たとえば『小さな願い』が1967年、『恋よさようなら』のデュオンヌ・ワーウィックのシングルが1968年。ビートルズのアルバムだと、「サージャントペパーズ...」から「マジカル・ミステリー・ツアー」更に「ホワイト・アルバム」の一部くらいまでの時代です。シングル・チャート的に言えば、67年が "Strawberry Fields Forever","Penny Lane",68年は "All You Need Is Love","Hey,Jude","Revolution" ですね。
さてこのような激動の60年代後半を遙かにさかのぼる1962年、ビートルズはファーストアルバムで当時まだ有名でなかったバカラックの "Baby It’s You" を歌っている。この曲をとりあげたのは作曲者がバカラックだからではなく、彼らがシュレルズの歌ったこの歌がすきだったからだというのは容易に想像できる。つまり、彼らが日頃ラジオで聴いて親しんでいた曲をカヴァー曲に選んだ、というだけのことだと思う。因みにシュレルズはこの "Baby It’s You"(1961年) の当時はかなり売れっ子で、"Will You Love Me Tomorrow" もその頃のヒット曲だ。 しかし、その数年後バカラックが世界的な売れっ子になったとき、早くから彼の曲を歌っていたビートルズのメンバーは、きっと喜んだだろうなどと思うのは、僕のような俗人だけか。その頃は、彼らはビッグを通り越して別世界の人のようになっていて、興味の対象も別のところへ行ってしまっていたからね。