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2019.04.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日のセミウォーキングは水無瀬堤から堤東終点迄の往復だ。
昨日の映画「名探偵コナン」があまりにおもしろくなかったので、今日映画を見直す事になった。かねて連れ合いが見たいと云っていた、「ヴィクトリア女王」(最期の秘密)だ。京都シネマで上映されていた。

この映画は実話を元にしているとか、興味が強くなる。
ヴィクトリア女王はイギリス・ハノーヴァー朝第6代女王(在位:1837年6月20日 - 1901年1月22日)であり、初代インド皇帝(女帝)(在位:1877年1月1日 - 1901年1月22日)だ。
ヨーロッパの系図は極めて複雑で、繋がりを理解するのは至難だが、このヴィクトリア女王は現イギリス女王であるエリザベス2世の高祖母に当たると云えば、少し親近感がある。

それでも既に歴史上の人物と言えるだろう。ともかく、イギリスが世界各地を植民地化していた大繁栄をしていた時代の女王で、在位は63年7か月と現エリザベス2世に次ぐ長さの治政を誇っている。インド大反乱(セポイの反乱)後の話で、ヴィクトリア女王の強硬さでインドを鎮圧した後の話だ。この後のインドは完全にイギリスの植民地になっていた時代だ。

ヴィクトリアはかねてから世界一の大国である自分を差し置いてロシア皇帝とかオーストリア皇帝が皇帝号を名乗っているのが気に入らず、自らも肯定を名乗りたかったようだ。

当時ムガル帝国は実質的に滅んでいて、イングランド女王の名だけでは飽き足らないヴィクトリアはこの機に、皇帝を名乗りたかったのでインド皇帝を堂々と名乗ったのだ。

こう言った経緯からか、インドの治政に高い関心を持っていて、被支配国インドへも一定の敬意を払っていたようだ。ディズレーリ首相時代にはインドへの理解を深めるためにヒンディー語の勉強を始めるようになった。



一方、最愛の夫と従僕を亡くし、退屈な宮廷生活にうみ、長年心を閉ざしてきたヴィクトリアだったが、王室のしきたりなどにも臆することなく、まっすぐな笑顔を向けるアブドゥルに心を開き、直感的に気に入ったようだ。身分も年齢をも全く違った間柄でありながら、アブドゥルの率直さとハンサムな顔立ちにヴィクトリアは心を引かれたと云う事になっている。

そのアブドゥル・カリームはヴィクトリアのヒンディー語の先生と云う事で、「ムンシー」と呼ばれるようになり、ヴィクトリアの大のお気に入りとなったのだ。

映画の中で、ヒンディー語よりウルドゥー語の方が高貴な言葉だと表現していた。耳新しかったので、調べてみると、16世紀の初めにムガル朝が成立した頃は宮廷語のペルシャ語と同時に民間ではヒンディー語が話されていた。18世紀以降ムガル朝が衰退するにつれて、「陣営」の意味を持つ「ウルドゥー」という短い呼び名となって、宮廷でも使われるようになったとある。

ウルドゥー語はイスラム教徒の言葉となっているようで、映画の中で、アブドゥルが寸劇をする場面があり、その時、ペルシャ王、云々のくだりがあるが、インドの高貴な階層の者はイスラム教徒のウルドゥーに通じていたような感じだったのかも知れない。

人と人との出会いは、常識を越えた何かがある事は理解出来るが、当時のあまりに退屈な宮廷での出来事に吹き込んだ新鮮な風であった事は想像に難くない。

女王は映画の始めには旧態依然としたしきたりと儀式にうんざりして、諦念と自暴自棄の状態で話が始まるが、アブドゥルと出会い、好奇心を刺激され、ヴィクトリアが生きる喜びを取り戻していく過程が活き活きと描かれている。

女王を取り巻く、宮廷の連中にとって、このような事は許しがたく映るのは時代背景から云って当然の事かも知れない。ここまで女王の気持ちを惹きつけたのはアブドゥルの誠実さであったのだろう。女王の周りには、気に入られて、出世したいとうごめく輩は大勢居たはずだが、アブドゥルにはそういった野心は無かったように描かれている。

女王の、インドという異文化への関心とそのインドの文化について正直で誠実に話すカリームの関係はカリームが長身でハンサムであったというだけでは語り尽くせないほのぼのとした関係を醸し出すのだ。いつしか、女王のお気に入りになって、女王が死ぬまで側に付き添っていたと云う話だ。女王はこのカリームにナイトの称号を与えたく思ったが、周囲の反対(被支配国人で有色人種)で与える事は無かったが、代わりにスター・オブ・インディア勲章を制定したとある。

主役のヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチは、007シリーズ/ゴールデン・アイでM3の役だったかを演じていたのをふと思い出した。なかなか芸達者な女優だ。

当時の英国王室は、それこそ世界一の国であったために、そのトップ(女王)と従者(ムンシー)が緊密な関係にある事自体許される事では無かった。そんな女王とアブドゥルをこころよく思わない周囲の人びとが2人を引き離そうと動き出し、やがて英国王室を揺るがす大騒動へと発展してしまう。

考えてみれば、何処の国もそうだろうが、インドを統治するヴィクトリア時代、イギリス人の誰もがインドを格下に見るのは当然の事かも知れない。そんな中、インド人の中でも名も無き一介の青年に時として対等な敬意を持つ女王の姿はその人間性が強調されていて美しささえ感じる。之に応対する側近達はやや滑稽なまでに描かれているが、真実はそれほど生やさしい事では無かったであろう。



このヴィクトリアと、カリームの関係を奈良時代末期道鏡と時の権力者孝謙上皇との関係に見立てた感想文があったが、イギリスの方は、もう少し清らかな関係であったように受け取れる。孝謙上皇が道鏡を皇位につけようとするが失敗し、孝謙天皇が重祚して称徳天皇となった後に死亡した段階で、敢えなく道鏡が左遷されたところが似ているとの事だが、動機も環境も全くことなった内容である。

【古今和歌集】

728.くもり日の影としなれる我なれば めにこそ見えね身をばはなれず (しもつけのおむね)

曇りの日の影のようになったこの身は、目には見えないけれどあなたのそばは離れません





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Last updated  2019.04.26 07:40:04
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