音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010.11.28
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ブルース・ロックの余裕


 ザ・クライマックス・シカゴ・ブルース・バンド(The Climax Chicago Blues Band)。バンド名には“シカゴ”とあるが、もともとは1968年に英国で結成され、やがて米国進出を果たしたブルース・ロックのバンドである。バンド名は様々な変遷を経ており、上記のはデビュー当初の名称。第二作にあたる本作発表時は、“シカゴ”が抜け落ち、ザ・クライマックス・ブルース・バンド(The Climax Blues Band)を名乗っている。その後は、再びシカゴを冠し、けれども冠詞の“the”を取り去ったり、単にクライマックス・シカゴと名乗ったり、もう少し後にはクライマックス・ブルース・バンドに変えたり、バンド名が一定しない。米国では一時売れたものの、日本でいま一つ認知されないままというのは、その音楽性というよりも、そもそもバンド名の一貫性のなさに一因があるのかもしれない。

 認知度の低さにもかかわらず、ブルース・ロックの流れの中でクライマックスは輝いており、個人的にも好みのバンドである。途中からソフト・ロック路線(英語Middle of the Road=ロックとポップの中間=を略したMORとも呼ばれる)に変わっていってしまうが、1970年代前半の彼らはブルース・ロックを語る時に外せないとすら思える。

 ジョン・メイオールやエリック・クラプトン(例えば 『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』 )、あるいはそのメイオールのもとから派生したピーター・グリーン率いるフリートウッド・マック(ジョン・メイオール名義の『ア・ハード・ロード』やフリートウッド・マック名義の『ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック』)といった有名どころの英ブルース・ロックと比べると、クライマックスの音楽はよくも悪くも“必死さ”が希薄である。一歩引いた感じがするとでも言えばいいだろうか。よく言えば、冷静さ、あるいは余裕を感じさせるということにもなるのかもしれない。本盤には、確かに勢いのあって“熱い”曲も含まれている。けれども、インスト曲が多い分、落ち着き払った部分の特色がより一層引き出されているように思う。

 上の点と関係しているとも言えるのだが、本盤のもう一つの特徴は、いくつかの曲でジャズ的アプローチが見られると言われる点だ。念のために言っておくと、“ジャズ的”といっても彼らが奏でる音楽そのものは本来のジャズとはあまり相関性はない。ロックその他分野でジャズ的なアプローチという場合、筆者の理解では、曲調や歌の雰囲気が“ジャジー”というだけでは必ずしもない。本盤に関して言えば、とりわけソロを取る楽器と楽器のぶつかり方や絡まり方が、ジャズ、それも全盛期のハード・バップ・ジャズと似通った感覚に基づいている。つまり、本作ではギターとギターあるいはサックスとギターの“熱い間”がハード・バップのジャズにおいてしばしば繰り広げられる“間”と同じ感覚に属するものなのである。

 そんなわけで、“熱いブルース・ロック”を期待する人には、意外と期待外れで、これに対して、“柔らかい耳”を持ったジャズ愛好者には案外受けるかもしれないと密かに思っていたりもする。ちなみに、筆者は熱いブルース・ロックが好きではあるのだけれど、このどこか落ち着き払った雰囲気も意外に気に入っている。



[収録曲]

1. Flight

3. Cubano Chant
4. Little Girl
5. Mum’s The Word
6. Twenty Past Two / Temptation Rag
7. So Many Roads
8. City Ways
9. Crazy ‘Bout My Baby

1969年リリース。




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【輸入盤CD】Climax Blues Band / Plays On (クライマックス・ブルース・バンド)




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