(前回の続き)
クリス・アーノルド
のカウントは0-1。
広島 101 002 000 =4
近鉄 000 021 00 =
【近鉄メンバー】
1(6)石渡 茂
2(3)小川 亨
3(9)チャーリー・マニエル
4(7)栗橋 茂 → (PH)(2)梨田 昌孝
5(2)有田 修三 → (7)池辺 巌
6(5)羽田 耕一 → (PR) 藤瀬 史朗
7(4) クリス・アーノルド
→ (PR)吹石 徳一
8(8)平野 光泰
9(1)鈴木 啓示 → (PH)阿部 成宏 → (1)柳田 豊 → (PH)永尾 泰憲
→ (1)山口 哲治 → (PH)佐々木 恭介
■一塁に足のスペシャリスト・ 藤瀬史朗
がいた。単独スチール、ヒット・エンド・ラン、攻め手はいくつもある近鉄。一方、広島・ 江夏豊
、 水沼四郎
のバッテリーは、近鉄がどんな攻めを仕掛けてくるか読めなかった。様子を見るためにウエストしたが、アーノルドはピクリとも動かない。藤瀬もスタートを切る気配はなかった。
水沼
「何か動きがあるか探ってみたが、近鉄は動かなかった」
江夏
「1球目はバントを警戒して外した。バントの気配は全然なかったね。全然打つ気がないようだった。藤瀬が走るのを待っている。ヒット・エンド・ランはないと思った。アーノルドは空振りが多いしね」
■カウントが0-1になり、一塁側・近鉄応援席の声援がさらに大きくなって球場内に響いた。「かっ飛ばせー、クリス。広島倒せー、オー」。
大小無数の応援旗が右に左に大きく揺れた。観客席をぎっしり埋めたファンたちの頭には一様に白・赤・青の近鉄の帽子が載っている。また、一塁ベンチからライト線にかけてグラウンドには、スタンドから放り込まれた黄、赤、青の無数の紙テープが横たわっていた。
■このシリーズ、アーノルドはまったくの不調だった。ペナントレースは.289の打率を残していたものの、シリーズの成績はここまで15打数1安打、打率はたったの.067。
ボクは岩手・花巻にある実家でテレビ観戦していた。アーノルドに期待することはあまりなく、なんとか併殺だけは避けてくれ、最低でも藤瀬を二塁に進めてくれと願っていた。アーノルドよりも、ボクは次の8番・ 平野光泰
の勝負強さに期待を賭けていた。
前に突き出した腹にグラブを乗せ、セットポジションの江夏。幾度となく、一塁走者・藤瀬に目を配る江夏。そして水沼のサインに頷き、左腕を上げた。
<3球目>
高めの明らかなボール。速球。カウント0-2。
西本幸雄
監督が足早にベンチを飛び出して、アーノルドに一言、二言、声をかけた。西本の声に、打席に立ったままアーノルドが頷いた。
(写真)西本幸雄監督
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