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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2020.07.19
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カテゴリ: 文芸
​ 1990年に刊行、そして翌年には文庫化された作品。
 村上さん、写真家の村松さん、編集のO君の3人で訪れたギリシャと、
 村上さんと写真家の村松さんの2人で訪れたトルコについて記されています。
 30年の月日の流れ、社会の変化、そして異文化世界の在り様に圧倒されます。

   ***

まず最初はギリシア編。
副題は「アトス-神様のリアル・ワールド」で、ウラノポリからアトス半島に入り、
ギリシャ正教における修道の中心地・アトス山を、修道院に泊まりながら周回。


  でも結局のところ、その臭さがギリシャ正教の良さである。持ち味である。
  カソリックの寺院にも同じような仕掛けはあるけれど、これほどの凄まじさはない。
  ヴェネチアのトルチェッロ島で見た受難の絵なんて、
  イタリアでは残酷な地獄絵として有名だが、これにくらべたら準天国みたいに見える。
  いずれにせよこういう絵を見ていると、
  僕なんかまだ受難が足りないのかなという風にも思う。
  文芸批評なんてものはとても受難とは呼べないだろうと思う。(p.76)

ギリシャ編で、私が一番印象に残っているのがこの部分。
ギリシャ正教の凄さ、激しさを感じると共に、
当時、村上さんが日本の文壇において、
色々と苦しい状況にあったのだと、改めて気付かされました。

そして続くトルコ編。
副題は「チャイと兵隊と羊-21日間トルコ一周」で、イスタンブールから黒海沿岸、
そしてシリア国境近くのディヤルバクルに至る、全21日間の行程。
四駆車での旅は、兵隊と羊と埃でいっぱい、そして、常に危険と隣り合わせ。

  とにかくそんな騒動のどまんなかに僕らは

  今になってみると「まったく何がノー・プロブレムだ、何が平和そのものだ!」
  とあきれるわけだが……(p.177)

この後に続くエピソードは、思わず背筋が寒くなるようなもの。
まかり間違えば、本著はもちろん、それ以降の数々の名作が、
この世に生み出されることが無くなってしまっていたのかもしれない……
でも、今も世界のあちこちで、こういう状況が続いているのですね。





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Last updated  2020.07.19 19:31:39
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