あま野球日記@大学野球

あま野球日記@大学野球

2009.07.12
XML
カテゴリ: 大学野球

先ほどの続き。



米国にあったもの。そもそもは1905年(明治38年)に早稲田大が初めて
米国に遠征した際に学んできたに過ぎない。


それまで、「武士道」の一環として野球というスポーツを考えていた日本に
とって、「バント」とは正々堂々としない卑怯な戦法としてとらえられていた。
例えば、 安部磯雄 (当時、早稲田大野球部部長)の「バント」に関する発言に
こういったものがある。


※以下は早稲田大入学前、神戸中在学時に外人のアマチュア選手たち
(主に神戸に寄港する米艦の船員)がバントを多用するのを見て、それを
真似してバントを試みた 泉谷祐勝 に対してのもの。


「泉谷君、そんな卑怯な真似(バントを指す)をしちゃいかん。打つなら打つ。
避けるなら避けるでどっちかはっきりし給え。打つのか打たないのか分からない。
まるでいやいやバットを振っているようだ。そんなことをしてはいかん」
(『日本野球史』国民新聞運動部編、昭和4年発行)


ところが---。
米国遠征の第1戦(1905年4月29日)、相手のスタンフォード大はランナー
が出るごとに(送り)バントをした。また三塁にいる時も同様、打者と走者が
息を合わせたようにバント(スクイズ)を繰り返した。


卑怯な戦法と考えていたためか、「バント」の際の守り方がまるでわからない
早大の内野陣。なす術なく茫然と立ち尽くすしかなかった。結局スコア1-9で
敗退してしまった。


帰国後、安部はバントについての考え方をあらためた。そして最新の野球術
を様々な方法で日本国内に広めることに努めた。もちろん、その中に「バント」
に関することもあった。
「バントを練習し、それによってバントエンドランとかスクイズプレーを行って、
野球の玄妙に触れねばならぬ」
(同上)


「玄妙」とは、道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれている
という意味(大辞泉)。米国遠征を通じ、初めてバントは「趣が深くすぐれている」
戦法として認められたのだった。


(※本文中、すべて敬称略)


安部磯雄 の関連記事「あま野球日記」バックナンバーより。

「野球術を普及した安部磯雄と橋戸信」  (2009.6.24) → 
こちら へ。
「米国遠征の夢と財布の中身」  (2009.7.9) → 
こちら へ。

この記事は『ボクにとっての日本野球史』の中で、次の期に属します。
→ (第3期)「1905年(明治38年)早稲田大がアメリカに遠征した時」に属します。


(第3期)に属する他の記事は以下のとおり。

◇  「ボクにとっての日本野球史」  (2009.7.1) →  こちら へ。
「日米大学対決は104年前に始まった」  (2009.6.23) →  こちら へ。
「野球術を普及した安部磯雄と橋戸信」  (2009.6.24) →  こちら へ。 
「米国遠征の夢と財布の中身」  (2009.7.9) →  こちら へ。

大笑い今日も1クリックお願いしますウィンク

人気ブログランキングへ にほんブログ村 野球ブログ 大学野球へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.07.12 22:21:05
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:日本の「バント事始め」(07/12)  
shimizu@puk  さん
なるほど、
面白いですねぇ・・・
貴重な情報をありがとうございます。 (2009.07.12 21:31:00)

Re[1]:日本の「バント事始め」(07/12)  
shimizu@pukさん
>なるほど、
>面白いですねぇ・・・
>貴重な情報をありがとうございます。
-----
こちらこそ、コメントありがとうございました。
(2009.07.13 00:21:21)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Archives

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2025.03
2025.02

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: