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物語詩「竜になった大きい大きい松の樹」
第8章「竜になった大きい大きい松の樹」
矢田部誠子 作詩
やがてぴかーっ!ぴかーっ!
強い稲光がしたと思いますと
ぐわーんぐわーん大きい音がして
そのとたん、大きい大きい松の樹は
紅い目をらんらんと光らせた緑色の竜になり
大空に駆け登って行きました。
そのとたんザーザーザーザーと
待ちに待って待ちわびた雨が
滝のように地上に降り注ぎ
気を失っていた
小さい小さい松の木の耳もとに
「おお!竜だ竜だ根っこのような尾を持った
緑色の竜だ」と叫ぶ村人たちの声が
きこえました。
小さい小さい松の木が顔をあげると
今さっきまで頭の上に聳えていた
大きい大きい松の樹が
根っこから根こそぎなくなって
ザーッザーッと大粒の雨が
小さい小さい松の木の頭から降り注いで
いるのでした。
大空を見上げた
小さい小さい松の木の瞳に
尾が幾本にも裂けた緑色の竜の
紅く光った瞳から
大粒の泪が雨になって
小さい小さい松の木に降り注がれるのが
見えたのでありました。