音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年01月06日
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テーマ: 洋楽(3405)
80年代初頭、ハート過渡期のアルバム


 ハート(Heart)は、1975年にデビューした(ただし、バンド自体はそれ以前から様々な変遷を経ていたのであるが)米国のロックバンドである。アン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンという姉妹の女性二人をフロントマンとし、レッド・ツェッペリンの影響の濃いハードロックを軸に、アコースティックサウンドも活かした作品群を70年代後半に次々と発表した。ハートのファンの中にはとりわけこの時期がもっとも良かったという人も多いようだ。

 そんなハートにとって大きな転機となったのは1980年代半ばだった。1979年と82年のメンバーの相次ぐ脱退の後、所属するレコード会社を変え、バンドの自作にこだわらずに外部ライターの曲や売れっ子プロデューサーを起用してよりポップな方向に転換した。これによって、 『HEART』 (1985年)、 『バッド・アニマルズ』 (1987年)、『ブリゲード』(1990年)の三部作に代表される"全盛期"を築くこととなった。

 本作『プライベート・オーディション(Private Audition)』は1982年の発表である。つまり、70年代後半の勢いが衰え、80年代半ばの大ブレークを迎える以前という時期で、セールスが伸び悩んでいた頃である。しかし、ある作品が売れなかったからといって、それが駄作ということは必ずしも当てはまらない。

 本盤の特徴の一つは曲の配列とバランスのよさである。1.「炎の街」というハードでソリッドなロックナンバーを冒頭に置いているのはなかなか得点が高い(ちなみにリリース当時のアナログ盤では7.「ザ・シチュエイション」がB面1曲目で同様の効果を示していた)。だがアルバム全体は一本調子ではなく、起伏に富んでいる。アルバム前半では4.の表題曲「プライベート・オーディション」や、シングルカットされた6.「ディス・マン・イズ・マイン」がそうである。5.「エンジェル」や8.「ヘイ・ダーリン・ダーリン」といったアコースティック系の曲もバランスよく取り入れられており、とりわけ、壮大なアコースティック曲11. 「アメリカ」 がアルバムの最後を締めくくるというのも曲の配列という観点からすると非常に優れている。

 さらに、本盤のもう一つの特徴として、アン・ウィルソンの歌唱力の高さが強く前面に出ている点があると思う。1.や7.のハードロック系ナンバー、5.や11.のようなアコースティック系ナンバーでの熱唱。ちなみに、発売当時のLPの帯には、「しなやかでしたたかなアンとナンシーの感性が織りなす大人のロック・ファンタジー」とある。いよいよこの頃からハートがアンとナンシー中心のバンドになったのも、このアルバム発表後にメンバーが二人抜けたというのもなるほど頷ける。加えて、現在(2000年代以降)のハートは完全にアン&ナンシーの姉妹プロジェクト化しているが、その芽生えは案外、この頃にあったのかも知れない。ともあれ、もっと評価されていい一枚だと思う。



1. City’s Burning
2. Bright Light Girl
3. Perfect Stranger
4. Private Audition
5. Angels
6. This Man Is Mine
7. The Situation
8. Hey Darlin Darlin
9. One Word
10. Fast Times
11. America






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Last updated  2021年04月11日 12時37分10秒
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