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2018.12.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日のセミウォーキングは高浜堤から淀川河口32.0kmまでで、帰りはシャルマンを通った。
連れ合いの胃の検診に付き合った。

***

サウジの非石油改革が行き詰まっている。
サウジアラビアはいつまでも石油の販売収入ばかりにたよらず、民間が成長を引っ張る経済をめざそうとサルマン国王の息子で絶大な権力を握るムハンマド皇太子が改革を唱えて、颯爽と登場した。

背景には、人口が急増し、国が手厚い社会保障や安定した職の提供を国民に約束できなくなったことがある。若者の年齢層が多く、本来なら最も力のみなぎった国であるべきところ、今まで安穏と石油の収入にどっぷりと浸かってきたことで、さしたる有能な産業も育たず今日まで推移してきた。

13年前に私がサウジに滞在した経験からすると、若者は町工場に毛が生えたような工場で、働くわけでもなく、名義貸しで給料日にだけ不労所得を得に来る様な有様だった事を思い出す。その会社もトップ以外は外国人が占めていて、将来の構想など持てない感じであった。

そんなサウジに2年ほど前に頭角を現したムハンマド皇太子が、脱石油を掲げたときには、やっときたかという思いであった。門戸を開いて、世界から人材や資金を招き入れて新しく雇用を創生しようとする出だしは目を見張る意気込みを感じた。

しかし、改革の中心に据えていた国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)は事実上の断念に追い込まれてしまい、大きなバックボーンがなくなってしまった。更に、イエメン内戦への関与、カタールとの諍いなどを経て、極めつけはカショギ記者殺害事件に見られる思惑の違いだ。



2019年のGDP伸び率の見通しは2.6%で2018年の2.3%からは改善するものの、増大する若者の雇用を支えるのに必要とされる4%超を大きく下回ったままだ。歳出は今年の実績に比べ7.3%増加する約1兆1060億リアル(約33兆円)となる見通しだ。教育(1930億リアル)に重きを置くが、G20に向けての地下鉄などのインフラ整備(700億リアル)も必要だし、イエメン内戦への介入による軍事費の負担(1910億リアル)が重くのしかかる。

ほかにも保険・社会開発に1720億リアル、公共支出1560億リアルなどは国民を慰撫するために削ることは出来ないアイテムだ。

一方、歳入は9%増の9750億リアルを見込んでいる。石油収入は6620億リアルで歳入全体の3分の2以上を占める。石油の販売収入は価格や生産量による振れが大きいため、安定した歳入とは言いがたい面がある。

このため、改革に向けて政府系ファンド(パブリック・インベストメント・ファンド:PIF)を立ち上げ、資金を移管し始めている。中央銀行や中小の政府系基金の資金が集められ、更に、国際金融機関からの巨額な借り入れもし、世界最大規模のファンドに育成する目論見だ。ソフトバンク・グループも之に10兆円投資をしたことは記憶に新しい。

財政赤字はGDPの4.2%と若干改善したが、借り入れの増加により政府債務はGDP比21.7%と2018年の19.1%から悪化する。

サウジの原油生産は日量1000万バレルを超す。この予算の前提とする原油価格は1バレル70~80ドルというところだが、実勢はこれを大幅に下回っており(46ドル台)赤字はさらに広がる可能性がある。また、今年1月から5%の付加価値税(VAT)を導入しているが、これにともなう負担を緩和する目的で公務員や軍人への特別手当の支払いを来年も続ける方針を示している。どの国も、消費税やVATの導入に当たっては民間の反応を気にせざるを得ない。

景気が低迷していると、バラマキに似た人気取りをも復活させる必要が出てくるようだ。然し、サルマン国王もムハンマドも、経済改革は断固行う決意だし、構造改革は順調に進んでいるとし、国民の生活水準が上がるだろうと楽観視(表現しているだけ)している。

問題は、財政拡大が民間部門や外国企業の活動を後押しする道筋が見えないことだ。皇太子は宇宙事業や人工知能(AI)、医療といった未来を先取りした産業への投資に熱心な一方で、実際に若者が職を得られるような地道な産業育成や教育、訓練への投資は遅れがちになっている。

こうして、政府の思惑と、実生活の間には、乖離が生じることになりそうだ。カショギ殺害の影響は、ことのほか世界の投資熱を冷えさせたようで、2017年のサウジへの外国直接投資はわずか14億ドルと、前年の75億ドルから急減している。カショギ殺害にムハンマドが関与していたと云う事をトランプは、あえて肯定はしていないが、米中央情報局(CIA)が既にムハンマドの関与を「疑いない」と断定しているので、株主や人権団体の圧力を受ける国際企業経営者はサウジとの距離を取っているのが大きく響いている。

ムハンマドが改革の目玉として位置づける紅海沿岸のシナイ半島に近い場所に計画している未来都市「NEOM」の建設計画も実現に不可欠な外国企業の協力が望み薄で、実現が危ぶまれている。ムハンマドの思惑を大きく逸脱したこの事件は、サウジの常識が如何に世界とかけ離れているかを物語っている。ここに来て、改革遂行段階で、ムハンマドは多くの王族や、特権を失った財閥を処分してが、ここに来て抑えられていた憤懣が吹き出さぬとも限らない状況だ。

今後、サウジが、どのような形で、国際的な信用を取り戻すかだが、王族の反発を抑えながら、若者を中心とした国民の支持取り戻すかが焦眉の急になっている。そういった意味でも、国民に痛みを伴う改革は出来るだけ先送りしなければならない状況になっている。



あまりに潤沢な石油産出のために、石油以外の産業が発展してこなかったといってもいい。勿論その背景には宗教的な対立や数多くの戦争によって、長らく経済活動の機能が失われていたこと、人が住むには過酷な気候であり、生活を営むのにそもそも適した土地ではないこと、さらに1960年代まで中東の石油は国際石油カルテルにより支配されており、欧米による石油資源の搾取が続いていた事などが挙げられる。そして、いくら頑張っても、皆王族が持って行ってしまうという、風土の中で、国民の勤労意欲が育たなかった(育てなかった)ということに尽きるのではないか。

かつて私がジェッダに滞在していたときに、私の運転手をしてくれていた大学生が、ここだけの話だと云って、アリババと40人の盗賊を比喩して「アブドラと4000人のハラミ」と云ったのが印象的であった。

アブドラは当時の国王の名前で、ハラミとはアラビア語で泥棒のことだ。王族が4000人居るのかどうかは私は知らない。

【古今和歌集】

621.いたづらに行きてはきぬるものゆゑに 見まくほしさにいざなはれつゝ (読人しらず)



(きぬる…返って来た、ものゆゑに…ことなのに)





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Last updated  2018.12.24 17:33:56
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