WBC 日本5-0キューバ】不振で苦しんでいたイチローの2安打に、原監督も
ほっとした様子だった。
バットの芯でとらえられず、ゴロばかり打つ症状が続いていた。最悪の瞬間は
第3打席、送りバントが三塁への小飛球となり失敗。痛恨のミスに、
「折れかけていた心がほぼ折れた」。
七回の第4打席は、心理的にぎりぎりまで追いつめられて迎えた。引っ張った
打球はまたゴロだったが、高く弾んで一塁手の頭を越え右前に到達した。
この1本で、 「
監督と目を合わせるのも痛かった」
という心境から解き放たれ、
次の打席は三塁打。2安打とも得点に結びつき、上位打線が久々に機能した。
(読売)
WBC2次ラウンド、イチローにとって13打席目にして生まれた初安打だった。
原辰徳
監督は、安打を放って明るい表情の イチロ
ー
を見て、
「彼は野球界で伝説の人で、(並の)人間にはないタフさをもっているのかなと
思った。今日の喜びようを見て、彼も人間なんだなと思った
」
(読売)と話したと
いう。
大事な大会で安打が打てないことは、打者にとって大きなプレッシャーに
違いない。そういった経験は、原辰徳監督の現役時代にもあった。
ボクが真っ先に思い出すのは1989年の日本シリーズ、対近鉄第5戦のこと。
近鉄の 吉井理人
は、原辰徳の前の4番打者 ウォーレン・クロマティ
を敬遠し、
敢えて満塁策をとり、第4戦までまったく安打を打てなかった原と勝負する作戦を
試みた。だが、原は意地を見せ、低めの直球をうまくすくい上げて、このシリーズ
初安打となる満塁本塁打を打って試合を決めたのだ。
ダイヤモンドを駆ける時、何度も何度も両手を上に突き上げ、喜びを現した原。
いくら不調だからといって、自分の前の打者が敬遠されることは最大の屈辱だった
ろう。実況のアナは 「汚名返上です、名誉挽回の一発!」
と叫んだ。原の一発を
待っていたファンたちには、大きなウエーブが起きた。
試合後のヒーローインタビュー、原はこう言った。 「本当はわんわん泣きたいくらいですが、まだシリーズが残っているので。
皆さんの大きな声援が、本塁打を打たせてくれました」
それまで、周囲もマスコミも原の不調を熱心(?)に取り上げていた。原の表情も
落ち込んだような、元気の感じられないままでの試合出場だった。だから、前の打者
が敬遠されたときは、相当に屈辱的だったに違いない。本塁打を打ってダグアウト
に戻る時には、原の目に涙が溢れていたようにボクは記憶していた。
(あらためて「YOU TUBE」で確認したところ、涙は流していなかった模様)
とまれ、この原の一発で、読売は完全に流れを掴み、逆転優勝を果たすことになった。
今日の韓国戦、昨日の安打をキッカケに、イチローも活躍できるか?
(あまり関係ないけれど)この日本シリーズの登場人物について。
クロマティとの勝負を避け、原との勝負を指示した近鉄の監督は 仰木彬
氏。
テレビの解説者は 土井正三
氏(元・オリックス監督)。
後にイチローと深い関わりをもつ人たちが
、すぐ近くで原の一発を見つめていた。
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