ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.10.19
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カテゴリ: 女性史
ナイチンゲールの世界 (13)

公衆衛生学者たちは、病院の不衛生で悲惨な状況にも眼を向け、きつい調子でその改善を提言しました。しかし、上下水道事業を優先する政府は、病院の状況改善には手がまわりません。その結果、病院環境の改善は、人道主義者の自発的な行動に負うしかなかったのです。

1820年生まれのナイチンゲールが、看護の仕事の重要性に目覚めたのは、こうした時期だったのです。病院は身寄りのない最も卑しい人たちが収容される、不衛生で悪臭の漂う場所でした。ですから、看護婦の仕事は、夏冬を問わず川の浅瀬で洗濯をする、重労働の洗濯婦(石鹸のない時代です。白生地の汚れを落とすのは、大変な重労働だったのです)と並んで、最も卑しい職業に数えられていたのです。

その上、病院に収容されているのは、社会の底辺に属する人々です。産業社会化の進展のなかで、貧しき労働者の数が増えてくると、他に行き場のない病人も増えてきます。当然病院に収容される貧民も増えます。収容患者数に応じて、看護婦の数を増やしてくれるわけではありませんから、当然仕事はきつくなります。

こんな状態で、しかも最も卑しい仕事と蔑まれている看護婦達に、誠実な仕事振りを期待することの方が無理です。どの道全員にまで眼が届かないのなら、助かりそうもない人たちから見捨てる。看護婦達は仕事のきつさから、自然にそうした手抜きの論理を身につけます。

熱心に誠実に仕事を続ける看護婦は、救貧活動に力を入れる修道会から派遣されてくる、修道女達に限られるのですが、英国国教会(日本では聖公会)を国教とするイギリスには、修道院は16世紀半ばに廃止されているため、彼女たちに期待することも出来ません。

上流階級、それも超上流階級とも言うべき、一握りの恵まれた家庭の令嬢であるナイチンゲールが、身内や社交界の場で、「看護婦の仕事をしてみたい」と一言でも漏らしたらどうなるか、想像はつきますね。
                          続く





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最終更新日  2011.10.19 21:31:21
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