「昨夜、新しい家にいる夢を見たんだ」 ベッドに寝転んでいるジャスティンが話し掛けた。 「クッキング?ガーデニング?それとも暖炉の前に座ってた?」と横でブライアンが尋ねる。 「ちょっと違うよ」 どうやら馬小屋ではブライアンがジャスティンに乗り、プールではジャスティンに飛び込み、テニスコートではジャスティンを激しく打ち付けたという夢だったらしい。 「それよりもただ寄り添い合うってのはどうだ?( Wouldn't you rather just cuddle?
)」 「 What?
(何?)」 思わずベッドから飛び起きるジャスティン。 「俺が言ったのはだな、それよりもただここで横になって…( I said wouldn't you rather just lie here...
)」 「いやいやいや、何て言ったかは聞こえたんだ。“寄り添い合う”って言ったよね!(cuddle"!)」 「…だから?」 ジャスティン曰く、今迄に一度だってブライアンがそんな言葉を使ったのを聞いたことがないし、そんな事をしたいと思ったこともないはずだ。ブライアン・キニーはF*cks(やる)、Sucks(しゃぶる)、Rims(舐める←お尻の穴を)…といったことはするが、決して寄り添い合うなんてことはしない、と―。 もう二度とお前の気に障る言葉は使わないよ、と謝るブライアン。 「ううん、それだけじゃない」 尚もジャスティンは言葉を続け、結婚が近づくにつれて自分の知っているブライアンが遠くに行ってしまうと言う。自分のスタッグパーティーでホットな男とヤらないなんてあり得ない! 「お前をただ幸せにしたいんだ」 「自分が幸せになることをしてよ、僕じゃなくて」 暫しの沈黙のあと、ブライアンがジャスティンに尋ねる。 「自分はどうなんだ?そう、お前のことだ。ニューヨークへは行かないのか?美術界を征服するんだろ?」 ニューヨークも美術界も糞くらえだ!と言うジャスティンに、ブライアンが焚き付けるように言う。 「怖いんだろ?」 「怖くなんかない」 「じゃあ何故だ?」 「行きたくないからだよ」 「嘘つけ」 「嘘じゃない、行っても意味ないし」 「もし俺がここに居なくても、意味のないことか?」 そんな仮定の質問には答えられないよ、とジャスティンは会話を打ち切ろうとするが、いいから答えろ、とブライアン。 「分からないよ」 苛つき気味に答えるジャスティン。 「俺には分かる」 ブライアンは困惑するジャスティンの顔を見つめながらそっと手を握ると、優しく言い放った。 「I don't want to be with someone who sacrified their life and called it love... to be with me. (俺と一緒にいるために自分の人生を犠牲にして、それを愛だと言うような奴とは…一緒にいたくないな)」 「 Neither do I.
(僕もだよ)」