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2012.02.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類


画家の数は元より、何々派と呼ばれるジャンルだけでもなかなか覚えきれないほどの数がある。
私などは連れ合いの影響で、印象派や、後期印象派から入った感じで、どちらかと言えば正統(悪く云えばミーハー)なのかも知れない。

また、ゴシックや宗教が、神話に基づいた絵画、そして、ルネサンスの画家達も分け隔て無く好きである。しかし抽象画からシュールレアリスム(超現実派)辺りになると、理解が覚束ないというのが正直なところだ。また、芸術の本場であるとされる、フランスやイタリアさらには、ベネルックス辺りの絵画は、見る機会も多いし、親しみを感じる絵が多い。

今回は東京外国語大学教授の沼野恭子(以下教授という)の選んだ「ロシアの女」というのを学んでみたいと思う。
ロシアの画家と言えば、ワシーリイ・カンディンスキーくらいしか浮かんでこない。
従って、ここに取り上げられた画家はカンジンスキーを除いて初めて聞く名前ばかりである。

教授は、ロシア文学者と言うことで、文学の途上で派生してこの十選になったのでないかと思っている。

最初はイワン・クラムスコイの「忘れえぬ女(ひと)」である。

所蔵はトレチャコフ美術館と云うから、貸し出しでもない限り、一生お目にはかかれないだろう。
ロシアだからと言うことでもないだろうが、革命派というジャンルの人だ。それにしては、この「忘れえぬ女」は実にふくよかな顔をした美形である。私などは、ロシアの女性を見る機会が無いから、この絵の人が標準的かどうか知らない。
教授に依れば、羽根飾りの帽子、毛皮に繻子のリボンからして高級娼婦であると言っている。原題は「見知らぬ女」と言うらしいが、「忘れえぬ女」と「見知らぬ女」では雲泥の違いがあるように思うが、いい加減である。この絵の女性は、小説「アンナ・カレリーナ」に擬せられると云うが、小説自身を知らないのでコメントできない。
この絵の女性は、まさに上から目線で、見下げているように描かれている。画家との関係は何なのだろうと思う。

アレクセイ・ヴェネツィアーノの「鎌と熊手を持つ農婦(ペラゲーヤ)」である。
一寸調べた位では出てこない画家の名前である。之が、ソ連の、コルホーズ・ソフォーズなどと言われた時代にソ連の大地をさしたる近代的道具も無しに耕していた典型的な農婦像であろうか。教授はスカーフの緑、白いブラウス、そして背景が広大なロシアの自然をシンボリックに表しているという。
場所はボルガ川の流域で、トヴェリー州の農婦だという。芯の強さと実直さが良く描かれている。
教授はトゥルゲーネフが農民のことを綴った「猟人日記」を引き合いに出して、そこに登場する人物像とラップさせて理解している。之もまた、文学を知らぬ者は語ることが出来ない。
画家は、サンクトペテルブルグを去りトヴェリーに移り、牧歌的な風景や雰囲気の中で、被写体に愛情を持って描いたという。

ミハイル・ヴルーベリの「白鳥の王女」である。
このロシア画家はアールヌーヴォーあるいは象徴主義の傾向を有する。

この「白鳥の王女」は白鳥が王女に変身するまさにその時を具象化した作品である。背景の海は、北の国らしく、暗く陰鬱である。人間は現実で、白鳥が空想である。教授はヴルーベリが身を置いていた正気と狂気の狭間を描いたものだという。王女が被っているのは、もともとスラブ民族の女性たちはいつも頭にかぶっていた「ココーシニク」だが、之が王女の証であるという。
白鳥の王女はロシアの昔話を元にプーシキンが書いた叙事詩「サルタン王物語」に出てくるという。
リムスキー・コルサコフの作曲をオペラ化したとき、美術を担当した画家の妻がこの王女を演じている。プリマドンナである妻がそのモデルであるようだ。

ワシーリイ・カンディンスキー「クリノリンの貴婦人たち」である。
カンジンスキーの中でまとも(失礼)らしい絵を探すことは困難である。この作品は、比較的真面目に描かれた作品の内の1つである。

この作品は大きな屋敷の庭に、女性が沢山集まっている。どうやらこの絵は画家が具象画を描いた最後だったという。しかし、既に人物は相当デフォルメされている。しかし、特徴的なクリノリン(スカートを膨らませるためにスカートの中に入れる釣り鐘型フレームを使ったペチコート)の下着で、スカートがふんわりしていることが解る。この絵も光と色を駆使した明るい作品になっているが、その後の画家の作品も、抽象画ではあるが色彩に溢れた作品を多く遺している。

ワレンチ・セローフの「オルロワ侯爵夫人の肖像」である。
この画家もなかなか探し当てられない画家である。この絵は、セローフの肖像画で最高傑作と言われるものらしい。オルロワ侯爵夫人はセローフより7、8歳年下で、ペテルブルグ社交界一の麗人と云うことだ。一方では麗人でもあまり知的ではなかったとする説もあり、それを読むまでは、私も何かそう言った雰囲気をこの絵から感じていた。セローフも当時の美術評論家と同じく同じ意見を持っていたという。夫人に不釣り合いに大きな帽子を被せて、この肖像画を描いたというが、ちんどん屋とまでは行かないが、金持ちがすることを見失うとこのようになるのかといった感じだ。
しかし、当の公爵夫人は、この絵が嫌いで、画家の死後すぐ売却したという。夫人が画家の意図を見抜いていたのかどうかまでは書いてない。

ジャイーダ・セレブリャコフの「身支度、自画像」である。
教授はどうも、一般的な画家は嫌いらしい。寝室で髪をとかす下着姿の女性。之もロシア美人というのだろうか。活き活きとした顔は、之から行動しようとする顔のようだ。25歳の時の自画像だという。どうもロシア人の名前は性差がなかなか解らない。女性が重んじられなかった封建的な世界で、活き活きと自分を明るく仕上げたこの作品は、舞台装置家の叔父に絶賛されたという。

ボリス・クストージエフの「お茶を飲む商人の妻」である。
ボリス・クストージエフはロシアの画家には珍しく、明るく華やかな色調を多用した風俗画や風景画が多い。
アストラハンのインテリゲンチャの家庭に生まれたが、父親は夭折した。しかし、精神的には満たされた少年時代を送り、後年その記憶で、油絵や水彩画に再現したという。
帝国美術アカデミーより奨学金を得てフランスとスペインを訪れたりしている。真っ赤な背景の「モスクワのレストラン」などは色彩を奔放に使った証左だろう。
この商人の妻はえらくぼってりしている。食卓には、南国の果実と菓子が並べられ、贅沢さを感じさせる。
左の「サモワール」(湯沸かし器)の丸みは、放漫に女性との釣り合いか。背景に帝政のロシア風景を配し、ロシア革命の翌年、このような富裕商人や貴族は抹殺される運命にあったが、ボリス・クストージエフのこの作品は体制への皮肉と挑戦なのかも知れない。

クジマ・ペトロフ・ヴォトキンの「1918年ペトログラードで」である。
ロシア革命がサンクトペテルブルグをペトログラードに変え、この街は、革命の前夜のきな臭さを漂わせている。手前に大きく、ベランダで子供を守るべく母親が力強く描かれている。この母子は、聖母マリアとイエスを想起させると教授は云う。女労働者の穏やかな表情の中にも、この子を守り抜くという気構えが前面に出されている。ペトロフ・ヴォトキンは中世のイコンを愛したという。それ故か、この絵は「ペトログラードのマドンナ」と呼ばれているそうである。

リュボーフィ・ポポーワの「1924年夏」である。
リュボーフィ・ポポーワは女流画家である。この絵はショーウインドーの飾り付けである。画家は、ある時からカンバスを捨て、本の装丁や、ファッションの実用的領域に入った。
アヴァンギャルドが生きられたよき時代だったようだ。

カジミール・マレーヴィチの「畑の女達」である。
抽象画の先端的点まで到達したという。「シュプレマティズム(絶対主義)」というのだそうだ。最早、私の理解力の外のようだ。幾何学模様だけで、女であること、娘であること、を表している。色彩も自由奔放で、描かれ、究極の抽象画法のようだ。教授は描かれて居並ぶ3人は画一的に描かれているが、それが全体主義へのアイロニーかも知れないと論評している。





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Last updated  2012.02.03 17:39:23 コメントを書く


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