相談型社労士あさいのweb8682

相談型社労士あさいのweb8682

2008.09.26
XML
カテゴリ: 私事
小鹿田焼の里、大分県日田市に行ってきました。

小鹿田は「おんた」と読みます。
「おんたやき」として、民芸好きの間では有名な焼き物です。

日田市といっても、市街地からはかなり離れた山奥にひっそりとある山里です。アクセス方法としては、東の三和のあたりから入ってくる道が一番しっかりしている道のようです。

僕は行きは、西側から入る山道(西善寺から入っていく道)を使ってしまい、ダートの狭く薄暗い山道を「対向車が来たら大変なことになりそうだなぁ」とドキドキしながら登っていきました。この道は車で行く人にはお勧めできませんのでお気をつけ下さい。

■アクセス地図(マピオン)


資料館のそばに数台分の駐車場があります。
1




(1)皿山と呼ばれる小鹿田の山里

この小さな集落には10戸の窯元があるようですが、それが集落の全てといっても良い状態のようです。完全に焼き物の里なのですね。

周辺の人々は昔からこの山里のことを「皿山(さらやま)」と呼んでいるようで、これは昔から日本各地にある焼き物の里を指す呼称ですので、ここは昔から地元の人々にとっては焼き物の里として定着していたんでしょうね。



>>一部概要を引用

私は久留米の一軒の陶器屋で不思議な品々を見つけた。
それはどうしても今出来のものとは思えない。それほど手法が古く、形が良く色が美しい。あるものは、遠く唐宋の窯をさえ想起させた。

心を惹かれそれらを棚から下ろすと全てが同じ一つの窯で焼かれているのを知った。そうしてその窯が日田郡の大鶴村(現在は合併して日田市です)にあることを聞いたのである。

それ以来その窯のことが頭から離れなかった。文献を書物にあたったが、あらゆる努力は失敗であった。自ら土地を踏むより致し方ない。日田行きは私の果たさねばならない旅となった。

>>以上引用
※柳宗悦氏の紀行文はまだまだ続くので、是非興味のある人は読んでみて下さい。

というわけで僕らもさっそく窯元を覗いて見ることにしました。

色々な種類の焼き物が並んでいて自由に選べます。
2

たくさんあるので、一軒目であっという間に10分以上経ってしまいました。

他の窯元さんも見てみたいので、とりあえず店を出ます。


11


私が登り窯を初めて見たのは沖縄の壺屋でしたが、あそこは既に住宅街となってしまっていて、現在は使われていない窯でした。その後読谷村で使用中の共同登り窯を見て感動しましたが、見学時に火は入っていませんでした。


この小鹿田の里は、登り窯が全て現役です。
しかも共同窯も含め、10軒の窯元に対して6本もの登り窯があります。これはすごい!

しかし、登り窯に火が入るのは年に5,6回しかないと聞いていましたので、今回も登り窯に火が入っている姿を見ることは出来ないだろうと思っていました。

しかし、なにやら黒い煙がもくもくと青空に流れていくのが見えます!

5




5a
煙突をアップで撮影してみました。


6


いやぁ、すごいラッキーでした。
この登り窯は共同窯で、8袋(焼成室)もある大きな窯です。話によると、この共同窯は昭和60年に築き直されたものだそうで、だんだん大きくなってきたそうです。

5b


さて、登り窯に火が入っているという素晴らしい瞬間に立ち会えたということで、今度は小鹿田焼きでもっとも有名な唐臼を見学してみようと歩を進めました。

唐臼というのは、土を砕くのに使う大きな「獅子おどし」のようなものです。

実は車を降りた瞬間から、唐臼の音が聞こえていました。

ぎー ごっとん
ぎー ごっとん

静かな山間の里ですので、鳥の声や木々の音、川のせせらぎ以外に聞こえてくる音はありませんが、耳を澄ますとどこからかこの音が規則正しく聞こえてきていたのでした。

なんともゆっくりとした、心地よい音でした。

ただし、唐臼というのはきっと、窯元の敷地内に設置されているだろうから陶工さんたちの邪魔をしないように、遠くからちらりとでも見えればいいなぁと思っていたのです。

ですが、予想に反して普通に道から見える場所に唐臼はありました(笑)。

それも3連式の大規模な唐臼が!

3

この唐臼というのは
・川の水を引いてくる
・獅子おどしの原理で、片方に水が溜まるおけ、片方は杵になっている。
・水が溜まると杵が持ち上がり、水が逃げると杵が落ちて、土を砕く。

こんな簡単な原理のものです。

ちょっとアップでも撮影してみました。

ここに水が溜まります。
3a


こちら側が土を砕くところです。
5c



ちなみにこれが砕かれる前の陶土です。周辺の山に陶工全員で年に2回ほど採取に出るそうです。
10




こんな風にして陶土を作ります。

この唐臼、かのバーナード・リーチが
「世界に2箇所しか存在しない」と驚嘆したそうですが、現在窯元の全てがこの唐臼で陶土を作っている皿山というのは、世界中でもここだけでしょう。

そういえば、道ばたに古くなって引退した唐臼が置いてあったりもしました。

どの位の寿命があるのだろう?
と聞いてみたところ、10年ほどだそうです。結構短命ですね。やはり水を扱うということで腐ってしまうのでしょう。

この唐臼を見学した後、おばあさんがなにやら黄色い水の貯まった四角い池?のような場所で水をくみ出している姿を見ました。

仕事の邪魔をしてはいけないので声はかけませんでしたし写真も撮らなかったのですが、後から調べたところこの作業は「水渡し」という作業だと判明しました。

水渡しとは、陶土を水につけ、泥水状態にしてから何度も撹拌、ふるいがけをしてごみを取り除き、使用できる状態の陶土を作るための手順のことです。

このようにしてごみが取り除かれた陶土を水抜きするわけですが、ちょうどその状態のものが庭に出ていたので撮影してきました。

9

正直に言うと、撮影したときはこれが何の状態なのか知りませんでした。何か粘土が山盛りだなぁくらいにしか(笑)。


(2)小鹿田焼の種類

小鹿田焼きは、色々な種類が焼かれています。

柳宗悦氏も焼き物の種類がとても多いことに触れています。彼は山間僻地であったため、およそ考えられる全ての用途を満たす必要があったのではないかと考えています。

美術品ではなく、民芸品。つまり日常の用途に使用する陶器ということですから、時代の移り変わりとともに、焼き物の種類も変わっていくのが自然だと私も思います。

ここ小鹿田の窯元の店先を覗いてみると、「小さなコーヒーカップ」なども普通に並んでいます。昔はもちろんこんなものはなかったでしょう。逆に昔はあったけど、今はなくなってしまった種類の焼き物も多いでしょう。

例えば大壷などは、美術館や料亭などで飾ってあるのは見かけますが、現在は家庭で醤油や油を保存するのに陶器の大壷を使う人はいないと思いますし。

ですが、このような生活の用としては余り出番のなくなった大壷なども、焼き方の技法を承継するという目的で、数は少ないけれども職人の方々は焼き続けているそうです(作らなくなったものもあるようですが)。



※文字数が楽天日記の容量を超えてしまったので、分割します。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.10.09 19:24:20
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

相談型社労士浅井

相談型社労士浅井

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

コメント新着

背番号のないエース0829 @ Re:首里城 「沖縄summitから20年」に、上記の内容に…
相談型社労士浅井 @ Re[1]:小鹿田焼の皿山(その2)(09/27) さいしょさん、コメントありがとうござい…
さいしょ @ Re:小鹿田焼の皿山(その2)(09/27) ご無沙汰しております。 日田は母と縁…
相談型社労士浅井 @ Re[1]:火星メモ(01/10) 雪国の社労士さん、ご無沙汰しています。 …
雪国の社労士 @ Re:火星メモ(01/10) おひさしぶりです! 復活、おめでとうご…

お気に入りブログ

『外国人助太刀倶楽… office_ohnoさん
  30代で自分の… 走る現場監督はせがわさん
『今日の気になった… クロサクさん
税理士山本憲明の独… 千葉船橋の税理士 山本憲明さん
つれづれ日記 さいしょさん

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: