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カントリーに傾倒したコステロ盤 デビュー以来、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は年に1枚のペースでアルバムを発表していったが、1981年は年頭に『トラスト』を発表し、さらに秋になってもう1枚、この『オールモスト・ブルー(Almost Blue)』というアルバムを発表した。コステロ自身としては通算6枚目、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)名義としては5枚目のオリジナル作となった。 表題の“オールモスト・ブルー(ほぼブルー)”というのを耳にすれば、なんだかブルージーな演奏を想像する人が多いかもしれない。けれども実際に聴いてみればすぐさまわかるように、見事なまでのカントリー曲集である。事のいきさつはと言うと、コステロ自身によれば、メランコリーを主題とした様々な曲からなるアルバムを作ろうと考え、このタイトルにしたのだという。ところが実際にアルバムを制作する段になると、カントリーに魅かれていってこのような内容の作品になったのだという。 そのようなわけで、デビュー当時の作風とはかなり雰囲気の異なる楽曲・演奏が繰り広げられている。実際、当初のLPジャケには“警告:このアルバムにはカントリー&ウエスタンが含まれており、了見の狭い人はラディカルな反応を起こすかもしれません”と記されたシールが貼られていたという。確かに、ニュー・ウェーヴや“怒れる若者”を求めるファンは面食らうことになるが、コステロのキャリア、作風の幅を考えたとき、このアルバムはきっと大きな意味を持つものだったんじゃないかと思う。さらに、後世の作品も聴いてから再びこの盤に戻った筆者は、最初に聴いた印象よりもはるかにすんなりとこれらの楽曲を楽しめた。 本盤からは都合3曲がシングル・リリースされた。本盤全体を通して見られるコステロの歌心が存分に発揮された7.「グッド・イヤー・フォー・ザ・ローゼズ」は、英チャートで6位(さらにアイルランドでは5位)となった。残る2曲のシングルは、2.「スウィート・ドリームス」、4.「アイム・ユア・トイ」だった。 なお、蛇足ながら、1994年のリイシュー時には、元の収録曲数がほぼ倍増するほどのボーナス・トラックが加えられた。アバディーンでのライヴ、アウトテイク曲、さらにはシングル発売されたロイヤル・アルバート・ホールでの4. (これがなかなかの名バラードだったりする)のライヴ・テイク、あわせて11曲が追加収録されている。[収録曲]1. Why Don't You Love Me (Like You Used to Do)?2. Sweet Dreams3. Success4. I'm Your Toy5. Tonight the Bottle Let Me Down6. Brown to Blue7. Good Year for the Roses8. Sittin' and Thinkin9. Colour of the Blues10. Too Far Gone11. Honey Hush12. How Much I Lied1981年リリース。 【輸入盤CD】Elvis Costello / Almost Blue (エルヴィス・コステロ) 【中古】 【輸入盤】Almost Blue/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月01日
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ハードコアなハート作品 1976年にメジャー・デビューしたバンド、ハート(Heart)の初期のアルバムの中で最もハードコアなロック作品と言えるのが、本盤『べべ・ル・ストレンジ(Bébé Le Strange )』だろう。1979年にレコーディング、翌80年初頭にリリースされ、1970年代のハートの活動の締めくくりとなったスタジオ第5作である(ちなみに、同年末には初のベスト盤もリリースされた)。 過去のハートに関する記事にも書いたことであるけれども、このハートというバンドは、単なる“女性版ツェッペリン”などではなかった。レッド・ツェッペリンの音楽を消化し、アンとナンシーの姉妹を中心に自分流のものとしたという方が正確だと考える。つまり、音楽的には、ツェッペリンの模倣やコピーではなく、ツェッペリンを踏まえて、次の時代ないしは次のステップを体現しようとしていたと言っていいように思う。 そんなハートの作品のうち、本盤『べべ・ル・ストレンジ』は、とくにハード・ロックな音作りが印象的である。本盤の聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておこう。オープニング・ナンバーの1.「べべ・ル・ストレンジ」は、派手というよりは真面目にハードコアな、このバンドらしさが体現されたナンバー。5.「ロッキン・ヘブン・ダウン」とあわせて、このハートというバンドがレッド・ツェッペリンをいかに血肉と化して消化していたのかががよくわかる。 アルバム後半では、シングルにもなった6.「イブン・イット・アップ」が注目の本領発揮曲。その一方、真摯なロック一辺倒ではないのもハートの魅力だと言える。バラード調の10.「スウィート・ダーリン」では、曲のよさもさることながら、アンの圧倒的なヴォーカルが際立つ。また、ナンシーの存在感を感じられる部分も多彩さにつながっている。アルバム前半には、彼女のギター独奏の小品3.「シルバー・ウィールズ」が収められている。また、アルバム後半では、ヴォーカルのみならずほとんどの楽器を担当して、ナンシーがマルチプレイヤーぶりを発揮した8.「レイズド・オン・ユー」が収められている。[収録曲]1. Bébé le Strange2. Down on Me3. Silver Wheels4. Break5. Rockin Heaven Down6. Even It Up7. Strange Night8. Raised on You9. Pilot10. Sweet Darlin'1980年リリース 【輸入盤CD】Heart / Bebe Le Strange (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月27日
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やさしさと包容力に溢れたヴォーカル カーラ・ボノフ(Karla Bonoff)は、ウエスト・コースト(西海岸)を代表する女性シンガーソングライターの一人で、1970年代後半にメジャー・デビューを果たした。前年のファースト作に続き、1979年に発表されたセカンド盤『ささやく夜(Restless Nights)』は、彼女の代表作と言えるアルバムである。 ファースト作と同様、このセカンド作も豪華なゲスト陣がレコーディングに参加している。少し名前を挙げると、ドン・ヘンリー、J・D・サウザー、ガース・ハドソン、ダニー・コーチマー、ジェームス・テイラーといった具合である。本盤は、決して大きなヒットとはならず(ビルボード31位が最高位)、とりわけ本邦ではカーラ・ボノフの名は広く知られるようにはならなかった。それどころか、ゲスト陣のレベルに達していないとか、内容が安っぽいとか、否定的な評価もされたりしてきた。 筆者個人は、これとは逆の感想を持っていて、これ以上作り込んでしまえば、カーラ・ボノフの魅力を消す結果になっていたんじゃないかと思っている。素朴さ(それは聴く人によっては“野暮ったさ”や“田舎臭さ”と映ることもあるかもしれない)が残るシンガーソングライター然とした歌唱が彼女の大きな魅力であり、各曲の演奏・アレンジはそれが活かされたものであるように感じている。 特におすすめの楽曲としては、リンダ・ロンシュタットが取り上げたことでも知られる1.「涙に染めて(トラブル・アゲイン)」。さらに、アルバム表題曲の2.「ささやく夜(レストレス・ナイツ)」は、個人的には本盤のベスト・ナンバー。他には、5.「ただひとり思い(オンリー・ア・フール)」や7.「静かに燃えて(ネヴァー・ストップ・ハー・ハート)」、8.「ラヴィング・ユー」なんかも気に入っている。ストレートで、やさしく、包容力のあるヴォーカルは、いま聴いても魅力的であり続けていると思う。[収録曲] *( )内は邦盤での曲タイトル1. Trouble Again(涙に染めて)2. Restless Nights(ささやく夜)3. The Letter(手紙)4. When You Walk in the Room(眩しいひと)5. Only a Fool(ただひとり思い)6. Baby Don't Go7. Never Stop Her Heart(静かに燃えて)8. Loving You9. The Water Is Wide(哀しみの水辺)1979年リリース。 ささやく夜 [ カーラ・ボノフ ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2024年04月22日
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バンド活動停止前、最後の盤 1980年のロッド・プライスの脱退後、シングル曲「サード・タイム・ラッキー」が成功した後の彼らの道のりは決して順調ではなかった。バンドの新たな方向性を模索しようとするも結果につながらず、結局は1980年代半ばに実質的解散状態となってしまった(後に1990年代にロッド・プライスは一時的に復帰したが、再度脱退することになる)。 そのようなわけで、1970年代初頭から続いてきたフォガットが1980年代半ばに実質的な解散となる前に出された最後の作品が、この『ジグ・ザグ・ウォーク(Zig Zag Walk)』というアルバムである。奇しくもジグザグに歩くというのが表題で、バンドが真っ直ぐな道を歩んだわけではなかったことを示唆するようでもある。 全体を一言で表せば、“時代への迎合”であろう。ブギーを身上とするロックのスタイルを確立した彼らであるが、時代の流れに合わせてニューウェーヴを消化した80年代サウンド的なものを志向している。軽快に演じようとしながら、随所で軽快になり切れず、ブギーの片鱗を残している。さらに、オールド・ロックンロール・サウンド的なノリが目立つのも本盤の特徴と言えそうである。 本盤を聴いて、多くの人にとっておそらく印象が強いであろうナンバーの一つが、1.「ザッツ・ホワット・ラブ・キャン・ドゥ」。バンドとして何とか時代に食らいついてヒットさせよう(実際にはヒットしなかったが)という意図が見られ、これがストレートなブギーを展開したフォガットなのか、と思うリスナーも多くいることだろう。表題曲の2.「ジグ・ザグ・ウォーク」も同様で、その当時風の“現代的”な曲調を狙っているように見える。 その一方、50年代的ロックンロール調のナンバーも目に付き、特にLPでのB面(6.以降)にそれが顕著である。3.「チュー・チュー・チブギ」(1946年、ティンパニ・ファイブのヒット・ナンバー)、6.「イトゥル・ビー・ミー」(1957年、ジェリー・リー・ルイスのヒットのB面曲)、8.「ダウン・ザ・ロード・ア・ピース」(1940年代、ウィル・ブラッドリー・トリオの演奏で知られるナンバー)といったところが注目で、こうしたナンバーの演奏はかなり成功しているのではないかと筆者的には思う。 いずれにしても、“ブギー”というキーワードで連想されるフォガットの面影はごくわずかで、コアなファンしか聴こうと思わない盤かもしれない。とはいえ、フォガットの看板を無視して、フラットな気持ち(?)で聴くと、特にアルバム後半は意外と楽しめる内容だったりするのかもしれない。[収録曲]1. That's What Love Can Do2. Zig-Zag Walk3. Choo Choo Ch'Boogie4. Jenny Don't Mind5. Three Wheel Cadillac6. It'll Be Me7. Silent Treatment8. Down the Road a Piece9. Seven Day Weekend10. Linda Lou1983年リリース。 Foghat フォガット / Zig-zag Walk 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月18日
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世界的バンドへ飛躍した時期の力作 アイアン・メイデン(Iron Maiden)は1970年代後半に形成され、1980年にデビュー盤を発表した。その後、セカンド作の後にヴォーカルの交替もあったものの、毎年のようにアルバムを発表し、イギリスでのヘヴィメタル人気を牽引するバンドとなった。 第5作となる1984年の本作『パワースレイヴ~死界の王、オシリスの謎(Powerslave)』は、前作に続いて全米でも目立ったチャートアクションがあり(前作は全米14位、本作は12位)、イギリスのHMバンドから世界的なHMバンドへと変貌していった時期の作品ということになる。 演奏内容は、とにかく完成度が高く、もはや貫禄させ感じさせるようなものに仕上がっている。中でも個人的におすすめなのは、冒頭の1.「撃墜王の孤独」とアルバムの締めくくりとなる8.「暗黒の航海」。前者は第二次大戦期の英独の戦闘機の航空戦をモチーフとしたもの。後者は13分半の長編作で、イギリスのとある詩人の詩をベースにして航海をテーマにした曲である。なお、このナンバーは、2015年に別の楽曲が発表されるまで長らくアイアン・メイデンの最長曲だったとのこと。 さらにもう一つ、注目曲を挙げておくならば、文句なしに表題曲の7.「パワースレイヴ〜死界の王、オシリスの謎〜」である。こちらも7分超で長めの尺のナンバーで、ジャケット・イメージにある古代エジプトをイメージした楽曲。ヘヴィメタルらしいリズム感を保ちながらも、壮大な曲の展開を試みており、演奏の完成度も高いという三拍子そろった好曲だと言える。 余談ながら、アイアン・メイデンのアルバム・ジャケットには“エディ”(エディ・ザ・ヘッド)なるキャラクター(ゾンビということらしい)がいつも登場する。本盤のジャケットはエジプトのピラミッド風のイメージが印象的だが、このジャケにおいても、像の顔がエディのものとなっている。[収録曲]1. Aces High2. 2 Minutes to Midnight3. Losfer Words (Big 'Orra)4. Flash of the Blade 5. The Duellists 6. Back in the Village 7. Powerslave8. Rime of the Ancient Mariner1984年リリース。 FOREVER YOUNG::パワースレイヴ [ アイアン・メイデン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年04月15日
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新メンバーで臨んだ盤 ジェフ・ベックが主導したバンドであるジェフ・ベック・グループ(The Jeff Beck Group)は、一般に“第1期”と“第2期”に分けて語られる。前者は1967~69年の期間で、ロッド・スチュワートやロン・ウッドが在籍したのがこちらの時期。いったんバンドの解散を経て、1970年から形成され、1971~72年に実質的に活動した時期が、第2期ということになる。いずれも活動期間は長くなかったが、それぞれの時期に2枚ずつのアルバムを残している。 本盤『ラフ・アンド・レディ(Rough and Ready)』は、第2期ジェフ・ベック・グループの最初のアルバムである。ジェフ・ベック本人に加え、新たなメンバーは、ボビー・テンチ(ヴォーカル、ギター)、クライヴ・チャーマン(ベース)、コージー・パウエル(ドラム)、マックス・ミドルトン(キーボード)という面々であった。 全体として、本盤についてはブラック・ミュージックへの傾倒がよく指摘される(実際、この指向がテンチ、チャーマンというアフリカ系の出自を持つメンバーに反映されたとも言われる)。1.「ガット・ザ・フィーリング」、3.「ショート・ビジネス」、6.「ニュー・ウェイズ/トレイン・トレイン」といったような楽曲には、そうしたノリが端的に表れている。 個人的にお気に入りのナンバーとしては、4.「マックス・チューン」。余談ながら、この曲は、オリジナルのUS盤では「レイネス・パーク・ブルース(Raynes Park Blues)」という別タイトルになっていた。8分半近い長尺のこのナンバーは、後のジェフ・ベックのインスト作品を彷彿とさせるもので、彼自身のギター演奏だけでなく、バンド演奏としての精緻さも注目点だと言える。さらにもう1曲挙げると、6分というやはり長めの尺の7.「ジョディ」。ヴォーカルを聴かせるナンバーでありながら、4.で堪能できるインスト演奏の魅力が随所ににじみ出ている好曲だと感じる。[収録曲]1. Got The Feeling2. Situation 3. Short Business 4. Max's Tune 5. I've Been Used 6. New Ways / Train Train 7. Jody1971年リリース。 ラフ・アンド・レディ(Blu-spec CD2) [ ジェフ・ベック・グループ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年04月12日
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多彩な演奏を見せるギタリストのデビュー盤 スティーヴィー・サラス(Stevie Salas)は、1964年、カリフォルニア州サン・ディエゴの出身で、ネイティヴ・アメリカンの血をひくギタリスト。1980年代から活動していたが、アイランドと契約し、3ピース・バンドの形式で1990年に第1作を発表した。その盤こそが、この『スティーヴィー・サラス・カラーコード(Stevie Salas Colorcode)』である。 スティーヴィー・サラスのギターの魅力は、ソロだけでなく、カッティング技術の高さにもあるように思う。特にグルーヴィーでパワフルなカッティングをやらせたらピカイチで、聴き手の脳内をスッキリさせる効能(?)がある。全体的な音のつくりとしては、21世紀の今となっては現代風とは言い難いものの、この爽快感はあらためて聴きなおしても楽しめるものであるように感じる。 1.「スタンド・アップ!」は、厚みがありながら爽快感も同時に与えてくれるグルーヴ感が特徴。4.「ジャスト・ライク・ザット」は、ブルース・ロックに根差しつつ、ギター・ソロも聴きどころになっている。6.「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」のギター演奏は、意欲的かつ実験的な部分も含み、ソロもカッコいい。8.「ベイビー・ウォーク・オン」や9.「インディアン・チーフ」によく表れているキャッチーさは、おそらく好き嫌いの分かれるところだろうが、ギター演奏の自在さが披露されている。ラストを飾る10.「カヴァー・ミー」は、本盤収録中で特によくできたナンバーの一つ。楽曲よし、ヴォーカルよしで、そこにサラスのギターがいい具合に絡んでいる。[収録曲]1. Stand Up!2. Blind3. Caught in the Middle of It4. Just Like That5. Two Bullets and a Gun6. The Harder They Come7. Over and Over Again8. Baby Walk On9. Indian Chief10. Cover Me1990年リリース。 【中古】 【輸入盤】Colorcode/スティーヴィー・サラス・カラーコード 【中古】スティーヴィー・サラス・カラーコード/ スティーヴィー・サラス・カラーコード 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年04月08日
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社会的テーマを中心にした意欲作 メタリカ(Metallica)が1988年に発表した第4作が、本盤『メタル・ジャスティス(…And Justice for All)』である。交通事故で死去したクリフ・バートンに代わってジェイソン・ニューステッド(ベース)が加入した最初の作品である。メンバー変更があったとはいえ、メタリカというバンドは、ヘヴィ・メタル界のトップランナーとして既に貫禄を持ち始めているように思える作品でもある。 よく議論のネタになるのが、本盤のベースがほとんど聞こえないという点。一説ではミックスの際にドラマーからベースの音量を下げるよう指示があったということだが、後にジェイムズ・ヘットフィールド(ヴォーカル)とラーズ・ウルリッヒ(ドラムス)は、ベースを過少に見せる意図はなかったと述べている。ともあれ、こうした音質上の特徴に加え、本盤では変拍子を多く用いたり、長尺の楽曲が多かったりと新たな試みがなされている。そして、楽曲の主題や詞には、社会的テーマが多いのもこの盤の収録曲の特徴となっている。 詞のテーマについて少し見ておこう。1.「ブラッケンド」は、核戦争による壊滅的な世界を主題としたもの。4.「ワン」は、シングルカットされてグラミー賞最優秀メタル・パフォーマンス部門も受賞した曲で、映画『ジョニーは戦場へ行った』の主人公がモチーフになっている。また、表題曲の2.「メタル・ジャスティス」や5.「ザ・ショーテスト・ストロー」に見られるように、司法の問題、自由とは、正義とは何かといった社会的な問題も曲の主題になっている。 それと同時に目につくのが、“大作指向”とでも言えそうな、上述の長尺という傾向である。メタリカは、もともと尺の短い曲が並ぶような感じではなく、6分を超えるような演奏も多かったが、本作では9分半を超える楽曲が2曲(表題曲の2.および8.「トゥ・リヴ・イズ・トゥ・ダイ」)あり、さらに7分半を超える曲(7.「ザ・フレイド・エンズ・オブ・サニティ」)も含まれている。もちろん、長いから退屈になるというようなことはなく、曲の展開や変拍子などの工夫が随所にあり、どの曲も、聴き手を飽きさせない作りになっていると感じる。[収録曲]1. Blackened2. ...And Justice for All3. Eye of the Beholder4. One5. The Shortest Straw6. Harvester of Sorrow7. The Frayed Ends of Sanity8. To Live Is to Die9. Dyers Eve1988年リリース メタル・ジャスティス(リマスター) [ メタリカ ] メタル・ジャスティス(リマスター)/メタリカ[SHM-CD]通常盤【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月03日
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アフリカをテーマにした盤 『カヤ』のリリース翌年に当たる1979年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley &The Wailers)が発表した作品が、この『サヴァイヴァル(Survival)』である。ボブ・マーリーのスタジオ作としては通算11枚目となる。 ジャマイカの多くの人たちにとってのルーツであるアフリカへの渡航がこの作品の始まりだった。1978年の末、ボブ・マーリーはラスタファリの聖地エチオピアを訪れ、アフリカの国々を回った。そのような背景もあって、収められた楽曲は、アフリカを題材としたものとなり、ジャケット・デザインはアフリカ各地の国旗が並べられたものとなっている。 アルバムは、ボブ・マーリーらしさが発揮された1.「ソー・マッチ・トラブル・イン・ザ・ワールド(世界には問題が山積)」から始まる。2.「ジンバブエ」は、当時のローデシア(旧英領植民地)の民族解放を歌にしたもので、1980年にジンバブエ共和国が独立を達成するときの祝典でも歌われ、ジンバブエ第二の国歌のように見なされているという。 表題曲の5.「サヴァイヴァル」は、“あらゆるものを得た人もいれば、まったく何も得ていない人もいる”、“そうさ、ブラック・サヴァイヴァル” と歌う。続く6.「アフリカ・ユナイト」も同様に政治的メッセージの強いナンバーで、アフリカの団結を呼びかける。こうした内容のせいもあって、南アフリカ共和国(むろん、アパルトヘイトがふつうに存在した当時のことである)では検閲の対象にもなったのだとか。 ちなみに、この作品は、本盤を最初として三部作になるという計画だったという。翌1980年には『アップライジング』がリリースされたものの、1981年にボブ・マーリーは亡くなってしまい、三部作を締めくくるはずだった作品は生前に完成することがなかった(死の2年後に未発表曲などを集めた『コンフロンテイション』が発表されている)。[収録曲]1. So Much Trouble in the World2. Zimbabwe3. Top Rankin'4. Babylon System5. Survival6. Africa Unite7. One Drop8. Ride Natty Ride9. Ambush in the Night10. Wake Up and Live1979年リリース。 サヴァイヴァル +1 [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ] Bob Marley&The Wailers ボブマーリィ&ザウェイラーズ / Survival + 1 <紙ジャケット> 【SHM-CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月31日
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コステロ、変化の兆候 1977年に『マイ・エイム・イズ・トゥルー』でデビューしたエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は、当初はパンク調の曲を演じる“怒れる若者”、ニューウェーヴのミュージシャンといった位置づけだった。だが、1980年代に入って徐々に作風を変えていき、若者向けというよりは大人向けの音楽を発信するようになっていった。 本盤『トラスト(Trust)』は、そのような変化の時期を迎える80年代初頭の作品である。セカンド作(過去記事はこちら)以来のエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello and the Attractions)の名義で、これまでと同様にニック・ロウのプロデュース(本盤では14.のみコステロ自身がプロデュース)で、1981年にリリースされた。この盤からのシングルのヒットがなかったこともあり、この時期の彼の作品としては売れた方というわけではなかったが、イギリスで9位、アメリカで28位となった。 筆者の考える注目曲をいくつか見ておきたい。1.「クラブランド」は、デビュー時からのコステロらしい曲調ながら、個々の音や演奏に耳を傾けると、いくつもの新しい工夫が感じられる。3.「ユール・ネヴァー・ビー・ア・マン」は楽曲そのもののよさが目を引くナンバー。これに次いで楽曲のよさが光ると思うのは、7.「足下に注意!(ウォッチ・ユア・ステップ)」や10.「ディファレント・フィンガー」といったナンバー。他に聴き逃がせない収録曲としては、グレン・ティルブルック(イギリスのバンド、スクイーズのヴォーカリスト)とのデュエットを聴かせる9.「フロム・ア・ウィスパー・トゥ・ア・スクリーム」、ピアノをバックに歌う12.「ショット・ウィズ・ヒズ・オウン・ガン」なんかがある。 アルバム全体としては、それまでのコステロの音楽性のベースは維持されているものの、ジャズ、ロカビリー、カントリーといった要素を取り込んだ作品に仕上がっている。そういう意味では、従来の作風を基本にして幅を広げつつあるコステロの姿を窺い知れるアルバムということができるかもしれない。[収録曲]1. Clubland2. Lover's Walk3. You'll Never Be a Man4. Pretty Words5. Strict Time6. Luxembourg7. Watch Your Step8. New Lace Sleeves9. From a Whisper to a Scream10. Different Finger11. White Knuckles12. Shot with His Own Gun13. Fish 'n' Chip Paper14. Big Sister's Clothes1981年リリース。 【中古】 トラスト/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ,エルヴィス・コステロ,ジ・アトラクションズ 【中古】 Trust / Elvis Costello / Elvis Costello / Rykodisc [CD]【ネコポス発送】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月27日
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完成度の高い好盤 マイケル・シェンカー(Michael Schenker)は、1955年、西ドイツ出身のギタリスト。彼は、1973~78年にUFOのメンバーとして、このバンドの成功に貢献した。そして、UFOを脱退した後は、自身のグループを形成して作品を発表していった。白と黒に塗り分けられたフライングV(ギブソン社のギター)を愛用していたことでも知られる。 さて、UFOを後にした彼が1979年から活動の場としたのがマイケル・シェンカー・グループ(Michael Schenker Group,略称M.S.G.)である。その第一作となったのが、原題ではセルフタイトルの本盤『神(帰ってきたフライングアロウ)(The Michael Schenker Group)』である。収録された楽曲はいずれもシェンカー自身とヴォーカリストのゲイリー・バーデンによるもので、本作は1980年にリリースされて、イギリスのアルバム・チャートでは8位に達した。 本盤の聴きどころとなる曲を少し見ておきたい。シングルとしても発売された1.「アームド・アンド・レディ」は、軽快かつ重厚なナンバーで、ギターを中心とした厚みのあるサウンドとバーデンのヴォーカルが見事にマッチしている。2.「クライ・フォー・ザ・ネーションズ」もシングル化されたナンバーであるが、こちらの方はややシリアスな曲調。バーデンのヴォーカルの魅力が発揮されるとともに、シェンカーのギター・ソロも聴きごたえがある。 6.「イントゥ・ジ・アリーナ」は、本盤では2曲収められているインストルメンタル曲の1つ(もう1曲は小品の4.)で、シェンカーのギター・プレイを堪能できるナンバー。バラード曲の8.に続き、アルバム末尾の9.「ロスト・ホライズンズ」では、スケールの大きなギター・プレイが披露される。この9.は、本盤のというよりは、マイケル・シェンカーのキャリアを通しても、彼の真骨頂が発揮された名演と言えるような気がする。[収録曲]1. Armed and Ready2. Cry for the Nations3. Victim of Illusion4. Bijou Pleasurette5. Feels Like a Good Thing6. Into the Arena7. Looking Out from Nowhere8. Tales of Mystery9. Lost Horizons1980年リリース。 【バーゲンセール】【中古】CD▼神 帰ってきたフライング・アロウ レンタル落ち 輸入盤 MICHAEL SCHENKER GROUP / MICHAEL SCHENKER GROUP [LP] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月23日
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力強いロックを聴かせる好盤 1971年、スピリットを脱退したジェイ・ファーガソン(Jay Ferguson)とマーク・アンデス(Mark Andes)がロサンゼルスで結成したのが、ジョ・ジョ・ガン(Jo Jo Gunne)というバンドである。バンド名は、チャック・ベリーの曲名(Joe Joe Gunne)に由来する。メンバーは上記の2名に加え、マシュー・アンデスとカーリー・スミスという4人組である。そんな彼らが1972年に最初にリリースしたセルフ・タイトル作が、この『ジョ・ジョ・ガン(Jo Jo Gunne)』という盤である。 1970年代前半に4枚のアルバムを残したジョ・ジョ・ガンは、決して広く知られたバンドではない。4枚のアルバムのうち、全米100位圏内に入ったのは2枚だけで、そのうち本ファースト作は最高位となる57位だった。そのようなわけで、お世辞にも売れたバンドではなかったのだけれども、力強い正統派のブギー・ロック・サウンドをストレートに繰り広げる彼らの音楽は、実に心地よいものである。 1.「ラン・ラン・ラン」は、彼らの代表曲(というか、まともにヒットしたと言えそうなのはこの曲ぐらいしかなかったりする)。シングルとして全米27位、イギリス6位を記録し、ノリのよさと勢いでギターを聴かせるナンバーである。この曲のキャッチーさがアルバムの残りの楽曲にもあれば、本盤はさらに注目を浴びたのかもしれない。アルバム全体のトーンは、明るさやキャッチーさというよりも、ある種、真面目なひたむきさという感じが強い。いい楽曲、演奏がいくつも含まれていながら、あと一歩インパクトが足りないという評もなされかねない(その実、筆者的にはこっちの方が好きなのだけれど)。そんな中、特に聴いて欲しい曲としては、8.「テイク・イット・イージー」。5分近い尺の曲で、歌を聴かせんとする楽曲の間で、ギターソロが展開していく部分もじっくりと聴かせようという、曲調も雰囲気も曲展開もなかなかよくできたナンバーだったりする。[収録曲]1. Run Run Run2. Shake that Fat3. Babylon4. I Make Love5. Barstow Blue Eyes6. 99 Days7. Academy Award8. Take it Easy9. Flying Home1972年リリース。 ジョ・ジョ・ガン [ ジョ・ジョ・ガン ] Jo Jo Gunne / Jo Jo Gunne 【SHM-CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月19日
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新時代への移行を代表するお勧め盤 ハードロックとヘヴィメタルというのは、その境界線が時に不明瞭で、国やら時代やら、あげくの果てには評論家によって定義が大きく異なったりする。1979年にイギリスの音楽誌で“NWOBHM”(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル、New Wave Of British Heavy Metal)なる言葉が現れ、この辺りから“ヘヴィメタル”という表現が一般化していったようである。こうした時期を代表する盤の一つとして筆頭に挙げられるのが、ジューダス・プリースト(Judas Priest)の『ブリティッシュ・スティール(British Steel)』だと言えるだろう。 全体としては、ハードロック(HR)からヘヴィメタル(HM)への移行過程と言えそうな内容の楽曲構成である。英盤と米盤で曲順が異なるが、以下、米盤(下の収録曲の情報もこれに準ずる)の順に沿ってみていきたい。 冒頭の1.「ブレイキング・ザ・ロウ」は、シングル曲としてイギリスで12位を記録したナンバーで、疾走感のある曲調にHM然としたヴォーカル(“メタル・ゴッド”として知られるロブ・ハルフォード)がいい。2.「ラピッド・ファイア」もヴォーカルの存在感のある曲で、英盤ではアルバムのオープニング・ナンバーとなっていた。3.「メタル・ゴッズ」は、曲の雰囲気としてはHMというよりもHRという形容の方がしっくりくるかもしれないが、筆者的にはお気に入りのナンバーだったりする。 5.「ユナイテッド」もシングルカットされたナンバー(全英の最高位は26位)。ヘヴィな演奏に存在感のあるヴォーカルと印象的なサビが特徴的で、一度聴いたら、頭から離れなくなるタイプの1曲だと思う。6.「リヴィング・アフター・ミッドナイト」は、アルバムに先行して発売されたシングル曲で、全英12位となった。メリハリが効いてパンチのあるこの曲の演奏はインパクト十分と言える。 この時代よりも少し後の世になって“いかにもHM”あるいは音楽面でヘヴィメタルを定義する時に使われることになるような要素が本盤には随所に見られる。そんな観点に立つと、上述の1.に加えて、アルバム終盤の2曲(8.と9.)は興味深い。特にアルバムの締めくくりとなる9. 「スティーラー」は、よりハードになっていき、メタル化していくサウンドの序章といった趣がある。 [収録曲]1. Breaking the Law2. Rapid Fire 3. Metal Gods4. Grinder 5. United 6. Living After Midnight7. You Don't Have to Be Old to Be Wise8. The Rage 9. Steeler1980年リリース。 ブリティッシュ・スティール [ ジューダス・プリースト ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月16日
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出世作となったセカンド盤 ドッケン(Dokken)は、1980年代に活躍したヘヴィメタルのバンド。ドン・ドッケンを中心に構成され、ギタリストのジョージ・リンチが在籍したことでも知られる。このバンドは、1970年代末から1980年代にかけてのアメリカ西海岸のメタル・ムーヴメントの中で人気を博していったが、この『トゥース・アンド・ネイル(Tooth and Nail)』はその足掛かりとなった盤である。 ドッケンは1981年にフランスのレーベルからファースト作をリリースしていたが、これがメジャー・レーベルからリリースされたのは1983年になってからだった。そして、その翌年に発表されたのが、本セカンド作ということになる。ドッケンの作品としては、初めて全米チャートで100位内に入り(最高位49位)、シングル曲(3.,7.,9.の3曲で、9.は全米シングル・チャートで64位を記録)も注目されるようになった。 個人的な好みも含め、注目したい曲を見ていこう。表題曲の2.「トゥース・アンド・ネイル」は、ヘヴィメタル然とした曲調で流れるような疾走感が気持ちいい。7.「イントゥ・ザ・ファイア」は典型的にライヴで盛り上がりそうなナンバーであると同時に、ジョージ・リンチのギターはもちろんのこと、ドン・ドッケンのヴォーカルがカッコいい。9.「アローン・アゲイン」は、上述の通りシングルとして注目を集めた曲で、少々バラード風にヴォーカルを聴かせるナンバー。ここでもドン・ドッケンのヴォーカル力が存分に発揮されている。最後に、10.「ターン・オン・ザ・アクション」はジョージ・リンチのギターのよさが軽快な曲調の中で活かされている好ナンバーだと言える。[収録曲]1. Without Warning2. Tooth and Nail3. Just Got Lucky4. Heartless Heart5. Don't Close Your Eyes6. When Heaven Comes Down7. Into the Fire8. Bullets to Spare9. Alone Again10. Turn on the Action1984年リリース。 【中古】 トゥース・アンド・ネイル/ドッケン 次のブログのランキングサイトに参加しています。 時間の許す方は、クリックで応援をお願いします! ↓ ↓
2024年03月13日
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古き良きアメリカン・ポップスの残響 ポール・ウィリアムズ(Paul Williams)は、1940年生まれの米国のシンガーソングライター、俳優。2009年からはASCAP(米国作曲家作詞家出版者協会)の会長も務めている人物である。いきなりアーティスト名だけでピンとこない人も、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」(スリー・ドッグ・ナイト)の作詞作曲者、ロジャー・ニコルズとのコンビでカーペンターズの「雨の日と月曜日は」や「愛のプレリュード」などを書いた人物と言えば、心当たりがあるのではないだろうか。 そんな彼は1970年代を中心に複数のソロ・アルバムを残している。それらのうち、ソロ・デビュー盤となったのが、1970年リリースの本盤『サムデイ・マン(Someday Man)』である。収められた10曲すべてが、ウィリアムズの作詞、そしてコンビを組んでいたロジャー・ニコルズの作曲。さらにニコルズはベースなどの演奏や、いくつかの楽曲のプロデュースでも本盤に携わっている。 どの楽曲も古き良きアメリカン・ポップスといった佇まいで、アルバム全体としては、そうした楽曲を集めたソング・ブックといった風情である。そして、感情表現の豊かなウィリアムズのヴォーカルが印象に残る。1.「サムデイ・マン」は、1969年のモンキーズのシングル曲のB面だったナンバーで、本盤のタイトルにもなっているナンバー。2.「光ある世界へ(ソー・メニー・ピープル)」は、筆者のお気に入りナンバーの一つで、レターメンが取り上げた曲でもある。流れるようなバラード風の5.「タイム」は、詩的な歌詞もいい。 アルバム後半(アナログ盤では6.以降がB面)では、8.「真心はどこへ(ドゥー・ユー・リアリー・ハヴ・ア・ハート)」がとくに秀逸。それから、忘れてはならないのは、本盤の演奏、アレンジ、プロデュースのレベルの高さである。例えば、アルバム末尾の10.「ローン・ポニー」に顕著に見られるように、しっかりと練られ、高い演奏力に支えられた完成度というのも、本盤の魅力ではないかと思う。[収録曲]1. Someday Man2. So Many People3. She's Too Good to Me4. Mornin' I'll Be Movin' On5. Time6. Trust7. To Put Up with You8. Do You Really Have a Heart9. I Know You10. Roan Pony1970年リリース。 ポール・ウィリアムス / サムデイ・マン +12 [CD] 【中古】 サムデイ・マン/ポール・ウィリアムズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月27日
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自然と体内に入ってくるギルモア・サウンド 個人的には“腑に落ちる”盤である。もちろん、こういう言い方をしてしまうとツボは人それぞれに違うのだから十人十色ということになってしまうわけだけれど、デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)が作り出す音は、筆者にはすんなりと体の中にしみこんでくるものなのである。 1978年のセルフタイトルの初ソロ作(参考過去記事)に続き、ピンク・フロイドとしての活動が停滞する間、ギルモアは1984年に2枚目となるソロ作『狂気のプロフィール(About Face)』を発表した。第1作目と同様、この2作目も、上記の通り、個人的にはその音が何の違和感もなく自然な感じで体内に入ってくる、そんな盤だったりする。このセカンド盤のチャートアクションは、全英で29位、全米で32位というもので、“失敗”ではないものの、“ヒット”とも言い難いビミョーな成績だった。 全体としては、前作よりも気負いが少なく、かつ時代を反映してか聴きやすいサウンドに仕上がっているように思う。参加メンバーはなかなか豪華で、TOTOのジェフ・ポーカロ(ドラムス、パーカッション)やスティーヴ・ウィンウッド(ハモンドオルガン、ピアノ)なんかの名が目に留まる。また、曲作りの面では、ザ・フーのピート・タウンゼントが作詞したナンバーがあり、3曲を提供してうち2曲(3.と6.)がアルバムに収められた。 筆者が特に好みのナンバーを挙げつつ、本アルバムの収録内容を概観してみたい。まずは、冒頭の1.「夢なき夜(アンティル・ウィー・スリープ)」。ピンク・フロイドの楽曲の傾向と比べると、サウンド的には一般向けを意識しているように思うが、個人的にはこの雰囲気がしっくりくる。3.「ラヴ・オン・ジ・エア」は、ギルモアらしさが生かされたスロー・ナンバーで、シングルとしてもリリースされた。この曲が醸し出すギルモアらしさというのは、5.「果てなきブルー(アウト・オブ・ザ・ブルー)」でいっそう発揮されている。 6.「狂った恋人たち(オール・ラヴァーズ・アー・ディレンジド)」は、一転してハードな曲調で、一つのムードの世界に引き込むというよりは、緩急をつけているのも本盤のいいところだと思う。そんな中、アルバム後半でこのアーティストらしさが発揮されているのは、8.「クルーズ」。さらに、オーケストラルな演奏にギターが映える9.「レッツ・ゲット・メタフィジカル」は要注目のナンバーである。[収録曲]1. Until We Sleep2. Murder3. Love on the Air4. Blue Light5. Out of the Blue6. All Lovers Are Deranged7. You Know I'm Right8. Cruise9. Let's Get Metaphysical10. Near the End1984年リリース。 狂気のプロフィール/デヴィッド・ギルモア[CD]【返品種別A】 David Gilmour デビッドギルモア / About Face 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月25日
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勢いに乗る第4作 ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)は、フィンランドのバンドで、地元で人気を得た後に全米進出を目指そうという段階で、メンバー(ドラマーのラズル)の自動車事故死によりそれが叶わなくなったという“伝説のバンド”である。そんな彼らがホームグラウンドで評価を高めていった時期の1983年にリリースされた4枚目のアルバムがこの『ミステリー・シティ(Back to Mystery City)』である。 ファースト作の項(参考過去記事)でも書いたように、雑さや粗削りな部分(決して悪い意味ではなく、いい意味での“チープ”な部分)は、彼らの魅力であった。この第4作では、演奏のまとまりや精度という点では向上しているが、どこかしら残る“チープ感”(繰り返すが、あくまでいい意味で、である)が実にいい味を出していると思う。 インパクトの強いナンバーとしては、2.「マリブ・ビーチの誘惑(マリブ・ビーチ・ナイトメア)」。1981年にカリプソ風のヴァージョンが一度録音されたとのことだが、正式リリースとなったこの1983年のものは、お祭り騒ぎのような雰囲気に勢いとリズムが強調されたアレンジで演奏されている。この曲はフィンランドだけでなく、英国でもシングルとしてリリースされた。他に5.「愛してほしい(アンティル・アイ・ゲット・ユー)」もシングル・リリースされた曲だが、こちらはもう少しおとなしくシリアスな曲調である。 それ以外の曲も気になるものをいくつか挙げておきたい。6.「瞳の中の影(セイリング・ダウン・ザ・ティアーズ)」は、筆者の中では、この曲調、このノリこそハノイ・ロックスらしいといったナンバー。ちなみに同じ趣は8.「せつない気持(ビーティング・ゲッツ・ファスター)」や9.「アイス・クリーム・サマー」にも見られる。 アルバム後半で特に注目なのは、ラストを飾るアルバム表題曲の10.「ミステリー・シティ(バック・トゥ・ミステリー・シティ)」。この曲を聴くと、ドラム担当のラズルがバンドに欠かせないメンバーよく分かる。つまるところ、彼の事故死が結果的にバンドの存続を途絶えさせたのは、とって代わることのできるドラマーはいなかったからというのがよく分かる、そんな演奏でもあると思う。[収録曲]1. Strange Boys Play Weird Openings2. Malibu Beach Nightmare3. Mental Beat4. Tooting Bec Wreck5. Until I Get You6. Sailing Down the Tears7. Lick Summer Love8. Beating Gets Faster9. Ice Cream Summer10. Back to Mystery City1983年リリース。 ミステリー・シティ [ ハノイ・ロックス ] 【中古】輸入洋楽CD HANOI ROCKS / BACK TO MYSTERY CITY[輸入盤] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月23日
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大ヒット曲に続くセカンド作 アメリカ(America)は、コーラスワークを生かしたシンプルなサウンドで1970年代に一世を風靡したバンド。結成されたのはイギリスのロンドンだったが、3人のメンバー(ジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピーク)はいずれも米軍人の息子であった。 彼らがセルフ・タイトルのデビュー盤を発表したのは1971年だった。その後、翌72年に入ってシングル曲「名前のない馬」が大ヒットし、まさに勢いに乗っている中の同年11月に発表されたのが、このセカンド盤『ホームカミング(Homecoming)』だった。アメリカから遠く離れたロンドンで結成された“アメリカ”が、“里帰り(ホームカミング)”するというのが、この表題の意味するところのようである。本盤は、アルバムのチャートでは、全米9位を記録した。 アルバムのオープニング・ナンバーは、1.「ヴェンチュラ・ハイウェイ」。彼らの代表曲の一つとなったこの曲は、シングルとして全米8位のヒットとなった。3.「河を渡るな(ドント・クロス・ザ・リヴァー)」もシングル化された楽曲で、大きなヒットにはならなかったものの、テンポのよいコーラスワークが好印象のナンバー。7.「空しきコーンウォール(コーンウォール・ブランク)」は、暗めの寂し気な曲調で、本盤の中で特に完成度の高い楽曲の一つだと感じる。9.「再びカリフォルニアへ(カリフォルニア・リヴィジテッド)」は、エレキギターが印象的な、このバンドとしてはややハードな曲調のナンバー。このバンドのイメージにそぐわないとの声もありそうだが、個人的には、こういうのもありだと感じている。[収録曲]1. Ventura Highway2. To Each His Own3. Don't Cross the River4. Moon Song5. Only in Your Heart6. Till the Sun Comes Up Again7. Cornwall Blank8. Head and Heart9. California Revisited10. Saturn Nights1972年リリース。 【中古】 ホームカミング/アメリカ 以下のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月21日
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GN'Rデビュー盤の圧倒的存在感 ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)は、L.A.ガンズのメンバーとハリウッド・ローズのメンバーが融合するところから誕生した。そのため、前身バンドの名を組み合わせたのが、このバンドの名称となっている。メンバーの入れ替わりを経て1986年にゲフィン・レコードと契約し、先に疑似ライヴEPを発売して注目を集めたものの、第一作をリリースしたのは翌1987年のことだった。 そのファースト作が本盤『アペタイト・フォー・ディストラクション(Appetite for Destruction)』である。もともと音楽活動歴のあったメンバーたちで、ひょっこり出てきた新人バンドのような存在ではなかったとはいえ、とにかく楽曲・演奏・作り込み方のレベルの高さに圧倒される一枚である。この時点から大物になっていくことが十分に予見されるような圧倒的存在感の作品だと言えると思う。 とはいえ、その一方で、当時は物議を醸すバンドでもあった。メンバーのアルコールやドラッグ問題からMTVでの放映が拒否されたり、ロボットに犯される女性というアルバムのジャケットが差し替えられたりと、どちらかというとマイナスな意味でスキャンダラスでもあった。けれども、最終的には発売から50週を経て全米チャートで1位に上り詰めた。 個人的観点から、注目曲をいくつか挙げておこうと思う。1.「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」はシングルとして全米7位を記録したナンバー。3.「ナイトトレイン」は、その当時はどちらかというと聞き流してしまっていたのだけれど、カッコいいだけでなくてよく作り込まれた好曲だと感じる。6分を超える長尺の6.「パラダイス・シティ」は、重厚さに加えて切れのよさも感じられる1曲。このナンバーは、シングル化されてアメリカで5位、イギリスで6位ヒットとなった。なお、LP発売時には、ここまでがいわゆる“A面”だったのだが、本盤では“G面(Side G)”と名づけられていた。 さて、アルバム後半(こちらは、LPでは“R面(Side R)”)に移って、7.「マイ・ミッシェル」もカッコよさと完成度が高い楽曲の一つ。矢継ぎ早に予想できない展開やサウンドの工夫が耳に飛び込んでくるところがいい。曲としてはややポップな方向にも向いた9.「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」は、本盤からの最大のシングル・ヒット曲。アメリカのチャートで1位、イギリスでは6位を記録している。アルバムを締めくくる12.「ロケット・クイーン」は、前半最後の6.と同じく6分を超える長編のナンバーだが、その長さを感じさせない演奏のメリハリと曲展開から、本盤の聴きどころの一つになっているように思う。[収録曲]1. Welcome to the Jungle2. It's So Easy3. Nightrain4. Out ta Get Me5. Mr. Brownstone6. Paradise City7. My Michelle8. Think About You9. Sweet Child o' Mine10. You're Crazy11. Anything Goes12. Rocket Queen1987年リリース。 アペタイト・フォー・ディストラクション/ガンズ・アンド・ローゼズ[SHM-CD]通常盤【返品種別A】 【輸入盤】アペタイト・フォー・デストラクション [ Guns N' Roses ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月19日
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早弾き・ネオクラシカルの最高峰 イングヴェイ・マルムスティーンは、1963年スウェーデン生まれのギタリスト。グラハム・ボネット率いるアルカトラスでの活躍(参考過去記事)で名声を得たのち、自身のバンドを形成して発表したファースト作が本盤『ライジング・フォース(Rising Force)』である。厳密には、イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース(Yngwie Malmsteen's Rising Force)名義によるセルフ・タイトル作ということになる。 イングヴェイ率いるバンドという体裁ではあるが、とにかく聴きどころは彼のギター・プレイ。インストゥルメンタル曲が多いのもその特徴を反映している。冒頭の1.「ブラック・スター」と2.「ファー・ビヨンド・ザ・サン」という2つのインスト曲だけでも圧巻で、ネオクラシカルと形容される早弾きのギターが聴き手を圧倒する。実際、これら2曲はイングヴェイの代名詞ともなっているナンバーであり、彼自身も“おそらく死ぬまで演奏し続けるだろう”と述べている。 ヴォーカルが入っているのは2曲で、3.「ナウ・ユア・シップス・アー・バーンド」と6.「アズ・アバヴ、ソー・ビロウ」。ヴォーカリストはジェフ・スコット・ソート(ソト)で、全8曲中の2曲なので存在感は薄いが、次作(翌1985年発表の『マーチング・アウト』)ではその存在感を発揮していくことになる。 さて、アルバム後半では、5.「イカルスの夢・組曲 作品4」が特に注目のナンバー。8分半に及ぶ長尺で、壮大な曲調の中、クラシックに根差した旋律でエレキギターの技巧が存分に発揮されている。その一方、アルバムを締めくくる8.「フェアウェル」は、1分に満たない小品。ギターのみのこうしたナンバーを締めくくりに配するというのは、後の他の作品(例えばこちらのアルバム)でも彼が用いている手法だったりする。[収録曲]1. Black Star 2. Far Beyond the Sun 3. Now Your Ships Are Burned4. Evil Eye5. Icarus' Dream Suite Op.46. As Above, So Below7. Little Savage8. Farewell1984年リリース。 ライジング・フォース [ イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース ] Yngwie Malmsteen イングベイマルムスティーン / Rising Force 【SHM-CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月07日
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勢いに乗る第4作 ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は、ジェフ・ベック・グループに参加したのち、フェイセズおよびソロで成功を重ねていった。1970年代前半は、フェイセズというバンドでの活動とソロ・アーティストとしての活動が並走していた。本盤『ネヴァー・ア・ダル・モーメント(Never A Dull Moment)』はそんな時期の1枚である。ソロ作としては、前作の『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』に続いて英国チャートで1位を記録し、全米チャートでも2位となった。 フェイセズと並行しての活動期ということから、フェイセズのメンバー、例えば、ロン・ウッド(ギター)、イアン・マクレガン(ピアノ、オルガン)が演奏に加わっている。特に1.「トゥルー・ブルー」では、ロニー・レーン(ベース)、ケニー・ジョーンズ(ドラム)も加わり、メンバーが勢ぞろいしている。他に注目すべきミュージシャンとしては、ピート・シアーズが、ピアノで4.「イタリアン・ガールズ」、ベースで8.「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」に参加している(さらに後述の5.のシングルのB面でもピアノ演奏をしている)。 注目したい曲をいくつか見ておきたい。個人的には、冒頭の1.「トゥルー・ブルー」が最も推したいナンバー。演奏の安定感、曲調、さらにはこの手のロッドのヴォーカルは筆者のツボにはまる。なお、同様の指向性のナンバーとしては、4.「イタリアン・ガールズ」もお勧めである。 収録曲のうち、有名な曲としては、いかにも売れ筋という感じではあるものの、7.「ユー・ウェア・イット・ウェル」がある。この曲は、シングルとしてヒットし、全英1位、全米13位となった。他に本盤収録の中で外せないナンバーと思うのは、ジミ・ヘンドリクス曲の5.「エンジェル」。1970年のジミヘンの死後、1971年に発表された盤に収録された(さらにシングルとしても発売された)ナンバーである。ロッド・スチュワートには他のアーティストのカバー曲を多く残してきたが、この曲もなかなかの仕上がりだと思う。[収録曲]1. True Blue 2. Lost Paraguayos 3. Mama You Been on My Mind4. Italian Girls 5. Angel 6. Interludings7. You Wear It Well 8. I'd Rather Go Blind 9. Twisting the Night Away1972年リリース。 ネヴァー・ア・ダル・モーメント +1 [ ロッド・スチュワート ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月03日
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映画はともかくアルバムは大ヒット 1980年、人気絶頂のオリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)主演の映画が封切られた。このミュージカル・ファンタジー映画『ザナドゥ』は、興行的に成功せず、高い評価を受けるということもなかった。けれども、その一方で、この映画のサウンドトラックとして制作された盤は大きなヒットを記録し、イギリスのチャートで2位、アメリカでは4位となった。 このサントラ盤『ザナドゥ(Xanadu)』は、E.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラ,Electric Light Orchestra)とオリビアの共同名義だった。とはいえ、内容をよく見ると、アルバムの半分がオリビアの作品、残り半分がE.L.O.の作品と言えるようなものとなっている。曲順(LPではどちらがA面、B面か)もまちまちで、オリビア・サイドが先に来ているものもあれば、E.L.O.サイドが先に来ているものもあるようだ(筆者の手持ちのCDは、E.L.O.が先なので、下記ではその曲順を記している)。 E.L.O.サイドは、まさしくE.L.O.節が全開である。注目は5.「ザナドゥ」で、オリビアとE.L.O.が共演していて、シングル曲として全英のほかいくつもの国で1位のヒットとなった(全米では8位)。他方、オリビア・サイドは、プロデュースを担当したジョン・ファーラーの楽曲が大部分を占め、オリビアが他のアーティストと共演する楽曲が3曲含まれている。7.「恋の予感(サドンリー)」は、クリフ・リチャードとのデュエット。8.「ダンシン」はザ・チューブスとの共演で、10.「気の合うふたり(ホエネヴァー・ユア・アウェイ・フロム・ミー)」はジーン・ケリーとのデュエット曲。また、6.「マジック」はシングルとして大ヒットし、英米共で1位を獲得している。[収録曲]1. I'm Alive (E.L.O.)2. The Fall (E.L.O.)3. Don't Walk Away (E.L.O.)4. All Over the World (E.L.O.)5. Xanadu (Olivia Newton-John & E.L.O.) 6. Magic (Olivia Newton-John)7. Suddenly (Olivia Newton-John with Cliff Richard)8. Dancin' (Olivia Newton-John with the Tubes)9. Suspended in Time (Olivia Newton-John)10. Whenever You're Away from Me (Olivia Newton-John with Gene Kelly)1980年リリース。 ザナドゥ [ エレクトリック・ライト・オーケストラ&オリヴィア・ニュートン=ジョン ] ザナドゥ【Blu-ray】 [ オリヴィア・ニュートン=ジョン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月31日
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“代役ギタリスト”が際立つ1980年代最後の盤 デイヴィッド・カヴァデール率いるホワイトスネイク(Whitesnake)は、1970年代後半に登場し、1980年代いっぱいまで大きな人気を集めた。このいわば最盛期にあたる時期の最後にリリースされたのが、1989年の『スリップ・オブ・ザ・タング(Slip of the Tongue)』である。 このアルバムには、ハプニングによって生じたある特色がある。ギタリストで曲の共作者でもあったエイドリアン・ヴァンデンバーグが、腱鞘炎によって演奏できなくなってしまった。そこで急遽メンバーとして加わったスティーヴ・ヴァイが全面的にギター演奏を引き受けた。結果、曲のクレジットにヴァンデンバーグは登場するものの、演奏には参加していないというイレギュラーなアルバムになった。代役のスティーヴ・ヴァイはアルカトラス(イングヴェイ・マルムスティーンの後任)やデイヴィッド・リー・ロスのバンドで既に活躍した経歴があり、本作の後にはソロでのキャリアを完成させていく。 冒頭の表題曲である1.「スリップ・オブ・ザ・タング」からテンションはマックスの演奏。3.「フール・フォー・ユア・ラヴィング」は、1980年のアルバム(邦題『フール・フォー・ユア・ラヴィング』、原題は『レディ・アン・ウィリング』)に収められていた曲の再演。1980年のものもシングル化されたが、本作のセルフカバーとなったヴァージョンもシングル発売された(1980年ヴァージョンは英で13位、米で53位、1989年のこのヴァージョンは英で43位、米で37位となった)。 他に触れておきたいナンバーとしては、6.「ウィングズ・オブ・ザ・ストーム」。本作全般に言えることだけれども、臨時加入のギタリスト、スティーヴ・ヴァイの色彩が強い。そんな中、この曲のヴァイのギターは、単に彼らしい演奏が披露されているのみならず、爽快なプレイである。あと、10.「セイリング・シップス」はカヴァデールのヴォーカルの魅力が存分に発揮された好曲で、曲後半ではヴァイらしさも発揮されていて、聴き逃がせない1曲になっていると思う。[収録曲]1. Slip of the Tongue2. Cheap an' Nasty3. Fool for Your Loving 4. Now You're Gone 5. Kittens Got Claws6. Wings of the Storm 7. The Deeper the Love8. Judgment Day9. Slow Poke Music 10. Sailing Ships 1989年リリース。 SLIP OF THE TONGUE (2019 REMASTER)【輸入盤】/WHITESNAKE[CD]【返品種別A】 スリップ・オブ・ザ・タング<30周年記念リマスター> [ ホワイトスネイク ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月28日
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スラッシュ・メタルの夜明け メタリカ(Metallica)は、1980年代初頭にアメリカ西海岸で形成され、スラッシュ・メタルを牽引して大きな成功を収めたバンドである。そんな彼らのデビュー盤となったのが、1982年発表の本作『キル・エム・オール(Kill 'Em All)』である(発売当時の邦題は、ジャケットのイラストのイメージに即した『血染めの鉄槌』だったが、後にカタカナ表記の『キル・エム・オール』に変更されている)。 本ファースト作がリリースされた当時のメンバーは、ジェイムズ・ヘットフィールド(ボーカル、ギター)、カーク・ハメット(ギター)、クリフ・バートン(ベース)、ラーズ・ウルリッヒ(ドラムス)の4人。ただし、本盤は既にデモ録音などをしていた曲の採録が中心になったという性質上、それ以前にメンバー(ギター)だったデイヴ・ムステイン(メタリカをクビになった後、メガデスを主宰)のペンによる楽曲も収められている。 アルバム全般を見ると、どの楽曲もこのバンドらしさの特徴である重さとスピード感に富んでいるという印象。その中でも、いくつか気になる曲に触れておきたい。2.「電撃の騎士(ザ・フォー・ホースメン)」は。ムステインが関わった楽曲。元は「メカニックス」というタイトルで、彼が結成したメガデスのファースト作には、原曲により近いヴァージョンが録音された。インストゥルメンタル曲の5.「(アネージア)プリング・ティース」は、本盤の収録曲中で唯一、クリフ・バートンによる楽曲で、彼のベース・ソロによる実験的な演奏が目を引く。 本盤所収の曲でシングル発売されたのは2曲あった。ファースト・シングルは6.「鞭(ウィップラッシュ)」、セカンド・シングルは4.「炎のジャンプ(ジャンプ・イン・ザ・ファイアー)」だったが、いずれもヒットには至らなかった。これらに加え、筆者が感じているメタリカらしさがよく表れた曲としては、7.「ファントム・ロード」や8.「懺悔無用(ノー・リモース)」あたりが好曲と言えるように思う。さらに、スラッシュ・メタル・バンドの本領発揮と言えそうなのは、10.「メタル軍団(メタル・ミリティア)」。初作ということで粗削りな感じがする部分もあるのだけれど、アルバム作品としての完成度は高いのではないかと思ったりする。[収録曲]1. Hit the Lights2. The Four Horsemen3. Motorbreath4. Jump in the Fire5. (Anesthesia)Pulling Teeth6. Whiplash7. Phantom Lord8. No Remorse9. Seek & Destroy10. Metal Militia1983年リリース。 キル・エム・オール(リマスター) [ メタリカ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月23日
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ギター・ヒーローのカッコよさ満載の推奨盤 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は、1952年北アイルランドはベルファスト出身のロック・ギタリストで、2011年に心臓発作により58歳で没している。1960年代末のスキッド・ロウ加入をはじめ、1970年代にはシン・リジィでの活動、1990年代にはブルースへの回帰と、ギタリストとして多様に活動した。 本盤『ワイルド・フロンティア(Wild Frontier)』は、いわゆる“ギター・ヒーロー期”のもので、1987年にLPとCDの両方でリリースされた。本人によれば、“アイルランドの伝統音楽へのオマージュ”とのことであるが、1980年代当時のきらびやかなサウンド作りの時勢もあってか、現在からするとケルト音楽の影響的なものが決して前面に出ている感じではない。また、ドラムマシンの使用が本作のマイナス要素とされることもあるが、筆者的にはとにかく文句なしにカッコいいギター・ヒーロー盤というのがずっと変わらぬ印象である。 お薦めの曲を中心に何曲かに触れておきたい。1.「望郷の果て(オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ)」は、このアルバムの雰囲気を代表する1曲。先行シングルとして英チャートで20位となったほか、北欧で大ヒットし、特にノルウェーのシングルチャートでは7週連続1位になったとのこと。表題曲の2.「ワイルド・フロンティア」(12インチ・ヴァージョンも5.として収録)は、とにかく疾走感を含む曲調とギターのカッコよさが見事に組み合わされたナンバー。 インスト曲の4.「ザ・ローナー」は、本盤の大きな聴きどころの一つ。コージー・パウエルのアルバムに収録された曲のカバーだが、ムーアの自在なギター・プレイが堪能できる。後半(LPのB面)は出来がやや小粒な感じのナンバーもあるが、注目したいのは、伝統音楽を意識した9.「ジョニー・ボーイ」。さらに、少々余談ながら、CDのみに収録された11.「クライング・イン・ザ・シャドウズ」は、ムーアが本田美奈子に提供した「the Cross -愛の十字架-」のセルフ・カバーだったりする。[収録曲]1. Over the Hills and Far Away2. Wild Frontier3. Take a Little Time4. The Loner5. Wild Frontier -12" version-6. Friday on My Mind7. Strangers in the Darkness8. Thunder Rising9. Johnny Boy10. Over the Hills and Far Away -12" version-11. Crying in the Shadows*5.,10.,11.はCDでの追加トラック。1987年リリース。 ワイルド・フロンティア [ ゲイリー・ムーア ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月20日
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グラハム・ボネットとイングヴェイ・マルムスティーン アルカトラス(Alcatrazz)は、レインボーでも活躍し、その後、マイケル・シェンカー・グループを短期間で去ることになったグラハム・ボネット(Graham Bonnet)が1983年に結成したバンドである。このバンドのデビュー盤となったのが、このアルバムである。邦盤では『アルカトラス』とのみ表記されているものの、セルフタイトル盤ではなく、原題は『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール(No Parole from Rock’n’Roll)』という。後にロック・ギター界の“王者”として有名になるイングヴェイ・マルムスティーンがメンバーとして参加した唯一のアルカトラスの作品でもあることでもよく知られる盤である。 グラハム・ボネットが自身のバンドのギタリストを探す中で出会ったのが、若きイングヴェイ・マルムスティーンだった。まだ20歳そこそこのスウェーデン出身者がロサンゼルスへと渡り、グラハム・ボネットが形成しようとしていたバンドに参加することになったというのは、奇跡的な確率での出会いと言えたように思う。結果的にイングヴェイは1年ほどしか在籍せず、スティーヴ・ヴァイが後任ギタリストとなったものの、本盤が運よく生まれたのは、ロック界の財産だと思う。 収録曲のうち、有名曲でもあり、際立っているのは、4.「ヒロシマ・モナムール」。曲作りにおいても、演奏面においても、本盤でのイングヴェイの存在感は大きく、特にこのナンバーは曲そのものもよければ、グラハム・ボネットのヴォーカルもイングヴェイのギターも抜きんでている。さらに、筆者の気に入っている他の曲もいくつか挙げておきたい。1.「アイランド・イン・ザ・サン」は、グラハム・ボネットらしいヴォーカルのよさが出ていて、爽快なロック・ナンバー。その一方で2.「ジェネラル・ホスピタル」で展開されるハードな曲調も難なくこなしてしまうのが、彼のヴォーカルの魅力だと思う。その一方、イングヴェイ・マルムスティーンがらみでは、5.「クリー・ナクリー」が、この後に彼が展開させていく世界が既に示されたようなナンバー。 そんな両者のいいところがうまく合わさっている曲としては、7.「トゥー・ヤング・トゥ・ダイ、トゥー・ドランク・トゥ・リヴ」なんかがうまくいった例ではないかと思ったりする。最後にもう1曲、9.「スターカー・レーン」のロック・チューンとしてのカッコよさも外せない。[収録曲]1. Island in the Sun2. General Hospital3. Jet to Jet4. Hiroshima Mon Amour5. Kree Nakoorie6. Incubus7. Too Young to Die, Too Drunk to Live8. Big Foot9. Starcarr Lane10. Suffer Me1983年リリース。 【輸入盤】 Alcatrazz アルカトラス / No Parole From Rock N Roll (Expanded) 【CD】 【中古】 アルカトラス/アルカトラス 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月16日
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レスポールを使用した異色作 テレキャスターの名手として知られるロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)が、あろうことかレスポールを演奏してしまったというのが、1978年発表の『レスポールとの遭遇(You’re Not Alone)』というアルバムである。この邦題、もう少し何とかならなかったものだろうかとも思うが、原題は『ユーア・ノット・アローン』である。ロイ・ブキャナンのアルバムの中では、特に評価が低く、商業的にも失敗作だったとされるアルバムである。 ジャケットは宇宙服の顔(窓にあたる部分)に、地球外惑星の大地に屹立するレスポールが写っているという、なんともビミョーなデザイン。このジャケット・イメージは演奏内容ともリンクしていて、シンセを取り混ぜながらスぺーシーな雰囲気のギター・プレイが披露されている。もちろん、そのギターの音そのものは、いつものテレキャスとは大きく異なる、レスポール特有の太い音である。 いちばんの聴きどころは、3.「フライ…ナイト・バード」。彼特有の“泣きのギター”の演奏が、レスポール・サウンドで聴けるというもの。他のナンバーとしては、2.「ターン・トゥ・ストーン」がいい。ジョー・ウォルシュのソロ・プロジェクト(過去記事)作に収録のナンバーであるが、ロイのファンなら同時にテレキャスでこの演奏を聴きたい、と思うような内容でもある。もう一つ、5.「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」も挙げておきたい。ニール・ヤングの曲で、本盤では例外的にヴォーカリスト(ゲイリー・セント・クレア)を入れてのナンバーとなっているが、この曲のロイのギターが個人的にはなかなか気に入っている。 といったわけで、内容は悪くなく、決して低く評価されるようなものではないと思うのだけれど、トレードマークの愛用の楽器を持ち替えてやる内容だったかというと、やはり疑問符がつく。どうせなら、2枚組にしてテレキャス・ヴァージョンとレスポール・ヴァージョンが収録なんて企画だと楽しめたのかもしれないと思ってみたりするのだけれど。[収録曲]1. The Opening...Miles from Earth2. Turn to Stone3. Fly... Night Bird4. 1841 Shuffle5. Down by the River6. Supernova7. You're Not Alone1978年リリース。 【輸入盤CD】Roy Buchanan / Loading Zone/You're Not Alone 【K2017/2/24発売】 (ロイ・ブキャナン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月13日
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日本武道館の名を冠した2枚組ライヴ盤(後編)(前編からの続き) さて、2枚組の本盤の2枚目(LPではC面に6曲、D面に5曲)を見ていきたい。最初のII-1.「風に吹かれて」は、前回記事にも書いたように、元の弾き語り的な演奏とは異なり、バンド演奏向けのアレンジ。これもまた1枚目のところに書いたように、淡々と曲を披露していくスタイルは個人的には好感を持っていて、II-2.「女の如く」やII-5.「見張塔からずっと」が収められているのも筆者としては有難いところ。 2枚目の後半に入ると、皆が聴きたがっていたであろう曲のオンパレードという感じが一層高まっていく。筆者的には外してほしくないII-7.「オール・アイ・リアリー・ウォント」に始まり、II-8.「天国への扉」もきちんと収録されている。アルバムの最後は10.「いつまでも若く」、そして締めくくりとして11.「時代は変る」。21世紀の今聴いても、この時代(1970年代後半)に武道館でこのセットリストのライヴをじかに見たかった、と思わせてくれる。ついでながら、現在では2023年11月に発売された『コンプリート武道館』(CD4枚組、LP8枚組)が出ていて、2日分のライヴすべてを聴くこともできる。 以上のように、本盤は、何か実験的な試みや、野心的な工夫を企図したという類のものではない。バンドでの演奏用アレンジになっているとはいえ、そうした意味では、既存の曲を新たな方法で楽しむという要素は希薄と言えるのかもしれない。遠く離れた日本のファンに本物のボブ・ディランの集成を見せる(そしてその音源がライヴ・アルバム化された)というものと言ってしまえば、それまでなのかもしれない。実際、ディランは後年のインタヴューで“手を引っ張って日本に連れて行かれライヴ盤を作らされた”といったように答えている。けれども、これこそが当時のファンの聴きたいものでもあったという部分があったのだろう。 なお、本盤『武道館』は、アルバム・チャートでは、全米13位となり、一つ前のライヴ盤(『激しい雨』)の17位を上回った(全英では前作が3位で本作が4位)。デビューから15年以上のキャリアを積み重ね、堂々のレパートリーを披露するディランの姿が記録された、初めてディランに触れる人への入口にも好適な盤と言えるんじゃないかと思う。[収録曲]〔Disc 1〕1. Mr. Tambourine Man2. Shelter from the Storm3. Love Minus Zero/No Limit 4. Ballad of a Thin Man5. Don't Think Twice, It's All Right (以上、LPのA面)6. Maggie's Farm7. One More Cup of Coffee (Valley Below)8. Like a Rolling Stone9. I Shall Be Released10. Is Your Love in Vain?11. Going, Going, Gone (以上、LPのB面)〔Disc 2〕1. Blowin' in the Wind2. Just Like a Woman3. Oh, Sister4. Simple Twist of Fate5. All Along the Watchtower6. I Want You (以上、LPのC面)7. All I Really Want to Do8. Knockin' on Heaven's Door9. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)10. Forever Young 11. The Times They Are A-Changin' (以上、LPのD面)1978年リリース。 武道館 [ ボブ・ディラン ] コンプリート武道館 (完全生産限定盤 4CD) [ ボブ・ディラン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年01月09日
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日本武道館の名を冠した2枚組ライヴ盤(前編) 1978年、ボブ・ディラン(Bob Dylan)はワールド・ツアーの日本公演を行った。2月28日~3月1日の日本武道館での公演の音源をアルバム化したのが、本盤『武道館(Bob Dylan at Budokan)』である。当初(1978年8月発売)は、日本だけのリリースという企画だったが、輸入盤(日本から見ると輸出盤)の増加を受けて、翌1979年4月に欧米でも発売された。その結果、全米で13位、全英で4位を記録し、日本の代表的コンサートホールとしての“ブドーカン”(もちろん、コンサート専用の施設ではなく、武道場なのだけれど)の名を世界に広める役割も果たした。 本ライヴ盤の内容は、“ヒット曲集”あるいは“ベスト盤”と言えそうな選曲である。LP・CDともに2枚組で、全22曲という聴きごたえのある盤である。以下、その内容をざっと追ってみたい。 1枚目(LPではA面に5曲、B面に6曲)は、初期の代表曲の一つで、ザ・バーズのヒットでも知られるI-1.「ミスター・タンブリン・マン」から幕を開ける。冒頭のこの曲からもわかるように、本ライヴ盤は大きな編成のバンドで演じられ、弾き語り風のこの曲の元のヴァージョンに比べて異なったアレンジで演奏されている。 I-2.「嵐からの隠れ場所」以下、テンポよく次々と楽曲が披露されていく。I-6.「マギーズ・ファーム」から始まるLP時代のB面に入ってもそのテンポは維持され、有名曲のI-8.「ライク・ア・ローリング・ストーン」や、ザ・バンドで知られるI-9.「アイ・シャル・ビー・リリースト」もこの流れの中で登場する。これら2曲は今どきの音楽業界の感性なら勿体をつけて仰々しく見せてしまいそうな場面になりそうだが、そんなことはお構いなしにさらりとライヴ向けアレンジで披露されているのは、個人的には好感が持てる。 長くなってきたので、本盤2枚目と収録の曲目等は、項を改めてということで(後編に続く)。 武道館 [ ボブ・ディラン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年01月08日
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ジェネシスを脱退し、ソロとなった第1作 本盤は、一般には『ピーター・ガブリエル1』と呼ばれ、ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)のセルフタイトルのソロ第1作である。ちなみに、彼のソロ作は第1作から第4作まですべて『ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)』が正式な表題で、わかりにくいことこの上ない(それゆえ、1枚目から順に、ジャケットデザインに因んで“カー(自動車)”、“スクラッチ(引っ掻く)”、“メルト(溶ける)”、“セキュリティ(保安)”の通称があったりする)。 1975年にジェネシスを脱退し、しばしの充電期間を挟んで、本盤は1977年にリリースされた。ガブリエル自身は、“このアルバムこそが、ピーター・ガブリエルのジェネシスとしての最後のアルバム”と語っており、確かにジェネシスっぽさが本作のあちらこちらに見られる。例えば、冒頭の1.「モリバンド・ザ・バーガーマイスター」などは、『眩惑のブロードウェイ』までのジェネシス作の中に配されていても違和感がないようにすら思う。とはいえ、それまでのジェネシスがピーター・ガブリエル的だったのか、この盤でのピーター・ガブリエルがジェネシス的なのかというのは、鶏と卵の関係なのだろう。2.「ソルスベリー・ヒル」を聴いていると、ジェネシス的な気もすれば、これこそがピーター・ガブリエルということだったのかという気も同時に起こってくる。 その一方で、ジェネシスでは成し得なかったサウンドを模索するガブリエル個人の姿というのも、本盤には見られるように思う。ゴスペル風に始まり、ロバート・フリップによるバンジョーが耳につく4.「エクスキューズ・ミー」などはその典型例と言えるだろう。勢いよくパワフルなヴォーカルが気持ちいい6.「スロウバーン」、ブルース調の7.「ウェイティング・フォー・ザ・ビッグ・ワン」、TOTOの曲かと思ってしまいそうな8.「ダウン・ザ・ドルチェ・ヴィタ」といった具合に、新たなスタイルやアレンジ、演奏の可能性を探求しているように見える。そういう意味では、ジェネシスでは表現されなかったピーター・ガブリエルの懐の深さが垣間見られる作品ということもできるのではないだろうか。[収録曲]1. Moribund the Burgermeister2. Solsbury Hill3. Modern Love4. Excuse Me5. Humdrum6. Slowburn7. Waiting for the Big One8. Down the Dolce Vita9. Here Comes the Flood1977年リリース。 【中古】 ピーター・ガブリエル I/ピーター・ガブリエル 【中古CD】1 / ピーター・ガブリエル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月05日
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900万アクセス記念~いま聴きたいあのナンバー(その16) 今回は、比較的最近になってから知り、個人的に割と”はまった”かもと感じているバンドの楽曲です。ヒブリア(Hibria, ポルトガル語での発音はイブリア)というのがそのバンドです。1990年代後半にブラジルで形成されたパワー・メタルのバンドですが、そのスピード感に加え、メロディックな要素もあって、なかなか気に入っています。2004年のファースト作のタイトル曲「ディファイング・ザ・ルールズ(Defying the Rules)」をお聴きください。 上に書いたように、このバンドはブラジル(サン・パウロやリオよりも南にある都市ポルト・アレグレ)出身です。中心となっているのは、ギタリストのアベル・カマルゴ。変遷を経た末に現在では、このアベル以外のオリジナル・メンバーはすべて入れ替わってしまっていますが、この盤を発表した時点でのラインナップは、アベルに加え、ユーリ・サンソン(ヴォーカル)、ディエゴ・カスペル(ギター、シンセ)、マルコ・パニシ(ベース)、サヴィオ・ソルディ(ドラムス)といった面々でした。 このバンドは特に日本で人気を得ていて、上記の通り、メンバーはアベル・カマルゴ以外がすべて入れ替わっての活動を続けているとのことです。筆者的には、彼らの作品はまだ全部聴けてはいないのですが、そのうちに近作も聴いてみたいと思っていたりします。[収録アルバム]Hibria / Defying the Rules(2004年) ディファイング・ザ・ルールズ~10周年記念アルバム [ ヒブリア ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年12月07日
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ディープ・パープルを抜け、ソロ・プロジェクトでの始動 レインボー(Rainbow)の最初のアルバムと位置づけられる本作『銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)』は、厳密にはリッチー・ブラックモアのソロ・プロジェクトとしての性格を持つものだった。ディープ・パープルの一員だったブラックモアは、ソロ・シングルを企画し、やがてアルバム作りも目指すことになる。兼ねてからディープ・パープルのメンバーとの間に音楽面での確執を抱えていた彼は、結局、ディープ・パープルを脱退し、このアルバムを世に問うことになった。 本盤に関しては、アルバム表題からも明らかなように、リッチー・ブラックモアが前面に出たものだった(第2作では“ブラックモアズ・レインボー”、第3作以降は“レインボー”と、リリース時の名義は変わっていく)。実際、ヴォーカリストのロニー・ジェイムス・ディオ以外のメンバーは、本作発表後に揃って脱退(実質的にクビ)となっている。 アルバム全体の印象としては、後期ディープ・パープルっぽさに、この時点でリッチー・ブラックモアがやりたかった目新しい部分が加わって構成された作品というように感じられる。つまりは、決定版という感じよりは、試行錯誤、進化の途中を見ているように個人的には思える(それゆえ、この後の大幅メンバーチェンジというのも頷ける)。いずれにしても、新しいプロジェクトの動き出しとしては新鮮なアルバムだったということだったのだろう。 注目曲は、まず、冒頭の1.「銀嶺の覇者」。ミドル・テンポでリッチーらしさに溢れたギター・リフとギター・ソロ、さらにロニー・ジェイムス・ディオのヴォーカルの力量が発揮されたナンバー。ヴォーカル・ベースだとこの曲が本盤中のベスト曲と言えるように思う。LPではA面の最後に配されていた4.「虹をつかもう」はスロウ・テンポの美曲。余談ながら、筆者が初めてこのアルバムを聴いた時に最初に気に入ったナンバーがこれだった。 6.「王様の神殿」は、いかにもディープ・パープルではなかったようなタイプの曲の代表例。これを聴いて“眠くなりそう”という人もいるかもしれないが、個人的にはこの幻想的でスリリングな雰囲気はなかなかいいと感じている。さらに7.「もしもロックがきらいなら」も面白い試みで、わずか30分で作られた曲なのだとか。アルバムのラストを飾る9.「スティル・アイム・サッド」は、ヤードバーズのシングル曲だが、ヴォーカルはなく、インストルメンタルの演奏でギターをひたすら聴かせる魅力的なアレンジに仕上がっている(だからこそ、最後にフェイド・アウトで消えていくのは、少々残念だったりもする)。[収録曲]1. Man on the Silver Mountain2. Self Portrait3. Black Sheep of the Family4. Catch the Rainbow5. Snake Charmer6. The Temple of the King7. If You Don't Like Rock 'n' Roll8. Sixteenth Century Greensleeves9. Still I'm Sad1975年リリース。 銀嶺の覇者 [ レインボー ] [枚数限定]銀嶺の覇者/レインボー[SHM-CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年11月13日
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バンドの勢いが魅力の白熱ライヴ ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)は、ともにフィンランド出身のマイケル・モンローとアンディ・マッコイの邂逅から、1970年代末に形成されたバンド。1981年にデビュー盤『白夜のバイオレンス』(参考過去記事)を発表し、本拠地を北欧からロンドンに移してアルバムの発表を重ねた。1984年に米レーベルと契約して、これからアメリカ進出というタイミングでドラマーのラズルが事故死してしまい、バンドは解散した(後の2001~09年には再活動)。 1984年リリースの本盤『燃えるロンドン・ナイト(All Those Wasted Years)』は、フィンランドで大人気を博し、ロンドンを拠点にして全米進出へと向かっていた時期のライヴ・アルバムである。1983年、ロンドンのマーキー・クラブでの演奏が、LPでは2枚組(計68分)として収められている。 幕開けの1.「パイプライン」(ヴェンチャーズの演奏でも知られる)は、サーフ・ロック・バンドのシャンテイズの代表曲で、いわゆる“テケテケ”のギター・インスト曲だが、ハノイ・ロックス独自の解釈で短いイントロとしてアレンジされている。そのロック調の勢いのまま、2.「オリエンタル・ビート」へとなだれ込んでいく。その後も勢いの止まらない演奏が目白押しで、粗削りな部分はあちらこちらにあるものの、それが逆に彼らの魅力にもなっている。 上記以外に、前半(LPの1枚目)で筆者の好みの演奏をいくつか挙げてみると、4.「炎のドライビン(モーターヴェイティン)」、5.「愛してほしい(アンティル・アイ・ゲット・ユー)」、8.「白夜のトラジディ(トラジェディ)」、9.「マリブ・ビーチの誘惑(マリブ・ビーチ・ナイトメア)」といずれも勢いにのった素晴らしい演奏が並ぶ。後半(LPの2枚目)に移っても、この快感に満ちたライヴ感は止むことはない。個人的に特に外せないものを絞りに絞って選ぼうとしても、10.「ヴィジター」、13.「ロスト・イン・ザ・シティ」、15.「ビア&シガレット」、18.「トレイン・ケプト・ア・ローリン」となかなか絞り切れない。特に、18.を含む終盤の勢いと盛り上がりは、ハノイ・ロックスのライヴ・パフォーマンスの真骨頂と言っていいかもしれない。 余談ながら、手持ちのCDは音圧も決して高くなく、音としては決していいものではない。それでありながら、40年も前のライヴが目の前に広がるかのような臨場感が感じられるのは、彼らの演奏内容そのものの素晴らしさゆえ、ということになるのだろうと感じる。[収録曲]1. Pipeline2. Oriental Beat3. Back To Mystery City4. Motorvatin'5. Until I Get You(ここまでLP時代のA面)6. Mental Beat7. Don't Never Leave Me8. Tragedy9. Malibu Beach Nightmare(ここまでLP時代のB面)10. Visitor11. 11th Street Kids12. Taxi-Driver13. Lost In The City(ここまでLP時代のC面)14. Lightning Bar Blues15. Beer And A Cigarette16. Under My Wheels17. I Feel Allright18. Train Kept A Rolling(ここまでLP時代のD面)1984年リリース。 【中古】 燃えるロンドン・ナイト/ハノイ・ロックス 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年11月10日
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バンド形式の演奏で展開されるインギーの世界 イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)がソロ・プロジェクトでの活動を始めて2枚目の作品となったのが、この『マーチング・アウト(Marching Out)』という盤である。イングヴェイ本人的には、インターヴューでこれがファースト作であるという言い方をしているとのこと。レコード会社の意向もあり、インスト(つまりはイングヴェイの演奏)が中心となる形で制作された前作(『ライジング・フォース』)とは異なり、ヴォーカル入りの楽曲が増えていて、バンドらしさが感じられる作品となっている。 メンバーは、前作と同じジェフ・スコット・ソート(ヴォーカル)、イェンス・ヨハンソン(キーボード)に加え、新しいドラマーのアンダース・ヨハンソン、さらにはベースのマルセル・ヤコブが参加している。全体にアグレッシヴな楽曲が多く、ヴォーカルの比重を高めつつもイングヴェイのギターの冴えた演奏がその屋台骨となっている。 個人的な好みの曲をいくつか挙げておきたい。冒頭の1分ほどのインスト曲の1.「プレリュード」から2.「アイル・シー・ザ・ライト・トゥナイト」は本盤の最大の聴きどころの一つ。アルバム前半で特に印象的な曲をもう一つ挙げておくと、5.「アイ・アム・ア・ヴァイキング」。北欧人だからこの詞の内容ということなのだろうけれど、“俺はヴァイキング”というタイトルは、最初に聴いたその当時からすぐさま目についたもので、イングヴェイのギター演奏がお見事である。 アルバム後半に目を移すと、クラシックを取り込んだ6.「序曲1383(オーヴァーチュア・1383)」は、いかにもイングヴェイといったギター演奏。その後も優れた楽曲・演奏が連続するが、あと1曲だけ触れておくとすれば、アルバムを締めくくる表題曲の11.「マーチング・アウト」。こちらもインストゥルメンタル曲なのだが、アルバム全体のトーンからすると優雅で伸びやかなギター演奏で、しかもその演奏内容は秀逸。幻想的なギタリストの演奏という意味では、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」やロイ・ブキャナンの「メシアが再び」に並ぶもので、3分で終わってしまうのはもったいないという余韻を残すナンバーだと思う。[収録曲]1. Prelude2. I'll See the Light, Tonight3. Don't Let It End4. Disciples of Hell5. I Am a Viking6. Overture 13837. Anguish and Fear8. On the Run Again9. Soldier Without Faith10. Caught in the Middle11. Marching Out1985年リリース。 マーチング・アウト [ イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年11月06日
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ギター小僧のその先へ、幅が広がり始めた1枚 ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)は、グリンというバンドでメジャーデビューし、1970年代、地味ながら着実にソロ活動を繰り広げていった。この間の活動で、“ギター小僧”、“ギター・キッド”などといったイメージがついたけれど、1980年代を迎えると、音楽性を少し変えていった。ポップな方向を向いたというのは、コアなファンにとってはがっかりな部分もあったかもしれないが、数十年後の現在から見れば、彼の音楽性が広がっていく過程だったようにも思う。 そんな彼の傾向が見え始めたのが、1981年発表の本盤『ナイト・フェイズ・アウェイ(Night Fades Away)』である。1980年代にニルスは3枚のスタジオ作を残している(本盤のほかに、1983年の『ワンダーランド』、1985年の『フリップ』)が、いずれも、前後の作品に比べてポップ寄りのサウンドに仕上がっている。 本盤に収められた楽曲のうち、筆者のお気に入りナンバー1は、何といっても表題曲の1.「ナイト・フェイズ・アウェイ」。ソフトな曲調ながら、ヴォーカルもなかなかよくて、ハーモニクスを含むギタープレイの特色もうまく活かされている。全体に目を向けると、小気味よく聴きやすいロックナンバーが多く含まれているのも特徴。そうした曲の代表格としては、デル・シャノンで知られる2.「アイ・ゴー・トゥ・ピーシズ」、ビートルズのカバーである7.「エニータイム・アット・オール」。さらには、6.「セイラー・ボーイ」なんかもテンポのよさが目立つ。あと、8.「魔女の誘惑(エンシェント・ヒストリー)」は、グリン時代からの雰囲気を保っていて、これも何気に外せないナンバーだったりする。[収録曲]1. Night Fades Away2. I Go to Pieces3. Empty Heart4. Don't Touch Me5. Dirty Money6. Sailor Boy7. Anytime at All8. Ancient History9. Streets Again10. In Motion1981年リリース。 【中古】 Nils Lofgren ニルスロフグレン / ナイト・フェイズ・アウェイ 【LP】↓LP盤です↓ Nils Lofgren「Night Fades Away」 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年10月14日
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ロック色を強めた好盤 “100万ドルのギタリスト”と言われたジョニー・ウィンター(Johnny Winter)がコロンビアと契約してから、メジャーデビュー盤、セカンド作(過去記事)に続いて、3枚目のリリースとなったのが、この『ジョニー・ウィンター・アンド(Johnny Winter And)』である。 この“ジョニー・ウィンター・アンド”はバンドの呼称である(“アンド(そして)”で終わることの違和感を、筆者は何十年たっても払しょくできないでいるけれど)。メンバーは、リック・デリンジャー(ギター)、ランディ・ジョー・ホブス(ベース)、ランディ・Z (ドラムス)という面々で、特にデリンジャーは曲作りや共同プロデュースという役割を果たしている。 ジョニー・ウィンターのキャリアの中で見ると、本盤は、ブルースをベースにしつつも、どんどんとロック色を強めていった時期の作品である。注目のナンバーをいくつか見ておきたい。1.「ゲス・アイル・ゴー・アウェイ」は勢いのある曲調に乗せて展開されるギターのカッコよさとヴォーカルの激しさがいい。3.「ノー・タイム・トゥ・リヴ」は、トラフィックのカバー(原曲は1968年作の『トラフィック』に収録)。4.「ロックンロール・フーチー・クー」はデリンジャー作でこの曲の初出(後にデリンジャーは次作でセルフ・カバーも披露している)。 アルバム後半に目を向けると、ウィンターらしさが発揮された7.「プロディガル・サン」、デリンジャーのペンによる8.「オン・ザ・リム」や11.「ファンキー・ミュージック」などが光る。さらに、聴き逃がせないと思うのは、哀愁漂う曲調の9.「レット・ザ・ミュージック・プレイ」。ブルースに固執するのではなく、幅広い曲演奏を取り入れていることもよく分かる1曲だと言える。 残念なことに、本盤のセールスは振るわなかった。全米でのチャート順位は、前作(55位)、前々作(24位)に対して、本作は154位にとどまった。本盤よりも後に出されたライヴ盤(1971年)の方が注目度が高いため、そちらに目が行きがちである(若い頃、筆者が先に聴いたのも、実はそちらのライヴ盤だった)。けれども、こちらの盤も決して忘れてはならないお薦め盤であることを声を大にして言いたい。[収録曲]1. Guess I'll Go Away2. Ain't That a Kindness3. No Time to Live4. Rock and Roll, Hoochie Koo5. Am I Here?6. Look Up7. Prodigal Son8. On the Limb9. Let the Music Play10. Nothing Left11. Funky Music1970年リリース。 輸入盤 JOHNNY WINTER / JOHNNY WINTER AND-LIVE AT THE FILLMORE EAST [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年10月07日
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輝かしきバンドのデビュー盤 1970年代後半、デヴィッド・ペイチ(キーボード)とジェフ・ポーカロ(ドラム)を中心にスタジオ・ミュージシャンたちから成るバンドが動き始めた。これら2人以外のメンバーは、スティーヴ・ルカサー(ギター)、ボビー・キンボール(ヴォーカル)、デヴィッド・ハンゲイト(ベース)、スティーヴ・ポーカロ(キーボード)といった面々であった。彼らが1978年にリリースしたデビュー盤が、原盤ではセルフタイトルの『TOTO~宇宙の騎士(Toto)』だった。 名前のTOTO(以前、日本では4文字とも大文字で表記されていた)を見た日本人の多くは、便器で有名なメーカー(当時は東陶機器、以前の東洋陶器)を思い浮かべるかもしれない。けれども、アルバム・ジャケットは、宇宙をバックにしたエクスカリバー(中世イングランドのアーサー王伝説に出てくる魔法の力を持った剣)。そしてそのサウンドは、“産業ロック”とも呼ばれることになる、1980年代以降に向けた新たな方向性を既に示しているものだった。 セッション・ミュージシャンとして活躍していた人たちがバンドを組んだのだから、その演奏の実力はこのデビュー盤からもはや完成されている。それに加えて素晴らしかったのは、上記のジャケ写から連想されるコンセプトが楽曲の音にもぴったりとリンクしていた点だろう。1.「子供の凱歌(チャイルズ・アンセム)」という冒頭のインスト曲で、リスナーはあっという間に“アーサー王の剣が宇宙に浮かぶ世界”へと誘われる。1970年代のそれまでのロックとは次元の異なる世界とでも呼べるものが、当時の感覚では新鮮だったということになるのだろう。 1.に加え、筆者が気に入っているナンバーを少し見ておきたい。2.「愛する君に(アイル・サプライ・ザ・ラヴ)」は、1980~90年代のロック・ナンバーの雰囲気を先取りしている。3.「ジョージー・ポーギー」この少し後のTOTOの名曲の香りを既に持っている。さらに、7.「ふりだしの恋(テイキン・イット・バック)」と10.「アンジェラ」(個人的にはこちらが特にお気に入り)は、AOR的ロック/バラードというこの後の流れを先取りしているように思う。それから、9.「ホールド・ザ・ライン」は、TOTOにとっての最初のヒット曲となったシングルで、全米5位を記録している。[収録曲]1. Child's Anthem2. I'll Supply the Love3. Georgy Porgy4. Manuela Run5. You Are the Flower6. Girl Goodbye7. Takin' It Back8. Rockmaker9. Hold the Line10. Angela1978年リリース。 [期間限定][限定盤]宇宙の騎士/TOTO[CD]【返品種別A】 宇宙の騎士 [ TOTO ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年10月02日
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デビュー当時の勢いと人気が高まる中でのライヴ演奏 ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’Roses)は、1986年にゲフィン・レコードと契約し、翌87年にデビュー盤『アペタイト・フォー・ディストラクション』を発表した。実は、彼らはこの間にゲフィン傘下のUZIスーサイドというレーベルから自主制作の4曲入りEPを発表していた。『Live ?!*@ Like a Suicide』というタイトルで、1万枚限定というものだったが、すぐに完売した。デビュー盤発表後、このEPの音源は改めて正式にリリースされた。1988年のライヴ音源と併せてミニアルバムとして発売されたのだが、それが本盤『GN’Rライズ(GN'R Lies)』であった。そのようなわけで、本ミニアルバムの前半は上記の4曲入りEP音源だが、これらは“疑似ライヴ”仕様である。つまりは、レコーディングした曲に歓声を被せてライヴっぽくしてあるというもので、実際のライヴ・レコーディングによるものではない。その一方、後半はデビュー盤発表後のライヴの音源で、同じように4曲が収められている。 8曲の収録曲の中から、前半・後半それぞれでお勧めのナンバーをいくつか簡単にピックアップしておこう。まず、前半の収録曲で特に注目なのは4.「ママ・キン」。言わずと知れたエアロスミスの楽曲である。個人的には、3.「ムーヴ・トゥ・ザ・シティ」もお気に入り。後半に移って、5.「ペイシェンス」は全米4位のヒットとなった名バラード曲。個人的な好みの曲も一つ挙げておくと、6.「ユーズド・トゥ・ラヴ・ハー」。ハード・ロック・バンドとしての過激な演奏だけでなく、こういう演奏も難なくこなせてしまう(しかもライヴ演奏としての完成度がこの当時の時点で非常に高い)というのが、本盤の魅力になっていると言ってもいいのかもしれない。[収録曲]1. Reckless Life2. Nice Boys3. Move to the City4. Mama Kin5. Patience6. Used to Love Her7. You're Crazy8. One in a Million1988年リリース。 GN'Rライズ [ ガンズ・アンド・ローゼズ ] 下記ランキングに参加しています。お時間のある方、応援くださる方は、 “ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2023年09月03日
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高い質を誇り、聴き続けられるに値する90年代の好盤 ソウル・アサイラム(Soul Asylum)は1980年代に米国ミネソタ州ミネアポリスで形成されたバンドで、1990年代に入ってからのヒットでスターダムにのし上がった。メンバーは、ヴォーカルのデヴィッド・パーナーを中心とする4人編成で、メンバー交代(特に2005年のベースのミュラー死去)を経ながらも活動を続けているバンドである。 一般にソウル・アサイラムは“オルタナティヴ・ロック”や“グランジ・ロック”とのラベルを貼られるけれども、あまり狭い枠にはめ込まない方がいいというのが筆者のかねてからの感想である。一般論としてもそうなのだけれど、このことは、特にこのソウル・アサイラムというバンドには当てはまるように思う。少し大袈裟に言うならば、1990年代は特に音楽ジャンルが細分化され、実際の中身よりもラベル付けでイメージが決まりがちな状況が進んでいったような気がする。けれども、実は、彼らがやっていたことは、単に新たなロックの王道を進んでいただけなのかもしれない、とも思ったりする。 そんなソウル・アサイラムのアルバムの中でも、筆者が特に当時よく聴いたのが、この『キャンディー・フロム・ア・ストレンジャー(Candy From A Stranger)』という1998年リリースの盤である。『グレイヴ・ダンサーズ・ユニオン』(1992年)、『レット・ユア・ディム・ライト・シャイン』(1995年)で既にその実力のほどは知られ、大きな人気も獲得していた。そんな中で貫禄と安定感がうまく表現された好盤であった。 冒頭の1.「クリーチャーズ・オブ・ハビット」は、筆者の特にお気に入りのナンバーで、トータルでは本盤中でいちばんの推奨曲。次いで、おすすめの収録曲としては、5.「ノー・タイム・フォー・ウェイティング」、9.「ニューヨーク・ブラックアウト」、11.「クレイドル・チェイン」といったところが挙げられる。 本作の売り上げに目を向けると、前作、前々作と比べて決してセールス面では成功したとはいいがたいものだった。けれども、バンドの着実なキャリアの積み重ねは、派手に売れることがないにせよ、聴き継がれてよい好盤を生み出すことにつながったんじゃないかと思っている。[収録曲]1. Creatures of Habit 2. I Will Still Be Laughing3. Close4. See You Later5. No Time for Waiting6. Blood into Wine7. Lies of Hate8. Draggin' the Lake9. New York Blackout10. The Game11. Cradle Chain12. Losin' It *日本盤ボーナス・トラック1998年リリース。 【中古】 キャンディー・フロム・ア・ストレンジャー/ソウル・アサイラム 【中古】afb 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2023年08月31日
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セールスは奮わずとも後に残る好盤 ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)は、1960年代、ルー・リードがウェールズ出身でニューヨークに来ていたジョン・ケイルと意気投合して形成されたバンド。1967年にレコードデビューを果たし、概ね毎年1枚程度のペースで5枚のスタジオ・アルバムを残した。 デビュー作の『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(1967年)からして、セールスに結びついたとは言い難かったものの、前衛色を深めた『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』(1968年)、その次の本作『ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII(The Velvet Underground)』(1969年)と売り上げは振るわず、本盤に至ってはチャートインすらしなかった(ただし、1985年のリイシュー時には全米197位になった)。 本盤『ヴェルヴェット・アンダーグラウンドⅢ』は、原題はセルフタイトル作になっているが、日本語タイトルが示すように、バンドの3枚目のアルバムに当たる。2作目の制作中にルー・リードとジョン・ケイルの関係が悪化し、結果的にケイルはバンドを去ることになった。したがって、この第3作は、新たに加わったメンバー(ダグ・ユール)を新メンバーに迎えての新ラインアップでの作品となった。 前作で高まった前衛的な雰囲気はやや抑え気味となり、叙情的な部分も増えたというのが本盤の印象である。いずれにしても、盤全体のトーンは“アンダーグラウンド”の名そのものといったところ。個人的な好みでは、叙情的な雰囲気をもち、ダグ・ユールがヴォーカルを担当する1.「キャンディ・セッズ」、VUらしさが漂う2.「ホワット・ゴーズ・オン」、演奏の完成度の高さが光る7.「アイム・セット・フリー」、モーリン・タッカーがヴォーカルを担当し、アコギ(リード)とベース(ユール)の演奏だけというシンプルで素朴な10.「アフター・アワーズ」なんかがいい。 なお、このアルバムには2種類のミックスが存在し、一般に知られているのがヴァル・ヴァレンティンによるもの。その一方、リードは後年になって「会社に勝手にミックスされた」と言っており、この公式ヴァージョンとは別に、リード自身がミックスを手掛けたヴァージョンがある(こちらはボックスセットに収録されているが、筆者は未聴)。[収録曲]1. キャンディ・セッズ2. ホワット・ゴーズ・オン3. サム・カインダ・ラブ4. ペイル・ブルー・アイズ5. ジーザス6. ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト7. アイム・セット・フリー8. ザッツ・ザ・ストーリー・オブ・マイ・ライフ9. 殺人ミステリー10. アフター・アワーズ1969年リリース。 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド3 [ ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド ] 次のランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いします! ↓ ↓
2023年08月28日
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ブギー・ロックというスタイルの確立 1971年に結成され、『フォガット』(1972年)、『ロックン・ロール』(1973年)、『電撃のフォガット』(1974年)とアルバム・リリースを重ねていったフォガット(Foghat)の第4作が、この『ロックンロール・アウトロー(Rock and Roll Outlaws)』である(原題通りだと『ロックンロール・アウトローズ』のはずだが、邦盤では『ロックンロール・アウトロー』とされていた)。『電撃の~』は1974年初頭であったが、本盤は同年の秋にリリースされた。 バンドの結成・デビューからの数年間は、フォガットにとって音楽的方向性が定まっていくという期間だった。ブルース・ロック(結成時のメンバー4人のうち3人はイギリスのブルース・ロック・バンド、サヴォイ・ブラウンの元メンバーだった)からスタートし、他と同じではないサウンドを確立していく。そんな意味で、本作『ロックンロール・アウトロー』は、フォガットにとって重要なステップアップの盤だったと言えるのかもしれない。本盤では、前作に見られたハード・ブギーへの志向がより鮮明化し、彼ら独自のブギー・ロックというスタイルの確立に真っ向邁進している様子が明確に見てとられるという風に感じる。 冒頭の1.「エイト・デイズ・オン・ザ・ロード」からして、“これが自分たちの音楽だ”と言わんばかりのノリを披露する。アルバムを聴き進んでも、中途半端に甘いバラードを挟むようなまねはしない。せいぜい4.「トラブル・イン・マイ・ウェイ」のようなテンポを少し抑えつつもブルース的なスライド・ギターが大きくフィーチャーする演奏が登場するに過ぎない。 前半(LPのA面)1曲目の「エイト・デイズ~」と並んで、本盤でフォガット節が全開のナンバーとしては、後半最初(B面1曲目)の5.「ロック・アンド・ロール・アウトロー」がいい。とりわけこのアルバムの後半は、ブギー・ロックで押しまくるといった部分が最大のよさだと思うのだけれど、あえて1曲挙げるとすると、8.「シャトー・ラフィッテ・’59・ブギー」は必聴。この勢いに乗った疾走感はなんとも心地いい。[収録曲]1. Eight Days on the Road2. Hate to See You Go3. Dreamer4. Trouble in My Way5. Rock and Roll Outlaw6. Shirley Jean7. Blue Spruce Woman8. Chateau Lafitte '59 Boogie1974年リリース。 Foghat フォガット / Rock And Roll Outlaws 輸入盤 【CD】 【中古】 ロックン・ロール・アウトローズ(K2HD/紙ジャケット仕様)/フォガット 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2023年08月25日
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半世紀以上前の音楽的胎動 “1966年×ブルース・ロック”と訊かれて、“ジョン・メイオールとエリック・クラプトン”と答えられるのは、よほどのブルース・ロック好きの人かもしれない。さらに前後を見れば、前年にはポール・バターフィールド率いる名盤『イースト・ウエスト』、翌年にはサヴォイ・ブラウンのデビュー盤など、ブルース・ロック史的には大きな胎動の時期だった。 そんな1966年の盤として、ぜひこれも忘れてはならぬと思うのが、ザ・ブルース・プロジェクト(The Blues Project)の『プロジェクションズ(Projections)』というアルバムである。このバンドは、1964年にエレクトラ・レーベルが企画したその名も“ザ・ブルース・プロジェクト”に端を発し、そこにあのアル・クーパーも合流していく。 実はこの盤は厳密な意味では、ザ・ブルース・プロジェクトのファースト作ではない。1965年末に録音され、66年になってから発売されたライヴ盤がデビュー作であった。その時点でメンバーだったトミー・フランダース(ヴォーカル)は脱退し、仕切り直しでアル・クーパー(Al Kooper)とダニー・カルブ(Danny Kalb)をヴォーカルとしてアルバム制作を行う。その結果が、最初のスタジオ録音作となる本盤だったというわけである(結局、アル・クーパーもその2年後には抜けていってしまうわけだけれど)。 全体的な印象としては、ムーディーなブルースを志向している曲が多めで、演奏面で決して“派手でない”。とはいえ、結果的にはそれがいいと言えるように思う。もう少し踏み込んで言えば、上記のメイオール盤やバターフィールド盤と比べて、それほどまでの“勢い”がない。ギター(ダニー・カルブに加え、スティーヴ・カッツ(Steve Katz)がギターとハーモニカを担当)が出しゃばり過ぎないないというのも、それを表していると言えるのかもしれない。“派手さがない”というのは、別に悪い意味で言っているわけではなくて、実のところは、意図的なものだったのではないかと感じている。つまりは、ノリで聴かせる部分を敢えて抑え、腰を据えて聴くタイプの、より“玄人”なリスナーを意図していたのではないだろうかと思ってみたりもする。 ぜひ注目してほしいナンバーとしては、まずは、1.「泣かずにいられない」。派手にならず地味な曲調でじっくり聴かせる点と、ハモンドオルガンのカッコよさが個人的には強く印象に残る。あとは、4.「二つの列車」に見られるような、まったりとした雰囲気が個人的には好みである。この“まったり感”というべきものは、表題通り大幅にフルートをフィーチャーした7.「フルート・シング」なんかでも面白い形で展開される。さらに、上記1.と並ぶスリリングさという点では、8.「やさしく抱いて」、同じく上述の“まったり感”という観点では、9.「フライ・アウェイ」もお勧めと言えるように思う。 [収録曲]1. I Can't Keep from Crying2. Steve's Song3. You Can't Catch Me4. Two Trains Running5. Wake Me, Shake Me6. Cheryl's Going Home7. Flute Thing8. Caress Me Baby9. Fly Away1966年リリース。 プロジェクション(モノ・ミックス) [ ザ・ブルース・プロジェクト ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年08月22日
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個性の強さと時代の先取り リッキー・リー・ジョーンズ(Rickie Lee Jones)は、シカゴ生まれのシンガーソングライター。家出の末、19歳からロサンゼルスに暮らし、トム・ウェイツと同棲していたこともある(表の面ではないが、『ブルー・ヴァレンタイン』のジャケットの写真に登場する女性が彼女だとのことである)。いくつかの曲がレコード会社の関心をひき、ローウェル・ジョージが彼女の曲をソロ・アルバムで取り上げたこともあって、1979年のこのセルフ・タイトルのデビュー盤(日本版タイトルは『浪漫』となっているが、原題は彼女の名前そのまま)が生まれた。 本作は全米でアルバム・チャート3位を記録し、大きなヒットとなった。シングルの1.「恋するチャック(チャック・Eズ・イン・ラヴ)」も全米4位のヒットとなった。今風に言えば、ジャジーでブルージーな洗練された女性ヴォーカルがリスナーの心をつかんだということになるのだろう。けれども、その当時の音楽業界の中では、こうした音楽的な方向性そのものが斬新で、センセーショナルだったといえる。ドクター・ジョン、ジェフ・ポーカロ、マイケル・マクドナルド、スティーヴ・ガッドなどサポートのミュージシャンもなかなかの顔ぶれが並んでいる。 注目の曲をいくつか見ておきたい。シングル・ヒットした1.「恋するチャック(Chuck E.'s in Love)」は、トム・ウェイツとの共通の友人である実在の人物(チャック・E・ワイス)の実話にインスピレーションを受けて作られたナンバー。表題の“チャック・Eは恋してる”というのは、行方が知れなくなった彼からの電話を受けたトム・ウェイツの言葉だという。5.「イージー・マネー」は、上記の通り、ローウェル・ジョージが取り上げ、本デビュー盤の大きなきっかけとなったナンバー。あと、上記5.に加え、2.「1963年土曜日の午後」、3.「ナイト・トレイン」は特に外すことのできない好曲だと思う。[収録曲]1. Chuck E.'s in Love2. On Saturday Afternoons in 19633. Night Train4. Young Blood5. Easy Money6. The Last Chance Texaco7. Danny's All-Star Joint8. Coolsville9. Weasel and the White Boys Cool10. Company11. After Hours1979年リリース。 浪漫 [ リッキー・リー・ジョーンズ ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2023年08月19日
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全米で人気を獲得した飛躍の盤 ボブ・シーガー(Bob Seger)は、1945年デトロイト生まれのロック・ミュージシャン。ボブ・シーガー・システム、ソロ、さらにはバックバンドのシルヴァー・バレット・バンドとの活動を展開するが、長らく地元で人気のアーティストというポジションだった。 そんな彼が全米レベルでのステータスを築くことになったきっかけが、本盤『炎の叫び(Night Moves)』だった。アルバムはチャートで8位まで上昇し、彼にとって初のトップ10入りとなった。シングルも全米4位となった表題曲(2.「ナイト・ムーヴス」)を皮切りに複数がヒットした。トップ・アーティストとしてのボブ・シーガーの快進撃はこの盤から始まったと言える。 実際、本盤には好曲が並ぶ。冒頭の1.「ロックン・ロール(ロック・アンド・ロール・ネヴァー・フォーゲッツ)」は、ノリのいい、いかにもボブ・シーガーらしい王道のロック・ナンバー。シングルとしてもカットされた(最高位は全米41位)。2.「ナイト・ムーヴス」は、上記の通りシングルとしてヒットした。後の「アゲンスト・ザ・ウインド」や「ライク・ア・ロック」につながるあの雰囲気を、この曲は内包している。さらに、彼の代表曲の一つになった6.「メインストリート」も本盤に収められている。この曲もシングル化され、全米24位となった。シングルとなったこれら3曲が注目の曲ということになるのだろうけれど、そのほかにも注目したい曲を少し挙げておきたい。3.「ファイア・ダウン・ビロー」は、妙に筆者のツボにはまるいかにもアメリカン・ロック調のナンバー。ミディアム・テンポの4.「光の中へ(サンバースト)」と8.「シップ・オブ・フールズ」は、少し余裕を持たせたり、肩の力の抜けた落ち着いた雰囲気を出したりしているところがいい。一方で、アルバムを締めくくる9.「メリー・ルー」は、ボブ・シーガー独特のハイテンションのヴォーカルが聴きどころとなっている。[収録曲]1. Rock and Roll Never Forgets2. Night Moves3. The Fire Down Below4. Sunburst5. Sunspot Baby6. Mainstreet7. Come to Poppa8. Ship of Fools9. Mary Lou1976年リリース。 【輸入盤CD】Bob Seger & The Silver Bullet Band / Night Moves (ボブ・シーガー&シルヴァー・バレット・バンド) ↓こちらはベスト盤↓ 【輸入盤CD】Bob Seger & The Silver Bullet Band / Greatest Hits(ボブ・シーガー) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年08月16日
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ソロとしてゲストとの共演、エレキ・ギターへの回帰 ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)は、1942年イギリス出身のギタリスト。1971年から自身のバンド、マハヴィシュヌ・オーケストラで活動し、解散後にはシャクティというバンドを数年間続けた。そして、シャクティ解散後に発表されたソロ作が、1978年の『エレクトリック・ギタリスト(Electric Guitarist)』だった。 本盤は、マクラフリンにとって、二重の意味での“回帰作”となった。一つは、シャクティ時代のアコースティック・ギターから、エレクトリック・ギターへの回帰。表題はこの点がそのままアルバム・タイトルになっている。そして、もう一つは、西洋音楽への回帰である。これをフュージョン音楽として結実させるために彼がとった方法は、多彩なゲスト・ミュージシャンたちとの共演だった。 本盤参加の演奏者には、マハヴィシュヌ・オーケストラのメンバーだったジェリー・グッドマン(1.,ヴァイオリン)、共演作もある盟友カルロス・サンタナ(2.,ギター)、ナラダ・マイケル・ウォルデン(2.,ドラムス)、デイヴィッド・サンボーン(3.,アルト・サックス)、チック・コリア(4.,ピアノ)、ジャック・ディジョネット(4.,ドラムス)、ジャック・ブルース(5.,ベース)、トニー・ウィリアムス(5.,ドラムス)らが含まれる。まさにマクラフリンの旧知のミュージシャンを一気に並べたような面々である。 いくつか注目したい曲をピックアップしておきたい。1.「ニューヨーク・オン・マイ・マインド」は、マハヴィシュヌ時代を思わせる演奏。2.「フレンドシップ」は、その表題が示すように、C・サンタナとの共演で、かつての共演作『魂の兄弟たち』を想起させる。4.「ドゥ・ユー・ヒア・ザ・ヴォイス・ザット・ユー・レフト」は、チック・コリア(さらには同じくRTFのスタンリー・クラーク)、ジャック・ディジョネットとのカルテット演奏の精度の高さに加え、敬愛するジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」をベースにしたコード進行で演奏されている。さらに、7.「マイ・フーリッシュ・ハート」は、マクラフリンにとっては珍しいスタンダード曲のアルバム収録。しかも、エレキ・ギターによるソロ演奏となっている。[収録曲]1. New York on My Mind2. Friendship3. Every Tear from Every Eye4. Do You Hear the Voices That You Left Behind?5. Are You the One? Are You the One?6. Phenomenon: Compulsion7. My Foolish Heart1978年1 ~2月録音。 John Mclaughlin ジョンマクラフリン / Electric Guitarist 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年08月10日
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時代を超越した金字塔 デヴィッド・ボウイ(David Bowie,デビッド・ボウイーと表記されることも)は、イギリス出身のミュージシャン・俳優で、1996年にロックの殿堂入りをしている。1947年生まれで、2016年に闘病の末に69歳で癌で帰らぬ人となった。 デヴィッド・ボウイの代表作とされるのが、1972年にリリースされた5枚目のアルバム、『ジギー・スターダスト(The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars)』である。発売当時は、この長い原題の直訳で『屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群』と題されていた。表題のジギー・スターダストは、一種のコンセプト・アルバムとなっているこの作品の主人公の名で、ボウイ自身もこのジギーとしてパフォーマンスをしていた。 少し大袈裟に言うと、ボウイは予言者だったのかもしれない。資源枯渇の危機の地球にやってくる異星人の救世主、それもバイセクシュアルのスターという設定は、発表から半世紀を超えたとは思えないほどアクチュアルなテーマである。音楽的にも楽曲・演奏の完成度が高すぎて、批評するのも恐れ多い。かつては“グラム・ロック”とラベル付けされていた(その意味では、ある種“ゲテモノ”扱いされる部分もあった)ボウイだけれど、現代から見れば、メインストリームのロック史の中での名盤というふうに見なした方がしっくりくるのかもしれないと思う。 個人的におすすめのナンバーをいくつかだけでも挙げておきたい。1.「5年間」は、地球滅亡の危機まであと5年という、本盤のストーリーの前提となる事態を歌ったもので、切迫感が伝わってくる演奏とヴォーカルが印象的。4.「スターマン」は、言わずと知れたボウイの代表曲の一つ。このナンバーと並んで、曲の美しさが際立ったナンバーとして、6.「レディ・スターダスト」も外せない。アルバムを締めくくる11.「ロックン・ロールの自殺者」は、ジギーとしてのライヴ・パフォーマンスのクロージング・ナンバーとしても用いられた曲で、1974年になってからシングルとしてもリリースされた。[収録曲]1. Five Years2. Soul Love3. Moonage Daydream4. Starman5. It Ain't Easy6. Lady Stardust7. Star8. Hang Onto Yourself9. Ziggy Stardust10. Suffragette City11. Rock'N'Roll Suicide1972年リリース。 ジギー・スターダスト<2012リマスター> [ デヴィッド・ボウイ ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年08月06日
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戦争と音楽 いきなり個人的な意見で恐縮だが、他の映画などのメディアと同様に、音楽はプロパガンダの手先になりかねない危険性がある。たとえば、アメリカでは大統領選などで盛り上がるたびに、政党や候補者の集会にミュージシャンが登場して大盛り上がりしている場面が映像で流れてくるが、ああいうのを見ると背筋が寒くなることすらある。 その意味で、筆者はロックが政治を語ることにはあまり賛同しないのだけれど、だからといってそうした作品を聴かないというわけではない。ニール・ヤングが2006年に発表した『リヴィング・ウィズ・ウォー(Living With War)』は、思い出したように最近聴くことが増えた盤の一つであったりする。 この盤はイラク戦争(2003~2011年)の最中に制作され、リリースされた。直接的には、戦争を続ける当時のブッシュ政権への批判であり、短期間のうちに作られたアルバムである(ニール・ヤング自身の語っているところでは、声を上げる若い人が出てこないので、自分自身がこういった作品を制作したとのこと)。昨今、ロシアによるウクライナ侵攻の、いつになっても止まない戦争のニュースを見る中で、本盤を思い出し、文脈はまったく違うものの、ニール・ヤングが現在進行形の戦争を音楽にしていたことを振り返りながら聴いていたりする。 特に印象に残るナンバーをいくつか見ておきたい。表題曲の2.「リヴィング・ウィズ・ウォー」は、“戦争とともに生きる”といった意味で、戦争よりも平和を、といったシンプルな詞の内容。実質的に戦争を仕掛けた当事者の国側でこういうメッセージが出され得たというのは、ロシアの状況を見るにつけ、複雑な気持ちにさせられる。4.「ショック・アンド・オウ」は、テンポのあるロックナンバーながら、悲壮感を漂わせるような曲調が印象的。7.「レッツ・インピーチ・ザ・プレジデント」は、“大統領を弾劾しよう”という、刺激的かつ扇動的なタイトルのナンバー。締めくくりが10.「美しきアメリカ」というのも注目ポイント。短期間での制作のため、作り込まれた作品という感じはしないものの、楽曲のよさはさすがニール・ヤングといった曲が並ぶし、100人の聖歌隊というのも、なかなか印象的と言えるように思う。[収録曲]1. After the Garden2. Living with War3. The Restless Consumer4. Shock and Awe5. Families6. Flags of Freedom7. Let's Impeach the President8. Lookin' for a Leader9. Roger and Out10. America the Beautiful2006年リリース。 【輸入盤CD】Neil Young / Living With War (ニール・ヤング) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2023年07月04日
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有名な代表曲を含む出世作 ビリー・ジョエル(Billy Joel)は、1949年ニューヨーク生まれのシンガーソングライターでロック・アーティスト。バンドでの活動を経て1971年にデビュー盤(参考過去記事)を発表するものの、売れることなく不発に終わった。1973年に仕切り直して発表されたのが、2枚目となる本盤『ピアノ・マン(Piano Man)』だった。決して華々しい大ヒットというわけではないものの、アルバム、表題曲のシングルともに全米30位内のセールスを上げ、ビリー・ジョエルにとって出世作となった。 20歳代の若者の顔が“生首”のように浮かび上がるジャケットは、冷静な目で見れば少々怪しい感じだが、いかにもポップやロックというよりも、語り部的なシンガーソングライターのアルバムとしては、こういうものの方がしっくりくるという気もしなくはない。実際、アルバムの内容は、ソングライティングのよさ、ピアノを中心とした演奏のよさ、この二点が際立っているように感じる。 筆者の好みで注目の曲をいくつか挙げておきたい。1.「流れ者の祈り(トラヴェリング・プレイヤー)」は、派手さはないものの、これから繰り広げられるピアノ詩人の世界のイントロとしてはよくできたナンバー。2.「ピアノ・マン」は、言わずと知れた彼の代表曲。ハーモニカの前奏、詞の語り口、ヴォーカルの抑揚、どこをとっても申し分のない名曲である。5.「さすらいのビリー・ザ・キッド(ザ・バラッド・オブ・ビリー・ザ・キッド)」は、ストーリー性とそれに伴う演奏面での展開も非常に優れた1曲。後の大ヒット作『ストレンジャー』に発展していく原点は、こうしたところにあるのではないかと思ったりする。 アルバム後半(LP時代のB面)に目を向けると、7.「ネバダ・コネクション」も、9.「小雨降るパリ」も外せないのだけれど、とにかく圧倒的なのは、アルバムの締めくくりとなっている10.「キャプテン・ジャック」。上記の5.と並び、演奏の展開と精度、曲のストーリー性が際立っている。現在からみると、リリースから半世紀が経過した作品であり、21世紀の趣向とは明らかに違っているかもしれないが、それでも筆者には何度聴いてもしっくりくるし、実際、今でも通して聴く機会の多い作品だったりする。[収録曲]1. Travelin' Prayer2. Piano Man3. Ain't No Crime4. You're My Home5. The Ballad of Billy the Kid6. Worse Comes to Worst7. Stop in Nevada8. If I Only Had the Words (To Tell You)9. Somewhere Along the Line10. Captain Jack1973年リリース。 ピアノ・マン/ビリー・ジョエル[Blu-specCD2]【返品種別A】 【輸入盤CD】Billy Joel / Piano Man (ビリー・ジョエル) 輸入盤 BILLY JOEL / PIANO MAN : VERY BEST OF [CD] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年06月08日
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ソロ名義の名盤 1989年の『フル・ムーン・フィーヴァー』に続き、ソロ名義としては2枚目のアルバムとして1994年にリリースされたのが、トム・ペティ(Tom Petty)の本作『ワイルドフラワーズ(Wildflowers)』である。MCAからワーナーへ移籍後の最初の作品となった。いつものバンド(ハートブレイカーズ)ではなく、ソロ作として制作したのは、リック・ルービン(プロデューサー)とトム・ペティの2人で自由にやりたかったからとのこと。ただし、実際の演奏には、ハートブレイカーズの全メンバー(ドラムスについてはこれ以降に後任ドラマーとなったスティーヴ・フェローン)が参加している。 アルバム全体を通してトム・ペティ節が全開で、ファンの中にはこれを最高作とする意見もある。確かに、1970年代の『破壊』が若き勢いを持った彼の傑作だとするならば、この『ワイルドフラワーズ』の方は、キャリアを重ね、40歳を手前にしていい意味で円熟味を帯び始めた時期の傑作と言ってもいいかもしれない。 いくつか好みの曲を挙げておこうと思う。表題曲の1.「ワイルドフラワーズ」のしっとりと聴かせるこの加減は、上記のとおり、いい意味での余裕と円熟を感じさせる。テンポのよいトム・ペティらしさが前面に出たナンバーとしては、4.「ユー・レック・ミー」と12.「ハイヤー・プレイス」が個人的な好み。とはいえ、全編が早めのテンポや重厚な演奏のナンバーが並ぶと、きっと本盤は名作と呼ばれることになっていなかったんじゃないかと感じる。肩の力が抜けたゆったりな曲、メランコリックなナンバー、ヴォーカルをしっかりと聴かせるミディアムやスロー・テンポの曲…。こうしたヴァリエーションがあってのこのアルバムというふうに筆者は思う。そんなことを考えるにつけ、5.「イッツ・グッド・トゥ・ビー・キング」や14.「クローリング・バック・トゥ・ユー」なんかも聴きどころと言っていいような気がする。 十分にヴォリュームがあって聴きごたえのある15曲というのが本盤ではあるのだけれど、当初2枚組でのリリース(全25曲)という案もあったのだという。実際、多くのアウトテイク音源があり、1枚のアルバムに収めるためにカットされた10曲の音源は、2020年に蔵出しリリースされた。筆者は未聴だけれども、この際の豪華なエディションは、レコード9枚組、CDでは5枚組というヴォリュームで、上記10曲に加え、アウトテイクやライヴ音源などが収められているとのこと。[収録曲]1. Wildflowers2. You Don't Know How It Feels3. Time to Move On4. You Wreck Me5. It's Good to Be King6. Only a Broken Heart7. Honey Bee8. Don't Fade on Me9. Hard on Me10. Cabin Down Below11. To Find a Friend12. A Higher Place13. House in the Woods14. Crawling Back to You15. Wake Up Time1994年リリース。 輸入盤 TOM PETTY / WILDFLOWERS [CD] 【送料無料】WILDFLOWERS & ALL THE REST [3LP VINYL] 【輸入盤】【アナログ盤】▼/TOM PETTY[ETC]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年06月01日
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“ロックンロールの女王”追悼 ティナ・ターナー(Tina Turner)が83歳で逝去とのニュースが報じられました。2023年5月24日、スイスの自宅で亡くなったとのことです。18歳での最初のレコーディングから65年、長いキャリアを持つ“ロックンロールの女王”について、振り返ってみたいと思います。 華々しいキャリアゆえ、どれがふさわしいのか迷うところですが、彼女の長いキャリアの映像をいくつか振り返ってみたいと思います。まずは、代名詞的なナンバーである「愛の魔力(What's Love Got to Do with It)」です。1984年に発表され、米・豪・加で1位のヒットを記録しました。映像は、1996年のライヴでの熱傷の様子です。 初期の活動では、1960年代から70年代にかけて、アイク&ティナ・ターナーというデュオ名義の活動がありました。夫アイクの家庭内暴力などの問題から、1978年に離婚が成立していますが、次はこのデュオ活動期のナンバーで、「プラウド・メアリー(Proud Mary)」をどうぞ。1971年の映像(つまり30歳代前半の頃)ですが、シンガーとしてのレベルの高さが際立っています。 続いては、1980年代の華々しき活躍の頃の映像です。1986年のシングル曲、「ホワット・ユー・ゲット・イズ・ホワット・ユー・シー(What You Get Is What You See)」です。ちょうど、自伝(『私、ティナ』)を出した時期に当たります。筆者的には、この風貌のティナ・ターナーが最も印象に残っています。 最後は、21世紀を迎えるあたりでのティナ・ターナーの歌唱をお聴きください。2000年のシングル、「ワットエヴァー・ユー・ニード(Whatever You Need)」です。歌唱力の高さは相変わらずですが、年齢に応じた貫禄も感じられます。還暦(60歳)を少し過ぎた頃のナンバーということになります。 長期にわたる闘病生活の末に亡くなられたとのことですが、心よりご冥福をお祈りします。R.I.P. 【輸入盤CD】Tina Turner / Simply The Best (ティナ・ターナー) ワーキン・トゥゲザー [ アイク&ティナ・ターナー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年05月25日
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