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2008.12.29
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カテゴリ: 経済・ビジネス

 その出版される数も、相当なものになってきました。
 それだけ、世の中にクレーマーが増加したというか、
 「言わなきゃ損」「言ったモン勝ち」という世の中になってきたということでしょう。

 本著も、そんなクレーム対応関連本の一つですが、
 私がこれまで手にしてきたものに比べると、ちょっと趣が違います。
 読んでいて、何だか、そのノリが軽いのです。
 この軽快さで「心を疲れさせない」ということに繋げようとしているのでしょうか。

著者は、兵庫県生まれの女性。

2000年に「カスタマーケアープラン」を設立、
クレーム対応に関する講演や指導を行っています。

また、対応者として占有率の高い、女性クレーム対応者に特化した
『女性電話対応者のセミナー』も主宰しており、
このようなことが、本著に「電話対応」や「女性としての対応」の事例が多く示されたり、
関西弁の軽快なノリの記述が見られる、大きな要因となっているのでしょう。

本著を読んでいて、今さらながらに気付かされたのは、
お客様相談室等に電話をかけた際、その受話器を取ってくれるのは、
こういった人たちなんだなぁ、ということ。
中には、「派遣」の人たちもいるのだという事実。

私が、これまで読んできた、この種の本においては、

とんでもないクレーマーの無理難題に、百戦錬磨のベテラン男性が、
如何に立ち向かったか、というものが多かったのです。

けれど、考えてみれば、
それらは、本当の意味で、特殊ケースのはず。
お客さんから寄せられるクレームの多くは、それらとは質の違うもので、


そう言う意味で、本著は、これまでに出版されたクレーム対応関連本では、
描かれることが少なかった、場面・人物を描いているため、異質に感じるとともに、
その軽さというか、浅さというか、戸惑い感というものが、
現場の妙にリアルな雰囲気を、読者に伝えてくれているのではないでしょうか。

さて、私が本著の記述で、最も頷かされたのは、次の部分。
ちょっと長めですが、引用します。

  “怒り”だけを鎮めることはできません。
  “怒り”を発生させた1次感情を鎮めない限りは、“怒り”は鎮まらないのです。
  逆に言うと、そもそも1次感情が鎮まれば、“怒り”は自然に鎮まるものなのです。(中略)
  それでは、“怒り”を発生させる1次感情とはどんな感情か。
  悲しい・淋しい・悔しい・恥ずかしい・切ない・格好が悪い・痛い・怖い・不安・心配などの
  重苦しい感情たちが、“怒り”のアクセルを踏んでいるようです。
  これらの形容詞をこうして並べてみると、
  な~んや“怒り”の根拠は、へこんでいるということにしかすぎないと思えませんか?(中略)
 “怒り”の怒声を浴びながら、
  正直、まだまだ平常心でその怒声を聞けるとは言えませんが、
  「なににへこんでるのかなあ~。なにがあってんやろう。
   なんかできることがないかなあ。あったらいいのになあ」
  と言う気持ちで話を聞くように心がけています。
  そうすると、少しずつではありますが怒声の恐怖感もやわらいできます。
  ただ、対応担当者としては今、直面している“怒り”を発生させている
  1次感情はどの感情であるのかを見出す力と作業が必要です。(p.186)

本当に目から鱗が落ちる感じ。
これまでモヤッとしていたものが、結構ハッキリ見えてきたように思いました。
この部分を読むことができただけでも、本著を読んだ価値があると思いました。
クレームを受けた時、これからは、この手でいこうと思いました。





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Last updated  2008.12.29 13:48:28
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