音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年02月15日
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 ホール&オーツ(Daryl Hall & John Oats)は主に1970年代後半~1980年代半ばにかけて人気を博した米国出身のポップ・デュオ。67年に知り合った二人は、72年にデュオとしてデビューした。R&Bやソウルの要素を取り込んだいわゆるブルー・アイド・ソウルのアーティストとして知られる。

 彼らはデビュー後にすぐ大ヒットを放ったという訳ではなかった。石の上にも3年ではないが、デビューから数年間は地道に活動を続け、1976年にようやく初めてシングル・チャートでTOP 10入りを果たす。そのヒットこそがこの「サラ・スマイル」という曲であった。

 一言でいえば、ブルー・アイド・ソウル、つまりは“青い目の(白人による)ソウル”、つまりは単なる“ソウル”ではなかったことに成功の要因があると思う。ホール&オーツがうまくいったのは、ソウルな方向性を向いていながらも、どこかに都会的・現代的で、洗練された雰囲気を湛えていたところにあるように感じる。多少強引なのを承知で敢えて喩えるならば、それは、彼らよりずっと以前に見られたブルースロックの成功とダブってすら見える。

 そもそも、ブルース・ロックなるジャンル(この定義もいろいろ議論があるだろうけど)は、黒人音楽の要素を取り込んだ白人アーティストたちが、自己流にそれらを消化し、結果的には同じものを作り上げることなく、似て非なるものを作り上げたという点にその最大の特徴があった。ブルース・ロックの潮流よりはだいぶ後の話で、時代背景も違うにせよ、これと似た形で、ブルー・アイド・ソウル、とりわけホール&オーツのそれは、ソウルを志向しながらも、元のものと同じには仕上がらず、(もちろんいい意味で)別のものを作り出すことになった。

 あとこれは筆者の個人的思い込みと言えばそれまでなのかもしれないが、この曲にはどこかしら“のどかさ”やら“懐かしさ”といった雰囲気も同居しているように感じる。この後、70年代末から80年代にかけてロックの商業化が急速に進んでいった。その反動として、こちらとしてはついついそれ以前を懐古的に見たくなる。がつがつしていないところがこの曲そして歌唱のよさの一つというのもあながち外れてはいないのではないだろうか、と思ったりもする。



[収録アルバム]

Daryl Hall & John Oates / Daryl Hall & John Oates (邦題:『サラ・スマイル』、1975年)
その他、各種ベスト盤にも収録。






[CD]HALL & OATES ホール&オーツ/VERY BEST OF【輸入盤】





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