突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.08.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 すぐに3弾目が、真上から飛んできた。 低い姿勢でそれを避けると、4弾目はすでに、地面すれすれにアンタレスの目前に迫っていた。 鋼鉄製の手甲をつけた手でそれを払い落としながら、その前の3弾目が、きらりと光って植え込みの中へと戻っていくのが見えた。 あの武器は敵を襲った後また投げたやつのところへと戻って行くらしい。 それで刃物は使えないのだ。
 飛び起きて、低くうなりをあげて飛んできた5弾目を飛び越える。 そろそろこの飛び道具の動きにも目が慣れてきた。 
 刃物が使えないなら、大型のものを使わない限り十分な殺傷力は得られないはずなのに、あの小鹿はなぜ、こんなおもちゃ同然の小型の武器を使って、本気で俺を殺せると考えているのだろうか。
 6弾目が胴体をかすめるのを軽くかわしながら、その武器が次々と飛び出してくる植え込みの中の、小鹿の潜んでいる正確な位置を推し量った。 同時に、防具に縫い付けたポケットに、手が自然に伸びる。
 きらり、と小さく光って7弾目が、予想したとおりの位置から飛び出してきたとき、アンタレスは近くの大木の陰に転げ込みながら、ポケットから抜き出した小刀を、植え込みの中の小鹿に向かって投げつけた。
 ぎゃっ、と小さな悲鳴が上がる。
 命中だ。
 すかさず2本目の小刀を、同じところに向かって投げつける。
 小鹿の7弾目が、こつん、と軽い音を立てて大木の幹に当たり、地面に落ちる。

 無防備な背中を襲われる、昔なじみの恐怖が、たちどころに全身の血を凍りつかせる。 
 理屈抜きの強い恐怖心が、また、アンタレスの自制心を失わせる。
 相手を確かめるより先にアンタレスは、反射的に腰の剣を引き抜いた。
 最強の剣、ダイダロスラームだけが、かろうじてアンタレスの正気をつなぎとめてくれるのだ。
 が、このときの恐怖は今までのそれとは違っていた。 
 がっしりとつかまれた肩から、何か、冷たく熱いものが、ぬるりと体の中に入り込んできた感覚があった。
 得体の知れないものに対する驚愕と恐怖が、アンタレスを動かす。
 背後の敵に向かって、ダイダロスラームを真横になぎ払った。
 ざくっ、と、おなじみの感触があって、ベベルギアの首が宙を飛んだ。
 そのとき初めて、今までベベルギアがずっと頭上の木の上に潜んでいたことに気がついた。
 愕然とした。

 俺としたことが! なぜ、今の今まで、こんな至近距離に敵が迫っている気配を、毛ほども感じることができなかったのだ!?
 驚愕と、ベベルギアの手からアンタレスの体の中へと入り込んできた、異物のもたらす悪感に息をあえがせながら、ぼんやり思った。

 気がつくと、『ご神木』の周囲に、遠巻きの人垣ができていた。
 どの顔も紙のようにのっぺり白くなって、アンタレスと、ベベルギアの首とを見比べている。
 人垣の中で、誰かが、我に帰ったように大声で叫んだ。

 それを聞き終えることなくアンタレスはその場から逃げ出した。

 どこにも傷は負っていないのに、体の中に入ってきたものが、重くて、熱くて、苦しくて、いつものように敏速に走れない。
 どうにか人ごみを抜け出して、大通りを走り始めたころにはもう、頭もふらつき、足ももつれ始めていた。
 体の中に入ってしまったこの異物を、何とかして外に出さなければ、と思った。
 だが、その方法は?
 見当もつかなかった。

 絶望的な思いで路上に倒れこみながら、アンタレスは、この世でたった一人、今の自分を助けることができそうな者の名を思い出した。
 ケンタウロスだ。
 今すぐ『嘆きの館』に行かなければ!





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最終更新日  2009.08.20 16:45:52
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