音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年01月28日
XML
テーマ: musica latina(82)




 アルベルト(Alberto)ことアルベルト城間はペルー出身の日系3世。91年から活躍しているラテン・バンド、ディアマンテス(Diamantes)の中心メンバーである。そのアルベルトが2000年にリリースした初ソロ作がこの『ハートに火をつけて(Light My Fire)』というアルバムである。

 本人の出身は南米ペルー、活動拠点は沖縄、そして本盤の制作はニューヨーク。このことからもわかるように、多国籍な音楽である。多国籍という言い方をすると複数の土地にまたがるということになり、では主な立脚地はどこなのかという疑問もわいてくるかもしれない。その意味では、本作はもしかすると“無国籍”という表現の方が相応しいのかもしれないとも思う。日本語でも、沖縄の言葉でも、英語でも、出身地であるペルーのスペイン語でも歌えるアルベルトが、本盤では英語とスペイン語を併用。日本だけでなく米盤リリースでNYサルサ界を視野に入れての制作。実際にアルバムを聴いているとその瞬間ごとに立脚点が次々と変わっていく感じで、まさしく国境のない(あるいは国境をひょいひょいと飛び越えながら)という印象を受ける。

 上記の無国籍性は、本盤の選曲からも見て取られる。タイトル曲の1.「ハートに火をつけて」(ザ・ドアーズの67年作収録)や2.「素顔のままで」(ビリー・ジョエルの77年のヒット曲)といった、英語でなじみのロック/ポップ・ナンバーがあるかと思えば、4.「ワインレッドの心」(安全地帯の代表曲)や9.「君といつまでも」(加山雄三のヒット曲)という本邦有名曲もある。さらには6.「カネラの花」、7.「ある恋の物語」、8.「ベサメ・ムーチョ」というラテン諸国の定番ナンバーも含まれる。興味深いのは、これら出自の違う曲が次々と登場するのを通して聴いて、何の違和感もなく全体が一色に染まっている点である。“サルサ”という括りのもとに一つの統一感が見事に出ていることは、やはり“無国籍”と評すのがぴったりだと思う。

 余談ながら、筆者はラテン系の踊りを伴いそうな音楽(典型的にはサルサもその一つ)は、全く聴かないわけではないけれど、どちらかというと苦手である。けれども、このアルバムはヴォーカルの比重が高く、“歌声を聴かせる”ことにも重点を置いた音のつくりをしていて、ヴォーカルがしっかりと耳に届く。おそらくはアルベルト(および制作スタッフ)の意図もそこに結構比重を置いたものではなかっただろうか。上で触れた選曲と一緒に考え合わせると、どうもそんな気がしてならない。サルサ愛好者には本格的なものであることを示すと同時に、この手の音楽に馴染みのない人が聴いても興味を示し、そのよさを理解しうるようなアルバム。それが、上記のバラエティに富んだ選曲にも表れていて、その意図は見事成功したと思う。

 そのようなわけで、ラテン世界未体験のリスナーや“試しにサルサでも聴いてみよっか”という向きにも勧められる好盤という感想を持っている。



[収録曲]

1. Light My Fire (ハートに火をつけて)
2. Just The Way You Are (素顔のままで)

4. Vino tinto (ワインレッドの心)
5. Wave (ウェイヴ)
6. La flor de canela (カネラの花)
7. Historia de un amor (ある恋の物語)
8. B?same mucho (ベサメ・ムーチョ)
9. Amor eterno (君といつまでも)
10. El d?a que me quieras (エル・ディア・ケ・メ・キエラス)

2000年リリース。





  下記ランキング(3サイト)に参加しています。
  お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします!
        ↓           ↓           ↓

にほんブログ村 音楽ブログ ワールドミュージックへ 人気ブログランキングへ banner01.gif









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011年01月28日 19時14分59秒
コメントを書く
[ラテン(ロック&ポップス)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: