更新日  2010.03.29 17:43:00
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