音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月13日
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 ザ・バンド『南十字星』を紹介した際、筆者個人としては、ザ・バンドの音楽に自然と波長が合うという書き方をした。実は、リヴォン・ヘルムのソロ・ファースト・アルバムである本作『リヴォン・ヘルム&RCOオールスターズ(Levon Helm & The RCO All Stars)』を聴いた時にも、同じ感想を持った。

 ザ・バンド(リヴォン・ヘルム以外はカナダ出身者から成っていた)は、アメリカン・ルーツ音楽を探求したと言われる。1968年の『ミュージック・フロム・ザ・ビッグ・ピンク』を皮切りに9枚のアルバムを残すが、1976年にその活動に終止符を打った(後にロビー・ロバートソン以外のメンバーで再結成、1983年から1999年まで再び活動した)。1976年の活動停止後、ザ・バンドのメンバーの一人だったリヴォン・ヘルムは、早々にソロ・プロジェクトを開始し、1977年に本作をリリースする。

 注目すべきは、このアルバムでも、リヴォン・ヘルムがアメリカン・ルーツ音楽の探求を続けていった点だ。参加メンバーはそうそうたる顔ぶれで、"オールスターズ"の何人かの名を挙げると、ブッカー・T(オルガン)、ポール・バターフィールド(ハーモニカ)、ドクター・ジョン(キーボード他)、ハワード・ジョンソン(チューバ、サックス)といった具合。アーカンソー出身のリヴォンが、この州からさらに南部に隣接するミシシッピやルイジアナといった地域のミュージシャンを率いて、まさしく「南部の旅」を続けているというのが興味深い。

 つまるところ、ザ・バンドの実質的解散を受けて、リヴォンはやりたかった別の事があってそれをやったというよりは、ザ・バンドの音楽的冒険の道筋にあったであろうさらに先を追い求めようとした。ザ・バンド後期の活動がロビー・ロバートソン中心にシフトしていたのは確かである。その意味においては、リヴォンがザ・バンドではもはや達成できなくなっていたことをやろうとしたといえるかもしれない。けれども、もともとのザ・バンドの音楽的探求の目標には、アメリカ南部の音楽的ルーツがあったのだと思う。そして、それこそが本作でリヴォンのやろうとしたことだったと言えるのではないか。そのためには、元ザ・バンドのメンバーの助けも不可欠であり、実際、ロビー・ロバートソン(ギター)とガース・ハドソン(アコーディオン)も本作に参加している。

 「南部ルーツの探求の継続」などというと仰々しく聞こえるので、どれほど凄いアルバムなのかと思われるかもしれないが、実は、このアルバムは大したセールスを記録しなかった。手元のライナー(2002年の日本再発盤のライナー)によれば、アルバム・チャートでは142位とさっぱり振るわなかったようで、早い話、それほど知られているアルバムではない。ザ・バンドの名で発売されるのとは大違いだったということだろうか。けれども、アメリカ南部色の強いR&Bの要素を多分に含んだこのアルバムは、忘れ去られるにはあまりにもったいない。1976年に止まってしまったザ・バンドの音楽的探求の続編を見る一つの手段として、今後とも聴き続けられるに値すると思う。



[収録曲]
1. Washer Woman

3. You Got Me
4. Blues So Bad
5. Sing, Sing, Sing
6. Milk Cow Boogie
7. Rain Down Tears
8. A Mood I Was In
9. Havana Moon
10. That's My Home





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Last updated  2013年02月09日 10時12分12秒
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