弥々*とはず語り   

    弥々*とはず語り   

2005.06.25
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ヴィオロンで流していた曲は「リリー・マルレーン」で有名な
戦場のディーバ【マレーネ・デートリッヒ】のベスト盤
♪マレーネ・デートリッヒのすべて♪

思えば、開場の時から・・・いえ、ヴィオロンに行こうと決めて頂いた時から
ゲストの皆様は【二十歳の原点】を知る人も知らない人も
既に【高野悦子】にそれぞれの思いを馳せながら、おいで頂いたように感じた。

休憩中も、開場はざわつく事はなく
トイレに立つ人がいなければ、何時でも始められる位の集中力
早く始めろと言わんばかりの静寂・・・デイーバの歌声に身を委ね・・・
ゆったりと時は過ぎて・・・


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SE:踏切の音が鳴り響き・・・

玲と弥々が創り上げた、いえ、この時代に伝えたかった
【二十歳の原点・にじゅっさいのげんてん】が始まった。

走り去る列車音の後、俯瞰の位置から聞こえる悦子の心・・・

そして、父・三郎がストーリー・テラーとなって
悦子が日記を読み進めるというスタイル。

ふたり

三郎父さんは
【せめて何でも言える友人、同じ目的を持って共に闘う同士、恋人・・・
誰でもいい、悦子に寄り添う人間が、一人でもいてくれたらと思います】
そう言い残し、その後は悦子の独白が続く・・・

悦子

日記の日付が、その日に近づくほどに堕ちていく悦子の心・・・
それでも最後のその瞬間まで、生きたくて生きようとして・・・
まるで誰かに生きる許しを請うてるかのごとく
孤独の中で、もがき苦しむ悦子・・・

最後の時・・・
【もはや、独りである心強さも寂しさも、何も感じないのだ・・・】そう書き記し・・・
悦子は、1969年6月24日未明 永遠の旅に発ってしまった。

SE:踏切の音~オルゴール(追悼)へと繋げ・・・

黙祷

MC:自らの命を絶ってしまった悦子から
   それぞれがぞれぞれの思いで、何かを受け止めてくれたとしたら・・・
   それだけで充分だから・・・この思いを、そっと捧げます
   悦子へと黙祷~ ♪オルゴールサウンド♪


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この話を持ってきたのは玲だった。
朗読の大家(たいか)に師事し、その師匠のもとで
【二十歳の原点】を何度か上演された玲。

今回もその時の台本を持って、吾のところにコンタクトしてきた。

重いテーマだ。どうする?
しかも自主公演。こんな重い話を、今の時代にどうやって伝える気なのだ・・・
他でもない可愛い玲の誘いだから、返事はイエスでも
正直、台本には気乗りがしなかった。

元々この本は悦子を数人で読み語る群読スタイル。
シチュエーションごとに、キャラの合う悦子役が朗読する本だ。
ナレーター役が一人いて
時折、新聞の見出しのような学園紛争の内情をナレーション。

このナレーター役が吾で、悦子は玲一人でやると言うのだ。
悦子は玲が一人でも充分表現出来ると思ったが・・・
吾はこの学園紛争のナレーションしかないのが嫌だった。と言うより・・・
今この時代に自分が敢えて【二十歳の原点】を取り上げるのであれば
学園紛争を掘り下げるのではなく
生きることを放棄してしまった一人の20歳の女性の内面に
真正面から向き合いたいと思ったのだ。

そして自分が何かを添えるとしたら、新聞記事のようなナレーションではなくて
【二十歳の原点】愛蔵版に記された、父・三郎の心に寄り添い
その思いを、表現したいと思ったのだ。

元の台本を一から改訂する為に、久し振りに【二十歳の原点】を紐解く。
取り上げたい日記に付箋を貼りながら・・・
最後は文庫版が、付箋だらけで辞書の厚さほどになってしまった。

そこから玲とあれやこれやと思いを闘わせ
最終的に35分の内容にまで絞り込む。
取り下げたくない日記は山ほどあった。
玲の口癖「悦子は怒ってるんじゃないか・・・」
「だから三郎父さんがいるじゃない」吾は口にはしなかったが
玲に心の中から呼びかけていた。

結局、元の台本で取り上げた日記を削って
新たに加筆した日記はごく僅か・・・
だが三郎父さんの台詞は、愛蔵版に付記されてある父の手記から引用して
元台本のナレーションと差し替え、悦子の独白に邪魔にならないように
尚且つ効果的なストーリーテラーになるように、吾が書き上げたものだった。

書き手としては素人の吾、その事が常に不安の種だった。
だが、今や人の親となった吾としては・・・
元のナレーション台本をまんま表現するよりは
遥かに思いを伝えられると言う自負はあったことだけ記しておこう・・・


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娘の日記を、悩みつくして世に出す決意をした三郎父さん。
その思いに心を寄せる時・・・悦子は三郎父さんの中に息づいてると思った。

年齢やその時の心のあり様によって、この本から受ける感想は人様々だと思う。
だから吾がこう捉えた事・・・どうかお許しくだされ。

三郎父さんは娘の日記を世に出す時に、本のタイトルを
「二十歳の原点」とした。
そして「にじゅっさいのげんてん」と振り仮名をつけた。
そこに、三郎父さんの思いが凝縮されているように思えた。

‘はたち’などと通称表記で音にしないで欲しい・・・
そう娘は、僅か‘にじゅうねんと半年’の生涯を自らの手で閉じ
その事で、新たな生を受けたのかもしれぬ。
且つ又、親である自分は、原点に立ち返ったのだと・・・
そう思わなければ生きてこられなかった親の思いが
そこに滲み出ているのではないかと・・・

まだ多感だった10代の頃・・・
初めてこの本を読んだ時、吾は悦子に自分を投影させて捉えていた。

だが今は、その時とは全く違う感覚で捉えている自分がいる。
その気持ちは三郎父さんの視点だった。

人それぞれの捉え方があって当然。
だから、一概に自殺者の日記と言う表面だけで敬遠せずに
未読の方には一度読んでみて頂けたらと・・・

そして既読の方も、今の感覚でどう受け止め方が変わるか
読んでみるのも一興かと・・・


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書きたいことは山ほどあった筈なのに・・・
何を書いても、悦子は生き返らないという事実に直面する時・・・
この後記そのものも、駄弁に過ぎぬものであり・・・

ただ一言・・・アンケートでは
『思っていたより、なんだか温かい気持ちになれた』
と言うお声が多かったこと・・・
その事ひとつで、悦子が微笑んだような気がする。

だから今一度、この場にてそっと捧げようと思う。
心からの黙祷を・・・


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最後に、貴重なお時間を割き、空腹にも耐え
悦子の心に寄り添ってくだすったゲストの皆様に
心からの敬意を表し、悦子追悼ライブの後記を括る。

ありがとうございました

未熟な吾らをサポートくだすったスタッフの皆様
武内芳紀さん ・翠さん・さゆちゃん】
楽曲提供いただいたジャズピアニスト【水城雄さん】
パンフに涙のイラストを提供いただいた【 pigmacさん
公演後記の為にライブ写真を撮影くだすった【 たか・たか・たかしさん
素晴らしい空間を提供くだすった【ヴィオロンのマスター】

そして、吾を相方に選んでくれた【 魂の朗読者・玲 】に

言葉にならない感謝の念を捧げたい。

ありがとう・・・

悦子よ・・・安らかに・・・
NAMIDA

完:6月25日いつもとかわらぬ朝(36年前のこの日、父の元へ悦子の訃報)

【追記】
本日、縁を紡ぐ婚礼司会で一日出ずっぱり。
訪問・コメントできませぬ。無礼をお許しを・・・

[晴れ35.3/21.8:42.5荻窪ユートピアにて]






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Last updated  2006.05.08 14:49:23 コメント(29) | コメントを書く


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Comments

ドーナツ党首@ Re:3歳のぽっつら・・・『 知命 』 『 落ちこぼれ 』 (語り41)(01/22) おはようございます。どちらにコメントを…
@弥々@ どこぞのさんへ どこぞのさんへ これまた、一昨年の台風…
@弥々@ Yのトランクさんへ 気付くのが遅れてすみませぬ<(_ _)>…
Yのトランク@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) すみません。こちらから送信出来るのか分…
どこぞの@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) ご無沙汰してます! 台風のニュースを見て…
@弥々 @ Re:姪っ子たちへのプレゼント(03/01) >こちらなら伝わるかなとコメントしてみ…
@弥々 @ Re[1]:『 小さな娘が思ったこと 』(語り12)(02/26) ゆりこさんへ >以前に教えて頂いたボ…
ゆりこ@ 姪っ子たちへのプレゼント お久しぶりです。 前回、どこにコメントを…
ゆりこ@ Re:『 小さな娘が思ったこと 』(語り12)(02/26) ご無沙汰しております。 忙しく久しぶりに…

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