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2012.01.03
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話題は、この他にもユーロ、ロシアなど有ったようだが、私は、報道途中に出てくるサウジアラビアの背景を楽しみに、また懐かしく思い出した。サウジアラビアに関しては、冒頭「私たちの知らないイスラム世界」といった紹介から始まる。そして、新聞などで報じられているように、日本が最も多くの原油を輸入している国でもあるのだ。その点についてはダンマン(放送ではダンマーンになっていた)にある、サウジアラビアとアメリカの共同設立会社で、現在は、サウジアラビアの国営会社となっている世界最大規模の石油企業・サウジアラムコ社の取材も一部含まれていた。

サウジアラビアと言えば、私にとっては、造船に従事しているときに、私の方向を大きく変えた国であると言うことは、サウジアラビア時代で述べたところであるが、この日記でもヤマニ石油相(当時)の名前は忘れられない。多くの人にとって、バブルというのは大きな影響力を持ち、個人個人のレベルでもその生活が様変わりした人達が居たに違いないが、五分の魂と雖も、私にとってもバブルと、エネルギークライシシスは自分の人生を大きく変貌させたと思う。

高々私の仕事人生の3%にも満たない時間ではあったが、それまでの家と職場の間の自転車通勤、そして護送バスのような社バスでの通勤、さらには、2時間近く掛かる、過酷な通勤地獄などを経験した後だったので、ホテルからではあるが、毎日お抱えの運転手が、定時間に迎えに来て、また帰宅時間にも送ってくれるといった生活はやはり懐かしい。

私にこの仕事の紹介をしてくれた人は、現在もパキスタンの砂漠の中で仕事をしているという。私の任地は、テレビ放送にもあった、紅海沿岸のジェッダという街である。赴任に当たり取り敢えず知らされたことは、現在多数のシーア派の中でのスンニ派が支配するバーレーンに向かうことであった。勿論その当時は、スンニ派がどうで、シーア派はどうだという事は書物でしか知らなかったわけで、とにかくイスラム圏の国に行くと言うことだけしか自覚はなかった。大江が女性は入国の時にアバーヤ(黒い服)を着るのだと言って身につけていたが、私が単独で入国したときには、そんな女の人を直視してはいけないという忠告だった。アラブ人は嫉妬深いので、袋だたきに遭うかも知れないという意味だ。

当時バーレーン(発音はバハレーンの方が近い)は、それほど戒律が厳しくはなかったようだ。後に解ったが、お酒も飲めるし、トンカツだって食べられた。バーレーンは実に小さな国で、今、天然ガスで世界1の産出量を誇るカタールを、サウジアラビアのアラビア湾側の臍とすれば、その臍のゴミのようなちっぽけな国である。当時はこのバーレーン空港へも、香港からドバイを経由しなければ直接のフライトはない。

ドバイ空港もそうだが、バーレーン空港は、アジア、中東、ヨーロッパからの足がかりの空港として、24時間明かりが消えることはなく、真夜中でも人が賑やかに行き来している。着いたときは、夜だったので、詳しい様子は分からず、ただ、空港外で待っているはずの現地ドライバーを見つける必要があった。

ネームカードを掲げているので、すぐに解って、乗り込み、バーレーンとサウジアラビアを結ぶ、海の上の道路コーズウェイを走って、サウジ側に着いたのだが、その長い海上道路の一部がテレビにも出ていた。

翌日、ホテルから同じ車で、ダンマン空港に着くがこのダンマン空港の建物の大きさは、ちょっと驚きであった。とにかく天井が馬鹿高いのである。この空港は、月に1度お世話になった。日に1度のサラー(お祈り)の時には、広い空港内に朗々とサラーへの誘いの言葉(アザーン)が流れる。「アッラーフ・アクバル・・・」である。予習はしていったが、之を日に5回聞くことになるのと感慨深かった。



そう言ったことが次々に思い起こされる。テレビで池上らが訪問した大邸宅を、中の上の階級の家だと言うことであったが、どうも納得のいかない説明であった。あのクラスは、王家とは全く関係がないのかも知れないが、明らかに富裕層である。説明役のサウジの大使館員は、ニコニコしていたが、おそらく良い場所にしか連れて行かなかったのだろう。ジェッダの古い建物の旧市街の説明もあり、そこには、黒人やアジアからの下働きの人達が住んでいる倒れかかった家並みであったが、確かにその場所を訪れたが、ほぼ、記念物的に残されているという代物であり、あまり奥まではいるとちょっと怖い気がしたものだ。

私の最終的な運転手をしてくれたハッサン君は、今でも懐かしく思い出す。彼は、生粋のサウジアラビア人であり、こういった人に会うことは殆ど出来ないというのが現状であろう。サウジアラビアの、サウド家に石油が突然出てくるまでは、ジェッダなどは単なる漁村と、砂漠の商人の田舎村であったわけで、その砂漠の遊牧民こそが、サウジアラビア人なのである。従ってハッサン君のお父さんというのもベドウィンであり、彼らは、テレビに出てくるような家での生活をしているわけではなく、田舎の片隅で、崩れかかったコンクリート造りの家並みの中でひっそりと暮らしているのである。

彼は「アリババと40人の盗賊」をもじって「アブドラ(国王)と4000人(王族関係、血縁者達)のハラミ(アラビア語で泥棒のこと)」と言っていた。オイルマネーの殆どは、こういった、王侯貴族達の手の中にあるようだ。昨年は「アラブの春」と言われる、中東の地中海沿岸での独裁政権が次々倒れたが、サウジアラビアでも、常にはない動きがあったようだ。しかしながら、他の諸国家と違い、テレビでも放映していたように、税金などは払わなくて良いとか、急に下層の人達の為に住宅を無償提供するなどのバラマキは行っているため、敢えて、王家を倒して、平等をとか、民主主義をとか、格差社会を無くせ等という表だった動きには今のところなっていない。

初代の国王となった、アブドゥル・アズィーズは、トルコを追い出し、サウド家としての国家設立を成したが、(アラビアのサウド家の国という意味でサウジアラビアという)この時、アブドゥル・アズィーズに付き従って戦った聖戦士をムジャヒディーンと呼び、その子孫を今でも厚遇しているようだ。
ハッサン君もアメリカの車に乗っている。アメリカは嫌いではないのかというと、アメリカは嫌いではないが、アメリカ政府(当時は子ブッシュ)は嫌いだという明確な線引きをしている。

アメリカの石油会社が、サウジに石油を掘り当てたところから現代が始まるが、聞くところに依ると、アメリカはかなり強引に安い金額で、石油掘削権を獲得したようだ。日本が、ペリーによって、不平等な、日米和親条約や、その後の日米修好通商条約を結ばされたのと同じやり方である。

日本のアラビア石油の創設者である山下太郎(アラビア太郎と呼ばれた)等にもこの辺のことは描いてあったと記憶する。今では、そのアメリカと、サウジアラビアが、共同してサウジアラムコなる会社を運営しているというのだから、歴史はどう転ぶか、予想が付かないといったところだ。勿論、太平洋戦争で、コテンパンにやられ、原爆を2つ落とされてもなおアメリカを頼りにしなければならない日本などは、世界の人々からどう映っているのか興味深いところである。

サウジの女性は実に窮屈であろう。之もサウジ大使館の言葉で、上手く取り繕われているが、テレビで、扱われているイスラム教徒の家族はサウジアラビア人が日本人を妻にしている例で、その家庭が、最も典型的なサウジの家庭とはとても言いがたいと感じた。私も完全に理解するまでに至らないが、イスラム教がシャーリアなどで禁忌する対象と、アラブ人が昔から持っていた精神的伝統(羞じらい)などとが混同されて理解されていることが多いようだ。

前にも書いたが、かの国は50℃を越えることも珍しくはない。私がハッサン君に、「どうして、こんな暑い国に好き好んで何時までも住んでいるのか?」と問うた答は「あなたは、どうして、毎年多くの地震が起き多大な犠牲者が出るような国に何故好んで住んでいるのですか?」であった。仕方ないこともあるのだろうが、住めば都だし、それが国を愛すると言うことなのかも知れない。

最後にテレビは経済問題に触れイスラム銀行の例を紹介していたが、彼らの教えは、利子(プロフィット)を取らないと言うことを私も聞いた。巨大なイスラム銀行の建物も見た。彼らは、マネーゲームはしない、投資はしても投機はしないという。日本が、経済を危うくした原点を語っているようで、日本人は、西洋文化を学ぶだけではなく、イスラムの教えの良いところをもう少し勉強したらどうかと思う

諸外国はどうこうと言うことは聞く、例えば、消費税の率だけは良く比較の対象になるが、内実まではリンクして報道されない傾向だ。我々の頭の構造は、既にアメリカナイズされているが、もう少し、裏側から世界を見渡すことも必要ではないかと感じる。





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Last updated  2012.01.05 10:50:29 コメントを書く


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