マンション管理相談室

2007年08月17日
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カテゴリ: マンション



大規模修繕工事に向けて長期修繕計画について検討することになりました。

多くのマンションで設置される「修繕委員会」の役割を担うものです。

いざ設置することになると、輪番制で指名された方の多くが辞退を希望してきました。

多忙な上、知識も経験もないわけですから、辞退したくなるのは予想されたことでした。

しかし、設置しないわけにもいきません。

少し強めにお願いして、大半の方に出席してもらいました。

ところが、今度は委員長が決まりません。

様々なケースを想像するとわかりますが、委員長になると他の委員に比べ、大きな負担を背負うことになると考えてしまうからです。

委員会を担当する理事から、委員会当日の議事進行だけを主な役目にするので、どなたか、お願いできませんか?という発言でようやく委員長が決まりました。

次の問題は、誰も大規模修繕に関する知識や経験がない、ということです。

そこで、管理会社の担当者の案内で建物と設備の勉強することにしました。

屋上、地下、建物の周囲などを回りながら、どんな物が、どこに、どんなふうに、設置されているのか、また、どのくらいの周期で、どのような修繕が必要なのか、などについて説明を受けました。

ひととおり回るだけで、すべてを理解し、把握することは無理ですが、イメージがつかめれば少し先に進めます。

次に長期修繕計画表を見ることにしました。

30年間の計画を見ると、途中からは赤字になり、困ることがわかります。

これを改善するには、2つの方法があります。

1 修繕積立金を値上げする
2 修繕項目を見直し、費用を削減する

実際には、両方を組み合わせる必要があります。

これをきちんと確認するには建物診断が必要です。

管理会社の担当者に話を聞くと、建物診断は、安価に済ませようとすれば精度が低くなり、精度を高めようとすればかなりの費用が必要だ、ということでした。

さらに、実際に大規模修繕工事を実施する前には、今回の診断に関わらず、再度、診断が必要であることもわかりました。

つまり、今、診断を実施しても費用に対する効果が低い、という解釈も可能かもしれない、ことになります。

ずいぶん、議論を重ねましたが、とにかく、将来の赤字を軽減するために一定の値上げをした上で、実際の大規模修繕工事を経験する中で必要な費用をつかもう、ということに落ち着きました。

この時点で委員会設置から1年近くが経過していました。(マンションでの活動を軌道に乗せるために、大きなエネルギーが必要であることを示しています)

この結果を委員長自ら理事会に出席して報告したところ、次の定期総会で具体的な値上げの額と時期を承認してもらおう、ということになりました。

時間もあまり残っていないので、委員長を中心に急ピッチで作業を進めました。

いつごろ、どの程度、値上げをすれば良いのか?

この質問に明確な正解はありません。

できるだけ負担を感じないで済ませたい、また、できるだけ修繕積立金を増やしたい、という相反する要素を満たそうとするわけですから、なかなか難しいところです。

いろいろと数字を組み換えていく中で、合意を得やすいと考えられる設定を見つけることができました。

次に待っているのは、区分所有者への説明会です。

一般の区分所有者の皆様は、長期修繕計画をほとんど知りません。

知らないままでは、値上げを承認してもらうことは難しいので、総会の議案にする前に相当数の合意を得るために説明会を実施するわけです。

管理会社によると、担当している他のマンションでは、委員会や理事会で原案を作って、いきなり総会にかける方法が多い、ということでした。

個人的な感想ですが、そのようなやり方は、透明性の確保や情報開示が有効に働きにくいので、理事会や委員会への不信感につながる恐れがあると考えています。

説明会や意見交換会などを実施してから総会の議案にすれば、理事会や委員会の誠意が伝わりやすいはずですから、総会の混乱を未然に防ぐ効果が期待できます。

また、事情を知ってもらうことで信頼を高めることもできると思います。

そして、できる限りの準備をして、説明会当日を迎えました。

委員長から、委員会全般と修繕積立金の状況、そして、値上げに関する説明がありました。

その後、全戸に配布した資料や計画に関して質疑応答を行いました。

事前の予想としては、値上げに反対の方が多いと考えていました。

ところが、数名の方から、「早めに、できるだけ多く、積み立てたい」という意見が出てきました。

他の出席者からも、反対する声は出ませんでした。

とても協力的で、しかも、将来を考えた意見が多かったことを喜ばしく思いました。

説明会終了後、近くのお店に集まり、ここまでの苦労をお互いにねぎらいました。

メンバーのみなさんの楽しそうな様子を見て、こころからほっとしました。

マンションでは、ご近所の方とあまり親しくならないケースも多いように思います。

ところが、委員会活動が活発になれば、顔を覚えますから、きちんとあいさつしたり、雑談を交わしたりするようになるでしょう。

また、今後の管理組合の活動に関心を持つ人が増えるはずです。

管理組合において、最大の問題は、住民の無関心です。

なぜなら、マンションの問題は、住民が関心を持っていれば防げることが多いからです。

最大の問題を改善できるとしたら、委員会の存在価値は大きい、と考えています。





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最終更新日  2007年08月17日 08時21分51秒
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