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2020.08.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日のウォーキングは第1751日目で9194歩だった。今日は終日家に居た。

***

日本の鉄鉱石運搬船WAKASHIOがモーリシャス沖で座礁し大量の重油が流失してサンゴ礁や湿地に甚大な被害を与えた事は前に書いた。1180トンの重油が流失したとされる。
その後、WAKASHIOがどのようにして座礁に至ったかを追跡する記事があったので、更に追及してみた。

WAKASHIOは全長約300m、幅50mで、事故当時、積み荷はなく、中国からシンガポール経由でインド洋を航行し、南アフリカ・喜望峰を回ってブラジル方面に向かう予定だった。

WAKASHIOはマラッカ海峡を抜けて7月16日にインド洋に入った。モーリシャス沖を通るコースは喜望峰に向かうルートとしては一般的で、近年は中国での資源需要の高まりなどによって通行量が増えている。通常ほとんどの船はモーリシャスの領海(岸から22km以内)に入らないよう距離を保つのに対し、WAKASHIOはインド洋の途中からややコースを変え、立ち寄る予定のない島に向かおうとしていた。

事故の前にはこの辺りは水深が浅く、モーリシャスの湾岸警備隊がWAKASHIOにその旨の警告を発していたという。そして案の定座礁した。

事故後、危険な航海をした疑いでインド人の船長の男とスリランカ人の航海士の男の計2人が逮捕されたが、速報では、Wi-Fiに繋ぐためだったという。之には眼を疑った。
新幹線の運転士が、走行中スマートフォンで風景を撮影していたといったこともあったが、定常的な安全は、こうした一寸した気の緩みで起こることが、又再現されたのだ。



WAKASHIOは大型で空荷状態であったために吃水が浅かった。即ち船側面が広いので、風を受ける度合いも広いと云う事だ。
つい先日、1974年にLPGタンカー「第十雄洋丸」とリベリア船籍の貨物船「パシフィック・アレス号」が東京湾木更津沖で衝突し、炎上した(第十雄洋丸事件)事を記録したテレビ放映があった。

この事件はLPGタンカー第十雄洋丸に、鋼材を積んだリベリア船籍の貨物船「パシフィック・アレス」が正面から突っ込む形での衝突事故を起こしたのだが、このときは航路優先権を勘違いした思い込みが原因だった。衝突後爆発を起こし炎上した雄洋丸が横須賀に近づいて街を壊滅させかねないことから、自衛隊の出動で、護衛艦による砲撃等と潜水艦の雷撃で撃沈処分した事件だ。

この時も積荷のナフサが炎上して手が付けられず、風に流され、横須賀市の防波堤から1.8 kmの位置に迄接近するという危険な状態になったのだ。

こうした海運事故は船長たる者なら尽く把握しているはずだが、それを以てしても船長の航路変更(モーリシャスに近づく)の判断が如何に愚かであったかを示しているようだ。
雄洋丸の時は横須賀市内が炎上の恐れありとなっていたが、今回のモーリシャスのケースは重油の流出で、環境保護の対象となっている2つの海洋生態系と、国際的に貴重なラムサール条約登録の湿地帯である自然保護区ブルー・ベイ・マリーン・パークが汚されることが、大きな懸念材料となっているのだ。

ラムサール条約に登録された湿地やマングローブ林では、マングローブの根が海水中で複雑に絡み合っていることから、ここに流れてきた油は手作業で除去するしかなく、非常に時間がかかるという。

さらに、直接的にはモーリシャスのサンゴ礁には地球上のイシサンゴ類の40%が生息するとされる。こうした、貴重なサンゴに重油が付着すると呼吸ができなくなって死滅することになる。そしてこれが回復に数十年かかる場合もあるという。

こうした状況は、東京湾の場合とは違った、美しい自然環境を観光資源としてきたモーリシャスにとって、経済への多大な影響が懸念されるのだ。

原油流出事故と言えば、米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾で起きた原油掘削施設(水深1500mの深海で)爆発による海洋汚染が忘れられない。この流出は過去最悪の海洋汚染事故とされる1989年のアラスカ沖タンカー座礁を上回る深刻な事態となった。タンカーの場合、積荷の総量が最大流出量(このケースでは4万2000kLだった)となるが、原油施設の流出量は計り知れないからだ。

メキシコ湾の場合、正確な原油流出量は不明ながら、約66万トン(約78万kL)超が流出したと見られている。今回、WAKASHIOから流れ出た重油は船舶の燃料用で、これまでに約1180トンとみられ、メキシコ湾の事故と比べると流出の規模は小さい。



また、1989年の原油タンカー、エクソンバルディーズ号がアラスカ州プリンスウィリアム湾で座礁し、原油が流出したケースでは約3万5000トン(4万1000kL)であった。

エクソンバルディーズ号の場合、船長と、操船を託された三等航海士の責任が大きいとされている。いずれも船舶の事故の場合は究極、人的な要素が大きいようだ。同じ仕事をしていると、慣れが発生し、一寸した気の緩みが重大事故に繋がると行ったことは忘れがちだ。

湾内の航行となると、座礁に対してはより一層の緊張感(コースキープの大原則)が求められるがこれを怠ったものだ。

今回のWAKASHIOの場合は、広大なインド洋であるから、ほんの少しの航路変更が、かくも重大事故に繋がるとは思いもしなかったに違いない。いずれにしろ後から振り返ると、よもやこれほどまでにと言うのが、正直なところだろう。

さて、油まみれの海岸線を清掃する段階だが、過去に、微生物による原油の分解を試したり、化学的分散剤をヘリコプターで散布したりと様々試みられたが散布剤の方が返って生物に悪影響を与えるとのことが分かり、有効ではなかった。


プリンスウィリアム湾にしろ、モーリシャスにしろ、生物への影響は不可避だ。プリンスウィリアム湾の場合、事故後まもなく死亡した野生動物は各種の海鳥が25万~50万羽、ラッコ2800~5000頭、カワウソ約12頭、ゴマフアザラシ300頭、ハゲワシ250羽、シャチ22頭、その他サケやニシンの卵の被害は甚大であったと報告されている。

しかし、その後の徹底的な原油除去作業によって一年後には現地を訪れる人間の目に触れるような被害の痕跡はほとんど見られない程になったという。然し、もちろん隠れた形での影響は残っている。

過去の事故に比べると、今回の事故は規模的には小さいかも知れないが、自然に与える影響は、これからどんどんと明らかにされていくことは必定で、規模の大小には依らない問題が秘められている。

2010年4月、オーストラリアのクインズランド州沖のグレートバリアリーフで中国の石炭運搬船が座礁し、重油流出事故を起こしている。この場合は流出した重油の量は約2トン程度と少なかったにもかかわらず、サンゴ礁への影響が多大で、交渉はもつれ、2016年になって、やっと賠償金として3930万豪ドル(約30億円)を支払うことで豪政府と合意に達した。

事が世界遺産に関わる問題だけに、事故後の処理が、かなり大問題となったようだ。この和解合意に対しても、環境保護団体のグリーンピースは著しく不十分だと批判し完全な汚染除去に必要として政府が挙げていた額は、1億4000万豪ドル(約108億円)以上だとしていたのだ。環境への影響は流出した油の量だけでは測れない部分がある。

現在、流出した油は船主である長鋪汽船やモーリシャス政府が手配した専門業者や多くの地元住民のボランティアが、ポンプや吸着シートで回収にあたっている。油を吸着するシートが不足していて、人の髪の毛もオイルフェンスの中に詰められ、原油の吸収に一役買っているとのことだ。





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Last updated  2020.08.24 08:39:27
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