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世界最高の所得と貯金を持った日本人はこれから何をするのだろうか。海外旅行はすでにたくさんやっているから、その次である。
文化に関しては「同時生産、同時消費」を喜ぶようになる。
同時性とは、例えばイベント会場などはわかりやすい例だろう。これは同時生産、同時消費で盛り上がっている状態である。参加者が生産し、参加者が楽しんでいる。あるいは西麻布、六本木あたりのレストラン。ここではお客が雰囲気を生産し、消費している。だからその場にそぐわない服装、センスの合わない格好をしていくと嫌がられてしまう。雰囲気が壊れてしまうから、そういうお客には来てほしくない。
というのはお客も生産しているからである。そういう「同時生産、同時消費」のイベントを演出し、場を提供し、というのがこれからの文化産業の一つの特徴であり、ヒントである。
もう一つヒントを言えば、瞬間の喜びがウケる時代である。生産も瞬間に生産して、消費も瞬間に消費する。長持ちするものはもう大して売れない。日本が持っている一人当たり四万ドルの所得はどこへ消えるのかというと、一瞬パッと花火が上がって、ワッと思うとそれで終わってしまう。日本人が追求する瞬間の喜びは、世界の人がやがて憧れてマネをする。
なぜ瞬間の喜びかと言えば、もうすでに生活必需品はそろっているからである。生活の基盤として長持ちするものは、社会資本の充実と呼んで日本はもう十分つくつてきた。長持ちするものは有り余っている。
さらにヒントを言えば、日本でこれから出てくる特徴は、「個人」である。個人で生産し、個人で消費するという二十一世紀文化を、日本はもうつくりかけている。子供は生まれたときから個室をもらい、自分専用の道具をもらっている。最近では食事も個食、一人一人で食べている。気づいている人が少ないが、個人ででも生きていけるというのは素晴らしい社会をつくったのである。これはなにしろ人類何千年の理想である。親に威張られたり、上司に威張られたり、近所の人にぺこぺこするといった、その苦しみに耐えてようやく今の社会をつくったのである。そして今、その苦しみがないという理想の社会を子供につくつてあげた。
個人で生産し、個人で消費する、これを流行語でいえば SOHO の時代。過去に例のなかったの社会の到来である。
しかし、この社会にはいろいろなデメリットがある。自然淘汰はこれからという弱味がある。だが、日本のマネをする国は多いだろう。世界中で個人化が進むとき、日本ではさらに一歩進んで、個人でも集団でもどちらでも選べる多選択社会を実現させるだろう。
『すぐに未来予測ができるようになる 62 の法則』(日下公人氏著、 PHP 出版)より