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2020.10.19
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今日のウォーキングは第1798日目で9005歩だった。

***

シベリアにまた謎のクレーターが出現した。見つけられたクレーターはロシアのヤマル半島で、ここでは過去に15個の同様なクレーターが発見されている。今回発見されたのは17個目で、過去最大級とのことだ。広さはサッカー場の半分ほどで、深さは約50m、クレーターの周囲にはそこから噴出した氷や土の塊が数百mにわたって飛び散っている様子が見られた。

こうしたクレーターはヤマル島の隣のギダン半島でも見られる。

これらの巨大クレーターの原因は隕石の直撃だとか、ミサイルによるものだとか、果ては、宇宙人の襲来だ等と騒がれたが、周囲の状況から「氷火山」である事がわかった。

クレーターの周囲に拡散された物質は、北極付近で見られる氷火山から噴き出した氷が混ざった泥だ。通常の火山からは高温の溶岩を噴き出すが氷火山からはこうした氷や泥なのだ。氷火山は、土星の衛星タイタンなどではよく知られているが、地球では珍しい。

クレーターの様子を研究することは容易でない。爆発後、数カ月から数年もすると水で満たされ、この地域に点在する多くの湖のような外見になってしまうからだ。

クレーターを調査すると、その縁はほぼ垂直に切り立っていて、凍った土が徐々に解けて穴の中に落ちていくのが見られる。音を聞いていると、クレーターが生きているかのようだという。

地球上では2014年以来、シベリアの北極圏で、こうしたクレーターが続々と見つかった。このクレーターは泥と氷の丘の下に閉じ込められたメタンガスや二酸化炭素(CO2)が爆発してできたもので、今後、地球温暖化とともに増えていくことが予想されている。



2017年には先住民ネネツのトナカイの放牧地の近くで爆発が起き、クレーターができたと報告されている。また、潜在的な脅威は、この地域の石油・天然ガス施設にも及んでいる。こうした事から、シベリアの人々が危険にさらされるのではないかと心配されていて、事実、クレーターが発見された場所の近くでは地元の人々が爆発音を聞いたり炎を見たりしている。

こうしたクレーターはどのようにして出来るのだろうか。

クレーターは、永久凍土の下のタリクと呼ばれる融解層から始まる。タリクとは、永久凍土層の中にあるレンズ状の不凍土のことで、湖と永久凍土に挟まれた部分に生じやすい。塩分濃度が高くて水が凍る温度が低い地下水域でも形成されることがある。

このように、タリクが形成されやすい場所の1つは湖の下だが、湖の下の部分は。湖の水で土が温められ、断熱することで出来る。湖はたえず変化する。周囲の永久凍土が凍ったり解けたりを繰り返す中で、湖の水量も増えたり減ったりする。湖が干上がることがあれば、融解層は氷に取り囲まれる。

こうしてタリクは下からも、側面からも、上からも、あらゆる方向から凍ってくるのだ。水が凍ると体積が増えるので、まだ凍結していない部分を圧迫する。こうして内部に含まれたガスと水の圧力が高まり、地表がドーム状に膨らむ。こうして出来たクレーターの周りにピンゴと呼ばれる小さな丘ができるのだ。

すべてのクレーターが湖と関係があるわけではなく、タリクは、塩分濃度が高くて水が凍る温度が低い地下水域でも形成されることがある。こうして、ピンゴの中には、地下水の上昇によって膨らみ続けているものもある。

永久凍土は夏の間も凍ったままの土で、北半球の約2300万平方kmを覆っている。こうした永久凍土に出来た湖がタリクを形成するのだ。こうして出来たピンゴは北極圏の各地で見られ、1万1000個以上確認されている。しかし、爆発してクレーターを形成するピンゴはヤマル半島とギダン半島でしか確認されていない。

クレーターが出来る前段階の爆発は地中に大量のガスが存在している。最近開発が進む西シベリアには天然ガスが豊富に存在し、その一部は地中の亀裂や多孔質層に沿って浸透し、タリクの中に入り込んでいる。ガスの発生源はほかにもある。微生物が有機物を食べてメタンや二酸化炭素を排出するのだ。また、メタンハイドレートと呼ばれる結晶が解けて発生するガスもある。

こうして、様々な由来のガスがタリクに入り込み、タリクが冷やされることで、ガスが圧力を高め行き場を失ったガスが表面の氷を突き破って爆発する。爆発は数時間から数日続き、上面の凍った泥が数100m離れたところまで飛び散るのだ。こうして、側面が切り立ったクレーターが残る。

クレーターの周囲の盛り上がった部分はパラペットと呼ばれる。

こうして出来たクレーターも時間が経つと、徐々に崩れて水で満たされることになり、他のシベリア地方に見られる湖と同様の姿になるのだ。



シベリアのクレーターについてもまだわからない点がある。1つは気候変動との関係だ。北極圏ではここ数年、異常な高温が記録されている。今年(2020年)の6月20日には、ロシアのベルホヤンスク市で、1885年の観測開始以来の最高気温となる38℃を記録した。(ここは、-67.8℃を記録するほどの寒冷地だ)

2014年の発見以来、シベリアのクレーターは増えているように見えるが、この現象は何千年も前から起きていて、つい最近になって気づいただけだと言う説がある。

地球温暖化によって爆発の回数が増える可能性が指摘されている。気温の上昇により永久凍土が解け、ガスがたまったポケットに蓋をしている氷が不安定化し、爆発するというシナリオだ。永久凍土の融解により地中から地表につながる穴が増え、地中のガスがタリクの中を上がってくる「煙突」ができる可能性もあると指摘されている。

地球全体の温室効果ガスの排出量を考えれば、1回の爆発で放出されるメタンや二酸化炭素の量は取るに足らないものだろうが、この爆発は長期的な現象を短期間に凝縮したものだという。

気候変動の影響は北極圏にも及んでいて、北極圏はほかの地域の2倍以上のペースで温暖化している。融解する永久凍土は年々増加していて、場所によっては冬になっても再凍結しない。



いずれにしても人類の寿命が脅かされていることに変わりは無さそうだ。

シベリアの爆発を研究することで、太陽系のほかの天体の氷の爆発現象を理解できるかもしれない。米航空宇宙局(NASA)氷火山の専門家はシベリアのクレーターは、準惑星ケレスの氷火山とよく似ている可能性があると言う。

火星と木星の間に位置する直径約950km、惑星になり損ねた「原始惑星」ケレスは氷でできた衛星とは違い、岩石質の土壌成分があるのでとても良く似ているというのだ。2015年に無人探査機ドーンから送られてきた画像によると、表面には幾つもの白い点が見つかっている。そのクレーターの1つの中心部分が他のどの場所よりも明るく光っているのを発見したのだ。

これは、クレーターの底に氷や塩分の堆積物があって、太陽光を反射して輝いているとも考えられるとのことだった。ケレスは質量の25%を水分が占めると推定され、表面から水蒸気の放出が確認されるなど謎が多い。

また、2005年に土星最大の衛星タイタンで直径約440kmの周囲の平野より1500mほど高くなっている巨大クレーターが見つかった。NASAは、大きさ数10kmの小惑星が激突した跡と推定していたが、水を含んだ排出物から氷火山の可能性が論じられ、土星での生命の存在がクローズアップされた。

発見された氷の火山は「ソトラ・ファキュラ(Sotra Facula)」と名づけられ、大きな噴火口が数百kmにわたって並んでいて、山列の側面の低地には噴出物が流れたような跡があった。

因みに、直径約440kmの範囲は東京を中心に円を描くと、静岡県の東半分から新潟、福島両県の南部までがすっぽり入る。





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Last updated  2020.10.21 15:24:25
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