ゆうさんの日記

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2026.05.28
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「明美さん、やっぱり……あの時のボイラーの男と付き合ってるんですか!?」
夕暮れの心地よい風が吹く河川敷。閉店後のルーティンであるジョギングの最中、並走する「隠れファン親衛隊」の大学生が、意を決したように訊ねてきた。後ろを走る男の子たちも、私の答えを待って一斉に耳をそば立てているのが気配でわかる。
例のBARでの一件以来、貴史さんとは何度か仕事終わりに食事に行くようになっていた。
そのことを街のどこかで見かけたらしく、彼らは気が気じゃなかったのだ。
「ふふ、違うわよ。ただの男友達。たまにご飯を食べるだけ」
私が笑って答えると、男の子たちは「よっしゃあ!」と目に見えて安堵し、河川敷に歓声が響いた。本当に可愛いボディーガードたちだ。
嘘は言っていない。本当に「ただご飯を食べるだけ」なのだ。
貴史さんは背も高くて誠実なイケメンだし、一緒にいて楽しい。けれど、デートを重ねるうちに、私は少しばかりの物足りなさを感じ始めていた。
彼はとにかく、紳士的で控えめ過ぎるのだ。

「……なるほどねぇ。若さゆえの慎重さ、ってところかしら」
翌日の昼下がり。私は隣の整体院から戻ってきたばかりの智恵子さんの自宅リビングにいた。
今日の智恵子さんは、いつも以上に色っぽい。
お昼休みの時間、大吾さんの整体院の個室で、たっぷり一時間「情熱的な施術(おせっせ)」を済ませてきたばかりなのだ。心なしか、うなじのあたりがほんのり火照っていて、まとっているハーブの香りに混じって、大吾さんの愛用のローションの匂いが微かに漂っている気がする。
「贅沢な悩みかもしれないけど、なんだか物足りなくて。智恵子さんなら、貴史さんみたいなタイプ、どう思う?」
私がソファに深く腰掛けながら訊ねると、智恵子さんはふっと艶やかな笑みを浮かべ、淹れ立てのルイボスティーを私の前に置いた。
「いいじゃない、チェリーボーイみたいで可愛いわよ。でもね、明美ちゃん。男の人ってね、特に年下の真面目な子は、相手が綺麗であればあるほど『汚しちゃいけない』って臆病になるものなのよ」
智恵子さんは、大吾さんとの事後の余韻に浸るように、トロンとした目で微笑んだ。
「整体のときはあんなに大胆なくせに、最初に二人きりになったときは、私の手を握るだけで顔を真っ赤にして震えてたんだから。でもね、一度そのリミッターが外れたら……もう大変。野生の獣みたいになっちゃうの。今じゃお昼休みだけじゃ物足りないって、奥のベッドで私を離してくれないんだから」
「ちょっと、智恵子さん、ご馳走様(笑)」
私は顔を赤くしながら笑ってしまった。

「じらすのも楽しいけど、明美ちゃんから少しだけ『隙』を見せて、彼のボイラーに火をつけてあげたら?」
智恵子さんは悪戯っぽくウィンクをした。
大人の秘密を共有するお姉さまからの、最高に刺激的なアドバイス。
よし、次のデートは、もう少しだけ彼を困らせるような、大胆な仕掛けをしてみようかしら。
私は真っ白な割烹着をきゅっと結び直しながら、次の週末が少しだけ待ち遠しくなるのだった。





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Last updated  2026.05.28 19:59:22
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