突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

甘い恋の魔法 5(※U… New! 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2009.08.19
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 その日は、朝目覚めた時からいやな予感がしていた。
 アンタレスにとって、こんなことは生まれて初めてだった。
 けれど、買い置きの薬がもう残り少なかったので、今日はどうしても薬屋に行きたかった。
 薬は、今すぐに必要なものではないが、切らしてはおけない。 特に、痛み止めや化膿止めなどの傷薬は、薬箱の中にいつもたっぷり用意しておきたかった。
 薬は月例祭の市場で店を出しているウィスカーという薬屋から買うことに決めていたが、それ以外の日はウィスカーがどこで店をやっているのか、アンタレスは知らなかった。 薬などというものは、切らしてはおけないが、毎日使うものでもないし、月に一度補充しておけば十分なので、今まではそれで不都合を感じたこともなかったのだ。 
 今日はどういうわけか市場へ出かけるのが億劫でならなかったが、かといって、別の日に、知らない薬屋から薬を買うのはさらに抵抗があった。 
 アンタレスにはあまりにも敵が多くて、薬のようなものをどこの誰の店でも平気で買うことができないのだ。
 今日ウィスカーに会ったら、普段はどこで商売しているのか聞いておくことにしよう。
 そう考えて、家を出た。


 背中がぴりぴりするような、殺気だ。
 どこか物陰に隠れて、アンタレスの命を狙っている者がいる。
 こういう待ち伏せは、アンタレスには日常茶飯事だったが、今日のは、いつもと少し感じが違った。
 こちらの命を狙う代わりに向こうの命も危険にさらされる、いわば同じ目の高さでにらみ合う、緊張感がないのだ。
 かといって、絶対的優位に立ってこちらを見下ろしているほど余裕があるわけでもない。
 どこか、のんびりした殺意―――おかしなことだが、そういう言い方でしか表現できない、奇妙な感覚だ。

 こんなことが前にもあった。
 少し考えて、思い出した。
 城跡警備隊の兵士たちの中に偶然ベベルギアの姿を見つけて、その命を貰い受けに行ったとき、おかしな飛び道具を使ってアンタレスの邪魔をしたやつがいた。
 こちらの動きを遠くから眺めながら、小鹿のようにすくんだまま動かない、用心深すぎるほど用心深いやつだ。 まさか、攻撃を仕掛けてくるとは思わなかったから無視していたら不意に、予想もしなかった飛び道具を投げつけてきて、二度も、アンタレスの足を止めさせた。
 あの小鹿だ、と気がついた。

 そ知らぬそぶりで歩きながら、軽く目を閉じ、周囲の気配を探る。
 ベベルギアの気配はまったくない。
 いくら探しても、あの、怯えて身動きの取れない小鹿が一匹、奇妙な殺意を胸に抱いて、じっとこちらをうかがっているだけだ。
 妙だ。
 アンタレスの中で、言いようのない不安感が膨れ上がっていく。


 あの、小鹿の操る、飛び道具だ。 
 あの飛び道具はどうも苦手だ。 
 普通の飛び道具のようにまっすぐ一直線には飛んでこない。 おそろしくゆっくりとしたスピードで、ふわん、ふわん、と、揺れ動きながら飛んでくる。 どこを狙っているのか、予想できない。 かわそうとすれば、かわそうとしたその方向に、相手も、ふわん、と曲がってくるような気がする。 そこが不気味だ。
 だが、刃物ではないようだ。 油断して、あの小鹿に2回ぶつけられたが、一瞬鈍い痛みが走って足止めを食っただけだった。 傷は軽い打撲傷に過ぎなかった。
 ひゅん、ひゅん、と不気味に回転しながら飛んでくるその武器を、とりあえず、よけた。
 この前横っ腹にずしんと命中したものより、少し型が小さいような気がする。 だが狙いは正確なようだ。 普通の飛び道具より少し余裕を持って大きくよけたつもりだったのに、それは、ふわん、とコースをずらして、アンタレスの肩先をかすめた。
 アンタレスは、他のバルドーラたちのような重たい防具は一切身につけていない。 無防備な背中や肩は唯一の弱点だ。
 ひやりとした次の瞬間、同じ植え込みでまた、ひゅん、と小さな音がした。 2弾目だ。 2弾目は、1弾目をよけたアンタレスの膝に命中した。 硬いブーツと太腿に巻いた皮製の防具とのちょうど境目の部分だ。 膝に一瞬、鈍い痛みが走る。
 小鹿め、どうやら今日は、大胆にも人ごみの中で俺を襲うつもりで、小型の飛び道具をいくつも用意してきた、ということらしい。 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.08.19 16:30:05
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: