音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月04日
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3分間で聴かせるシングルレコード盤芸術の粋


 CDどころかデジタルオーディオ全盛の今となっては、シングル盤のレコードって何?って感じかもしれない。80年代までのシングル曲のリリースを担ったレコード盤のことだ。厳密には、50年代までのSP盤(3分収録)とそれ以降のEP盤(いわゆるドーナツ盤、5分収録)がある。収録時間に制約のあるこの時代の技術的背景と、CCRの音楽は大いに関係あると思う。

 CCRとは、バンド名で、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(Creedence Clearwater Revival)の略。ジョン・フォガティを中心にして1967年から72年まで活動したアメリカのロックバンドである。短期間の活動ながら、南部的な泥臭さをもったサザンロックの先駆的存在として知られる。
 CCRの名曲はいくつもあるけれど、今回はCMにも使われた「雨を見たかい(Have You Ever Seen The Rain?)」を紹介したい。この曲は1971年にシングル発売され、アルバム『ペンデュラム』に収録されている(他にベスト盤類にもたいてい収められている)。

 この曲は長らくベトナム戦争を揶揄したものとして知られてきた。「雨」がナパーム弾の暗喩という解釈だ。けれども1997年に作者であるフォガティが、サンフランシスコの天気に当時のバンドの姿をだぶらせて書いたものと明かし、反戦ソング説は否定された。そもそも音楽なんて(というか小説でも詩でも何でもそうだと思うが)、作者の手を離れれば、作品はひとりでに歩き始め、聴き手や読み手が独自に解釈する部分が絶対にあるはずなので、それはそれでいいと思う。実際、当時の社会状況がベトナム戦争を批判するように解釈したかったのかも知れないわけだし。それとはかけ離れたイメージのCMにも使われているけれど、それも一つの聴き手(使い手?)の解釈かもしれない。

 反戦ソングにせよ、単なるお天気ソングにせよ、この曲の素晴らしさは、"3分間の完璧さ"にある(実際のこの曲の時間は2分40秒ほど)。凝縮され、短時間で完結した芸術性。CDシングル以降の時代になって、もっと長い曲でもOKという時代なら、この芸術性は生まれなかっただろう。この潔い簡潔さと完結性は、例えば6~7分という時間では絶対に出せなかっただろう。

 CCRの曲にはこのような形容の当てはまるものが多い。その代表格の一つが「雨を見たかい」である。実際に聴いてみるとあっという間。それでいてどこにも中途半端さがなく、短いがゆえに、もう一度繰り返して聴きたくなる。

 その完璧さは他のアーティストがリメイクしたバージョンを聴くとより鮮明になる。例えば、ジョーン・ジェットの『The Hit List』(1990年、何と邦題は『雨を見たかい』となっている!)やロッド・スチュワートの『Still The Same... Great Rock Classics Of Our Time』(2006年)。どちらもオリジナル・バージョンには遠く及ばない。ジョーン・ジェットのように忠実に演奏しつつ工夫を凝らそうとしても、ロッドの魅力的な声で歌おうとしても、オリジナルの完璧さ・完結性には敵わない。もしこの曲を知っているけれど、オリジナルはどれ?という人がいたら、一刻も早くCCRのオリジナル・バージョンを体験して欲しい。


[収録アルバム]

Creedence Clearwater Rivival / Chronicle, Vol. 1 *別名Chronicle: 20 Greatest Hits (1976)など




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輸入盤 CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL / PENDULUM + 2 [CD]




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Last updated  2020年01月26日 04時47分39秒
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