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2008.12.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
NHK大阪文化センターの17世紀美術の第4回目の講座があった。
早いものでもう半分以上終わってしまった。

毎回時間が来ると淡々と講義を始められ、時間が来るとぱたりと止めてしまわれる講師は、無駄口をほとんど叩かない。

レンブラントと言えば「夜警」があまりにも有名である。私はその程度の知識で講座に臨んだ。

レンブラントはオランダの画家である。オランダはオレンジ公ウィリアムの下、強力なカトリックの国であるスペインの統治から独立を果たした地域でプロテスタントの国であった。そこがベルギーとは違っていた。

プロテスタントは教会を宗教画で飾ることをしない。従ってレンブラントはカトリック教国に生きたルーベンスと違って教会という強力なパトロンがいないという点で決定的な違いがあった。

オランダ人の気質として、独立を勝ち得たことから、自分たちの事は自分たちで守るという強い意志があり、絵画についても豊かな市民の組合(ギルド)からの発注を待つと言うことになり、レンブラントは安定したパトロンを得ることは出来なかった。

市民が相手と言うことは、時の流行に流される事を意味し、世の移ろいに左右されるという点でレンブラントは安定した画家生活を送れなかったようだ。

数点の絵画が紹介されたが、「ラザロの復活」などに見られる光の効果は、師のピーテル・ラストマンを通じて、カラヴァッジォの影響を受けている。


「ラザロの復活」ではキリストが、すでに埋葬されたラザロを復活させるという宗教画にキリストを中心にした左からの光を巧妙に取り入れている。

肖像画を多く手がけているが、描かれる側は従来のすました記念撮影的なものではなく人間の表情に生き生きとした動作が感じられ、行動する人物の一シーンをカットして絵にしたという作品が多い。

「ニコラス・ルッツの肖像」などはタフなネゴシエーターが厳しい顔で交渉している様子を生き生きと描き出している。

「トゥルプ博士の解剖講義」では外科医師会からの要請で書かれたトゥルプ博士の解剖講義の様子が、活き活き描かれているが、トゥルプ博士は市長にまでなった人物であり、その講義の有様を驚きを持って見守る医師仲間の中に、同時に羨望の内面が伺えるとともに、取り巻いている医師達の中には後日絵を賑やかにするために付け加えられた人物もあるという。(無関心そうな人たちがそれである)

また、「織物商組合の見本調査官」では当時のギルド(組合)の中でも織物に携わるものの権威の高さを黒い帽子をかむることで示し、今まさに面接をしているという瞬間を活き活きと描写するという、従来になかった人物像がここにも感じ取られる。

「夜警」の描写では、オランダの自警を象徴する作品であり、出動前の隊長と、副隊長をハイライトしている点で、周りの人間の嫉妬を買っているという点も見逃せないところである。また、隊長の左に書かれた少女は架空のもので、少女が吊す鶏が、市の紋章であることから、自治への誇りをここに示したのであろう。

「石橋のある風景」では川は二つの世界を分断するもので、その川を石のアーチ橋を渡る事で、左の明るい部分から、右の方には今はよどんだ雲があり、暗いが救いの教会へたどり着くと言うことを暗示するように描かれている。

「百ギルダー判画」で見られるように、レンブラントもまた、聖書の寓話をモチーフにした作品が多く、版画自体の値段は安いものの、彼の作品は、他の作家達の数倍の値段で売れたという。

「レンブラントとサスキア」ではレンブラントが市長の娘サスキアと結婚して得意の絶頂にあるときに描いた作品であるが、彼が数多く描いた自画像の中では、特に34歳の時に描いた自画像などと比べて、酔っぱらった下品な様が描かれていて、市長の娘を得た得意さの反面、ぬぐいきれないコンプレックスを表す作品に仕上げている。このことは左に描かれている虚栄を表すクジャクを配したことからも伺い知れる。

「目をつぶされるサムソン」は旧約聖書の士師記を元に描かれたもので、長い歴史のユダヤ(イスラエル)人とペリシテ(パレスチナ)人の諍いの中で、デリラの甘言にのり自らの力の元である髪の毛をそり落とされて、ペリシテ人に目をえぐられるサムソンが描かれている。(この辺の所は旧約聖書を読むとさらに詳しく書かれている)

「パテシバ」も旧約聖書からの作品で、ダビデ王が奪った人妻を描いた寓話であるが、彼の召使いのヘンドリッチをモデルに描いたとされている。ルーベンスが描いたピチピチしたパテシバの作品とは違い、そのときのレンブラントの境遇とルーベンスの境遇の差が想像される作品ではないだろうか。



こういった不遇続きの中、4人の子供を持ちながら3人までも早世させ、残った4人目で将来を嘱望された自慢の息子も27歳で亡くしたうえ、晩年は画商に疎まれ、借金のあげくに没落して公設の養老院で暮らしながらも画家としてのプライドを持ち続け、多くの絵画とともに、多くの自画像も残した。

彼の自画像の変遷を見るだけでも彼の歩んできた道が想像出来ようというものである。

人間の生き様が評価されるようになる19世紀になり、ロマン主義が台頭するようになって、彼の作品は見直され評価されるようになったという。

19世紀に一人の画家レンブラントが認められたと言うが19世紀とは言わず、絵画そのものが持つ魅力は現在の我々の心をどこか揺するものがあることは、絵画という媒体の持つ魅力の一つかも知れない。






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Last updated  2008.12.25 12:49:35
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