本盤『亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane For A Dead Princess)』は、2005年に日本のレーベル(ヴィーナス)によって吹き込まれた。収録曲を見ると、ショパン、ラヴェル、チャイコフスキー、ブラームス…と、クラシック音楽の大作曲家たちの名が並んでいる。つまり、本盤はクラシックの小品集という企画である。押し並べて言うと、個人的にはクラシック曲のジャズ化作品はあまり好きではない。なぜかと言うと、演奏者(ジャズ側)の、演奏曲(クラシック側)に対する敬意や気後れが演奏に反映されてしまうということが起こりやすいからだ。“敬意”というのは、聞こえはいいが、早い話、クラシック演奏の枠から抜けられない演奏になってしまうということである。“気後れ”の方も、クラシックよりも歴史が短い(すなわち、後進の)大衆音楽であるジャズ側が、伝統あるクラシック音楽に追いつこうという気概が空振りするケースのことをここでは言っている。その結果、ジャズをジャズたらしめている自由さが損なわれてしまうという事態を引き起こしやすい。
1. I'm Always Chasing Rainbows ~Fantasy Impromptu (F. Chopin)
3. Moon Love ~Symphony#5 2nd Movement (P. Tchaikovsky) 4. One Red Rose Forever ~Ich Lieve Dich (E. Grieg) 5. Swan Lake (P. Tchaikovsky) 6. Nocturne In E♭Major Op.9, No.2 (F. Chopin) 7. Reverie(C. Debussy) 8. Prelude In E Minor Op.28, No.4 (F. Chopin) 9. Full Moon And Empty Arms ~Piano Concerto#2 3rd Movement (S. Rachmaninov) 10. Pavane (G. Faure)