ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.12.15
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カテゴリ: 国際経済
ユーロの憂鬱 (11)

1989年11月のベルリンの壁崩壊に、私は腰を抜かさんばかりに驚いたのを覚えています。第二次世界大戦後に、米ソ対立の狭間で民族が分断された国家は、南北朝鮮、南北ヴェトナム、そして東西ドイツの3つでした。

このうち、南北ヴェトナムは、大国アメリカの妨害を、堂々と払いのけて1975年に統一を達成していました。次に統一を達成するのは、東西ドイツではなく南北朝鮮だと、私は考えていたからです。それが東欧革命の波が及んだ東ドイツの共産党政権の崩壊が、予想外に早くやってきたのです。

壁崩壊から、1年も経たず、東西ドイツは合併しました。1990年8月のことでした。統一にあたって、ドイツは大きな犠牲も払いました。高校生か大学生のお子さんのいらっしゃる方は、歴史地図を開いてみていただくと、一目瞭然になりますが、プロイセン王国の発祥の地であった、旧東プロイセンというドイツ固有の領土を、そっくりポーランドやデンマークに譲って、将来にわたって一切の領土要求をしないと、約束したのです。こんな大きな代償を払うことで、実現したのが90年のドイツ統一でした。

そして、この統一ドイツの誕生が、共通通貨の誕生に向けての、フランスの態度を大きく旋回させたのです。この時期までのドイツは、日本と同じく国際政治にほとんど口を挟まない国でした。政治的な発言はほとんどしない、いわば物言わぬ経済大国だったのです。そのドイツが統一ドイツとなり、東欧に向けて勢力を拡大するとなると、これは大変だ。フランスやイタリアは、こうした危機意識を持つようになったのです。

これも、歴史地図に鮮やかですが、ポーランドを覗く東欧諸国のほとんどが、ドイツの兄弟国家である旧ハプスブルグ帝国(オーストリア)の版図とほとんど重なっているのです。

ドイツのみに勢力拡張の機会を与えてはならない。共通通貨を採用して、ドイツ同様のチャンスを他国にも分かち合ってもらおう。そして同時に、ドイツを共通通貨で統合の度合いを強めた、「統合欧州」の中に留めておこう。そのための役に立つのなら、通貨主権を強く主張することは控えてでも、共通通貨の実現を目指して、通貨統合推進派となることも辞さない。

フランスもイタリアも、このように態度を替えたのです。それまでの欧州は、共通通貨導入へ向かうプロセズを、経済統合先行型で行くのか、通貨統合先行型とするのか、喧々諤々の議論を続けていたのです。

通貨統合のためには、先ず経済統合を進めなければならないと主張する経済先行派に対し、通貨統合先行派は、通貨を統合してしまえば、半強制的に経済実態は1つに収斂してくると主張していたのです。ベルリンの壁崩壊と、それに続くドイツの統一という大事件がなければ、両派の主張は、現在も延々と続いていたかもしれません。



考え方としては、私は経済統合先行派の主張に1票を投じます、加盟国の経済発展段階が一定の範囲に収斂し、互いに類似した経済体質を持つようになってから、1つの通貨を持つに至るならば、リーマンショック後の経済混乱にも、もっと歩調を揃えて取り組むことが出来たと思うからです。
                           続く






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最終更新日  2010.12.15 21:10:07
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