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2020.10.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日は雨のためウォーキングは中止した。台風14号の接近だ。今日から明日に掛けて近畿地方に迫ってきそうだ。

***

アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンが、イスラエルと国交正常化の合意文書に調印して2ヶ月近く経った。日経にイラスト付で解説があったので、振り返ってみた。
イランを共通の脅威と見る「敵の敵は味方」と言う意味での国交正常化だ。

要所を抜き出して理解に供する。
中東はイランに翻弄されている。
バーレーンは人口150万人ほどの産油国で、隣のサウジアラビアの影響が強い。私も何度か訪れたかが、サウジとは海上橋のコーズウェイで結ばれている。米第5艦隊が司令部を置くバーレーンは米との軍事的なつながりも強い。指導層はイスラム教スンニ派だが、住民の多数はイランと同じシーア派だ。この点がスンニ派主体のサウジとかUAEとは異なる難しさだ。

イランと対立するスンニ派の大国サウジは、今回のバーレーンの動きについて公に言及していないものの、パレスチナ問題を棚上げして追随する考えはないとの立場を重ねて示しUAEの動きとは一線を画する。



之に対し、パレスチナ自治政府は今回の合意に「拒否し非難する」と猛反発した。イラン外務省もバーレーン指導部を非難する声明を出した。

これで、エジプトとヨルダンに次いで、UAE、バーレーンもイスラエルと国交を回復し、合計4カ国になった。次はオマーンやスーダンなどが追随するとの観測がある。オマーンは2018年にイスラエルのネタニヤフ首相が公式訪問し、首脳間で中東和平について話し合った。スーダンは米国によるテロ支援国家指定の解除を見返りに検討するとの見方がある。

こうした中東諸国は、中東戦争での「大義」の重要性は、これから以降の石油にたよらない国づくりといった切実な経済の課題を解決するためにその相対的意味合いが低下した。各国は増加する若者の雇用などに対応しなければならない。

イスラエルは天然資源が乏しくハイテクに強い。逆にアラブ諸国は、天然資源(石油やLNG)はあるがハイテク技術は未熟だ。特に、最近は脱石炭、石油と温暖化ガス排出に厳しい世界環境となってきている。この結果、アラブ諸国が、脱天然資源を図り、再生エネルギーへの転換は必至の状況だ。再生可能エネルギーへの重点投資など、いち早く石油頼みから抜け出そうとしてきた。之にはイスラエルの技術力は欠かせない。既に新型コロナウイルスの検査キット開発などでイスラエル企業との合意が進められている。

また、イスラエルはIT(情報技術)や医療などの開発企業を更に推し進めるためには、年7兆円もの石油輸出収入があり投資余力の大きいUAEは魅力的だ。UAEの資金を呼び込もうとしている。

こうしたUAEとイスラエルは、補完的なニーズを有していることになる。宗教や、民族的な背景を一時置くとして、この経済関係は、両国にとって望むところではあるわけだ。

元はと言えば、UAEもバーレーンも、20世紀前半までペルシャ湾で採れる天然真珠が資金源だった。日本で発展した養殖技術によって真珠ビジネスは壊滅的な打撃を受けたが、石油が危機を救い、近代化を成し遂げた。(因みに私はバーレーンの小さな博物館に昔の真珠採りの様子を展示しているものを見てきた)そのオイルマネーがあるうちにイスラエルとのタッグで技術主導型の経済をめざそうとするのは至って当然の成り行きでもある。

また、イランが核開発を進めシリアやイラクの混乱に乗じて地域での影響力を高める事への懸念もある。然し、これがすんなりと思惑通りに進むか否かは疑問だ。

トランプは例によって自分が主導したこの成果を自賛する。大統領再選に向け、トランプの支持基盤のキリスト教福音派にアピールする。之により福音派を惹きつけ選挙を有利に進めようとする。福音派は米国人の約4分の1を占め、トランプ氏の再選に向けた票田となる。

1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)がオスロ合意に達したのを仲介した当時のクリントン米大統領は仲介外交で支持率を大きく伸ばした。之にあやかろうとの魂胆だ。

イランは米国にとっても敵国だ。これら中東諸国とイスラエルとの接近は米国にとっても望むとところだ。こうした中東での動きは、米国の中東在留の米軍を縮小する可能性を含んでいる。


この背景にはアラブ諸国にとって先端技術に強いイスラエルとの産業協力という実利があるものの、パレスチナ自治政府はアラブ諸国のイスラエルとの国交正常化を「裏切り行為」と非難している。こうした流れにパレスチナの孤立感が深まった。米国は周りを固めつつパレスチナに路線転換を迫っている。

米国の民主党のシューマー院内総務やペロシ下院議長も国交正常化について「歓迎すべきニュースだ」と語っているが、トランプがUAEに対して最新鋭ステルス戦闘機F35の売却と引き換えに国交正常化を促したとして疑問視している。また、ネタニヤフも正常化合意後も米国による最新鋭戦闘機F35のUAEへの売却に反対の立場を表明している。

レバノンの首都ベイルートでは8月の大規模爆発後、反エリート層デモが復活した。これは、今までの政治の腐敗が、爆発したと言っても良い現象だ。

このように、現在のアラブ各国が不穏であるある共通問題は、人口の多数を占める若者の閉塞感だ。安定した就職先が政府機関などに限られるうえに、採用は有力者のコネ頼みだ。不正がはびこる土壌は長年に亘って積み重ねられてきた。

イスラム教のスンニ派とシーア派の宗派対立も国家間から地域社会のレベルまで相互不信を深め、治安の悪化など社会が安定しない原因となっている。



トランプも、誠実に中東和平を望んでいるわけでもなく、とりあえずはアフガニスタンでも和平仲介を進め、次いで、旧ユーゴスラビアのセルビアとコソボの経済関係の正常化を仲介するなど、自らの選挙に有利になるとの一点で、華々しく成果を主張するに留まり、紛争の内面に何があるかなどは頓着していないようだ。

この間の変化と言えば、パレスチナ自治区の状況が悲惨さを増している。若年失業率は40%に上り、ガザ地区の貧困率は5割を超える。その意思表示としてはデモで、国旗を燃やして気勢を上げることしか出来ない。

アラブの春以来、若者が求めていた改革は何ら進展をしない失われた10年である。ネタニヤフも、他の元首同様に、自身の収賄や詐欺罪で、起訴されている。個人的に窮地に陥ると、決まって外に目を向けさせる。その間に自身の疑惑をすり替えたり忘れさせたりする。政治家のよくやる手だ。真に世界の平和を考えている政治家などいないようだ。

こうしてみてくると、8月16日に書いたブログの域から、殆ど進展はしていないようだ。

イスラエルはUAEの財力を求め、UAEは国家の経済体質を脱石油に求めていて、それにトランプの選挙目当ての大芝居が介在して、中東に僅かな糸口を見いだしたかの感じだ。

意図する真の姿は別としても、かりそめの平和が、時間経過と共に真に定着するのを待たねばならないのかも知れない。当面は、イスラエルのパレスチナ側への侵入が休止することでつかの間の平穏が来るかも知れない。





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Last updated  2020.10.09 09:59:20
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