偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2013.11.25
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カテゴリ: 万葉

  本日は雨。
  雨障み(雨つつみ)とは、男が女の許へ行けぬ口実に使う常套句らしいですが、銀輪散歩にとっては、口実ではなく雨は実際の障りにて候。
  と言うことで、もみぢ散歩の付録にと、万葉集から「もみち」(名詞)「もみつ」(動詞)という言葉が出て来る歌を拾い出してみました。掲載文字数制限の関係で第1巻から第10巻の途中までの歌(但し、短歌に限りました。)30首です。


もみぢ (4) (もみち葉)

秋山の もみちを茂み  ( まど ) ひぬる 妹を求めむ  山道 ( やまぢ ) 知らずも
                   (柿本人麻呂 万葉集巻2-208)

もみち葉の ちりぬるなへに 玉づさの  使 ( つかひ ) を見れば あひし日思ほゆ
                     (柿本人麻呂 同巻2-209)

秋山の もみちあはれと うらぶれて 入りにし妹は 待てど来まさず
                      (同巻7-1409)

今朝 ( けさ ) の朝け 雁が ( ) 聞きつ 春日山 もみちにけらし わが ( こころ ) 痛し
                      (穂積皇子 同巻8-1513)

秋山に もみつ ( ) の葉の うつりなば 更にや秋を 見まく ( ) りせむ
                      (山部王 同巻8-1516)

味酒 ( うまさけ )  三輪の ( はふり ) が 山照らす 秋のもみちの 散らまく惜しも
                      (長屋王 同巻8-1517)

( よひ ) にあひて  ( あした ) ( おも ) ( ) み  隠野 ( なばりの ) の 萩は散りにき もみち ( はや ) ( )
                      (
縁達師 ( えにたちし )  同巻8-1536)

時待ちて 降りし 時雨 ( しぐれ ) の 雨やみぬ 明けむ ( あした ) か 山のもみちむ
                      (市原王 同巻8-1551)

( おほきみ ) の 三笠の山の もみち葉は 今日の時雨に 散りか過ぎなむ
                       (大伴家持 同巻8-1554)

春日野に 時雨降る見ゆ 明日よりは もみちかざさむ 高円の山
                       (藤原八束 同巻8-1571)

雲の上に 鳴きつる雁の 寒きなへ 萩の下葉は もみちせるかも
                      (高橋安麻呂 同巻8-1575)

( ) 折らずて 散りなば惜しと わが ( ) ひし 秋のもみちを かざしつるかも
                       (橘奈良麻呂 同巻8-1581)

めづらしき 人に見せむと もみち葉を  ( ) 折りぞわが ( ) し 雨のふらくに
                        (同上 同巻8-1582)

もみち葉を 散らす時雨に ぬれて来て 君がもみちを かざしつるかも
                      (久米女王 同巻8-1583)

めづらしと わが ( ) ふ君は 秋山の  初黄葉 ( はつもみぢば ) に 似てこそありけれ
                    (長忌寸の娘 同巻8-1584)

奈良山の 峯のもみち葉 取れば散る 時雨の雨し 間無く降るらし
                     (犬養吉男 同巻8-1585)

もみち葉を 散らまく惜しみ  ( ) 折り来て  今夜 ( こよひ ) かざしつ 何か思はむ
                     (県犬養持男 同巻8-1586)

あしひきの 山のもみち葉  今夜 ( こよひ ) もか  ( うか ) ( ) くらむ 山川の瀬に
                      (大伴書持 同巻8-1587)

奈良山を にほはすもみち 手折り来て 今夜かざしつ 散らば散るとも
                     (三手代人名 同巻8-1588)

露霜に あへるもみちを 手折り来て 妹とかざしつ  ( のち ) は散るとも
                     (秦許遍麻呂 同巻8-1589)

十月 ( かむなづき )  時雨に逢へる もみち葉の 吹かば散りなむ 風のまにまに
                      (大伴池主 同巻8-1590)

もみち葉の 過ぎまく惜しみ 思ふどち 遊ぶ今夜は 明けずもあらぬか
                      (大伴家持 同巻8-1591)

秋されば 春日の山の もみち見る  寧楽 ( なら ) 京師 ( みやこ ) の 荒るらく惜しも
                      (大原今城 同巻8-1604)

わが 屋前 ( には ) の 萩の下葉は 秋風も いまだ吹かねば かくぞもみてる
                      (大伴家持 同巻8-1628)

背の山に もみち ( つね ) ( ) く  神岳 ( かみをか ) の 山のもみちは 今日か散るらむ
                     (長意吉麻呂 同巻9-1676)

( がく ) り 雁鳴く時に 秋山の もみち片待つ 時は過ぎねど
                     (柿本人麻呂 同巻9-1703)

筑波 ( ) の  裾廻 ( すそみ ) の田井に 秋田刈る 妹がりやらむ もみち手折らな
                     (高橋虫麻呂 同巻9-1758)

もみち葉の 過ぎにし子らと たづさはり 遊びし磯を 見れば悲しも
                     (柿本人麻呂 同巻9-1796)

雁がねは 今は ( ) 鳴きぬ わが待ちし もみち ( はや ) ( ) げ 待たば苦しも
                 (柿本人麻呂歌集 同巻10-2183)

秋山を ゆめ人 ( ) くな 忘れにし そのもみち葉の 思ほゆらくに
                 (柿本人麻呂歌集 同巻10-2184)






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最終更新日  2014.03.22 00:06:43
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