遊心六中記

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茲愉有人

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2025.01.31
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カテゴリ: 探訪

天王殿前の北方向への回廊から眺めた景色 です。
回廊の先、右(東)側には鼓楼堂、左(西)側には左下がりの回廊屋根が見えます。

北方向に弧を描くように下っていく回廊の角からは、 回廊の西に、南と西を筑地塀で囲まれた庭 が広がっています。 「中和園」 と称されます。
庭の散策路に入り、中央寄りにたたずみ、 南から西に冬枯れの庭を眺めます と、

南方向には天王殿と境内社の背面​​​

南西方向に三門の屋根
         
北西方向に開山堂の簗地塀

北方向に向くと、庭の向こうには開山堂に向かう回廊
が、それぞれ見えます。
この庭の北辺には、 「中和井(チュウワセイ)」 と称された井戸があります。
左に 中和井碑 が建立されています。

後水尾天皇の母(中和院)方 の生家である 近衛家が所有していた土地 で、 徳川幕府が収公して、隠元禅師に寄進され、萬福寺が創建された のです。 (資料1,2)
ここに中和院の 大和田御殿 があったそうです。その井戸の名残りだとか。
この庭園は、1972年(昭和47年)隠元の300年大遠諱に合わせて整備されました (資料3)


庭の小径から、 回廊に戻って眺めた庭の景色
球体状の石碑は何を象徴しているのでしょう・・・・・・。円満、和でしょうか?


回廊が平坦になったところ、回廊の屋根の棟柱に 「合山鐘」 が吊るされています。




この梵鐘の 浮彫の龍 と久しぶりに出会いました。
社寺の龍像から始めて、今もインターネットで龍探しを続けていますので、やはり目が留まってしまいます。草ノ間が二段に仕切られているように見え、 上の方には浮彫の獅子像 が見えます。
下帯の部分はうねっている造形が特徴的 です。

北側から
以前のブログ記事に記していますが、第6代千呆禅師によって元禄9年(1696)に再鋳された梵鐘だそうです。


回廊の右(東)側に見える 「石碑亭」 (重要文化財)



亭内には、 亀趺 が安置されています。 隠元碑銘 が刻されています。
宝永6年(1709年)建立 。この顕彰碑には、 隠元の特賜大光普照國師塔銘 が刻まれているそうです。残念ながら私は判読していません。  (資料3,4)


回廊を左折する辺りで、北に見えるのが、 「寿塔」 です。
回廊からの寿塔への通路は立入禁止になっています。
この寿塔は 隠元禅師が存命中に建てて置かれた墓 (資料4)


いよいよ、 「開山堂」 (重要文化財) です。 回廊もまた重要文化財
左上の箇所をご覧ください。

蛇腹天井 の様式になっています。お堂をつなぐ回廊部分の屋根の天井とは異なります。
他の主要なお堂も同じ蛇腹天井 。萬福寺の特徴の一つです。


この扁額「開山堂」は木庵書

隠元禅師像 が安置されています​

開山堂の正面には、下部に ​半扉​ が設けてあります。 「桃扉」 と称されています。
大きな桃の形が浮彫に されています。 桃は古来より、不老長寿の果実 とされ、 邪気を祓う と考えられてきました。
桃の意匠を施した門扉は、 萬福寺に3箇所ある と言います。   ​(資料5)
おでかけいただき、後つの門扉を探してみてください。  

余談です。お寺を訪れますと、山門やお堂の屋根の端に、 留蓋 と称され、獅子や牡丹などの彫刻された瓦が置かれています。 留蓋に、桃が彫刻されている場合があります 。この桃の彫刻瓦もまた、ここの桃扉の桃の浮彫と同趣旨のものなのでしょう。


開山堂は南面する形で建立されています。入母屋造、本瓦葺で一重裳階(もこし)付の建物です。大雄宝殿と同様に、 桁行3間、梁間1間 という大きさになります。

松隠堂
この建物区域のつづき・東側は、開山堂の北側になり、

        多くの鉢が並べられた空間を挟んで、 これらの建物が立つ景色が回廊から見えます


開山堂は 、萬福寺の境内にあって、 「通玄門」(重文)と白亜の築地塀で囲まれた一画 です。



通玄門を出て、そのまま 真っすぐに南へ境内を横断していきますと 、 

竜宮門(窟門)があり、その先に、天王殿の右(南)側回廊の右(南)端から屋根が見えた、この 「文華殿」 があります。
この前をそのまま南に歩めば、鉄門扉の南門。普段は閉ざされています。

さてこれで久しぶりの境内散策も一巡しました。
三門を出て、 冬季の放生池の景色 を眺めて終わりにしたいと思います。

三門を出て、真っすぐに放生池の畔まで行き西を眺めた景色
冬枯れの景色が広がっています。

南~南西方向の景色 。築地塀の向こう側は塔頭「天真院」の境内地。

北~北西方向の景色 。総門の屋根の手前にあるのは 「看門寮」 です。
       その位置と名称から推測すれば、現在の守衛所・門衛所の役割を担った建物なのでしょう。


総門への参道を戻る途中で振り返って撮った景色。


総門のすぐ近く、参道の北側傍に右の 石標「黄檗二代木庵老和尚塔所」 が立っています。北に入る参道を進むと、 塔頭「萬寿院」 があります。ここには、 黄檗宗二代の木庵禅師が葬られています
萬寿院は木庵の塔所として建立されました。


看門寮の南側を回り込みます。 池の北西隅にこの石碑 が建てられています。

           放生池越しに三門を眺めた景色


       最期に 総門 を撮って、探訪終了です。


受付でいただいたリーフレットより

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
1) ​ 法皇忌 【後水尾法皇と黄檗について】 ​ :「萬福寺」
2) ​ 萬福寺「中和井」 ​ :「藤原氏と古代史推進委員会」
3) ​ 萬福寺 ​      :ウィキペディア
4)『都名所図会 下巻』 竹村俊則校注  角川文庫
5) ​ ももも ​   :「萬福寺」

補遺
黄檗宗資料集 黄檗山萬福寺伽藍建立年表 ​ :「黄檗宗・慧日山永明寺」
隠元隆琦 ​   :ウィキペディア
隠元 ​     :「コトバンク」
長崎と隠元~黄檗文化の広がり~ ​  :「長崎歴史・文化ネット」
木庵性瑫 ​   :ウィキペディア
木庵 ​     :「コトバンク」
萬福寺 ​  :「京都風光」

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Last updated  2025.01.31 18:37:01
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